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バキバキバキ…ガラガラガラ

盗賊魔術師「いてー…ちくしょう!あいつら絶対に許さねぇぞ!」

氷の塊の下から這い出してきた盗賊魔術師に男が手をさしのべる

無精髭「お頭大丈夫ですか?」

盗賊魔術師「ああ、クソっ!胸糞悪い!…おい!俺たちもあいつらを追うぞ!」

無精髭「は、はい、わかりやした!」

カツカツカツ…

盗賊魔術師「ん?誰だ!?」

闇の中から一人の女が姿を現す

盗賊魔術師「てめぇは…」

リーダー「あらあら、こりゃあ派手にやったわねぇ~」

盗賊魔術師「けっ、リーダーさんが何か用ですかい?」

リーダー「ええ、ちょっと片付けをね…」

無精髭「いやいや、片付けは俺らでしときますんで気に…」

ザシュ!

無精髭「ごふっ…!な、なんで……」バタッ

無精髭の男は突然胸から血を吹いてそのまま倒れた

リーダー「ふふ、残念だけどその片付けじゃないの…」

リーダーの突然の凶行に青ざめた顔のまま盗賊魔術師が叫ぶ

盗賊魔術師「な、なにしやがる!あんた俺達の仲間じゃねえのか!?」

リーダー「ま、詳しい事は言えないけどあなたも片付けないといけないのよ~」ジリ

リーダーは顔に笑みを浮かべたままゆっくりと近づいてくる

盗賊魔術師「な、なんなんだよ、あんた!」ガタガタ

リーダー「ふふ、残念だけどおしゃべりしてる暇はないの♪」

リーダー腕で空間を横になぐ

ヒュッ!

ブシッ!

盗賊魔術師「なっ…!」

空を切り裂く音と同時に盗賊魔術師の脚から鮮血が噴き出した

盗賊魔術師「ぐっ…てめぇ、今なにしやがった!」ポタポタ

盗賊魔術師の血が足下の地面を赤く染めていく

リーダー「さあ?何かしらねぇ」ニコ

盗賊魔術師「くそぉぉぉ!舐めやがってぇぇぇ!」バッ!

盗賊魔術師が突き出した掌が輝きを帯びる

盗賊魔術師「これでもくらえ!」

ポワァ…

ヒュンヒュンヒュン!

リーダー「ふぅん、無属性魔法ねぇ…」

盗賊魔術師の掌に生まれた光弾がリーダーに向かって一直線に向かっていく

タンッ…タンッ…

リーダーは素早い動きで全ての光弾を躱した

ダァンダァン!!

幾つもの光弾が着弾し大きな音をたて、砂煙を巻き上げる

リーダー「こんな物でどうにかなると思ってるのぉ?」シュタ!

盗賊魔術師「おらぁ!余裕ぶっこいてんじゃねぇぇぇ!」ボウ!

着弾の砂煙に紛れて左側から姿を現した盗賊魔術師が巨大な火球を放つ

ゴォォォォ!

盗賊魔術師「へっ!これなら避けきれねぇだろ!」

リーダー「あらあら…」

タッ!

タッタッタ!

盗賊魔術師「なっ!天井を走ってやがる…」

スタッ

ドゴォン!

リーダー「中々やるわねぇ…」

盗賊魔術師「へっ!そりゃどうも!」

盗賊魔術師(くそっ、強すぎる…どうすりゃいいんだ)

リーダー「さて、残念だけどもう終わりにしましょ」

リーダーが両腕を頭上に持ち上げる

盗賊魔術師(またあの攻撃がくる…ここは一か八か…!)

盗賊魔術師「まだ終わりじゃねぇぞ!」

バッ!

盗賊魔術師は懐から小さな袋を取り出し空中に放った

盗賊魔術師「弾けろ!!」

パンッ!

パラパラ…

リーダー「これは、粉?……はっ!」

盗賊魔術師「もう遅いぜ!吹っ飛べ!」

バチッ!

カッ!…ドガァァァァァン!

ブワァァァ!……パラパラ

リーダー「くっ…!」

爆発が収まりリーダーが周囲を確認するが、盗賊魔術師の姿はそこにはなかった

リーダー「……」

カツ…

リーダー「遅かったじゃないの」

ネイク「すいませんね…」

リーダー「どうせ、ずっと見てたんでしょぉ?」

ネイク「俺の出る幕じゃなさそうだったんで」

リーダー「はぁ…逃げられちゃったわぁ」

リーダーは地面に残るおそらくは盗賊魔術師のものであろう血痕を見つめながら言う

血痕は点々と続き一つの横穴へと向かっている

ネイク「追いましょうか?」

リーダー「いいわ、どうせ死んでしまうでしょうから」

ネイク「……それにしても派手にぶち壊しましたね」

辺りには瓦礫が散らばり、爆発により通路の壁までもが破壊されている

リーダー「まさか最後にあんな事してくるなんて思ってなかったわぁ」

ネイク「その割には無傷だな」

リーダー「ま、ね、私も伊達にリーダーやってるんじゃないわぁ」

ネイク「ここ、どうします?」

リーダー「あとで考えるわぁ…なんだか疲ちゃったし」

ネイク「そうですね…」


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紬「はっ…はっ…」ゼェゼェ

紬が息を荒くして立っているその周りには、紬によって倒された盗賊達が身を横たえている

しかし、倒しても倒しても盗賊達は次から次へと現れてくる

盗賊H「くそっ!こいつしぶといな!」

シュッ

ブシッ!

