時刻は午後4時をまわった頃
初夏の音楽室は柔らかい光で包まれていた
放課後になり、いよいよこの部屋に活気が満ちる……
そこからこの話は始まる
ドア「ガチャ」
澪「おーす、ってまだムギだけか」
紬「あら、澪ちゃんこんにちは」
ドア「バタン」
澪はソファに鞄をおきテーブルに着いた
澪「他の皆は?」
紬「掃除当番で遅くなるみたいなの、先にお茶にしましょ、今澪ちゃんの分も淹れるから」
そう言うと紬は席を立ちティーポットに向かう
澪「ああ、ありがとムギ」
なんだかんだ言いながらも、澪は結構この時間が好きだった
澪「……」
澪には最近ささいな悩みがあった
本当は誰かに相談したかったのだが、
澪は皆の前で言うのは恥ずかしく、なかなか言いだせずにいたのだった
しかし、今音楽室には自分とムギだけ
紬「~♪」カチャカチャ
ムギはこういう時頼りになりそうだし、口も硬そうだ
今ならきけるかもしれない
澪「な、なあムギ、いきなり変な事言って悪いんだけどさ……その、相談にのって欲しい事があるんだ」
紬「?私なんかで良ければなんでも相談にのるわ、はい、とりあえずお茶しながら話しましょ」ニコニコ
澪「うん、ありがと、」
澪「それで相談なんだけど、
最近、さ、なんかやる気起きなくて…歌詞も上手く浮かばないんだ……」
紬「そうねぇ……やっぱりそういう時は気分転換が1番良いんじゃないかしら、澪ちゃんもたまにはゆっくり羽を伸ばした方が良いと思うの!」
澪「気分転換か~、そうだな、今週末はどっかに遊びにいこうかな、他の皆も誘って、ムギも一緒に行くよね?」
紬「うふふ、律ちゃんに
「澪が遊びに誘うなんて、明日は槍が降るな!」
なんて言われそうね」
そう言われ顔を赤くする澪
澪「ムギ!」
紬「あらあらうふふ」ニコニコ
澪(よし、今なら言える!)
澪「それで、もう一つ相談があって、新曲の歌詞を書いてみたんd……
ドア「ガチャバタン!」
律&唯「おっまたせー!!」シャキーン
梓「こんにちはです」ペコリ
紬「あらあら」ウフフ
澪「む、ムギこの話はまた後で!」
律「澪ちゃ~ん、私が居なくて寂しかっただろ~?」
そう言って律は後ろから澪の首に手をまわす
唯「おっ、熱いねお二人さん!」ヒューヒュー
澪「やめろ!ばか!」ゾワゾワ
ゴンッ!
紬「あらあらあらあらあらあらあらあら」ウフフフフフフフフフフフフフ
梓「唯先輩!ムギ先輩が壊れました!」
律「痛っー、強く殴りすぎだろ~」
澪「お前が入ってきていきなりあんな事するからだろ!」
いつもの日常
楽しくて、退屈な
そんな日常がそこにはあった
これからもずっとあるはずだった
唯「そういえば、私たちが来る前に二人で何話してたのー?」
澪(うっ、唯はいつも変な所で鋭いな)
澪「い、いや、今日は良い天気だな~とか」アセアセ
律「怪しいな~」ニヤニヤ
紬「今週末にどこかに遊びに行きましょうって話してたのよ、ね?澪ちゃん?」チラ
澪「そ、そうそう!たまにはゆっくり遊ぼうかなと思って!」
律が唖然とした顔をしている
なんでだ?
唯「ほえっ、2人だけで行くの!?ずるい~!」
唯の言葉で気づく
澪「ち、違う違う!みんなを誘おうと思ってたんだ!!」
身体中の血が上って行くのがわかる
今、私の顔は真っ赤だろう
澪(ムギっ)チラ
紬(あらあら)ウフフ
梓「アイコンタクトとはやりますね、いつの間にそんなに仲になってたんですか?」
律「この浮気ものー!!」
澪「だから、違うって!ムギも紛らわしい言い方するな!」
ワイワイキャッキャ
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律「で、冗談はともかく久しぶりに皆で出かけるのは面白そうだな!」
律「皆、今週末は予定あいてるよな?」
唯「うん、大丈夫だよ!」
梓「私も大丈夫です」
律「それで、どこに行くんだ?」
澪「まだ決まってないよ」
紬が三つのティーカップを持ってくる
紬「はいぞうぞ、これから決めるとこだったの」カチャカチャ
律「お、サンキュ、ムギ、」
唯「じゃあ、今日の部活は今週末の予定を決めようよ!」ワーイ
梓「練習してください!」
澪「みんなはどっか行きたい所ある?」
律「デパート!」
唯「アイス屋さん!」
梓「楽器屋です!」
澪「それじゃいつもと変わんないだろ……
たまにはちょっと違う所が好いよ」
律「って言ってもな~」
律は腕を組んで考えているが、なかなか良い考えは浮かばないようだった
パッ
唯「じゃあ、いつもより美味しいアイス屋さん行こうよ!」キラキラ
梓「唯先輩、マジメに考えて下さい」
紬「ねえ、みんなはTVゲームとか興味あるかしら?」
澪「え?」
律「いきなりどうしたんだ、ムギ?」
唯「私は憂とよくヤるよー」
澪「アクションゲームとかなら少しはやったことあるけど」
梓「なんでいきなりTVゲームなんですか?」
紬「実は今、琴吹グループで新しくTVゲームを開発してるんだけど、そのゲームのテストプレイヤーを探しているの」
唯「ほ~、すごーい」キラキラ
梓「琴吹グループってなんでもありなんですね……」
紬「それで皆にテストプレイヤーをお願いしたいなって思って、ついでに私の家にも遊びにきて欲しいし」
律「どんなゲームなんだ?」
紬「いわゆるRPGって言われるゲームなんだけど……
う~ん、ここで説明するのは難しいわ、実際見てもらえれば早いんだけど」
唯「良くわかんないけどおもしろそう!」ワクワク
梓「全員でできるんですか?」
紬「大丈夫よ、オンラインゲームだから、最大10億人までプレイ可能よ」
澪(絶対オーバーテクノロジーだろ)
唯「じゃあさ、週末はムギちゃんちでお泊り会にしようよ!」
律「いいなそれ!ムギんち行ってみたかったし」
唯「じゃあ、決まりだね!ムギちゃんちにお泊り♪お泊り♪」ワーイ
律「よし、じゃあ週末の予定も決まったし、今日はこれで解散だな!」
澪&梓「練習しろ(して下さい)!!」
かくして、時間は一気に進み週末に
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唯「みんなおはよー!」
紬「唯ちゃん、おはよう」
梓「おはようございます、唯先輩」
律「よし!これで全員揃ったな!」
唯「出発だー!」オー!
