律「よーし、今日は唯も入れて練習するぞー!」

澪「なんだかんだで四日ぶりか?」

唯「うん!私も久々にギー太アンプに繋いで弾きたいよぉ~」

梓「じゃあ早速練習しましょう!」

澪「んんん…な、なんか軽音部って感じだな!」

ガチャ

憂「おね~えちゃんっ♪」

唯「あ、うい」

憂「大変だよっ、家g」

梓「また嘘ついて唯先輩連れて帰るの?憂」

憂「え」

梓「やすきよ復活、空き巣未遂、昨日は火災誤探知……今日は何?ありえないよはっきり言って」

憂「……」

唯「ごめんねぇ憂、私も今日こそはギー太弾きたいから…今日は絶対練習する…」

憂「わかったよお姉ちゃん」

梓「唯先輩偉いです、見直しました」

唯「え~そう?wもーあずにゃんったらぁ~w」スッ

梓(また抱きつきですk)
憂「ほわった!」ダッ ドン!

唯梓「!?」

憂「あ、ごめんね!でも練習するんだよね!抱きついてる場合じゃないよお姉ちゃん!じゃあね~」

律「な、なんだ今の超絶反射神経は……」

澪「まるで抱きつくの分かってたみたいな感じだったな」

紬「唯ちゃんのこと好きすぎてなんでも分かっちゃうんじゃない?」

梓「な、なんか違うような……」

唯「それじゃあ練習しよー!」

律「おー!いきなり合わせちゃうぞぅ!ひぃ、ふー!」カッカッ


唯「たっだいまー!」

憂「お帰りお姉ちゃん」

唯「久しぶりに荒れ狂うギー太の舞って感じでスカっとしたよぉお」

憂「……部活楽しそうだね」

唯「楽しい!うへーはらへった」

憂「ご飯すぐ作るから待っててね」



……

キーンコーンカーンコーン…


梓「終わった!部活行こ!」ガタッ

憂「梓ちゃん嬉しそうだね」

梓「ん?うん、昨日の唯先輩はかなり気合入って練習してたからね。今日も期待できそうだよ」

憂「そうなんだ」

梓「あ、憂昨日はキツめな事言っちゃってごめんねー」

憂「……今日はお姉ちゃん連れて帰るよ」

梓「え。だめだよ練習があるんだから。昨日の一体感凄かったなー、
  お茶なんていいから早く演奏したいなー!」

憂「梓ちゃん」

梓「な、何?憂……だから唯先輩は帰れないって …!?」

憂「……」ゴゴゴ…

憂「……軽音部はお姉ちゃんを振り回しすぎだよ、お姉ちゃんはもっと私といるべきなんだ」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨


梓「こ、これって……!」

憂「ん?梓ちゃん…“見える”の?」

梓「う……憂ぃっ……いつの間にっ……」

憂「私達姉妹がずっと一緒にいられるように神様がくれた力なんだ。凄いでしょ?」

梓「……身勝手な解釈してっ…まるでこの前の私だ……!」

憂「お姉ちゃん連れて帰るから邪魔しないでね」

梓「だめだよ。唯先輩の意思を尊重してあげなよ!」

憂「お姉ちゃんの意思は私と一緒に居たいって」

梓「だめだ、力が手に入って欲望に歯止めが利かなくなってる……!」

憂「そういえば梓ちゃんのこと前からちょっとムカついてたんだよね」

梓「!!」

憂「お姉ちゃんにべたべたされてさ。それだけならまだしも
 『唯先輩はくっつきすぎてきてちょっと……』って何それ。何様なの」

憂「丁度いいや、梓ちゃんたたんじゃうよ」ギュンッ

梓「くそっ……もうこんなことに使わないって決めてたけどっ…!」ザワッ

憂「? 髪が……?梓ちゃんそれ」
梓「先手必勝だッ!!」ドギュル!

憂「!! な、何これっ……絡みついてっ……!」

梓「よ、よし!このまま静かにしててもら……」
憂「……『一度目』だッ!!!」

梓「は?」

―――

憂「『お姉ちゃん』連れて帰るから邪魔しないでね」

梓「だめだよ。唯先輩の意s」
憂「いいから」ドギャン!

ドゴムッ!


梓「えっ」

梓「ごは……!(はっ?何?何が……)」


梓「ぅぐ……」ドサリ


憂「じゃあね梓ちゃん。ゆっくりお休み。髪伸ばしても無駄だよ」

梓「……!?(わ、私の力のこと…知ってる!?え!?なん……)」

梓(な、何かヤバイっ!?良く分からないけどヤバイ感じがビンビンする!
  混乱するな私の頭、とにかく今はっ……!!)

