律「まあ、とりあえず現状を確認してみようぜ」
唯「というと?」
律「とりあえず、今の手持ちの金額とか、道具とか能力のこと知らなかったら、これからの予定もたてようがないだろ?」
唯「お~!そうだね、りっちゃん!」
梓「確かに良い考えです……律先輩にしては冴えてますね」
律「ほぉ~、梓ちゃんは喧嘩を売ってるのかな?」ピキピキ(#^ω^)
梓「ち、違いますよ!」
律「問答無用!生意気な後輩にはこうだ!」ギュム
グイー
梓「いふぁいです!はなふぃてくだふぁい~!」ナミダメ
律「ほれほれ~」グニグニ
ゴンッ☆
澪「真面目にやれ」
律「はい……」
---------
-----
--
律「じゃあ、現状の確認するぞ」
唯「するぞー!」オー!
律「まず、お金だけど、ムギ?」
紬「ええ」
ジャラジャラ
紬「これで全部よ」
紬がテーブルの上に出したのは金貨、銀貨、銅貨である
全て中央に穴が空いている
金貨、銅貨は10枚つづり、銀貨は12枚つづりで紐に通されている
澪「金貨が20枚に銀貨が36枚、銅貨が125枚か……」
律「結構あるけど、通貨の価値がわからないからどうしようもないな、これは後で誰かに聞こう」
律「次だ、次は……道具類だな、各自カバンの中身を出してくれ」
ガチャガチャ
それぞれがカバンの中身をテーブルの上に開けた
梓「薬草が10個、これは……聖水ですかね?RPG的に考えて」
紬「そうね、たぶん間違いないわ」
梓「聖水が5本、あと……これは携帯食みたいですね、携帯食が20個、あと皮袋の水筒が5本ですね」
律「後はこの本か」
それぞれが自分の持っている本に目を落とす
律「これは一体何のためにあるんだ?」
紬「これはスキルブックよ、各自に職業にあったスキルが記されているの」
梓「便利ですね」
紬「でも残念なことに習得したものしか読めないのよ」
律「まあ、とりあえずお互いの能力は詳しく知っておいた方がいいだろ」
紬「そうね、それぞれ読んでいきましょうか」
澪「えっ、読むのか?」
紬「ええ、この本は持ち主にしか読めないから」
澪「嫌だ~!」
梓「何でですか??」
紬「じゃあ、私から読むわね」
タイトル
~殴りと癒し~
スキル
- ハンマーマスタリー Lv1
- ソードマスタリー Lv1
- 身体強化 Lv1
- キュア Lv1
- リカヴァ Lv1
梓「凄いタイトルですね……」
律「なあ、マスタリーてなんだ?」
紬「マスタリーっていうのは、その武器をどれだけうまく扱えるかを表しているの、今まで使ったことのない物でも、マスタリーを覚えていれば、体が勝手に動いてくれるわ」
澪「便利だな」
紬「あと、キュアは怪我の治療、リカヴァは簡単な毒の治療ができるみたい」
律「私のはっと……」
タイトル
~ビバ☆筋肉~
スキル
- アクスマスタリー Lv2
- ソードマスタリー Lv2
- 体術 Lv1
- 身体強化 Lv1
- 痛覚無効 Lv1
梓「痛覚無効ってなんですか?」
紬「戦闘中に受けた傷の痛みを無くすスキルよ」
律「あーなるほどな、だからあの時は傷を負っても痛みを感じなかったんだな」
初戦闘を思い出すと
確かにあの傷は結構大きかったが、痛みをまったく感じなかったことに思い当たる
紬「これは便利だけど危険なスキルよ、痛みを感じないだけで傷自体が治る訳じゃないから」
梓「私の番ですね」
タイトル
~お金大好き~
スキル
- 盗みマスタリー Lv2
- 短剣マスタリー Lv1
- 身体強化 Lv1
- 感覚強化 Lv1
- 連続攻撃 Lv1
梓「盗みマスタリーって、なんなんですか、これは!ひどすぎです!私、泥棒なんてしないです!」
紬「まあ、盗賊だからしょうがないわよ」
律「感覚強化ってなんだ?」
紬「運動能力を強化する身体強化に対して、五感を強化するのが感覚強化よ、例えば、夜目が聞くようになったり、音や匂いに敏感になるわ」
澪「タイトルが酷いのはデフォルトなのか……」
唯「あれ~?ねぇねぇ、私の本、タイトルが読めないよ?」オロオロ
紬「おかしいわね……他に読めるところはない?」
唯「あ、中は読める~」ヤッタネ!
