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ロッグ「リーダーやり過ぎですよ……」

梓「」プシュー

リーダー「やっぱり初物はいいわねぇ」テカテカ

ネイク「何を言ってるんだあんたは」

ロッグ「はぁ、さっさと本題に入りましょうよ……」

リーダー「アズサちゃんも十分堪能できたし、そうねぇ、そろそろ本題に入ってもいいかしら?」

梓「」ブツブツブツブツ

梓は焦点の合わない目でうわ言を呟いている

ネイク「おい、ロッグ」

ロッグ「へいへい、わかってますよ」

ロッグは床に座り込んでいる梓の肩に手をかけた

梓「モウオヨメニイケナイモウオヨメニイケナイ……」ブツブツ

ロッグ「おい、しっかりしろ!」ガクガク

梓「……はっ、私は一体?」

ロッグ「よし、気が付いたな、まずはこれで顔をふけ」

ロッグは湿った手拭いを差し出した

梓「……はい」ゴシゴシ


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リーダー「それじゃあアズサちゃんのギルド入りの話だけど……ってなんか距離が遠くないかしら?」

梓「いえ、あの、お気になさらずに……」ビクビク

ロッグ「あーあリーダーが虐めたから怖がっちゃって」ニヤニヤ

リーダー「あらぁ、虐めてなんかないわよ?」ゴゴゴゴゴゴゴ

ロッグ「ハイスイマセンデシタ……」

ネイク「ああめんどくせぇ、リーダー、遊んでないで早くしてください」

リーダー「あらごめんなさい……はい、アズサちゃんにこれをあげるわぁ」

梓はリーダーから一枚のコインを受け取った

梓「これは……?」

リーダー「身分証みたいな物よぉ、ギルドメンバーの証、なくしちゃダメよ」

梓「あ、ありがとうございます!」

ロッグ「さあ、これでアズサちゃんも我々の仲間だ、好きな所に行くといい、俺たちの案内もここまでだ」

ネイク「ああ、ただしこのギルド内の立ち入り禁止区域には入らないほうがいいぞ」

梓「はぁ、まあ入りませんけど……」

ネイク「この地下施設は広すぎて俺たちも全部把握できてないからな、迷ったら死ぬよ」

ロッグ「去年の大掃除には結構な量の白骨死体が見つかったっけな」

梓「うわぁ……」

ロッグ「ま、そういう事だから気をつけなよ」

梓「はい!あの、お世話になりました」ペコリ

ロッグ「いいっていいって、こっちも助かるし」

リーダー「」ピクッ

梓「?それじゃあ、私はそろそろ……」

リーダー「ふふ、いつでも遊びにきて良いわよぉ」ニコリ

梓「あはは……それじゃ……」ソソクサ

梓はリーダー達のいる部屋を後にした


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梓がさってしばらく後のこと

ネイク「おいロッグ、お前なあ……」

ロッグ「いや、ごめんごめん、つい口が滑っちゃってさ」テヘ☆

ネイク「やめろ、気色悪い」

リーダー「はあ、まったく……勘弁して欲しいわぁ」

ロッグ「まあばれなかったからいいじゃないですか、ねえ、リーダー?」

リーダー「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

ロッグ「うわっ、すんませんいやマジでごめんなさい!」

リーダー「はぁ……まあいいわぁ、どうせ私が出るんだから」

ロッグ「おー、リーダー話がわかる!」

傷のある男「……バカめ」ボソッ

ロッグ「あ、てめー今なんつった?!」

傷のある男「……」

ロッグ「おい!無視すんなよ!」

ギャーギャー

ネイク「うるせえ」


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梓「……」ニヤニヤ

テクテクテク

梓はギルド内の通路を歩いている

梓(やった~!まさかここまで上手く行くなんて!自分の有能さが怖い)ニヤニヤ

テクテクテク

通路に灯された明かりが薄暗がりでうごめく人々の姿を梓の目に映す
ある者は杯を交わし、またある者は雑談に興じている

人々の喧騒と匂いでギルド内は満たされていた

梓「さてと……」

梓(まずは情報収集かな、怪しまれないように慎重に行こう)

梓は大広間へと足を向けた


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律「だーー!もう待ってらんねー!梓の奴なにやってんだよ!」ジタバタ

澪「律、少し落ち着け」

律「落ち着いてられるかよ!もう外も暗くなってきてるって言うのに!」

紬「確かにそろそろ戻ってこなきゃおかしいわね」

律「はっ、まさか盗賊団に捕まってしまったんじゃ!?」

唯「えっ!?そんな……あずにゃん……」ズーン

澪「おい!冗談になってないぞ」

律「あ、ごめんごめん……」

紬「もう少し待っていてみましょう?」

律「そうだな、梓のことだし、大丈夫だよな……」

会話はそれで終わり、全員特にすることもなくなって部屋は重苦しい沈黙で包まれた

ドア「ガチャ」

静まり返った室内にドアの開く音が響く

律「梓か!?」ガバッ

唯「あずにゃん!?」

律と唯が声をあげる

わさこ「みんなただいまー!」バーン!

