唯「あずにゃん遅いねー」バフンッ

唯はそう言うと同時に仰向けにベットへと倒れる

律「そうだなー、結構時間たった?」

唯達は梓と別れたあと直ぐに宿へと戻り梓の帰りを待っていた

澪「律、なんでそんなに他人事みたいな態度なんだよ!」

紬「まあまあ澪ちゃん、りっちゃんだって心配してるわ」

律「だけど、梓が任せて欲しいなんてなー」ガサガサ

律も唯と同様にベットに横になっている

澪「梓にも思うところがあったんだろ……」

律「それにしても凄く運が良かったよな、こうも簡単に手がかりがゲットできるなんて」

紬「そうね、まさか適当に入ったお店が当たるとはおもってなかったわ」

澪「あそこで昼食にしなかったら、こうはいかなかっただろうな」

唯「はっ!という事はこれはお店を選んだ私の手柄!?」フンス!

律「なんだそりゃ」ガサガサ

律はゆっくりと寝返りを打つと自分の鞄から小さな冊子を取り出し、読みはじめた

唯「ねえ、りっちゃんなに読んでるの?」

律「ああこれなー……」ガサガサ

澪「そうそう、私も気になってたんだ」

律「新聞だよ、新聞、さっき宿の入口で売ってたから買ってみたんだよ」

唯「ふ~ん、新聞って言う割には冊子みたいだね、ちゃんと綴じてあるし」

律「こっちで新聞って言ったらこんなもんらしいぞ」

紬「でもりっちゃん、何かいてあるかわかるの?」

律「うん、なんか読める、見た事もない字なんだけどなー」

澪「で、なにが書いてあるんだ?」

律「え~、説明すんのめんどくさいから自分で読めよ~」ポイッ

律は冊子を澪の所に放り投げた

バサッ

澪「投げなくたっていいだろ、まったく」ブツブツ

澪は床に落ちた冊子を拾い上げ、目を通す

澪「本当に読めるな、なんか不思議な感じだ」

紬「澪ちゃん、私にも読ませて」

紬が後ろから澪の肩に顎を乗せ、冊子を覗き込む

澪「ああ、うん、いいけどさ……ムギ、顔近い」

紬「そうかしら?」フンフン!

澪(ムギのほっぺが、ぷにぷにしてる……)///

澪は思わず紬から目をそらし、新聞へと視線を向けた

澪「へ、へぇ、けっこういろんな事書いてあるんだな」

紬「そうね、遠くの国の事も書いてあるなんて凄いわ」

澪(うわぁムギの息が首筋に……!)

紬「これってけっこうな情報源になるわね」

律「だろ?分野別に書いてあって読みやすいし」

澪「り、律にしては上出来だな」///

澪(息が~!)///

律「なんだよそれ」

唯「なんで新聞なんて買おうと思ったのー?」ゴロゴロ

律「ん~、さわちゃんが新聞社で働くって言うから買ってみただけ」

澪「ああ、そういえばそんな事言ってたな」


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一行が宿へと戻ってきてからかなりの時間が経過した

唯「あずにゃん遅いねー……」

澪「確かに少し心配だな」

一向に戻ってくる気配のない梓の事が流石に不安になったのか少し深刻そうな面持ちになって話す

紬「でも、詳しくないけど、尾行とかって時間がかかるものなんじゃないのかしら?」

律「まあ、梓も夜までにはって言ってたしな」

唯「でも心配だよ」

紬「梓ちゃんならきっと大丈夫よ、ね?」

唯「うん……」

澪「暗くなるまでに戻ってこなかったら探しに行こう」

律「そうだな、暗くなるまでに……」

ポツリ……ポツリ……

窓に小さな水滴がついた

澪「ん?」

唯「あ、雨、降ってきた」

パタパタパタパタ……ザァァァァァ

降りだしたと思ったのもつかの間に雨足は急速に勢いを増していく

律「うわ、突然だな」

紬「スコールみたいね」

唯「窓、閉めるね」

テクテクテク……ギィ、ガチャ

唯は少しだけ空いていた窓を閉め、そのまま外を見る

先ほどまで快晴だった空が灰色の雲に覆われて、道の所々に大きな水溜りができている

唯(凄い雨……あずにゃんどうしてるかな)


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男2「さてさて、どうしてくれちゃおうかな~、可愛いミシャのお嬢ちゃん?」

男はそういって梓の顎に手をかける

梓(こ、怖い!)ビクッ!

男1「おい、あんまりからかうな、本気で嫌がってるじゃないか」

男2「おっと、そりゃ悪かった」

ポツリ……ポツリ……

水滴が男の頬に落ちる

男2「あー雨か、めんどくせぇな」

男1「そこらの茶店にでも入ろう、お嬢ちゃんもそれでいいよな?」

梓「……」

男2「あーあ、こりゃあ相当怖がらせちゃったみたいだな」

男1「お前が悪ノリしたせいだろ!」

男2「悪かったって、まあ、行こうぜ?このままここにいたらずぶ濡れになっちまう」


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男達は梓を連れて人の少ない奥まった茶店に入った

外はすでに大雨になっており、先程男が行ったようにあのまま外にいたらずぶ濡れになっていただろう

男1「さてと、いきなり本題に入らせて貰うが、君、同業者だよね?」

梓「」ピクッ

男2「いやー、初々しい反応だねぇ、耳がバッチリ動いちゃってるよ」

梓「っ!」バッ!

