律「王子様と結婚するとか言ってた癖に結局澪もあれなんだな」

澪「……悪かったな」

律「悪いよ。こんな事なら私だって……」

澪「私本当はさ、律の事が好きだったんだ」

律「えっ……」

澪「でも踏ん切りがついたんだ梓のおかげで」

律「……」ブルブル

澪「律?」

律「うわあああぁん!!」ダー

澪「何だあいつ……祝福してくれると思ったのに」


…数日後

律「はぁ……頭いてぇ……スキーはしゃぎすぎたか」

律「暇だ……澪なら見舞い来るかな?いや梓とデートかも知れん」

……

律「くしゅっ……ぐぅ~……きっつー」

聡「姉ちゃん~お客さん来てるよ」

律「なっ何ぃーっ!?」

和「ども~」

律「何だ……和かよ……」

和「あらあらご挨拶ね。シュークリームいらないの?」

律「いる。いります」

和「いや土下座までしなくてもあげるわよ」

律「天使かあんた」

和「やっすい天使ね」

和「具合悪そうね。風邪でも引いたの?」

律「見りゃわかんだろ」

和「これは看病フラグってやつね。燃えてきたわ」

律「いやもう帰っていいよ。移しちゃ悪いし」

和「何よ!私のシュークリームだけが目当てだったのね!?」

律「まあぶっちゃけそうなるな」

和「ひどい!鬼!悪魔!メット!」

律「最後のが何気に一番傷ついたぞ」

和「とにかく風邪を引いたんなら身体を温めなきゃダメよ」

律「帰らないのかよ」

和「ほらふとん入って」

律「お節介だな……まるで澪みたいだ」

和「私も唯に世話焼いてきたからね」

律「こりゃダメな男に引っかかるタイプだ」

和「そう?じゃあやっぱり女である律と付き合いたいわ」

律「何でそうなる」

和「いいじゃない。私が変な男に引っかかってもいいって言うの?」

律「その詰め将棋みたいな返し方はやめろ。頭痛いんだ」

和「あら大変。私身体を温めるいい方法を知ってるんだけど」

律「一応聞いてやる」

和「簡単よ。二人で抱き合って温めるの、裸で」

律「一人でやってろ」

和「そう?それじゃ遠慮なく」

律「ちょっどうして服を脱いでる!?正気か!?」

和「律の為なら何だって出来るわ」

律「誰も頼んでねえ!」ベシッ

和「ぐすっ……親にも叩かれた事ないのに」

律「ウソはやめろ。ウソ泣きもやめろ」

和「何で応えてくれないの私の気持ちに」

律「あ~……分かったよ。付き合うよお前と」

和「えっ?ええっ!?ホント?ちょっと録音させてもらっていい!?」

律「ウソじゃねぇよ……そこまで必死にならなくても」

和「やった!嬉しい!末永くお願いしますあなた!」

律「結婚するとは言ってねえ」

和「風邪で弱ってる所だから押して正解だったわね!」

律「その台詞は心の中にとどめておけよ」


…駅前

梓「澪せんぱ~い!」

澪「あっ、梓~!」

梓「待たせちゃいましたか?」

澪「ううん、ぼ~っとしてるの好きだから別に」

梓「そうなんですか?」

澪「そうだよ。歌詞の事とか梓の事とか考えてた」

梓「わ、私の事!?えっそんな……どんな!?」

澪「梓がタイヤキからパカッと登場するんだ」

梓「サザエさん?」

梓「あの澪先輩……腕を組んでもいいですか?」

澪「そっかもう恋人同士だったな。いいぞ」

梓「ゆ、夢みたいです」ギュッ

澪「大げさな……」

梓「ずっとこのままでいたい」

澪「そ、そうか?」

梓「澪先輩のストラップ的なものとして生きていきたい」

澪「こんなかわいいストラップなら歓迎するぞ」

梓「はぅっ」ドキッ

梓「かわいいって言った!澪先輩が私をかわいいって!」

澪「かわいいよ梓」

梓「はうぅっ!」ドキドキッ

澪(本当にかわいい……)ドキドキ

梓「澪先輩もき、きき綺麗です!」

澪「ありがとう」ニコ

梓「ぐはぁ!」

澪「だ、大丈夫か梓」

梓「やばい幸せすぎて死ぬ!死ぬぅ!」バタバタ

澪「あ、梓……流石に恥ずかしいから……」

……

律「……ん……寝てしまったのか……ってまだいたのか和」

和「髪下ろした律は新鮮で飽きないわ」

律「うるせー……もう遅いぞ早く帰ったらどうだ?」

和「安心して。泊まってってあげるわ」

律「断る。私の貞操が危ない」

和「いいじゃない恋人同士だもの」

律「やる気満々かよあぶねえ」

和「随分ね……もしかしてまだ澪に未練があるのかしら?」

律「……ねぇよ、ねぇ。とっとと帰れ」