シーン……

律「なんださわちゃんか……」ガッカリ

唯「はぁ……」ガッカリ

さわこ「えっ?なんなのこの空気は?私、悪いことした!?」


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さわこ「なるほど、そういうことだったの……」

律「うん、だからさっきは梓が帰ってきたのかと思ってさ」

唯「あ~あずにゃん心配だよ~」

さわこ「ふふ、そんなに心配しないで大人しく待ってる方が良いと思うわよ?」

律「そんな事言われてもなぁ……」

さわこ「でも、仲間を信頼することも大事なことよ?梓ちゃんが任せて欲しいって言ったんだからきっと大丈夫よ、ね?」

唯「おーさわちゃん良い事言うねぇ」

澪(珍しく先生らしい事を言ってる……)

さわこ「ねえ!そんなことよりお土産買ってきたのよ、皆で頂きましょ!」

澪(やっぱり……)

律「え!なになに?なに買ってきたんだ!?」

澪(切り替え早!!)

さわこ「じゃーん!これよ!」

さわこはテーブルの上に大きな葉で包まれた包みを置いた

律「なんだこれ?」

唯「なんか良い匂いがするよ!」スンスン

さわこ「この辺でよく食べられてる木の実とお米で作ったお餅なんだって、美味しいわよ?」

唯「なにそれ!美味しそう!」ワクワク

律「よーし、ムギ!お茶の用意だ!」ビシッ

紬「わかったわ、りっちゃん!」フンス!

唯「ねえねえ!開けてもいい?」

さわこ「いいわよ、幾つか種類があるから喧嘩しないで決めなさいよ?」

唯「喧嘩なんてしないよ、子供じゃないし!」プンプン

唯はそう言いながら包みをほどいていく

ガサガサ

ほどき終わると中からは食欲を誘う匂いと共にまだ暖かいお餅が姿を現した

唯「お~、美味しそう!」

律「あたしこれにしよっ!」

唯「あ、ずるいよりっちゃん!私もそれがいい~!」

ワイワイキャッキャ

澪(はぁ……)

律「みーおー!澪はどれにするんだ?」

澪「え?あ、私はほら、夕ご飯の後だし……」

律「いらないのか~?だったら全部食べちゃうけど?」

澪「いらないって言うか…その……」ソワソワ

律「美味しそうだな~、ほら、これなんて特に……」

澪「……」ソワソワ

律「う~ん香ばしい匂いがまた…澪、早くしないと……」

澪「や、やっぱり私も食べる!!」

紬「澪ちゃん、ちょっときて欲しいんだけど…」

澪「え?ああ、うん」

澪は紬に呼ばれて備え付けの小さな暖炉の前まで移動した

紬「お湯を沸かそうと思ったんだけど、上手く火がつけられなくて…悪いんだけど、魔法でお願いできないかしら?」

澪「あ、うんいいよ、やってみる」

澪は目を閉じて手に持った杖に意識を集中させ始めた

澪「……」

紬「あ、澪ちゃん弱めでいいの!」

澪「うん…わかってる」

シュゥゥゥゥン…

杖の柄頭の宝石が微かに光る

澪「…!」ヒュッ

ボォ!

澪が杖を振ると暖炉の薪が燃え上がった

紬「澪ちゃん凄~い!」

澪「ふぅ」

パチパチ…メラメラ…

暖炉の火は消える様子もなく勢いよく燃え続けている

紬「これでお茶が淹れられるわ♪」

律「へぇー、便利なもんだなー」

唯「すごいね!澪ちゃん魔法使いみたい!」

澪は杖を収め、唯に向かって呟いた

澪「いや、みたいじゃなくてそうなんだけど」ボソッ

さわこ「それじゃみんなで頂きましょ、澪ちゃんも琴吹さんも座って」


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唯「うーん、美味しいね」モッチャモッチャ

律「うめー!」モッチャモッチャ

澪「唯、律、食べながらしゃべるなよ」

唯「あ、ごめーん」モッチャモッチャ

律「あ、ごめーん」モッチャモッチャ

澪「……」

澪「…先生はこれどうやって知ったんですか?」

さわこ「新聞社の上司が教えてくれたのよ、なかなかイケメンだったわ」

律「イケメンとかはどうでもいいけどさ、さわちゃんは新聞社で一体なにをやってるんだよ?」

唯「あーそれ気になる!」

紬「確かに気になります!最近朝早くでかけてますよね!?」フンス!

