澪「梓…あんまりムギに変なこと教えないでくれよ」
律「おーい、どうしたんだ?」
紬「わーーー!」
律「お…おぉ、なんだムギ」
紬「驚いた?」
律「いや…驚いたっていうか…『え?』って思った」
紬「そんなぁ…」シュン
唯「なになに?どうしたの~?」
紬「バカ野郎ーーー!」
唯「きゃあっ!?」
紬「驚いた?」
唯「もう!ビックリさせないでよムギちゃん!」
紬「うふふ」
唯「あはは」
夏奈「……」
夏奈(な、なんだこの平和な空気は!?)
夏奈(相手がチアキだったらふじおかぶつけられて罵られてるところだぞ!)
唯「どうしたのあずにゃん?かたまってるけど」
夏奈「え」
紬「あっ、そうだ…え~っと」
紬「蛇に睨まれたカエルかよ!」
夏奈「いや、どういうツッコミだよ」
澪「……」
澪(どう考えても最近の梓はおかしい…)
澪(なんでだ…)ジーッ
夏奈「ん?どうしたんですか?」
澪「いや…なぁ梓、最近悩みでもあるのか?」
夏奈「へ?」
澪「その…様子が変だし…」
夏奈「いやだな~、私に悩みなんてあるわけないじゃないですか」
澪「そ、そうか。それなら別にいいんだけど…」
紬「後輩想いかっ!」
律「お前はもうなんでもいいのか」
唯「そんなことよりお茶にしようよ~」
夏奈「そうだそうだ!それがメインイベントだ!」
澪(い、いつも練習熱心な梓が…)
澪(これはひょっとして…律や唯の悪影響が!?)
澪「お前たちのせいだぞっ!」
唯「え?」
律「何がだよ」
紬「声が大きいよ!」
夏奈「あっムギちゃん、ツッコミもういいよ」
紬「あら、そう?」
夏奈「はぁー…紅茶が体に染み渡るよ」
唯「あずにゃんは詩人だね~」
澪(梓…)
律「あっそうだ、詩といえば…」
律「澪、おまえ歌詞書いてきたのか?」
澪「あぁ、ちゃんと書いてきたぞ」
律「そうか…あんまり期待できないけど」
澪「おい」
夏奈「歌詞?澪さん歌詞書くの?」
唯「澪ちゃんはうちのバンドの作詞家だからね」
澪「よ、よせよ…恥ずかしいじゃないか」
律「ていうか梓知らなかったのかよ」
夏奈「へ~、見せて見せて」
澪「あ、あぁ…いいぞ。ほら」
夏奈「どれどれ…」
澪(今回は良い出来だからな…梓も気に入るはずだ)
澪「どうだ梓?」
夏奈「………ぷっ」
夏奈「あっははは!澪さん何これ!」
澪「え?」
夏奈「これ何のギャグですか~!面白すぎるって!」
澪「あ、あの…梓?」
夏奈「こ、こんな詞…さすがの内田でも…ククッ…書かないって…」
夏奈「あっははははは!ダメだ!面白すぎてお腹が痛い!!」
澪「……」
律「お、おい…梓」
夏奈「ははははっ…ハァハァ…えっ…え?」
澪「……グズッ」
夏奈「え?え??」
澪「うぅ…ヒッグ…」ポロポロ
夏奈「あの…ちょいと…」
澪「うっ…うわ~ん!!」
夏奈「!」
夏奈(この人…泣くような人だったの!?)
澪「うわ~ん!!」
律「あちゃ~…」
唯「み、澪ちゃん…」
紬「えっと…えっと~…」オロオロ
律「梓…さすがにやりすぎだって」
夏奈「えぇ~?だって面白かったから…」
夏奈「そういうのを狙った歌詞じゃないの?」
律「あんなんでも一応まじめに書いてんだよ」
澪「うぇ~んっ!!」
夏奈「あ……な、なんだよぉ」
夏奈「高校生なんだからそんな泣かなくても…」
唯「澪ちゃんのハートはガラスのように割れやすいんだよ」
夏奈「えぇ~…」
澪「ふぇ~んっ!!」
紬「えっと~…そのぉ…」
律「ほら、謝っておけって」
夏奈「しょ、しょうがないなぁ…」
夏奈(澪さん相手じゃ張り合いないし…謝っておこう)
夏奈「あ…ごめん澪さん。てっきり私を笑わせてくれたのかと思って…」
澪「うぅ…グズッ…」
夏奈「ごめん、ごめんよぉ…」
律「澪、梓も謝ってるんだし許してやれよ。先輩だろ」
澪「ヒッグ…ごめん…取り乱して…」
澪「グズッ…許すよ…梓」
律「はい、じゃあこの件はこれでおしまい!」
夏奈「はぁー…よかった。一時はどうなるかと思ったよ」
夏奈「ムギちゃんお茶おかわりー」
紬「は~い」
澪「うぅ…自信作だったのに…」
律「ま、しょうがねえって」
唯「私は良いと思うよ?」
紬「あっ、そうか!」
紬「澪ちゃんは泣き虫さんか!」
夏奈「そのツッコミずっと考えてたんだ」
澪「はぁ…」
律「次がんばれよ、な?」
夏奈「……」
夏奈(しかしこれはまずいな…高校生になってもこれじゃ澪はさんの将来が不安だ)
夏奈(よし、私がなんとかしてやろう)
夏奈(一応後輩だし)
夏奈「……」
夏奈(でも思い付かないからお茶でも飲んでよう)ゴクゴク
唯「そういえばもうすぐ学祭ライブだね~」
律「あぁ、良いライブにしような」
澪「そうと決まれば練習だ。お茶を飲み終わったらすぐやるぞ」
紬「そうね~、そろそろやりましょうか」
夏奈(……あれ?練習するの?)
