唯「しょうがないからお子様の律っちゃんに付き合ってあげよう」

律「おい唯」

唯「ん?」

律「ポップコーン、Lサイズ」

唯「う……覚えていたか」


シアター

唯「わくわく」

律「楽しみにしてるんじゃん」ボリボリ

唯「楽しんだもの勝ちだよ。あ、暗くなったそろそろだね」

律「唯、あーん」

唯「えぇ、恥ずかしいよこんなとこで」

律「あーん」

唯「うぅ……」アーン

律「へへっ、チューの仕返しだ」



上映後

唯「ねぇねぇ律っちゃん、私は誰か訊いて」

律「だれだきさまはー」ボウヨミー

唯「唯!平沢唯!憂の姉だ!」

律「私よりハマってるし……」

律(楽しそうだしいいか)

律「もう結構な時間だな」

唯「お腹空いたー」

律「またか。何か食べに行くか?」

唯「お、律っちゃんとデートだね!」

律「そ、そんなんじゃねーし!」

唯「憂にメールしておくからちょっと待ってねー」ピコピコ

律「私も着信ありだ」


『キマシタワー』


律「きてねぇよ」




唯「どしたの?」

律「なんでもない。何か食べたい物あるか?」

唯「パフェ」

律「主食になる物にしなさい」

唯「お母さんのケチ」

律「まぁこの子ったら!すっかり反抗期なんだから!」

唯「パフェも無い家なんか出て行ってやるぜー!」

律「あぁ!待ちなさい唯!」

唯「俺はビッグになるんだー!」



カップル(可哀相に……クリスマスのプレッシャーにやられたか)



……

唯「う~どこもかしこもカップルだらけだよ」

律「時期が時期だからな」

唯「がるるる」

律「威嚇するなよ」

唯「律っちゃんは奴らの存在を許すと言うのか!」

律「…………唯には今、私がいるだろ?」

唯「律っちゃん……」

律「ほ、ほら!行くぞ!」

唯「なんだかドキッとした~もう一回言って」

律「やだよ」

唯「律っちゃんキュンキュンする~」

律「あーうるさいうるさい!」



……

律「さみー」

唯「♪」

律(喜んじゃって……ま、悪い気はしないけど)

律「なんか温まる物食べようぜ」

唯「カレー!」

律「色気無いなぁ」

唯「お鍋!」

律「もっと大人数でやろうぜ」

唯「うーん……パスタ!」

律「良いな、駅前に新しい店出来たらしいし」

唯「けってーい!」

律「しゅっぱーつ」

唯「えへへ、寒いから手繋ごう」

律「甘えん坊だな」ギュ

唯「へへへ」




パスタレストラン『キテマスワ』


唯「イタリア語だー」

律「なーんか怪しい」

唯「とにかく入ろう」

イラッシャイマセー!

唯「何にしようかなー」

律「私はガッツリ系だな」

唯「そんなんじゃモテないんだー」

律「大盛りの値段調べてる奴が何を言う」

唯「あう」


店員「ご注文はお決まりですか?」

唯「和風イタリアンスパニッシュフレンチイカ墨パスタ大盛りで」

律「なんだそりゃ」

律「私は……クリームカルボナーラミートソーススープパスタ大盛りで」

唯「変なの」


店員「かしこまりました、少々お待ち下さい」

唯「律っちゃ~ん」

律「ん」

唯「呼んでみただけー」

律「来るまでヒマだからって遊ぶなよ」

唯「パスタまだー」



唯「もう動けない……」


店員「お待たせしました」

唯「うわーい!」

律(か、可愛い)