和「ふぅ……分かったわ。今日の所は引き揚げましょう」

律「ああまたな」

和「またね律」

律「ああ」

和「……またね」クルッ

律「ああ……」

和「……またね」クルッ

律「うん……」

和「……またね」クルッ

律「……」

和「……またね」クルッ

律「帰れ」

……

梓「今日はすみません澪先輩……私ばっかりはしゃいでしまって」

澪「何言ってるんだ。私も楽しかったぞ梓」

梓「でも……」

澪「梓、ちょっと目を閉じて」

梓「え?はい」

澪「……」チュッ

梓「ひゃっ!えっあのっこれって……」

澪「お、お別れのキスだっ!じゃあまた後で電話するから!」タタッ

梓「ハ、ハイ……」ポー

そしてなんやかんやあった冬休みも終了し新学期が始まった。

憂「ねえお姉ちゃんのマフラーちょっといい?」

唯「ん~?どうするの?」

憂「こうやって私のマフラーとねじれさせて……完成!」

唯「中尾彬だね!」

憂「中尾彬だよお姉ちゃん!」

唯「おいおい、こんな事してたら遅刻するじゃないか」

憂「お姉ちゃんの物真似かわいい!」

唯「なんだよそりゃ似てないって事かい?」

憂「かわいいよお姉ちゃん!」

……

澪「和おはよう」

和「おはよう……機嫌よさそうね澪」

澪「分かる?ふふっ梓がかわいくってさ~」

和「へぇ~、良かったじゃない」

澪「うん。この間も私にクッキー焼いたりしてくれてね」

和「それは意外ね。クールな子かと思ってたけど」

澪「そうなの!結構情熱的なんだ梓って!」

和「ほうほう。まあうまくいってそうで何よりね」

和「所で言ってなかったんだけど、私も律と付き合い始めたから」

澪「……はい?」

和「これで澪と変な感じになったら嫌だなって思ってたんだけど、どうやら大丈夫そうね」

澪「じょ冗談だろ?だって律は女の子には……」

和「それは澪の思い込みよ。私達は愛し合ってるわ」

澪「は、ははは……そう、そうなんだ」

和「澪は祝福してくれないのかしら私達の事?」

澪「すっするよもちろん!うん!おめでとう和!」

和「ありがとう澪。嬉しいわ」

……

律「おい~す」

唯「おはようりっちゃん、今日も元気だねぇ」

律「何だそれ?」

唯「俺の物真似が分からないって言うのかい?えぇ?」

律「分からない」

紬「私もあいにく……」

唯「どうせそう言うと思ったよ……全くどいつもこいつも鈍い連中だねぇ」

律「でも何かかわいいな」

紬「ええすっごく」


……昼休み

和「律~♪」

律「うわっ和!」

唯「あっ和ちゃんだ~」

和「愛妻弁当よ!」

唯「ほほう~、うまそうだねぇ」

和「ん?中尾彬ね」

唯「そうだよ!やっぱり和ちゃんだよ~!」

律「中尾彬だったのか……」

和「律、澪に私達が付き合ってる事言ったからね」

律「えっええっ!?」

唯「そうなの!?二人付き合ってるの!?」

律「なっ何で澪に言うんだよ!関係ないだろ!」

和「関係なくはないわよ。友達だもの」

律「んな事言ったってさぁ~……気まずくなるの嫌だなって」

和「大丈夫よ澪も祝福してくれたわ私達の事」

律「そ、そう……そうなのか……」

唯「あう~……もしかして私だけ付き合ってる人いない……」


…音楽室

さわ子「おおムギちゃん似合うわ王子様コス!」

紬「うふふそうですか?」

さわ子「ええ!グリフィスっぽい!」

紬「グリフィス?」

さわ子「まあその人、厳密には王子様じゃないんだけど」

紬「今度教えてくださいね、さわちゃん」

さわ子「うん。食べさせてグリフィス様~」

紬「うふふ、あ~んして」


…放課後

唯「あずにゃんかわいい」ガバッ

梓「やめてください唯先輩マジで」

唯「ええ~、そんな冷たい事言わないでよぉ~!」

律「しょうがないよ唯。もう梓は澪と付き合ってるんだし」

澪「みんな待ったか?」ガチャ

梓「澪先輩っ!」ヒシッ

澪「ふふっ梓、びっくりするだろ」

唯「うう……孤独……孤独じゃあ~!」

紬「どっちにしても私得」

さわ子「唯ちゃんにはさ~、憂ちゃんがいるじゃない」

唯「え~、憂は妹だよぉ~」

紬「そんなの関係ない」

唯「ムギちゃんは心広いからそう言うんだろうけど」

律「いや多分それ違うぞ」

梓「澪先輩、私膝枕して欲しい膝枕」

澪「はいはい……梓は甘えん坊だなあ」

