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一行は"猫の目"工房へと向かっている

テクテク

梓「あ!ここじゃないですか?看板に猫のマークがあります!」

梓の声で一行は立ち止まる

紬「さっそくはいりましょう」

ドア「ガチャ」

ブワッ!

律「って暑!なんだここ!」

ドアを開けると中から熱風がふいてくる

トンテンカントン!ガチャガチャ!
オーイ!ソッチモッテロ!
カマガアガルゾー!オイ!キヲツケロ!

澪「うるさっ!」

炉の熱気と働く人々の凄まじい喧騒で工房の中は凄まじく不快な空間となっている


一行が入口で立ち尽くしていると向こうから覆面をした人物が近づいてきた

律「うわ、あれ誰だよ!」

澪「知るか!」

近くにいても相当大声を出さないと会話ができない

覆面をした人物が一行に話しかけているようだ

???「……!!……~!!」

律「は!?なにいってるか全然聞こえねーよ!」

???「……!!」クイクイ

覆面をした人物は外を指差している
どうやら外へでようと言う事らしい

ドア「ガチャ」

律「ぷはー、なんだここは」

梓「うるさかったですね」

唯「暑いよ~」ハァハァ

覆面をした人物は外にでると覆面をとり話しかけてきた

???「いやーすいません、工房の中ではうるさくて話もできないもんですから……ん?私の顔になにかついてますか?」

唯たちの目は彼の頭に釘付けになっている

唯「そ、それは!」ガーン!

梓「ね、猫耳!!」ニャー!

???「ああ、これですか、ええ、私はミシャ族の出身ですが」

彼の頭部には立派な猫耳があった

澪「ミシャ族の人ってこういう所で働いてるんですか?」

???「う~ん、というより、ここで働いてるものは全員がミシャ族ですよ、ここはミシャの工房、"猫の目"です」

律「ああ、そういうことか」

???「あ、申し遅れましたが私、リゼルともうします」

唯「あ、これはこれはご丁寧に」ペコリ

リゼル「それで、この工房になんのご用でございましょうか?」

梓「あの、これ!」

梓は先ほど貰った紹介状を渡す

リゼルはその場で読み始めた

ガサガサ

リゼル「ふむ、わかりました、本来は直接お売りする事はありませんが、この場合は商品を取り揃えなかったこちらにも落ち度がありますし……少し寸法を測らせてもらえますか?」

梓「あ、はい」

リゼル「では腕を出してください」

シュルシュル

リゼルは梓の腕の様々な部分をメジャーで測っていく

リゼル「はい、わかりました、すぐにお持ちしますので、少し待っていてください」

ドア「ガチャ」

リゼルは工房の中に戻って行った

律「うわー、私はもうあの中には入りたくない」

唯「私もだよ、りっちゃん!」


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ドア「ガチャ」

しばらくすると、リゼルが戻ってきた

リゼル「お待たせしました、このサイズでどうですか?」

カチャン

梓「あ、ありがとうございます」

リゼル「おつけしましょう」

そういってリゼルは梓の両腕にガントレットを装着していく

カチャカチャ

リゼル「これでよし!」

梓「ピッタリです!」テーレッテレー!

唯「良かったね、あずにゃん!」

リゼル「それでは、お代は銀貨一枚と銅貨50枚になります」

紬「はい、どうぞ」ジャラジャラ

リゼル「……はい、たしかに」

律「良かったな梓!」

梓「はい!実はこの猫のマークが気にいってるんですよ!」キラキラ

リゼル「うんうん、君はいい物を選んだよ、なにしろそれはウチの最新作でね、実は金属の配合に凄くこだわってるんだ、みた目の華奢な感じとは裏腹に強烈な大剣の一撃も受け流す事ができるように作られていてね、それでそうそう、やっぱり一番苦労したのは重さと強度の両立なんだけど……」ペラペラペラペラ