梓は男2を睨みつけ、両手で頭の上の猫耳を押さえる

男2「いやいや、そんな警戒しないでよ、ほら、お嬢様先ほどの非礼はお詫び致します」

男2は大仰な身振りで謝罪の意を現した

男1「まあ、好きな物頼んでよ、俺らの奢りでいいからさ」

男2「店員さーん、この子にジュース持ってきてー!」


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梓「」チュー

梓は運ばれてきた果汁ジュースを葦のストローで飲んでいる

梓(うまい……)チュー

男1「さて、言うまでも無いと思うけど、俺達は盗賊だ、名前はまあ……俺がネイクでこいつがロッグとでもしておこうか」

ロッグ「よろしくー」

ネイク「で、結論から言おう、お嬢ちゃんは試験には見事合格だ」

梓「は?」

ネイク「試験受けてたんだよね?盗賊ギルドの」

梓「はぁ、まあ盗賊ギルドは探してましたけど……試験ってなんの事ですか?」

ネイク「えっ?」

梓「えっ?」

ロッグ「えっ?」

ロッグ「だから、盗賊ギルド加入のために行う、街中にいるギルドメンバーから盗賊ギルドの場所を探り出す試験のことだよ!」

梓「あの、まったくわからないです……」

ネイク「でも君、盗賊なんだよね?」

梓「はい、一応」

梓の答えにネイクとロッグはお互い顔を見合わせる

ロッグ「この場合どうすりゃ良いんだ?」

ネイク「まあ、いいんじゃねぇの?この子盗賊だし、ギルド探してたみたいだし」

梓「あの、試験ってなんなんですか?」

ネイク「ああ、えっと、この街の盗賊ギルドでは一人前になった証に自力でギルドの場所を探し出すんだ、それができて初めて盗賊として認められる」

ロッグ「そうそう、お嬢ちゃんみたいに尾行したりしてね」

梓「でも私、ギルドにたどり着く前に見つかっちゃいましたけど」

ネイク「ああ、うん、実はこの試験って必ずしもギルドを見つけなくてもいいんだ、ていうか、ギルド探しは名目だけだな」

ロッグ「ギルドメンバーが実力があると判断したらその時点で合格にしちゃっていいんだよ」

ネイク「正直、俺らに気づかれずにギルドまでたどり着けるような新人はほとんどいないからね」

ロッグ「そんなのがごろごろいたら、俺らの仕事潰されちゃうから」クスクス

ネイク「でも君の尾行も中々のもんだったよ」

ロッグ「僕たちも途中まで気づかなかったからね」

梓「そうですか?」///

ロッグ「うん、たいしたもんだよ」

ネイク「これだけできればギルドでも十分やってける」

梓「あ、あの!それじゃあ、盗賊ギルドまで案内してくれるんですか!?」

ネイク「ああ、もちろん」

ロッグ「ただし、正式に盗賊ギルドに登録してもらうよ?必ずね」ニヤリ

梓「」ゾクッ

ネイク「だから、やめろって!」

ロッグ「いや、ついね……ああところで、お嬢ちゃん名前は?まだ聞いてなかったよね?」

梓「あ、梓です」

ロッグ「ふ~ん、アズサちゃんね、ミシャには珍しい響きだね」

梓「あ、あの、私ミシャじゃなくて普通の人間です」

梓は頭の猫耳を外してみせる

ロッグ「うそぉ!?あんまり似合ってるから本物だと思ってたよ!」

ネイク「珍しいもん持ってるなぁ」

ロッグ「すっかり騙されたぜ」

ネイク「一本とられたな」


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梓は男たちに連れられて人気のない路地を進んでいく

テクテクテク

ロッグ「アズサちゃんは一人で盗賊やってるの?師匠は?」

梓「あの私、冒険者やってるんです、師匠はいません……」

ロッグ「じゃあ独学でここまできたのか、けっこう凄いことだよ、それは」

梓「凄いんですか?」

ネイク「普通は師匠について教わるもんだ、なにしろ盗賊なんて誰でも名乗れるからな」

梓「?」

ロッグ「盗賊やるのも楽じゃないってことさ」


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一行はさらに細い路地を進んでいく

梓(だいぶ遠くまで歩いてきたなあ……)

テクテクテク

梓「あ、あの、盗賊ギルドっていうからには相当人目につきにくい所にあるんですか?」

ネイク「まあな、大っぴらにできない事も沢山やってるからな」

ロッグ「俺達も悪さばっかりしてるわけじゃ無いんだけどね~」

梓「それってどういう……っと」ポフッ

梓は突然二人が立ち止まったためネイクの背中にぶつかってしまった

ネイク「おっとごめんごめん」

ロッグ「さあついた、ここが我らのアジトだよ」

梓「ここが……」

梓の目の前には路地の間の隙間に細長く建てられている建物があった

とても大人数の盗賊の根城となっているギルドのようには見えない

ネイク「どうだい?」

梓「あ、あの、言いにくいんですけど……しょぼい、ですね」

梓の素直な感想に男二人は思わず笑みをこぼす

ロッグ「はっはっは、見た目はな、でも中を見てから判断したほうがいいぜ」

ネイク「さあ、はいろう」

梓(いよいよ潜入開始だ……)ドキドキ


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梓は明かりのの灯った通路を男二人の先導に従って歩いている