タイトル
~???~
スキル
唯「え~これだけ~?」ガッカリ
梓「少ないですね」
律「もしかして、無職なんじゃないのか~?」プクク
唯「スキルが少ないだけで無職!?」ガーン
律「さあ、澪の番だぞ」
澪「はぁ、嫌だなぁ」
タイトル
~猿でもわかる黒魔術~
スキル
- フレイム Lv1
- フリーズ Lv1
- ライトニング Lv1
- マナバレット Lv1
- テレキネシス Lv1
律「確かに酷いタイトルだ……」
唯「あはは、猿だって!澪ちゃん!」アハハ
梓「スキルがいかにも魔術師って感じですね」
さわこ「じゃあ、私のも教えとくわ」
唯「あ、さわちゃん」
律「居たんだ」
さわこ「いたわよ!ずっと!まったく失礼ね」
タイトル
~目指せ!天下一武◯会~
スキル
- 体術 Lv1
- 拳術 Lv3
- 身体強化 Lv1
- 痛覚無効 Lv1
梓「タイトルからすでに武闘家臭がしますね」
律「さすがさわちゃん!力が凄そうだな!」
さわこ「なんだと~」ピキピキ
律「い、いや~、冗談だよ、冗談」アセアセ
さわこ「あなただって戦士でしょ~!人のこと言えないじゃない!」グイグイ
律「さわちゃんやめて~!目がまわる~」ガクガク
澪「まあ、これで全員分の本の中身が確認できたわけだ」
梓「それにしても不思議な本ですよね~」ペラッ
律「後はこの街のこと聴けたら良いんだけどな~」ダラー
紬「……とりあえず、宿のご主人に聞いてみましょうか?」
律「そうだな~」
ガタガタ
一同は立ち上がり食べ終えた食器をカウンターまでさげにいった
宿屋の主人はこちらに背を向けて何やら作業をしているようだ
律「ごちそーさまでしたー」
宿屋の主人「おお、そこに置いといてくれればいいぞ」
宿屋の主人は顔だけ振り返らせて言った
唯「ご飯すごくおいしかったです!」キラキラ
宿屋の主人「そりゃあよかった、嬉しい限りだぜ」
紬「それで、あの、実は少しお伺いしたい事があるんですが……」
紬がそう切り出すと、宿屋の主人は作業の手を止め、こちらに向き直った
宿屋の主人「ああ、ちょっと待ってくれ……よし、いいぞ、お嬢ちゃん達?」
紬「実は私たちは旅をしている者で、遠い国から来ました、この辺りにことが全くわからないので、教えて欲しいのですが?」
宿屋の主人「ああ、あんた達旅人かい、今時珍しいね、で、この街の何を聞きたいんだい?」
紬「すみません、私達、この街の名前も知らないんです」
宿屋の主人「そこからか……そうだな、何から話すか……おお、立ち話もなんだから、ここに座ってくれ」
一同は進められるままにカウンター前の席につく
ガタガタ
宿屋の主人「そうだな、まずこの街の名前は"ポルテリオ"だ、ガルレオ大陸最東端、そして世界のほぼ中央に位置する港町だ」
宿屋の主人「この街は海洋諸国との交易と温かい気候を生かした稲作が盛んでな、トラスネッド帝国で3番目にでかい街なんだ」
律「トラスネッド帝国?」
宿屋の主人「ああ、トラスネッド帝国っていうのは、この街も含めてガルレオ大陸の1/3を治める世界で1番の大国だよ」
唯たちが話を聞いていると宿屋の入り口から突然声が響いた
少年「おーい、おっちゃん!届け物だよ!」
宿屋の主人「おお!お嬢ちゃん達すまないが、ちょっと待っててくれ」
そういうと、宿屋の主人は少年のもとへ向かって行った
その様子を見つめていた梓が不意に声をあげる
梓「にゃあっ、先輩!あの人!見てください!」
律「なんだよ梓~」
梓「見てくださいよ!あの人の頭!」
梓が指差しているのは、先ほど少年だ
澪「あの人がどうかしたのか?」
普通の少年だが、よく見てみると何か違和感がある
唯「!!!なにあれ!?猫耳?」
そう、彼の頭には猫科動物の耳がついていたのである
ピコピコ
猫耳は時折動いては自己主張をしている
律「本当だ!なにあれ、本物か!?」
澪「コスプレ?」
そんな会話をしていると、用をすませた主人が戻ってきた
宿屋の主人「すまんな、届け物が届いてな」
梓「そんなことより、今に人はなんなんですか!?頭に耳がついてました!」
宿屋の主人「ああ、あの子は亜人だよ、見るのは初めてかい?」
唯「亜人ってなあに?」ハテナ
宿屋の主人「亜人ってのはな、まあ、見ての通り人に近い生き物だ、近いつっても実はほとんど俺らと変わらないんだがな」
紬「みんな、猫耳なんですか?」
宿屋の主人「いや、今の子は"ミシャ族"っていってな、他にも沢山の種族があるのさ」
律「他にも沢山というと?」
宿屋の主人「そうだな~……例えばこの国は実は亜人の王族が治めてるんだが、彼等の種族はドラゴニュート族って言うんだ、トカゲみたいな顔つきでな、全身鱗に覆われてる」
律「ほぉ、トカゲね~、そんなのもいるんだ」