梓「憂ぃいいーーーーっ!!!」ズバァッ!

憂「馬鹿な梓ちゃんだね」


憂「お姉ちゃん好き好き好き好き好き好き好き好き好きィイイイイアアヤァッダーバァアーッ!!!!」

ズドドドドドドドドドドドドゴッバァーーッ!!!!!

梓「うわあああああああああああああ」

ドッバァアアアアン!



           (リタイア)
――中野 梓  再 起 不 能 ――




……

唯「今日も練習がんばるぞー!さっそく音楽室に行こうよ~」

律「お、唯やる気ありまくりまくりすてぃだな(ププ、自信作のダジャレだぞw)」

唯「え、なんて?」

律「……」

唯「らくりま?え?まくりま?」

律「……」

紬「実は二人に凄いお知らせがあるの!」

唯「わぁっ!」

律「な、なんだムギいきなり!」

紬「すっごく唯ちゃんやる気出してるし、今日はスタジオを借りてみたのよ」

律「えっ、マジで!?」

唯「すごーい!」

紬「ふふ、うちの系列がやってるところだk」
律「あ、そういうのいいから」

紬「」

紬「……たまには環境を変えて練習してみるのも刺激になりそうでしょ?どうかな~」

律「いいよ、いい!そうしようぜぇ」

唯「じゃあ澪ちゃんにも言いにいかないとね!」

律「そうだな、澪の教室行くか。一階だったよな」



……

律「しっつれいしゃーす」

和「あら、律。唯も」

紬(私も居ますが)

唯「やほーのどかちゃん!澪ちゃんは?」キョロキョロ

和「? 澪ならもう部活行くって出てったわよ。唯がやる気出してるから楽しみだって急いで」

唯「あれ、そうなのかー」

律「入れ違いかぁ」

紬「じゃあとりあえず私達も……あら?」

ざわざわ

律「なんか廊下騒がしいな。どうしたんだ」

唯「1年生の教室の前、人だかりできてるよ」

「梓っ…梓ぁ…!ぅうっ……」


唯「あずにゃんの名前が聞こえたけど…」

律「い、行ってみよう!」ダッ



紬「……!これはっ……!!」


純「あずさぁああ~!何があったの…こんな……ひどいっ……!!」


唯「あず…にゃん……!?」

律「梓!!ひどい……まるでボロクズじゃないか…… …!!」

律「ま、まさかこれって」

紬「りっちゃんもそう思う……?」

律「だってこんなのさぁっ…!私達以外にもまだいるってのかよ……!」

唯「え、何?なにが?」

紬「梓ちゃんの力は唯ちゃんだって身をもって知っているでしょ?」

唯「そうだけど… あっ!!」

律「あぁ……梓の“力”に“勝てる奴”ってのは考えらんねーぜ……」

唯「わ……私達と同じ側の人、ってこと……?」

紬「そう考えて良さそうね……しかもかなり強力よ、これは」

律「……と、とりあえず梓を病院に運ぶのが先だろ!119番!!」

救急「どいてください!通ります!!」

唯「あ、もう誰か呼んでたみたい。当たり前か……」

紬「私達もついていきましょう!」

律「あぁ!!ちくしょう、一体誰が……!」

唯「あずにゃん……ぅうっ……」



……

澪「なんだよー、皆昨日のやる気はどうしたんだ?おっそいなぁ」

澪「……ムギも居ないからお茶して待つこともできないしいいぃ」

ガチャ

澪「! やっと来たか、もぉ遅い …って」

憂「あれ、澪さんだけですか?」キョロキョロ

澪「う 憂ちゃん?」

憂(お姉ちゃんや他の皆はどこだろう……クソッ……)ゴゴ…

澪(あれ……なんだ?この感覚は……)ピリピリ

憂(まぁでも丁度いいや、梓ちゃんだけじゃ物足りなかったんだ。澪さん締め上げて聞き出そう。ふふっ)

憂「澪さん、ちょっといいですか?おねえ… !?」

憂「あ、あれ?消えた!?」

澪「!?」

澪(えっ、私今消えてるのか!?)

憂「……」

憂「ど…どこですかーー、澪さん。いるんですか~?」

澪(こ、答えるか?……でも私の力が無意識に反応したということは……)

澪(嫌な予感だよ、これ。当たらなきゃいいけど……)

憂「……」


シーン……


憂「反応ないなぁ…… おねひゃ!」ズキュンッ

澪(!!!で、出たぁーっ!)