律「ちょーっと!ストップ!ストーップ!」

紬「あ、あの私達、実は先を急いでて……」

リゼル「ああ、そうなのかい?そりゃあ引き止めてしまって申しわけない」

梓「あの、ありがとうございました」ペコリ

リゼル「いやいや、わざわざ工房に来るまで欲しがって貰えるんなら作り手として本望だよ、また、ウチの商品をよろしくね!それじゃ!」

ドア「バタン」

梓「しゃべるだけしゃべって行っちゃいましたね」

律「あいつがここで働けるわけがわかった気がする」

澪「私も」

一行は工房を後にした


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一行はギルドに到着した

ドア「ガチャ」

ガヤガヤ

澪「たしかカウンターで説明受けられるんだよな?」

律「たぶんな~」

梓「カウンターに人が見当たりませんが……」

紬「まあ、いってみましょうよ」

テクテク

律「あの~……」

律がカウンターごしに話しかけると奥から受付嬢が姿を現した

ガタガタ

受付嬢1「はい!なにかごようですか?」

そういって顔をあげかけた受付嬢は動きを止める

受付嬢1「あら?あなた達また話を聞きに来たの?」

唯「あ、昨日のお姉さん!」

梓「違います、クエストを受けに来ました」

受付嬢1「ああ、あなた達の事だったのね、きのう決闘して冒険者になった女の子達って」

澪「な、なんで知ってるんですか」

受付嬢1「ふふ、同僚に聞いたのよ」

ガサゴソ

受付嬢はカウンターの下から紙の束を取り出す

受付嬢1「さあ、それじゃ、新米冒険者さんに説明しましょう」

律は紙の束を目にして嫌そうにぼやく

律「え~、そんなに聞く事あるのかよ~」

受付嬢1「ふふ、これは一応、全ての規則がのってるマニュアル、重要な部分は私がかいつまんで説明するから心配ないわ」

澪「お、お願いします」

ペラ

受付嬢はマニュアルをめくる

受付嬢1「えーと、まずあなた達はギルドに依頼されたクエストを受ける事ができます」

受付嬢は壁際の掲示板を指差す

受付嬢1「あちらの掲示板に貼ってある依頼ならどれでも受けられるわ、早いもの勝ちだから気をつけてね」

唯「ふんふん」

受付嬢1「あ、でも、赤い用紙のクエストはまだ受けない方がいいと思うわ」

律「普通のとどう違うんだ?」

受付嬢1「赤いのは難易度が極端に高いものなのよ、大体が討伐依頼なんだけど、固有種クラスのモンスターを相手にする事になるわ」

梓「固有種……」

受付嬢1「そうそうそれから、クエストを完了したらカウンターまで報告に来てちょうだい、成功報酬を支払うわ」

澪「あの、クエストに失敗した場合ってどうなるんですか?」

受付嬢1「その場合は、罰金とかはないけど、あまり失敗続きだと評判が落ちるわよ?」

受付嬢1「それに失敗っていっても討伐依頼なんかだと命に関わる事もあるの、無理せず実力に応じたクエストを受けるといいわ」

紬「よくわかりました♪」

受付嬢1「えーと、次は施設関係ね」

ペラペラ

受付嬢1「この前も言ったけど、ギルドは宿泊施設も兼ねてるの、ギルドメンバーは格安で宿泊と食事ができるわ」

梓「どこのギルドでもですか?」

受付嬢1「世界中どこのギルドでもオッケーよ、冒険者ギルドは大きめの町なら大体あるからそんなに心配しなくても大丈夫、田舎はちょっとカバーしきれないけどね」

澪「便利だな」

受付嬢1「まあ他にもあるけど、後は自分達で読んだほうが早いわ、重要なのはこれくらいだから」

律「よし、じゃあ早速なにかクエストを受けてくか!」

唯「おー!」

紬「おー♪」

受付嬢1「あ、ちょっと待って!」

ピタッ

掲示板に向けて走り出そうとしていた律達の動きが止まる

澪「?なんですか?」

受付嬢1「あなた達のためにできそうなクエストを選んでおいたんだけど、どうかしら?受けてみる?」

唯「えー、自分達で選びたいなー」ブーブー

紬「まあまあ、唯ちゃん」

梓「どんなクエストなんですか?」

受付嬢1「探索クエストよ、考古学者さんからの」

澪「考古学者ですか……」

受付嬢1「ええ、この街の近くにキリカミ遺跡って古い遺跡があるんだけど、そこの魔物の生息密度や種類を調べて来て欲しいっいう依頼よ」

唯「そんなの調べてどうするの?」

澪「たぶん、自分が調査に入る前にどれだけ危険か知りたいんだろ?」

受付嬢1「そ、最近は魔物が凶暴化してるらしいからみんな警戒してるのよ」

澪「きょ、凶暴化って……」ガタガタ

受付嬢1「ふふ、そんなに怖がらなくてもこの遺跡は街から近いし、そんなに強力なモンスターは出ないわ」

梓「でも、それって結構大変なんじゃないですか?」