宿屋の主人「おっと、彼等の前でトカゲは禁句だぞ?」
梓「どうしてですか?」
宿屋の主人「彼等にとって1番の侮辱だからだ、それを言ったらただじゃすまないぞ」
梓「そうなんですか……こわいですね」
紬「そういえば、この街には亜人が多いですよね?他の街もこんな風なんですか?」
宿屋の主人「この街……いや、この国は特別なんだ、大抵の国では亜人は数も少ないし差別されてるんだが、この国は亜人の王族が治める国だ、だから当然、亜人に寛容なんだよ」
律「住みやすいってわけか」
唯「良かったね~、あずにゃん!」
梓「??なにがですか?」
唯「猫耳だよぉ~、ここなら猫耳つけたままでも恥ずかしくないから何時でもつけてられるよ~」ニコニコ
梓「なっ 、いやですよ!そういう問題じゃないです!絶対つけませんからね!」
唯「え~!なんで~!あずにゃんのケチ!」プンプン
澪「こらこら、唯、落ち着け、だいたいここに猫耳はないだろ」
紬「あら?あるわよ?ここに」スチャ
唯「おお~!素晴らしい!」キラキラ
澪&梓「なんであるんだ(ですか)!!」
紬「カバンのしたの方に入ってたのよ♪」
宿屋の主人「おお、それは"ミシャの耳飾り"か!珍しいもん持ってるな」
唯「なにそれ?」
宿屋の主人「それをつけるとな、ミシャ族みたいに聴覚が鋭くなるんだ」
澪「意味があるものだったのか……」
律「じゃあ、捨てるわけにもいかないな、梓!」ニヤニヤ
梓「くっ……」
宿屋の主人「あとなにか聴きたいことはあるかい?」
紬「この街のお金とかってどうやって使うんですか?」
宿屋の主人「ああ、えーと、この国では基本的には金貨、銀貨、銅貨の三種類が使われてるんだ、銅貨100枚で銀貨一枚、銀貨12枚で金貨一枚分だ」
澪「だから銀貨は12枚綴りだったのか」
宿屋の主人「それにしてもあんた等、金の使い方も知らないなんて、一体どんなど田舎からきたんだ?」
律「えーと、それは、なんといいますか……」
宿屋の主人「いやいや!答えなくてもいい、少し気になっただけだ、すまなかったな、客の身の上は詮索しないことにしてるんだ」
紬「そうですか」ホッ
宿屋の主人「それじゃ、すまんが俺はこれからちょっと出なきゃならんからな、まだ聞きたいことがあったら夕方にしてくれ」
紬「あ、いえ、こちらこそ色々教えて頂いてありがとうございました」ペコリ
宿屋の主人「はっはっは、いいってことよ」
ガタガタ
椅子を立った宿屋の主人は店の出口にむかう
ドア「ガチャリ…ギィ」
宿屋の主人「お、そうだ、あんた達、旅してるんだよな?だったら、冒険者ギルドにも行ってみな、もっと色々な情報が聞けると思うぜ」
澪「冒険者ギルド……」
宿屋の主人「おう、荒っぽい奴が多いから気をつけろよ!」
ドア「バタン!」
そうゆうと宿屋の主人は外へ出かけてしまった
宿屋の主人を見送った一同は顔を見合わせて再度相談をはじめる
律「んで、どーすんだー?」
紬「そうねえ、街の様子も知りたいし、観光がてらその冒険者ギルドって所にもよってみましょうよ、ね?」
梓「そうですね、街の人の話も聞いてみましょう」
唯「観光♪観光♪」ウンタン♪ウンタン♪
さわこ「あー、わたしパスね」
律「なんでだよ、さわちゃん?」
さわこ「なんだかこっち来たばっかで調子のらないのよ、部屋で休んでるわ」
ガタガタ
タンタンタンタン
さわこは席を立ち部屋へ戻ってしまった
唯「さわちゃんお大事に~」
律「それじゃ、いっちょ出かけるか!」
唯「おー♪」
---------
-----
--
ワイワイガヤガヤ
街へ繰り出した一同は市街地中央の大通りにいた
石畳の大通りには多くの露店が並び、買い物に興じる人々でごった返している
行き交う多くの馬車や荷車は、この街が交易で栄えていることをその異国情緒溢れる色とりどりの荷で証明していた
律「それにしても賑やかな街だなー」
紬「そうねえ、お店も沢山あるし結構栄えてる所なのね」
澪「人ごみ怖い」ガクブル
一行は大きなテントがはりだされている一角へやって来た
あちらでは肉魚こちらでは工芸品と、品物が所狭しと並べられている
唯「クンクン……ねえねえ!なんかいい匂いするよ!」
梓「クンクン……いろんな匂いが混ざっててよくわかりませんが」
唯「甘い匂いだよぉ~、どこからかな?」
梓「甘い匂い……クンクン……こっちからしますね」
そう言って梓は左を指差す
澪「梓、よくわかるな、こんな色んな匂いの混ざってる場所で」
梓「ええと、確かに色んな匂いがするんですが…なんていうか……一つの匂いに集中するとその匂いのありかがわかるんです」
律「盗賊って便利だな~」カンシン
唯「じゃあ、こっちに行ってみよう!」
タタッ
唯は先に行ってしまった
最終更新:2011年03月17日 02:24