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一行は宿に帰り、自室へと戻った

タンタンタンタン

ドア「ガチャ」

唯「ふぃ~、疲れたよ~」

律「ただいまー」

さわこ「あら、おかえりなさい」

さわこは唯達が部屋に入ると、なにやら読んでいた冊子から顔をあげ、唯達を見る

さわこ「意外と早かったわね、まだお昼よ?もっと遊んで来るかと思ったわ」

紬「実は先生にお知らせしたいことがあって戻ってきたんです」

さわこ「あら、ちょうどよかったわ、私もあなた達に知らせることがあるのよ」

唯「え~なになに~?」

グゥゥゥゥゥ

梓「唯先輩……」

唯「いや~///」テレテレ

律「お腹に正直な奴だな~」ニヤニヤ

澪「まあ、もうお昼だからな」クスクス

さわこ「ふふ、お昼ご飯食べながらにしましょうか」


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ガヤガヤガヤガヤ

ところ変わってここは宿屋近くの大衆食堂
昼時ということもあり多くの人と亜人で賑わっている

ひっきりなしに続く注文に店員と思しき人達がくるくると立ち回っている様は、なかなか見ごたえのあるものである

唯「すご~い!」

梓「結構混んでますね」

一行が店内に入るとすぐさま声がかけられる

おばちゃん「いらっしゃい!あら、かわいいお客さんだね」

紬「あの、六人分の席空いてますか?」

おばちゃん「運がよかったね、ちょうど一番奥の席が空いてるよ!さあさあ座っておくれ」

律「お、ラッキー!」

ガタガタ

全員が席につくとさっそくさわこが話し始めた

さわこ「さっそくだけど、話って言うのはこれのことなのよ」ピラピラ

そう言うとさわこは、先ほど宿で読んでいた冊子を振って見せる

律「さっきから気になってたけど、それ、なんの本なんだ?」

さわこ「ふっふっふ、聞いて驚け!」

梓「もったいつけないでいいです」


さわこ「私……」

さわこ「新聞記者になることにしたわ!」ドーン!


一同「ええぇぇぇーーーー!!!」ガーン!