律「そういえば梓のリコーダーはどうしよう」
澪「リコーダーでライブなんてやるわけないだろ」
澪「もちろんギターに戻るよな、梓?」
夏奈「えっと~…」
唯「あずにゃん?」
夏奈「…そういえば、昔こういう物語があって」
澪「え?」
夏奈「あるタヌキが人間と仲良くなりたくて、人間の姿に化けてある少女に近づいたんだ」
唯「ふんふん」
夏奈「最初はうまくいってたちまち仲良くなったんだけど…」
夏奈「そのタヌキはしっぽが残ってたんだね」
唯「えぇ~!?」
夏奈「少女はそれをしっぽだと気付かず引っ張り回す」
夏奈「この場合悪いのはどっちなんだろうねぇ」
紬「そうね~、騙してたタヌキが悪いんじゃないかしら?」
唯「えぇ~?タヌキさんは悪くないよ~」
唯「女の子が引っ張り回さなきゃいいんだよぉ」
夏奈「そうか、吉野は自分が悪いと分かってるのか」
唯「?」
澪「おい、今はそんな話じゃないだろ?」
律「そうだそうだ、今は…」
律「あれ?なんの話してるんだっけ?」
夏奈「確か…」
唯「確か?」
夏奈「澪さんが彼氏欲しいって話をしていて…」
澪「えぇっ!?」
律「なんだ、そうだったのか」
澪「違うよ!してないよそんな話!!」
紬「澪ちゃんったら…///」
澪「ムギ!お前まで!?」
夏奈「よし、ここは女子高生らしくガールズトークでもしよう」
唯「私澪ちゃんの話聞きたーい!」
澪「ちょ、ちょっと…」
夏奈「さぁどうぞ!さぁさぁ!」
澪「えっ…えぇ…///」
澪「いや、私は…」
夏奈「私は!?」ズイッ
澪「えっと…今はそのぅ…」
夏奈「今は!?」
澪「け…」
唯「け?」
澪「軽音がカレシみたいなものだし」
夏奈「……」
唯「おぉ~」パチパチ
夏奈「納得できるかーっ!!」
澪「ひっ!?」ビクッ
澪「だ…だめ?」
夏奈「当たり前だ!私は人間のカレシの話をしろって言ったんだぞ!!」
夏奈「軽音がカレシってなんだ!?ふざけてるのかっ!!」
澪「む、無理だよ~!カレシなんていないし…」
夏奈「なにっ!カレシいないの!?」
澪「いないよ…いるわけないだろ…」
夏奈「美人なのに?美人なのにいないの!?」
澪「っ///」
夏奈「別に私はほめてないぞー!」
澪「ひっ…」
夏奈「だいたい澪さん、カレシがいないのに作詞なんてできるの?」
澪「えっ…」
律「盛り上がってるな~梓のやつ」
紬「まぁまぁ、そういう年頃だから」
夏奈「はぁ…作詞というものが全く分かってないね」
律「まるで分かってるかのようだな」
夏奈「この際はっきり言おう、ろくな恋愛もしたことがない人間がラブソングなんて作れると思ってるのかっ!」
澪「!」
唯「おぉっ!?」
紬「確かに…梓ちゃんの言うことにも一理あるわ」
夏奈「どうだ!反論はあるか!」
澪「うぅ…」
澪「でも…どうすれば…」
夏奈「どうするってそりゃあ…経験を積むしかないでしょ」
澪「け、経験…?」
夏奈「恋愛の」
澪「ムリムリムリー!!」
夏奈「だめだ澪ちゃん!やるんだ!やるしかないんだ!!」
澪「聞こえない聞こえない聞こえなーい!」
夏奈「うおっ!?」
律「澪は昔から引っ込み思案だからなー、こりゃ無理だろ」
夏奈「難儀な性格だねぇ」
夏奈「マキちゃんでも連れてくればよかったよ」
澪「あーあーあー」
唯「澪ちゃんしっかり!」
澪「ふふっ…そうだ。私のカレシは軽音なんだ」
澪「もうそれでいいじゃないか。誰も悲しまないじゃないか」
澪「みんな幸せになれる…」
律「おーい澪ー。戻ってこーい」
夏奈「まぁ澪ちゃんはほっといてムギちゃんお茶おかわり」
紬「は~い」
唯「澪ちゃん、大丈夫かな~」
夏奈「心配するな吉野。きっかけさえあれば澪ちゃんも恋愛できるようになるさ」ゴクゴク
唯「きっかけ?」
夏奈「例えば……おかしな事とか」
紬「!」
律「いやそれはいきなりだろ!?」
唯「おかしな事ってなに?」
夏奈「お、おかしな事はおかしな事だ」
唯「え~分かんないよ~」
夏奈「高校生だろ!察しなさいよ!」
唯「ぶ~…あずにゃんのイジワル」
夏奈「イジワルじゃない」
キーンコーンカーンコーン
唯「あっ、下校のチャイムだ」
澪「はっ!私はいったい…」
律「ようやく目が覚めたか、澪」
紬「もう帰りましょうね~」
夏奈「りっちゃーん、今日りっちゃんの家に泊まっていい?」
律「おっ、いいぞー!大歓迎だ」
澪「……」
夏奈「そうだ、澪ちゃんも泊まろうよ」
澪「えっ」
夏奈「いいよねりっちゃん?」
律「いいぞ、大歓迎だ」
夏奈「大歓迎だ!」
澪「えぇ~…」
最終更新:2010年08月28日 21:07