梓「貸して。没収です」バシュッ

律「なっ!なんでだよっ返せよ!」

梓「駄目です、校則違反です」

律「違反じゃねーし!」

梓「いいから」

律「全く・・・持っててもいいけど、なくすなよ?」カチャカチャ

梓(・・・むしろ今すぐ窓から放り投げたい・・・)

律「・・・」タンタンッタンタン

梓「今度は何してるんですか?」

律「音の調整だよ」タンッ・・・カチャカチャ

梓「へー」

律「よし、大体こんなもんかな」タンッ

梓「それで、どうするんですか?」

律「あとはドラムセットに組み込んで、適当に叩いて微調整だな」

梓「へー。ドラムのチューニングって、めんどくさいですね」

律「ああ、でも毎日やるわけじゃないからな」カチャカチャ

梓「たまにでも嫌になりそうです・・・」

律「そうか?まあ、決まった音もないし、好きな音に仕上げりゃいいんだから楽しいぜ?」

梓「そういうもんですか?」

律「おうっ」

律「・・・」ドドッタッドン

梓「いつもこれだけ真面目にやってくれればいいのに・・・」

律「ま、まあそう言うなって」ドッチタンドド

梓「むー」

律「ごめんってば」カチャカチャ

梓「・・・どうですか?」

律「どうって・・・ああ、スネアか?」

梓「ええ」

律「おう、いい感じだぞ。もうそろそろおしまい!」

梓「ドラムのチューニング、見てて楽しかったですよ」

律「本当か?」

梓「ええ、ありがとうございます(まあカチューシャ取った先輩見れた喜びの方が数倍大きいんですけどね)」

律「そうだ!」

梓「今度はなんですか」

律「梓、よかったら少し叩かないか?」

梓「へ!?・・・いいですよ、遠慮します」

律「えーちょっとだけだってー」

梓「私、ドラムと相性悪いんですよ」

律「叩いたことあるのか?」

梓「昔お父さんの仕事について行って、そこのスタジオで叩かせてもらったことがあるんですよ」

律「おー、さすがサラブレッド!」

梓「なんですか、それ。とにかく!私はドラムに向いてないんです」

律「そうなのか?」

梓「ええ、てんで駄目です。8ビートもろくに叩けませんでした」

律「うっわ・・・」

梓「気まずそうにしないでくださいっ」

律「・・・よし、教えてやるぜ!」

梓「・・・人の話、聞いてました?」

律「いいからいいから、ほら。座って座って」

梓「えー」

律「ほら、早くー」

梓「ちょ、ちょっとだけですよ?」ドカッ

律「えーと、右足のペダル、ちょっと踏んでみ?」

梓「こうですか?」ドンドンドン

律「そう、それがバスドラムだ」

梓「いや、それくらい知ってますよ」

律「そっか」タハハ

梓「それで、左足のペダルがハイハットですよね?」

律「正解!そんじゃー梓」

梓「はい?」

律「今日は8ビート覚えて帰ってもらうからなー?」

梓「・・・本気ですか?」

律「あたぼうよ!」

梓「いきなり叩けって言われても・・・って、へ!?///」

律「ん?どうした?」

梓「せせせ先輩、なんで後ろから抱きつくんですか!///」

律「なんでって・・・ほら、こうやって私が梓の手持って一緒に叩いた方がわかりやすくないか?」

梓「そそそれはそうですけど・・・!///」

律「なんだ?照れてるのか?」

梓「そんなワケなんじゃないですか!///」

律「変なの。よし、じゃあやるぞ?梓、まず左足のハイハット、踏んでくれ」

梓「こ、こうですか?」

律「そうそう、そうしたらシンバルが重なってチッチッて音になるからな。・・・足、離すなよ?」

梓「わ、わかりました・・・(先輩、顔近い・・・息が耳にかかる・・・!)」

律「よし、そんじゃ準備オッケーだな?まずは右手と左手から行くぞー?」

梓「は、はい・・・!///」

律「いくぞー」

カーン!

律梓「うわ!?」

律「よっと!」ズイッ

カシャン!