律「ちょっと部内でいやらしい行為はやめてくれます?」

紬「まあまあまあ」

澪「律、私は今来たばかりなんだゆっくりさせてくれ」

律「へえ~、いっつも練習練習言ってた人が変われば変わるもんですねぇ~」

梓「律先輩妬いてるんですか?」ゴロゴロ

唯「うう……澪ちゃんの膝枕……あずにゃん羨ましいよう」

さわ子「唯ちゃん暇なら私とコスプレごっこする?」

律「別に。部内の風紀が乱れるのを部長としてほっとけないだけだよ」

澪「ひ、久々におもしろいギャグだな律……」プクク

紬「りっちゃんおもしろい!」

澪「律、大体お前だって和と付き合ってるんだろ?聞いたぞ」

律「うっ……それがどうした」

唯「コスプレ?やるやる!」

梓「へえ~!そうだったんですか律先輩!おめでとうございます!」

さわ子「何か要望ある?」

澪「全く女の子同士が変だとか言ってたやつがね」

律「だ、だって澪が……」

唯「中尾彬!」

澪「私?私は関係ないだろ」

さわ子「却下」

唯「ええ~!ぶぅ~ぶぅ~!」

律「ああそうだよ!澪なんかより和の方がずっといいからな!へへっ!」

澪「そうだよね……和なら律の面倒見てやれるよね……」

律「あ、あれっ?」

梓「澪先輩を悪く言うなんて最低のデコギンチャクです」

律「聞いた事がない様な悪口言われた……」

唯「どうせあれだろ?
りっちゃんなんかデコって言っておけばいいって思ってんだろ?えぇ?」

さわ子「中尾彬ね」

紬「分かるんですか!」

……

和「律~!」

律「あれ和?どうしたの?」

和「生徒会終わったから急いで来たのよ。まだ帰ってなくて良かったわ」

律「そっか私らも今丁度終わった所だ。一緒に帰るか?」

和「ええ!」

澪「梓、私達も一緒に帰ろう」

梓「どこかゆっくり出来る所に寄って行きませんか?」

唯「……」

紬「唯ちゃん私で良かったら一緒に帰ろ?」

唯「ムギちゃあああああぁん!!」ガバッ

……

梓「あの澪先輩……」

澪「ん?何だ梓?」

梓「澪先輩はやっぱりまだ律先輩の事好きなんじゃ……」

澪「そ、そんな訳ないだろ。今の一番は梓だよ」

梓「……信じていいんですよね?」

澪「当たり前だろもう……」

梓「絶対?」

澪「ははっかわいいやつ」ナデナデ

梓「えへへっ」

梓「澪先輩はカッコいいから……私じゃ勿体無い位に」

澪「私なんて怖がりだし臆病だしあがり症だし……結構カッコ悪いよ」

梓「でも不安なんですいつも」

澪「私だって梓が唯に取られないかって心配してるんだぞ」

梓「ま、まさか!あれは唯先輩が無理矢理……」

澪「あ~ずさっ!」ガバッ

梓「はうぅっ!」

澪「へへ~、唯の真似だ」

梓「……」カー

澪「あっごめんどっか痛くしたか?」スッ

梓「はっ離しちゃ嫌です」ギュッ

澪「……」

梓「澪先輩……」

澪「離さないよ……私の梓だから」

梓「嬉しい……」

澪「ああ私も」

梓「具体的に言うとタイヤキ30個分の嬉しさ……」

澪「ふふっじゃあ私は50個分……」

……

律「なんだかんだ言って和っていいやつだよなぁ」

和「あら褒めてくれてるの?ありがとう」

律「いやホントに私なんかのどこがいいんだか」

和「全部よ全部」

律「それって適当すぎるだろ」

和「澪を忘れるまで時間がかかるかも知れないけどね」

律「あはは、面目ないな~」

和「ふふっ気にしないで。私は我慢強いし気長に待つわ」

律「心配する必要なんてないよ和」

和「そう?」

律「澪は澪で……きっともう梓の方が大事だよ」

和「そうかしらね」

律「そうだよ。私なんか梓に比べたらメットだし」

和「根に持つのね結構」

律「だから私は澪の邪魔はしちゃ……いけない……」ポロポロ

和「……律って無神経そうで、変にそういう所が繊細よね」

律「わ、悪かった……なぁ」グスグス

和「ううんそこが好きよ……律」

律「ううぅっ!……和ああああっ!!」

和「よしよし」

律「うえええええぇん!!」

……

唯「いえ~ただいま~!うい~!」ガチャ

憂「お姉ちゃんおかえり!ご飯にする?お風呂にする?それとも」

唯「憂!」ガバッ

憂「えっええ~!?」

唯「やっぱり私には憂が一番だよぉ~!」

憂「や、やだお姉ちゃんったら……私もだよ」ポッ

これにて全員カップル成立!おめでとう!


おわり



最終更新:2011年06月05日 20:00