唯「でもそれってどういうことなの?」ハテナ


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澪「で、どういう経緯で新聞記者なんですか?」

律「というか、なんで?」

さわこ「あなた達が出かけた後に私なりに考えたのよ、どうやってこの世界から帰るのか、とか、どうやって和ちゃんと憂ちゃんを見つけるのか、とかね」

「それで、最終的にやっぱり、情報を集めることが大事だと思ったのよ」

「でもそのためにはいろんな所に言ったり、いろんな人の話を聞いたりしなくちゃいけないでしょ?」

「それに、生活するためにお金も稼がなきゃならないし、」

澪「そっか、それで新聞記者……」

さわこ「そうよ、情報を集めるためには世界中飛び回るのが一番の近道だけど、一所で仕事してたらそんなこと絶対できないわ」

「だから思ったのよ、世界中飛び回れて、お金も稼げて、情報も集められるような仕事無いかしらってね」

「それで、あんまり暇になって……じゃなくて、なにかできること無いかしらと外に出てみたら、新聞社の建物が目にはいったわけ」

パシパシ

さわこは持っていた冊子で机を叩いてみせる

「それでこれは新聞記者の規則とか、施設案内とかが書いてある、まあいわゆる心得帳みたいなものよ」

律「はぁ~さわちゃんもいろいろ考えてるんだな」カンシン

さわこ「私だって一応教師なんだから当然よ」

そんな話をしていると、先ほどの店員が料理を持ってきた

カチャカチャ

おばちゃん「はいよ、おまたせ!ご飯はおかわり自由だから好きなだけ食べてっておくれ」

律「うまそー!」ガタガタ

律が椅子から身をのりだす

梓「あっ、律先輩危ないです!」

律「おっと」グラグラ

澪「恥ずかしいなぁ、もう」

唯「いい匂い~おいしそ~」スンスン

さわこ「で、あなた達の話ってなんなのよ?」

紬「あ、実はわt……」

ガシッ

唯が突然さわこの肩を鷲掴みにした

唯「まってぇ~その前にご飯食べさせて下さいぃ~お腹空いて死んじゃうよぉ~」ウルウル

さわこ「え、ええ、かまわないわよ」

紬「そうですね、せっかくの料理も冷めちゃいますし」


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一同「いただきまーす!」

パクパクムシャムシャ

律「おっ!この串焼きうまいぞ!澪も食べてみろよ!」ガツガツ

澪「そんなにがっつくほど美味いのか?」クスクス

そう言いつつ、澪も手を伸ばす

パク

澪「あ、本当だ」

梓「美味しいですね、この甘辛いタレがまた……」ムグムグ

唯「はぁ~幸せ……」モキュモキュ

紬「確かに美味しいけど、これってなんのお肉なのかしら?」

澪「えっ!?」


律「」ピーン!……ニヤニヤ

律「確かに不思議だよな~、牛とか豚の味じゃないし~」ニヤニヤ

梓「そういえば、気になりますね、鳥っぽい気もしますが」

律「いやいや、もっといろいろあるだろ肉は?」ニヤニヤ

唯「例えば~?」モグモグ

律「うーん例えば……猫……とか?」ニヤニヤ

梓「猫!?」ガーン

澪「ひぃぃぃぃ!!!」ガタガタ

唯「あははーそんなわけないじゃん」ケラケラ

さわこ「……」ジー

さわこは自分の手元の串焼きをじっと見ていたかと思ったら、おもむろに店員に話しかけた

さわこ「すいませーん!この串焼きってなんのお肉なんですか?」

梓(不安になったんだ)

おばちゃん「ああ、それはブグターの肉だよ」

唯「ぶぐたー?」ハテナ

おばちゃん「おや、あんた達ブグターを知らないのかね!」

紬「ええ、私たち異国から来たもので」

おばちゃん「そうかい、若いのに大変だねぇ」

律「それで、どんな動物なんですか?」

おばちゃん「ああ、ちょっとまってておくれ」

パタパタ

おばちゃんは店の奥へと姿を消し、すぐに戻って来た

その手には一冊の本を抱えている

おばちゃん「えーと、確かここらのページに……あったあった」ペラペラ

おばちゃん「これがブグターだよ」

おばちゃんはその本の中ほどの挿絵を指差す

梓「これは……牛、ですかね?」

紬「でもくちばしがあるわ」

律「バッファローみたいだな」

おばちゃん「この辺りでは家畜としてたくさん飼われているよ、こっちが主に毛と食肉、こっちがお乳をとるのさ」

唯「ふーん、美味しいからなんでもいいや」パクパク

梓「よかったですね!澪先輩!まともなお肉でしたよ、って……」

律「聞こえてないみたいだな」

澪「キコエナイキコエナイ」ブツブツ


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唯「お腹いっぱい~」グダー

律「ふー、くったくった」シーシー

梓「親父ですか、まったく」

さわこ「この国って本当にご飯美味しいわね」

澪「」グスグス

律「みーおー?まだ気にしてるのか?」

澪「だって、律がぁ~!」ウルウル

律「あーはいはい、悪かったよ」ヨシヨシ

紬「あらあら」ウフフ


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さわこ「さて、お腹も落ち着いたし、そろそろ話してちょうだい」

コトン

さわこは飲みかけのカップをテーブルに置きながら言った

律「ああ」

紬「実は、私たちb……」

唯「とりあえず冒険者になる事にしました!!」フンス!

さわこ「えっ」

さわこ「え、えぇー!ぼ、冒険者って超危険じゃない!あなた達、意味わかってるの?!」

澪「ええ、わかってます、でも私たちも先生と同じ様に考えたんです、どうしたらもとの世界に戻れるのか、和と憂ちゃんを見つけるにはどうしたらいいのか」

梓「冒険者になれば世界中まわれますし、普通の人では知る事の出来ない情報も手に入ると思うんです」

紬「そのなかにはきっと、なにか手がかりがある、そう思うんです」

さわこは渋い顔をしている

一同「……」

さわこ「……私はやめた方がいいと思うわ」


律「……でも」

律「それでもやりたいんだ!それに今の私たちの力なら出来ないはずはないぜ!」

唯「そうだよ!絶対に憂と和ちゃんをみつけて、もとの世界に帰るんだから!」フンス!

