澪(律は幸せそうだから放っておくことにした。でも私たちにあまり構ってくれなくなった)

澪(問題はムギだ。痩せ衰えていく。ご飯が喉を通らないらしい)

澪(唯もやはりどこかおかしい。うわの空だ)

澪(私と梓は慣れてきたが、もうけいおん部はバラバラだった)


梓「限界ですよ…もう」

澪「わかってる、でも私たちだけではどうすることも…」


コンコン

和「失礼します…」



らへんの裏側



~~~誕生日10日前~~~

律(カチューシャ取ったらどんな反応してくるんだろ…)


コンコン

和「失礼します…」

澪「おっ和」

律「おっ、和じゃん」

和「唯は来てる?」

律「まだ来てないよ掃除当番だし」

和「そう…あのね、律、みんなに話そう?」


律「え…そ、そんな、まだって言ったじゃん」

和「考えるって言ったのよ。でももう限界」

律「限界って何だ!?私が嫌なのか?」

律「何か悪いとこがあったなら言ってくれよ!直すから!」

和「律が悪いわけじゃ…」

澪「なんの話だ?」

和「けいおん部のみなさんに、頼みがあるの。その前に言っておくけど、実は」

律「やっ…!待ってくれ…!」


和「カズは私なの」

律「あ…」

澪「えぇ!ほ、本当か!」

梓「!最初の私の推理合ってるじゃないですか!」

澪「ほらムギ、しっかりしろ!」

梓「カズくんは和さんです、男じゃなかったんです!」

紬「……むぎゅううううううううう」シュゥゥゥゥゥゥ

梓「おお…みるみる力が蓄えられていくです」

澪「それにしても律!私たちを騙してたな!やってくれたな」

律「…」

澪「律?」

律「…。はっは!騙されたな!澪!最初っから全部芝居だよん!」

律「まったく、ちょっとからかって反応見たかっただけなのに、尾行まですんだもんなー」

澪「し、知ってたのか!?」

律「バレバレだっつの。あー面白かった~」

澪「ぐぅ…」

梓「でも、和さんまでこんな遊びに付き合うとは、とても思えないんですけど…」

和「私だけじゃなくて、唯も知ってるわ」

和「唯は私と一緒に律を騙してると思ってて、律と私はすべてを知ってる。ややこしくてごめんね」

和「来週、唯の誕生日なの。ちょっと律にひと芝居してもらって、唯を謹慎処分にする」

和「その間に飾りつけやらなんやらして、サプライズパーティーってわけ」

梓「ずいぶん手が込んでますね…」

紬「謹慎…唯ちゃんが謹慎…はぁ…」フラッ

澪「ムギ、パン買ってきたぞ。先週から律に男いる間は食べないとか言ってただろ」

紬「いらないわ…唯ちゃんをけいおん部から締め出すなんて…サプライズのためとはいえ…」

紬「唯ちゃんが戻るまで食べない…」

澪「…」

梓「ちなみに、あのラブレターは誰が書いたんですか?律先輩ですか?」

律「いや違う…私が知ったのはラブレターもらった後日だから…もうどうでもいいよそれは…」

梓「じゃあ初めは普通に律先輩も悪戯されてたんじゃないですか…酷いですね」


梓「ラブレターは和さんが?」

和「いえ、唯よ」

梓「うわ…ちょっとショックです。けっこう酷いじゃないですか。こういう悪戯って」

梓「発案者は?言いだしたのどっちなんです?」

律「どっちでもいいじゃんそんなの…」

澪「律…?」

梓「いえ、ちゃんと追求するべきですよ」

和「…知りたい?」

和「私よ」


梓「…まぁそうですよね。唯先輩がこんなこと考えるわけないし」

梓「和さんが唯先輩を誘って、すぐに律先輩に種明かしをした。サプライズのためにそうしたんですよね」

梓「でもそうなると、ちょっと唯先輩が可哀そうじゃないですか?」