受付嬢1「そんなことないわよ、規模の小さい遺跡で二階層までしかないし、後はその周辺を調べるだけだから」

梓「そうですか」ホッ

受付嬢1「どう?受けてみる?」

澪「律、どうする?」

律「……」

律「……受けよう」

唯「おお!」

受付嬢1「わかったわ、契約完了ね」

ポンッ

受付嬢はクエスト用紙にハンコを押す

受付嬢1「期限は一週間後までよ、それを過ぎたら無効になるわ」

律「一週間なんてかからないぜ!」

受付嬢1「ふふ、たのもしいわ」

梓「律先輩、遺跡にはいつ出発するんですか?」

律「明日にしよう、今からだと夜になっちゃうからな」

紬「そうね、今日はゆっくりしましょう」


その後、一行は街を散策し早めに宿へと帰った

一日中歩き回った一行は早々に就寝することにする



そして夜が明けた


まだ朝もやの消えきらない早朝に一行は街の門へと向かっていた

テクテク

唯「ふわぁ~、眠い……ねえ、こんなに早く出発する必要あるの?」

律「ふわぁ、私も眠いよ、でも暗くなる前に帰ってきたいだろ?」

梓「そうですね、向こうでどれくらいの時間がかかるのかもわかりませんし」

テクテク

そうこうしてるうちに一行は街の門までたどり着いた

一行が閉じられたままの門に近づくと、詰所から衛兵がでてきた

衛兵「おはようございます、街の外へ行くんですか?」

紬「はい、ギルドのクエストで」

衛兵「あ、冒険者さんでしたか、若いのに大変ですね~、今、門を開けますんで」

ギュリギュリギュリギュリ

衛兵は愛想良く笑いながら門をあけてくれる

衛兵「はい、どうぞ通って下さい」

澪「あ、ありがとうございます」

衛兵「いえいえ、お気をつけて!」

律「よし!出発だ!」

街の外へでた一行はまだ誰の姿も見えない街道を進んで行く

テクテク

律「いやー、それにしてもよかったな!」

梓「何がですか?」

律「これだよこれ!」パシパシ

律は腰につけてある小包を叩く

澪「ああ、弁当な、確かによかったよ」

梓「宿の御主人がわざわざ早起きして作ってくれるなんて思いませんでしたよね」

唯「えへへ、なんだかピクニックみたいだね!」

紬「うふふ、そうね♪」

澪「こらこら、これは仕事だぞ、し・ご・と!」


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テクテク

一行が歩き始めてだいぶ時間が経過した
太陽はのぼりきり、生き物のざわめきが聞こえ始めた

澪「なあ、もうけっこう歩いたよな?あとどれくらいで到着するんだ?」ハァハァ

律「話によると、この先に分かれ道があるらしい、そこから1時間くらいだってさ」

澪「うう、まだけっこうある……」

律「なんだ~、だらしないぞ、澪!」

澪「私はお前らと違って、身体能力は変わらないんだぞ、もっといたわってくれ」

梓「確かにこの中で身体能力ボーナスがないの澪先輩だけですよね」

紬「大丈夫よ、澪ちゃん!いざとなったら私がおぶってあげるから!」フンス!

澪「ああ、ムギありがとう」

唯「~♪」フンフフーン♪

ピタッ

みんなより少し先行していた唯が立ち止まる

クルリ

唯「ねえ、りっちゃん!分かれ道だよ、どっちに行くの?」

律「ああ、分かれ道は右に行くんだぞ!」

紬「もう一息ね!」

一行は分かれ道よりさらに進んだ

梓「なんだか、岩の多いところにきましたね」キョロキョロ

梓がつぶやいたように、道のまわりには背丈ほどもある岩がゴロゴロしている

唯「なんだか、不思議な草原だね」

ガサガサガサガサ

茂みから突然ものおとがする

澪「な、なんだ!?」

一行は驚いて動きを止める

律「気をつけろ、みんな!」

律がそう叫ぶのと、茂みから何かが飛び出してくるのは同時だった

ババッ!


スライム達があらわれた!


梓「あ、こいつらは!」

律「へっ、肩ならしにちょうどいいぜ!澪!ムギ!後ろにさがれ!」

澪「う、うん」タタ

紬「わかったわ!」タタ

律「いくぞ、梓!唯!相手は二匹だ、一撃で仕留めるぞ!」

ブゥン!

律は背中の斧を取り、正面で構えた

梓「わかりました!行きますよ、唯先輩!」

シュッ!

梓は短剣を抜き放ち、スライムに向けて駆け出す

タタタ タンッ!

梓はスライムの直前で跳躍し素早く背後に回り込み、一気に迫る

梓「やっ!」ザシュッ!ザシュッ!

梓が素早く二回斬りつける

唯「よーし、あとは任せて!」シャリン

唯は勢いよく剣を抜くと梓が斬りつけたスライムに切りかかる

唯「えーい!」ブン!

ザシュッ!ビチャビチャ!


唯の剣の直撃を受けたスライムは動かなくなった


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