紬がなぜかさわこにつめよる

さわこ「そ、そうねぇ…具体的にはなにもしてないわ~」

律「なにもしてないんかい!」

さわこ「本当は危険地帯にいって取材するのが仕事らしいんだけどね」

澪「え、なにそれ怖い」

さわこ「まあ、今は準備期間っていうのかしら、本来は出勤しなくても良いみたいだけど一日中ここにいても暇だしね」

さわこが喋り終え一息つくと、紬が暖炉からポットを持ってきた

紬「お茶がはいりました~♪」シャランラ

律「いつの間に!?」

澪「あ、ありがと」

唯「ムギちゃんありがとー」

紬「熱いから気をつけてね」

全員につぎ終わると紬も椅子に座りお茶に口をつける

唯「あったまる~」

律「ムギのいれるお茶はどこでも美味しいな!」

紬「ありがとう、りっちゃん♪」

澪「……あちっ」ズズッ

さわこ「ふぅ…あ、そういえば私旅に出るわ、明日から」

唯「ふーん」

律「そうなんだ」

紬「えーと……」

澪「え?」

唯律「え?」

律唯「「えーー!!!」」

さわこ「なによ、大げさね」

律「いや驚くに決まってるだろ!!」

唯「ひ、一人で行くの!?」

さわこ「まあ一人で行くわよ、あなた達はまだここにいるんでしょう?」

唯「そうだけど……さわちゃんも私たちと一緒に行けばいいじゃん!」

さわこ「私も唯ちゃん達と一緒にいたいけど無理なのよ」

唯「なんで!?さわちゃんは私たちが嫌いなの!?」

さわこ「ふふ、そうじゃないわよ、旅って言ったけど本当は仕事で行かなきゃならないの」

紬「新聞社のですか?」

さわこ「そうよ、なんか本社で研修を受けなきゃならないんですって」

澪「その本社ってどこにあるんですか?」

さわこ「この国の首都だって、ここからだと結構遠いし予定は遅らせられないの」

唯「そっか……」

律「ここでいったん別行動か…」

さわこ「でもちゃんと元の世界に戻る方法も探してくるわ、もちろん憂ちゃんと和ちゃんの行方もね」

唯「本当!?」

さわこ「ふふ、本当よ、連絡は冒険者ギルドに手紙を預けておくわ」

澪「あ、私達のクランは…」

さわこ「放課後ティータイム、でしょ?」


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カツカツカツ

外はすっかり夜になり月が空の頂点にさしかかる頃、宿の階段を小さな足音が登ってきた

梓「はぁ~、すっかり遅くなっちゃった、先輩達きっと心配してるだろうな…」

ドア「ギィ……」

梓は静かな廊下を通り、ドアを開けた

梓「ただいま帰りました~…」

声をひそめて呼びかけてみるが返事はない

居間にも人気はなく、暖炉に熾火が小さく赤く灯っているだけである

梓「あれ?…こっちかな?」

梓はベッドのおいてある部屋を覗き込んだ

梓「……」

唯「う~ん…もう食べれにゃい…」ムニャムニャ

律「みーおー…うふふ……」スリスリ

澪「……」スゥ…スゥ…

梓(寝 て る)

梓「はぁ」

ストン

梓は居間に戻り、椅子に荷物を置いて服を着替えはじめた

梓「……」カチャカチャ

ガタッ

梓「…!」クルリ

紬「梓ちゃん…」

梓「ムギ先輩!」

梓が物音に振りかえるとそこにはネグリジェ姿の紬がいた

紬「ずいぶん遅くまで頑張ってたのね」

梓「はい結構手間取っちゃって…」

紬「ごめんね、みんな寝ちゃってて」

梓「あ、いいんです、時間も遅いですし…ムギ先輩こそなんでこんな時間に?」

紬「梓ちゃんを待ってたの」ニコ

梓「べ、別に私のことなんて気にしなないでも…」///

紬「ふふ、でも空いてるでしょ、お腹?」

紬はさわこの買ってきたお餅を広げて見せる

冷たくなってはいるがその香ばしい香りを梓の敏感な嗅覚がとらえた

梓「」ゴクリ…

グゥ~……

梓「あっ」///

紬「ね、遠慮しないで?ほら座って、今お茶を淹れるから」

梓「あ、はい」


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