梓「和さんに無理矢理付き合わされたのに、律さんに怒られて、けいおん部謹慎処分ですよ?」

梓「サプライズとはいえ…まだ10日とかあるのに、さすがに可哀そうですよ」

澪「確かにな…」

紬「ええ…」

律「…いいじゃん…和がそうしろって言ってるんだから正しいんだよ…」


和「そろそろ唯がくるかもしれないから、よろしくね。律」

律「へーへー、やりますよー」

澪「律…?さっきから何かおかしいぞ…どうしたんだよ」

律「和がわざわざ、唯の誕生日のために、やろうって言ってることなんだからさ」

律(私のしたいことは、してくれないのに)

律「頼まれてもいないことを進んでする、和の幼馴染に捧げるイベントなんだからさ」

律(私が頼んでも、平気で断るのに)


スッ

梓「モップなんか持ってどうするんですか…?」

律「みんなでやろうよ!唯のためにさっ!」

ガシャーン!

ドカッ

バサッ

紬「きゃあ!りっちゃん!?」

澪「何してるんだ!」


律「何怒ってんだよぅ~唯に迫真の演技を見せるための下準備だって♪」

ガシャーン

梓「ちょ…やめ…」

律「アハハッ、こういうのって、一回やってみたかったんだよな~!」

ドカッ 

律「澪もやれよ!気持いいぞぉ~?」

バタン

澪「やめろっ!やめろって!」


ガラッ

さわ子「ちょっと、何やってるの!?」

ポイッ

律「何でもなぁ~い♪」

さわ子「何でもないわけないでしょ…これが」

律「けいおん部による、唯バースデーパーティーの下準備ですわん♪」

さわ子「あなたたち一体…」

澪「すみません先生、もう大丈夫ですから」

澪「律も謝れ!」

律「あっ、さわちゃん、校内放送で唯を呼んでよ」


梓「律先輩怖いです…」

紬「あの、唯ちゃんに知らせるの、今日はやめた方が…」

律「なんで?秘密がバレて怒ってる臨場感出すためにこうしたんじゃん」

さわ子「…ちゃんと片づけておきなさいよ。外の生徒たちには私から上手いこと言っておくから」

さわ子「唯ちゃんは呼ぶの?」

澪「や、やめ…」

律「呼んで」

さわ子「りっちゃん、私あなたのこと信じてるからね」


唯「し、失礼します…。えっ、なにこれ、ぐしゃぐしゃ…」

さわ子「来たわよ。じゃあ私は戻るけど、りっちゃん、落ち着いてね。乱闘騒ぎにでもなったら停学よ」

唯「りっちゃん…?」

律「……唯は知ってたのか…?」

律(いいな。和と秘密を共有できて。和から誘ってもらえて)

唯「な、なにが?」

律(さっきまで私にも、私と和だけの秘密があった)

律「惚けるなよ!!!!!!」バン

律(でもそれは、唯と和の秘密を守るためのものでしかなかった!)

律「カズくんは、和なんだよなぁ?」

律(私には面倒そうな顔しかしないのに唯には…)

唯「!言っちゃったの!?あ、や…」

律(やっぱり私と違って唯は幼馴染だからなのか)

律「もういいよ隠さなくて。唯はずっと知ってたんだろ?」

律(私にはどんなに頑張っても近づけない距離なんだ…)

律「面白かった?なぁ唯?そんなことして面白かった?満足した?」

律(なんで唯なんだよ…)

唯「違うよ…私…」

律「何が違うんだよ!!!」バン

律(なんでその場所にいるのが私じゃないんだよ!!)

唯「うぅ」ポロポロ

律「これだけは唯から聞きたかった。正直に言ってくれ。私の目を見て」

律(唯、震えてるな。怖いんだろ?私が。許してほしいだろ?嘘ついてでも)

律「これをやろうって言い出したのは、唯と和、どっちなんだ?」

律(和だって言ってくれ、唯)

唯「…」

律(和を幻滅させてくれ)


唯「………わたし…」