紬「うっ!」

盗賊の投げたナイフが紬の腕を切り裂く

紬「はっ…はっ…」

ポワァ…シュゥゥ…

紬が自らの腕に手をかざすと傷が光を帯び、みるみるふさがっていく

つまるところ紬が回復呪文を使える事を知った盗賊達は周囲を囲み、ナイフによる遠距離攻撃で紬の攻撃範囲外から徐々に体力を削る作戦をとったのだった

盗賊I「ちっ!まだ呪文が使えるのか!」

盗賊J「まあ、そろそろこいつのスタミナも限界のハズだ、一気に決めれば回復も追いつかねぇぜ」

紬「はぁ!」ブンッ!

盗賊I「へっ、どうした動きにキレがなくなってるぜ」サッ

ダァン!

紬がハンマーで攻撃を仕掛けるが難なく避けられてしまう

盗賊J「これでどうだ!」

シュッ

ドス

紬「ぐっ…!」

紬の腿にナイフが突き刺さる

紬「あぁぁぁ!」

紬が自分の腿に刺さったナイフを引き抜く

ブシッ!

ポワァ…シュゥゥ

紬「はぁ…はぁ…」ガクッ

紬(だめ…もうこれ以上は…)

盗賊K「とどめだぁぁぁ!」ヒュン!

膝をついた紬に盗賊がナイフを振り下ろした
目を閉じ、うつむいている紬に刃がせまる

紬(ごめんなさい…梓ちゃん、みんな…)ギュッ

ガキィィィン!

紬「えっ…」

盗賊K「なっ!てめぇ…!」

唯「ムギちゃん大丈夫!?」

紬に振り下ろされるはずのナイフは唯の盾でがっちりと受け止められている

紬「ゆ、唯ちゃん!どうして!」

唯「やっぱりムギちゃん一人をおいてくなんてできないよ!」

紬「でも唯ちゃん一人じゃ…!」

タタッ!

梓「私たちもいますよ!」

律「ムギ、またせてごめんな!」

紬「み、みんな…」グスッ

梓「ムギ先輩、立てますか?」

紬「ええ、大丈夫…」ヨロヨロ

梓「あっ、無理しないで下さい!」ガシッ

紬「ごめんなさい…私…」

梓「ムギ先輩は休んで下さい、後は私達でどうにかします」

律「唯、梓!ムギを囲んで戦うぞ!」

ザザッ!

律の指示で紬を中心に陣形をとる

律「よし!いくぞ!」

梓「はい!」

唯「みんなで戦えば怖くないよ!」

盗賊K「ちっ、またぞろぞろと集まりやがって…」

盗賊L「構わねぇから全員殺っちまおうぜ!」

律「へっ、どっからでもかかってこいよ!」

盗賊達は一行を囲む輪を徐々に狭めていきお互いに睨み合う

ジリジリ…


「「そこまでだ!」」

突然、何者かの声が響き全員が動きを止めた

律「な、何だ!?」

盗賊K「誰だ!」

声の主はすぐに姿を現した

スタッ!

ロッグ「はっはっは、俺だよ!俺!」キラーン!

梓「ロッグさん!」

律「梓、知ってるのか?」

梓「この前ここに案内してくれた人です、ほら、私が尾行した…」

律「ああ!あの時の!」

ロッグ「アズサちゃん久しぶり~」ニコッ

梓「あ、どうも…」ペコリ

盗賊M「ちっ、てめぇが一体なんの用だ!お前らには関係ないはずだぞ!」

ロッグ「それが関係あるんだよね、具体的には君達の敵として」

盗賊L「な!どういうことだ!」

ロッグ「だから俺は君達を始末しにきたんだよね」

盗賊K「う、裏切るのか!?」

ロッグ「裏切る?人聞きが悪いなぁ、裏切り者は俺らじゃなくて君達」

盗賊J「なにを馬鹿なことw……」

シュタッ

ロッグ「お喋りは終わりだぜ?」

ザクッ

盗賊J「ぐふっ…!」ドサ

盗賊K「な!?いつの間に…」

盗賊L「くそっ!構わねぇからあいつも殺っちまえ!」

盗賊s「「おう!」」

シュシュシュ!

ロッグ「当たらないね~」サッサッ

盗賊達が一斉にナイフを投げつけるが、ロッグは素早く身をかわす

律「すげぇ、全部躱してる…」

ロッグ「ナイフ投げっていうのはこうやるんだ…ぜ!」

シュシュ!

盗賊K「ぐわっ…!」

盗賊J「ぐっ…」

ドサッドサッ

梓「凄い…どっちも喉に一撃…」

ロッグ「さてさて…さっさと残りも片付けちゃうか」


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最終更新:2011年03月17日 03:09