憂「……くそ、やっぱりだめだ。この状況じゃ力も使えないよ…戻れない……」

憂(澪さん私が入ってきた時は確かにいたよね……まさかこれは澪さんの何かの力?)

憂「最初はお姉ちゃんだけかと思ってたけど、梓ちゃんも“持ってた”わけだし…」ボソッ

澪(ん?今なんて)

憂「気になるけど仕方ない、お姉ちゃんは自分で探そう」ガチャ


バタム



澪(まさか憂ちゃんまで……矢じりは無くなったんじゃなかったのか?)

澪「はぁ、何がなんだか……」

ピリリリリッ

澪「あ」

澪「もしもし律?聞いてよ!今憂ちゃんが部室来たんだけど…… …え!?」


澪「梓が!!?」

澪「わ、わかったすぐ行くよ!」ピッ




……

澪「梓っ!」ガラッ

律「澪……」

澪「うっ!ひ、ひどい……まるでボロクズじゃないか……!」

唯(それもうりっちゃんが言ったよ)

唯「あずにゃん!あずにゃん!澪ちゃんが来てくれたよ!!」

紬「梓ちゃん!」

梓「……」

律「……だめか、まだ意識が……」


梓「…ぅ……」


律「!!」

澪「梓、私だ!気が付いたのか!?」


梓「……ぃ………」


紬「え?」

梓「…ぅう………ぃ……」

律「ぃ…なんだ?痛いって言いたいのか? おーい、先生ぇーっ!」

唯「うい」

律「えっ」

唯「あ、えっと……ういって言ったのかなぁなんて……」

澪「!!」

紬「そうかなぁ……」

澪「いや、唯の言ってる事当たってるかも。私さっき学校で…音楽室で憂ちゃんに会ったんだ」

律「え、なんで憂ちゃんが」

澪「分からないけど、多分唯に会いに来たんじゃないか?ここ最近ずっとそうだったし」

唯「何か用だったのかな。ちょっと電話してみよっかな」ゴソゴソ

澪「あ、待て!」

唯「えっ、なんで?」

澪「……今から話す事は落ち着いて聞いて欲しいんだけど」

澪「実は音楽室に憂ちゃんが来たときに……」



……

澪「……って感じでさ。小声だからはっきり聞き取ったわけじゃないけど、でも多分……」

紬「あ、梓ちゃんをこんなボロクズにしたのは憂ちゃんだっていうの?」

唯「嘘だっ!!そんなことないよッ!!!!」

律「……唯、気持ちは分かるけどな……」

澪「私の力が半自動で働いたんだ。少なくともあの憂ちゃんは敵意を持ってた」

唯「なんかの間違いだよ!澪ちゃんうい怒らせるようなこと言ったんじゃないの!?」

澪「いや、名前呼んだだけだってば」

唯「でも……!」

律「と、とりあえず落ち着けって。な」

紬「それにしても梓ちゃんをここまでにする憂ちゃんの力って一体どんな……」

律「澪、見たのはそのヒトガタだけか?」

澪「うん。唯や私のやつみたいなのだよ。ただ出しただけだからどういう事するのかは分からない」

紬「使えない、って言ったのよね」

澪「それもよくわからないけど……使えない状況ってのが何なのかよく分からないからな」

律「周りに誰もいないと目標が無いからなんにもしようがないって事じゃないか?デコーズだってそうだし」

澪「いや、明らかに何かするつもりで出してたよ。でも出来なかった」

紬「戻れない、っていうのがポイントなのかな。澪ちゃん自体に直接何かしようとしたわけじゃなさそうね」

律「唯どう思う?」

唯「……そ、そんな皆みたいに冷静にぶんせきなんかしてられないよ……
  ういがおかしくなっちゃったかもしれないのに……ぅう……」

律「憂ちゃんに何があったか聞きたいけど今のままじゃ絶対無理だ、梓の時の事忘れたのか?唯」

唯「忘れてないけど……う、ういなんだよ……」

紬「今日は皆うちに来る?唯ちゃん家に帰るのは危ないと思う」

唯「う、ういに会うなっていうの?」

澪「その方が賢明だと思うよ、私唯に何かあったら嫌だ……」

唯「澪ちゃん……わ、わかったよ今日はムギちゃんちに行く……」

紬「みんなも来ない?どうするか作戦立てましょう」


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最終更新:2010年01月26日 02:12