~~~~~~~~

澪「律、なんだよさっきの」

律「何って?予定通りじゃん」

澪「やりすぎだろ!唯泣いてたぞ!」

紬「唯ちゃん…」

梓「これ…本当に元通りになるんですか…何か取り返しのつかないことになってるような…」

澪「本当にこれが予定通りなのか?こんなことしたかったのか?和」

和「迫真の演技だったわね、律」


律「……そうだな」

澪「ふざけるなよ!何がサプライズだ!お前たち唯に何か恨みがあるとしか」

紬「やめて!もうこれ以上友達が喧嘩するの見たくないの!」

紬「あっ…」ふらっ

梓「ちょ、しっかりして下さいムギ先輩!」

澪「…全部終わったら、ちゃんと話聞かせてもらうからな、律」

律「…」





次の日

教室

唯「あ、ムギちゃんりっちゃん、おはよう…」

紬「う、うん…」

律「…」

唯「あの、りっちゃん。私、ちゃんと謝らないと…」

律「ムギ、トイレ行こうぜ」

紬「うん…」


唯「うぅ」



らへんの裏側


~~唯追放の翌日から誕生日まで~~

律(終わった後に…澪になんて話せばいいんだろ…)

律(そもそも私はどうしたいんだよ。和ともっとデートして、それで、どうなりたいんだ?)

紬「りっちゃん…おはよう…」

律「…おーっす、ムギ」

唯「あ、ムギちゃんりっちゃん、おはよう…」

紬「う、うん…」

律「…」

律(唯、元気ないな…当たり前か。目が腫れてるぞ)

唯「あの、りっちゃん。私、ちゃんと謝らないと…」

律(…悪いのは私なのに。手が震えるほど怯えてる癖にそれかよ)

律「ムギ、トイレ行こうぜ」

紬「うん…」

律(今はまだ唯の顔まともに見れそうにないよ…)

憂「お願い…私、何でもするから…」

梓「わかった。とりあえず放課後一人で部室に来て?」


~~~~~~


憂「律さん!お姉ちゃんを、許してあげて下さい」

憂「私、何でもしますから!」

律「許すも何も…怒ってないよ…唯の誕生日には戻すしな」

梓「サプライズのために、来ないでもらってるの。和さんのアイデアで」

憂「えぇ!?」

澪「ごめんな…憂ちゃん」

……

憂「何ですかそれ!そんなことのためにお姉ちゃんにあんな酷いこと…」

紬「そう思うのが自然だわ…」

憂「お姉ちゃんの誕生日パーティーにそんなサプライズなんて要りません!」

憂「私、お姉ちゃんに本当のこと言います!」

梓「待って憂!ここにくるとき、約束したでしょ。なんでもするって」

梓「唯先輩には言わないで、それが約束して欲しいことだよ」


憂「…梓ちゃんはお姉ちゃんの味方だと思ってたのに…」

梓「味方だよ、だから今戻すの良くないって言ってるの」

澪「それでいいんだろ?律。お前唯を変に意識してるもんな」

澪「ごめんな憂ちゃん、今は律がなんかおかしくてさ。今戻しても、前みたいにはいかないと思うんだ」

澪「だから少し我慢してほしい」

紬「辛いよね…私も辛い…」ゲッソリ

梓「わかってくれるよね?憂」

憂「……お姉ちゃん…」


唯「憂、どうだった!?」

憂「ごめんね…お姉ちゃん」

憂「少し時間が経つのを待とう?絶対に元通りになるから…時が経てば…」


~~~~

紬「みなさんこれを」

『けいおん部主催、唯サプライズ誕生日パーティーのお知らせ』


クラスメイト1「へーっ!こんなことしてたんだ!」

クラスメイト2「だから、りっちゃん、最近唯とあんまり話してなかったんだ?」

律「うん、まぁな…」


クラスメイト3「そうだったんだ…良かった。ほんとに仲悪くなっちゃったのかと思って心配したよ」

クラスメイト4「唯最近、ほんと元気なかったもんね…見てて辛くて、あんまり話しかけられなかった…」

クラスメイト4「あ、でもこれで私たちも唯に、当日まで隠し事しなきゃいけないのか!」

クラスメイト5「私隠し事苦手だから、あんまり話さないようにしよう…ごめんね、唯」

律(唯ってけっこう、みんなから好かれてるんだな…)


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最終更新:2010年01月26日 01:58