テクテクテク

梓「はあ、なるほど、こういうことだったんですね」キョロキョロ

梓は周りを忙しなく見回している

ロッグ「そ、盗賊ギルドはなんと地下に造られているんだぜ」

ギルドの地上部分はほんの入口に過ぎず、施設のほとんどは地下に造られているということらしい

梓達の歩いている太い通路からはいくつもの小道が枝分かれしており、小部屋やどことも知れない別の通路へと繋がっているようだ

梓「地下っていう割には天井も広いですし、通路も綺麗ですね」

梓はそういいながら、壁に手を滑らす

梓「この壁を覆っているのはタイルですか?」

ロッグ「それは金属片を壁に埋め込んであるらしいよ?」

梓「へぇ、凄いですね……でもらしいってどういう事ですか?皆さんで造ったんですよね?」

ネイク「いや、ここは俺たちが造ったんじゃない」

ロッグ「この街に元々あった地下通路を理由させて貰っただけだ」

梓「元々あった?こんなもの一体誰が造ったんですか?」

ロッグ「ドワーフ達さ」

梓「ドワーフ?」

ネイク「この街があった場所は、古くはドワーフ達の住みかだったらしい、この地下通路はその名残なんだと」

ロッグ「でも今ではそんな事知ってる人は滅多に居ないからね、俺らが使わせて貰ってるってわけさ」

梓「凄い技術を持ってたんですね」

ネイク「まあ、もう居なくなっちまったけどな」

梓「居なくなったってどこに?」

ロッグ「さあね~、彼らは人嫌いでも有名な種族だからね」

そんな話をしているとまた二人が足を止めた

ネイク「さあ、まずはリーダーに挨拶に行ってもらおうか」

梓「挨拶ですか……」

梓(盗賊ギルドのリーダーなんだからきっと、怖そうな人なのかな……)ドキドキ

ギィ……

ネイクが両開きの扉を開け、さらに下へと続く階段が姿を現す

ネイク「足下に気をつけろよ」

カツカツカツカツ

階段を降りきると、ちょっとした前室の様な所にでた

そこにはあまり大きくない扉があり、眼つきの悪い男二人が梓達を睨む様に見つめている

ロッグ「あ、どーも、お務めご苦労さんです」

ロッグが軽い調子で話しかけるが、男二人は黙ったままである

ネイクが梓の方に顔をひねる

ネイク「この先にリーダーがいる、くれぐれも失礼のない様にしろよ」

梓「は、はい」ドキドキ

ドア「ギィ……」

梓達がドアをくぐるとそこには、顔に傷のある男と妙齢の女性がいた

リーダー「ふふふ、随分と時間がかかったのねぇ」

ネイク「ちょっと、手間取りましてね」

ロッグ「リーダー、遅くなってすいません」ペコペコ

ロッグの腰を低い口ぶりからして、どうやら女性の方がリーダーのようだ

梓「あ、あの初めまして、私、中野あz……」

リーダー「知ってるわ、ナカノ・アズサちゃんでしょう?それよりもっとこっちに来たらどう?」

梓「あ、はい、わかりました」

梓はリーダーのすぐそばまで近寄った

梓(うわー、綺麗な人だな……)ドキドキ

リーダー「ふふ、そんなに緊張しなくても良いのよ?」

梓「あ、はい!すいません……」モジモジ

梓(凄い肌も白くて、睫毛も長くて綺麗……)ボー

リーダー「ふふ、あなた可愛いわねぇ」

梓「い、いえ、全然そんな事ないです!リーダーさんの方がよっぽど……」ドキドキ

リーダー「本当に可愛いわぁ!食べちゃいたいくらい……」

梓「え?」

リーダーは梓の頬に手を触れ、顔を近づける

リーダー「」ペロッ

梓「うひゃあっ!?」///

梓は突然の事に驚いて飛びのいた

梓(な、なな舐められた!?)ドキドキ

梓「な、なにするんですか、いきなり!」///

リーダー「良い反応ね♪もっとペロペロしたくなっちゃうわぁ」

リーダーが梓の方へとにじりよる

梓「や、やめてください!」

リーダー「ふふ、やめないわぁ」

ガシッ!

リーダー「ごめんなさい、私、可愛い女の子みるとついペロペロしたくなっちゃうの」

梓「え?いや!ちょっと、離して!」ジタバタ

リーダー「暴れても無駄よ♪」

リーダーは梓を捕まえて覆いかぶさってしまった

リーダー「」ペロペロペロペロペロペロペロペロ

梓「あ!ちょっと、そんなとこ……ひゃん!……にゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

ロッグ「あーあ……」

ネイク「……」


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