さわこ「……」


さわこ「そうね」

さわこ「……そこまで言うならやってみなさい」フフ

律「じゃあ……」

唯「いいの!?」

さわこ「ええ、まあ元々、私にあなた達の行動を制限する事はできないんだけど」

さわこ「それに確かにあなた達の力なら出来そうだし、ね」

律「よし!じゃあ早速ギルドに登録しに行こうぜー!」

さわこ「あら、まだギルド登録済ませてなかったの?」

紬「はい、先にさわこ先生に相談したほうがいいと思って」

さわこ「そうなの……」

さわこ「よし、じゃあ早くいって来なさい!」

澪「でも、ここのお金まだ……」

さわこ「いいわ、私が払っとくから」

唯「おおーさわちゃん太っ腹!」

さわこ「冒険者さん達に前祝いよ、あと太っ腹は余計」

律「よし、行くぜ!さわちゃん、また後で!」ダッ

澪「あっ、ま、まてよ、律ー!」ガタッ

唯「行くよー!あずにゃん!」バタバタ

梓「慌てなくてもギルドは逃げませんよ」

紬「それじゃあ、先生、ごちそうさまでした」ペコリ

さわこ「はいはい、気をつけて」ヒラヒラ

バタバタバタ

さわこ「ふぅ……」


律達が慌ただしくいってしまった後、一人残されたさわこは軽く店内を見回す

昼時も後半にさしかかった今、店内は人もまばらになり幾分落ち着きを取り戻した様だった


さわこ(あの子達もいろいろ考えてるのねぇ)

さわこ「……」


スリスリ

さわこ「失礼ね、こんなにスリムなのに……」


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数分の後、律達は冒険者ギルドの受付にいた

ガヤガヤ

律「おい!どーいう事なんだよ!」

受付嬢2「ですから、先ほどから申し上げている様に期間外の登録申し込みはできません、大変申し訳ございませんが、ギルド試験の期間内に再度お申し込み下さい」

澪「律、ここでごねてもしょうがないだろ、またの機会にしよう」

律「だって次の試験て半月後だって言うじゃんか、待ってらんねー!」

紬「あのー、他にギルドに登録する方法って無いんですか?」

受付嬢2「ギルドに登録するためには、ギルド登録試験を受けて頂くか、他のギルドメンバーからの推薦が必要です、それ以外の方法での登録は認められていません」

紬「試験は半月後だし、推薦って言っても知り合いなんていないし……」

唯「りっちゃん、しょうがないよまた来よう?」

律「はぁ、諦めるか~」ガックシ

紬「当座のお金はあるし、試験までこの街でゆっくりしてましょう?」


律達は受付に礼を言い、立ち並ぶテーブルの間を出口に向かい歩き出した

ガヤガヤ

梓「残念でしたね」

澪「まあ、またくれb……」

ガタン!

なんと!澪はテーブルの足につまずいてしまった!

澪「あ、す、すみません!」アセアセ

兄ちゃん「あ~?てめぇどこに目ぇつけとんじゃあ?」

澪「ひぃぃぃぃ!」スミマセンスミマセン

律「うわー、なんてベタな展開なんだ、これ」

子分1「あ、兄貴!兄貴の上着にビールが!」

兄ちゃん「ちっ、ビショビショじゃねーか、お前これ高かったんだぞ、弁償しやがれ!」

澪「」ガタガタ

律「おい!そこらへんにしとけよ!ぶつかったのはこっちが悪かったけど、大体、上着にビールがかかっただけだろ、拭けばいいだけじゃん」

子分2「てめぇ!兄貴の上着汚しておきながらふてぇ態度だな!」

子分1「やっちまうか!」

子分2「おう!」

兄ちゃん「……まあ、まて、焦るこたぁねぇ」

そう言うと、兄ちゃんは澪達をひと睨みする

兄ちゃん「おい、お前らみたいなガキがここになんの用があって来たんだ?」

梓「ギルドに登録しにきたんです、みればわかるでしょう?」

ブワハッハハハ

子分1「お前らがギルドに?こりゃあ笑い話だぜ」ギャハハハハ

兄ちゃん「ふん!どうせ、期間外で登録できなかったんだろーが?」

律「くっ、しょうがないだろ!」

子分2「うわ、ダセー!どうせお前らなんかは試験受けても受かんねーよ!ギルド舐めてんのか?」ギャハハハハ

唯「なんか、感じの悪いひと達だね?」

紬「そうね、怖いわね」

梓「全然怖がってないですよね」


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