唯「そうだ! 今日みんなで澪ちゃんの家寄っていこうよ」

律「え? なんで?」

唯「なんでって、りっちゃんは澪ちゃんのこと心配じゃないの?」

律「そりゃ心配だけど…」

紬「今はそっとしてあげた方がいいんじゃないかしら」

和「そうよ唯、誰だって一人になりたい時があるのよ」

唯「え~、みんなちょっと冷たいよぉ」ブーブー


律(いや、そもそもお前のせいなんだけどな)


唯「じゃあいいよ、私一人で行くから」

律(なにっ!?)

紬(このままだと唯ちゃんと澪ちゃんが2人きりに……)

和(想像したくもないわ……)


唯「みんな冷たいよ」プンプン

律(このやろぉ……)

律(どうするムギ?)チラッ

紬(できればそっとしておいてあげたかったけど…仕方ないわ)チラッ

律(そうだな…)

律「唯、やっぱり私たちも行くよ」

唯「え?」

律「ほら、やっぱり私たちも澪のこと心配だからさ」

唯「そっか~そうだよねぇ。その方が澪ちゃんもきっと喜ぶよ」

紬「そうね、学校が終わったら4人で行きましょう」

和(え……? 私も行くの?)


放課後 澪の家の前

律「結局来ちゃったな……」

紬「ええ…」

唯「ほら、りっちゃん早く早く!」

和(私なんでここにいるんだろ……)


ピンポーン

律「…………」

紬「…………」

唯「…………」

和「…………」



唯「あれ~? いないのかな~?」


律(まぁ…当然だよな)

紬(でもホントにいなかったら…それはそれでちょっと心配だわ……)

和(よし! 帰ろ帰ろ!)


律「しょうがないな、帰ろう」

唯「む~~~」

律「唯?」


ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


律「おい、バカ! やめろって!」

唯「だって~」




一方 澪の部屋


澪「…………」


ピンポーン


澪「…………」


ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


澪「…………」スタスタ

澪「…………」チラッ

澪(みんな……)

澪「あっ――!」




澪(しまった――!)


唯「あっ!」

律「どうしたんだよ?」

唯「今澪ちゃんいたよ! 二階の窓のとこ!」

律「見間違いじゃないか…」

紬「そうね…私も見えなかったわ……」

和「そうね、いるはずないわ。私もたまたまずっと二階の窓見てたけど何も――」

唯「絶対いたって! 目が合ったもん!」


律(まずいな……)

紬(まずいわ……)

和(帰りたい…)



唯「おーーーい!!! みーおーちゃーん!」

律「バカ! やめろって!」

紬「唯ちゃん、近所迷惑よ!」

唯「だって~絶対いたもん!」

和「唯、澪にももしかしたら出て来たくない事情が――」

唯「みーおーちゃーーーん!!!」




律(おいおい…マジで勘弁してくれ)

紬(どうしたら……)

和(ダメね…こうなったらもう誰にも止められないわ)



一方 澪の部屋

おーーーい!!! みーおーちゃーん!


澪「…………」


みーおーちゃーーーん!!!


澪「…………」


もー! いるのはわかってるんだからー!


澪「……ううぅ…」


みーおーちゃーーーん!!!


澪「……グスッ」スタスタ

澪「…………」ガチャ


唯「あーー! 澪ちゃーん!」

澪「…………」

唯「ほらね~りっちゃん、私の言ったとおりでしょ!」

律「あ、あぁ……そうだな」

唯「えっへん!」



和(うわぁ……)


唯「もー! なんですぐ出てくれなかったの~?」

澪「……ごめん」

律「澪…その……ほら、みんな澪のこと心配になってさ」

紬「そうなの、でも迷惑だったらすぐにでも帰るわ」

和「そうよ、すぐにでも帰るわよ」


和(てゆうか帰りたい)


澪「……みんな…ありがと、あがって…」

律「い、いいのか…迷惑じゃない?」

澪「そんなことないよ……」

律「そうか……」


律(むしろ帰りたかったんだけど…)

紬(言い方が悪かったかしら…)

和(はぁ~……)


律「おい唯、言いだしっぺがそんなところで何してるんだよ」

唯「あっ、今行くよ~」


唯(あれ? この郵便受けに入ってるのって……)

唯「…………」ガサゴソ

唯(あっ! やっぱりこの封筒は第二志望の結果だ!)