澪「ちょっと待て、なんで憂ちゃんと和がいるんだ?」
唯「なんでって一緒にお泊りするからだよ~」
澪「きいてないぞ」
紬「ごめんなさい、昨日唯ちゃんからメールもらって、たくさんの方が楽しいかなって」
和「あら、澪は私たちが一緒じゃ嫌なの?」
澪「い、いや別にそういうつもりで言ったわけじゃないよ、和と憂ちゃんなら大歓迎だよ」
憂「あはは、皆さんよろしくおねがいします」ペコリ
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琴吹邸
紬「着いたわ、ここが私のうちよ」
唯「ほえ~……おっきい~!凄いね、ムギちゃん!ほら!憂!みてみて!」ワクワク
憂「見えてるよぉ~お姉ちゃん」
梓「凄い……」
和「これは…想像以上ね」
律「これ全部家なのか!?」
澪「門から玄関までが遠い」
玄関前
斎藤「皆様、お待ちしておりました」
紬「斎藤、みんなの荷物をお部屋まで運んでちょうだい」
斎藤「かしこまりました」
紬「さあ、みんな行きましょ?」
唯「憂!憂!凄いよ!本物の執事さんだよ!」
憂「そうだね、お姉ちゃん!」(興奮するお姉ちゃん可愛い!)ハアハア
梓(憂の様子がおかしい気がする)
応接室的な部屋
紬「とりあえず、くつろいでてね、今お茶を持ってくるから」
ドア「ガチャバタン」
律「ふ~、なんかここまで来るので疲れたな」
澪「こんな豪華な家見たことないもんな」
ふっとそよ風がなびいて来た
窓の方に顔を向けると、どうやら唯が窓を開けたらしい
唯「凄いきれいなお庭だねぇ~、あ、こっちの棚の上にあるのはなんだろ?」
憂「ダメだよ、お姉ちゃん!あんまりいろんな物に触ったりしちゃ!」
唯「大丈夫だよ~、まったく憂はまた私を子供扱いして!」プンプン
和「唯は昔から変わらないわね」
梓「あはは、唯先輩らしいですね」
窓からは初夏の強すぎない陽光が差し込み、柔らかい風が庭の緑の上を吹き渡ってくる
唯「あー、いい気持ち!ほら、こうやって窓から下を眺めると気持ちいいよー」
憂「お姉ちゃん危ないよ!」アセアセ
和「でも、唯じゃないけど、この景色は素晴らしいわね、本当に」
ドア「ガチャバタン」
紬「みんなお待たせ~」
律「お!待ってました」
紬が全員にお茶を配り終えると、澪が口を開いた
澪「この後は、どうするんだ?」
紬「そうねぇ、とりあえず、ゲームの説明したいから、後で地下室に行きましょ?」
律「そういえば、和と憂ちゃんはゲームの話はきいてるのか?」
和「ええ、なんだか面白そうじゃない、ここだけの話、私けっこうゲーマーなのよ」
唯「和ちゃんすっごくゲーム上手いんだよ!」
律「へぇー、意外だな」
憂「私はあんまりゲームって得意じゃないけど、お姉ちゃんが心配だから…」
梓「憂……過保護過ぎるよ……」
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地下室
階段を降りるとそこは、少し天井が低めの広間の様な場所だった
ワイワイガヤガヤ
唯「ここが地下室?なんだか科学っぽいね!」
梓「科学っぽいってなんですか…」
斎藤「皆さんこちらでございます」
唯「はーい!」
一同は隣の小部屋に通された
そこには、シルバーを基調とした大型の椅子が八席あった
澪「このマッサージチェアみたいのはなんなんですか?」
斎藤「それが、このゲームのコントローラでございます」
梓「?座ってプレイするんですか?モニターは?」
斎藤「いえ、このゲームは完全なバーチャルリアリティを追求した結果、そういった旧来のプレイスタイルは取りません」
斎藤「このゲームでは、プレイヤーの方にこのヘッドセットを装着していただき、椅子に座っていただきます、するとヘッドセットからの特殊な信号によりプレイヤーは完全なるバーチャル世界へと入ることができます、バーチャル世界では、手触りまで完全に現実を再現していて、現実世界と遜色ないもう一つの世界を体験していただけます」
一同
ΩΩΩ<な、なんだってー!
最終更新:2011年03月17日 02:11