唯「いただきまーす!」

律「いただきます!」

パクパクモグモグチュルチュル

唯「美味しい!」

律「変わった味だけどいけるな」

唯「律っちゃんのも美味しそうだね……」

律「半分こしてやるからヨダレ拭けよ」フキフキ

唯「う~ありがと」


律「唯は本当にほっとけない奴だなぁ」

唯「むー」

律「怒るなよ、出来の悪い子ほど可愛いって言うだろ」ケラケラ

唯「律っちゃんの子じゃないもん」

律「憂ちゃんの子だもんな」

唯「そうだよ」

律「ははは」

唯「……」パクパク

律「……」モグモグ

唯「ごちそう……」

律「さまでした」

唯「……あれ?憂は妹だよ?」

律「今更!?」



駅前

ウジャウジャ

唯「うわ……カップルがゴミのようだ」

律「何気に酷いなお前」

唯「にしても人が多いね」

律「あぁ、なんかデカいイルミネーションがあるんだと」

唯「へー」ウズウズ

律「見たいかね唯隊員」

唯「はっ!しかしこちらの戦力は……」

律「そう、わずかに二人。対してカップルは数えきれん……帰れぬ戦いになるぞ!」

唯「覚悟は出来ております!」

律「うむ、良い返事だ!では……」

唯「突撃ー!」

唯「ハァハァ……人多い!」タタタ

律「ははっ、こんな中走って迷惑だろうな」タタタ

唯「だね!」

律「おらー遅れるな唯隊員!」

唯「うん!」

律(卒業したら……こんなバカやる事も無くなるのかな)

唯「あう!」ドタッ

律「唯!」ガシッ

律「あぶねーあぶねー、やっぱり走っちゃダメだな。怪我無いか?」

唯「えへへ……律っちゃんイケメン」

律「ほめてねーよ、それ」

唯「あ……あれ」

律「ん……おぉ」




イルミネーションツリー

唯「綺麗……」

律「これは……人が集まるのもわかるな」

唯「……」

律(見とれてる)

唯「……」

律(黙ってりゃ女の子って感じなのにな)

唯「……」

律(人のこと言えないか)

唯「律っちゃん」

律「ひゃ、ひゃい!?」

律(噛んだ死のう)

唯「来年も……」

律「ん?」

唯「ううん……なんでもない」

律「なんだよ気になるな」

唯「うーん……わざわざ言うことでも無かった」

律「んだよー、言えよ」

唯「来年も再来年もそれからもずっと、友達でいようね……って」

律「なんだそんなことか」

唯「うん」

律「確かに言うまでも無いなー」

唯「……」ギュ


律「ゆ、唯!?」

唯「ちょっとだけ」

律「お、おぉ……」



律(温かいなこいつ)

律(普通のカップルなら流れでチューしちゃうんだろな)

律(あぁ……なぜ私は女同士で抱き合ってるのか)

律(神よ……)

唯「律っちゃん……」ギュウ

律(それが嫌じゃない私を誰かぶん殴ってくれ)


唯「…………」

律(やれやれ、お前もその気になれば幾らでも相手なんかいるだろうに)

唯「……」

律(ま、もうちょっと一緒にいような)

唯「…………………zzz」



律「よーし、まずはお前から殴る」



唯「痛~い!」

律「信じられねぇ!私が男ならそのままジャーマンスープレックスだぞ!?」

唯「だって律っちゃんが気持ち良かったんだもん」

ザワザワ

律「うおぉ!逃げるぞ唯!」

唯「え?なんでなんで?」


住宅街

律「ハァハァ……疲れた」

唯「もうダメ……なんだか眠いよリツラッシュ」

律「寝たら死ぬぞー」

唯「うぅ寒い」

律「汗かいたからな、風がキツい」

唯「凍る~」ガタガタ

律「……」


律「ほれ、私のコート着ろ」

唯「り、律の兄貴……ありがてぇ……」

律「まーた大事な場面で風邪ひかれたら困るからな」

唯「もうそんなヘマしないもん!」

律「どうだか。じゃ、私こっちだから……コートは学校ででも帰してくれ。んじゃなー」

唯「うん、ありがとう」
唯「……律っちゃん!」

律「んあ?」

唯「今日はすっごい楽しかったよ!ありがとう!大好き!」

律「あぁ、私もだ」グッ

唯「おやすみ」

律「おやすみ」

唯「えへへ……律っちゃんのコート……ぬくい」




翌日!

唯「はい律っちゃん、コートありがとね!」

律「おぉ、貸す前より綺麗になってる」

唯「憂が一晩でやってくれました!」

律「だと思った」

澪「なんかあの二人……」

和「妙に仲良いわね」

紬「うふふ、心の準備が出来たのかしら?」

律「!」

唯「あ、心の準備と言えば昨日律っちゃんがね」

律「止めろー!止めてくれー!」ビシビシ

唯「痛いよー!」

澪「喧嘩するほど仲が良い……か」





おわり



最終更新:2010年01月14日 04:55