唯(そっか~あそこは郵送だったっけ)

唯(え~と…結果はどうだったのかなぁ)ビリビリビリ

唯「!?」



一方 澪の部屋

律「あれ? 唯のやつ遅いな…」

紬「そうね…なにしてるのかしら…」


ドタドタドタ

唯「おまたせー!」

律「何してたんだよ?」

唯「ごめんごめん、それより大変だよぉ~」

律「なにがだよ?」

唯「ほら、これ!」ビシッ


澪「!?」

律「ちょ、おまっ――それって第二志望の」

紬「そういえばあそこは郵送だったわね」

和「てゆうか…開けたの? それ?」

唯「うん、だってポストにあったから」


律(人ん家の……だろ…)

紬(あら?…ちょっと待って……唯ちゃん今)

和(大変…って言ったわね)


澪「唯…返して……」

唯「え?」

澪「返して!!」

唯「か、返すよぅ。返すからそんなに怒鳴らないでよ。不合格だったけど」サッ

澪「え…………」ポロッ


シーン

唯「も~澪ちゃんってばちゃんと受け取ってよぉ、はいっ! これ不合格通知!」ビシッ

律「そ、そんなバカな! ちょっと見せてみろ!」ガッ

紬「私も!」


律(そんな…バカな……)

紬(うそ……)

和(これは……)


澪「そんな…律…うそだよな……」

律「…………」

紬「…………」

和「…………」


唯「も~うそじゃないよぉ! ちゃんと、ふ・ご・う・か・く! って書いてあったも~ん」

和「唯、ちょっと黙ってなさい!」

唯「ほえ?」


澪「り、律ぅ…なんとか言ってくれよ……」

律「じ…自分で確かめてくれ……」サッ

澪「…………」スッ


――残念ながら、不合格――


澪「…………」ポロッ



澪「……う…そだ……」

澪「うそだ……」ポロポロ


律「…………」

紬「…………」

和「…………」


律(ちょ……どうしたらいいんだ……)

紬(わかりません……)

和(こんなことって……あんまりだわ……)



唯「そういえばさぁ~澪ちゃんって滑り止めここしか受けてなかったよね?」

澪「…………」ポロポロ

唯「私はよく知らないんだけど、こんな風に大学全部滑っちゃったらどうなるのぉ?」

澪「…………」ポロポロ

唯「ねぇねぇ和ちゃ~ん、どうなるのぉ?」

和「そ、それは……」

澪「…………」ポロポロ


律(もうだれか連れて帰ってくれよこいつ…)

紬(唯ちゃん…お願いだから今は…)

和(唯…いい加減に……)


唯「あっ! もしかしてニートってやつ? 最近はやりの」

和「それは違――」

唯「うわ~澪ちゃんニートかぁ~」



澪「…………」ポロポロ

和「唯! 私たちはもう帰りましょう!」

唯「え? まだ澪ちゃんのお見舞いが終わってないよぅ。 澪ちゃん気分悪くない? ねぇ今どんな気――」

和「いいから帰るわよ!!」グイッ

唯「むぐっ――」


律「和!」

和「2人とも後のことは頼んだわよ! それじゃあね!」ダッ

唯「んん~~~~」


ガチャ バタン


律(和…恩にきるぞ……)

紬(よくやってくれました……)



紬「それじゃあ…りっちゃん、あとは…」

律「あぁ」

紬「お願いね。私も失礼するわ。またね。澪ちゃんも」


ガチャ バタン


律「澪……」

澪「…………」ポロポロ


澪「律ぅ…私…どうしよう……」ポロポロ

律「どうって…」

澪「お父さんやお母さんになんて言ったら……」ポロポロ

律「澪!」ガシッ



澪「律!?」

律「澪…なんて声掛けたらいいかわかんないけど……私はずっとそばにいるから!」

律「澪が浪人したくらいで距離置いたりなんかしないよ!」

律「ムギだって和だって……唯だってそうに決まってる!」

律「私たち友達だろ!」

律「だから、そんな顔するな!」

澪「律ぅ~」


律「いいか! 来年絶対合格して、一緒に大学行くんだからな!」

律「わかったな!」



澪「うん……ありがと」

律「よし! それじゃ今日はもう寝ろ!」



澪「はは…きのうと同じこと言われちゃったな」

律「いいってことよ! それじゃまた明日な! 学校、無理しなくてもいいけど私たちは待ってるからな!」

澪「うん」

律「じゃあな!」



ガチャ バタン

澪「律……ありがと」




後日 憂の教室

梓「それで、澪先輩は滑り止めにも引っかからなかったと」

憂「うん……」

梓「それで…浪人するの?」

憂「そうみたい…お姉ちゃんとおんなじとこ目指すんだって」

梓「へ~」

梓(ということは順当にいけば澪先輩とタメになるわけか……やれやれ)



未完



最終更新:2010年01月26日 02:39