律「こら、梓ー!左足は踏んでろって言っただろー?足離したからあんな音になるんだぞ?」

梓「」

律「あー、ビックリした・・・」

梓「私の方がビックリですよ!///」

律「へ!?」

梓「先輩、本当に顔近いですって!///」

律「ん、ああ、ごめん///」

梓「ただでさえ抱きつかれてるのに、なんでさらに顔を寄せてくるんですか!///」

律「だから、ペダルを踏むために1歩前に出たんだよ、しょうがないだろー?」

梓「だからって・・・!///」

律「むー・・・そんなに嫌だったか?」

梓「嫌!・・・じゃ、ないですけど」

律「そうか、悪かったな・・・って、嫌じゃないのかよ」

梓「先輩、ちょっと・・・本当に、一回離れてくださいっ・・・///」

律「あ、ああ、そっか」スッ

梓「・・・はぁ・・・(ドキドキし過ぎて死ぬかと思った・・・)」

律「おーい、梓ー?大丈夫かー?」

梓「先輩の・・・ばかっ」

律「ごめんってば。そうだよなー、あんな顔近くに寄せたんだもんな」

梓「そうですよ・・・!///」

律「キスの一つでもしないと駄目だったよなー反省反省」ウンウン

梓「そうですよ、って・・・はい?///」

律「ん?」

梓「えっと・・・///」


律「いや、冗談だって」

梓「・・・死ね」

律「ひでぇ!ストレート過ぎやしないか!?」

梓「律先輩の・・・ばか!」ダッ

律「おい!梓!」

梓「ついてこないでくださいっ!」バタン!

律「こら!待てよ!」ダッ

梓(私の気も知らないで・・・あんな冗談言うなんて・・・!どこか・・・人のいないところで泣こう・・・)

律「おい、梓!・捕まえたぞ!」ガシッ



梓「」

梓「なんでここで追いついちゃうんですか!」

律「え、あ、いや、ごめん」

梓「離してください!」グッ

律「って、おい!引っ張るなよ!」グラッ

梓「へっ!?」グラッ


ゴロゴロゴロ!

律「いってー・・・!階段から落ちるとか、どんだけだよ・・・」イタタ

梓「いたい・・・」

律「あ、あれ?どうして、私が目の前にいるんだ?」

梓「・・・へ?」

律「えっと・・・入れ替わっちゃった、とか・・・?」




梓「」


律「どうしよう!」


梓「あんたの頭の中が今日一番の『どうしよう!』だ」


律「」


梓「入れ替わってないですよね、私たち」

律「・・・バレた?」

梓「そんなベタな話は認めません」

律「ちぇー」ブー

梓「・・・もういいです、音楽室に戻りましょう」

律「おうっ」



律「なあ、なんで急に走ったりしたんだ?」

梓「・・・運動がしたい気分だったんですよ」

律「そっかー♪って、んなわけあるか!」

梓「律先輩が・・・あんなこと言うからです」

律「あ、あんなことって?」

梓「あんなことはあんなことです」

律「わかんねーよ!」

梓「冗談の話・・・」

律「ああ、キスがどうの~ってか?」

梓「そうですよ。私・・・本当にドキッとしたんですから・・・///」

律「おおう、梓がいつになく素直だ・・・!」カンドー!

梓「茶化さないでください!」

律「うっ、ごめん」

梓「全く・・・って、へ?ビックリしないんですか?」

律「何が?」

梓「だから、その・・・ドキッとしたって・・・」

律「うん?」

梓「だーかーらー!///・・・キス、してくれるのかと思って・・・私、嬉しかったんですよ?」

律「・・・あー、うん」

梓「」

梓「・・・なんでビックリしないんですか、マジで」

律「ものすごく噛み砕いて言うと、『律先輩のこと好きって言ってるのに、どうして動じないんですか?』ってことだろ?」

梓「ちょちょっと!///・・・そ、そうですよ!!///」

律「いや、だって・・・」

梓「なんですか!」

律「・・・結構前から気付いてたし」




梓「」


梓「ききき、気付いてたってどういうことですか!!///」

律「なあ、梓」

梓「はい?///」

律「・・・私、流石にそこまで鈍感じゃないぞ?」

梓「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」ベキッ

律「大きい声を出すな!っていうか私のカチューシャがぁぁ!!!」

梓「なんで気付いてたら言ってくれないんですか!」

律「ばかっ!恥ずかしいからに決まってんだろ!///」

梓「意味わかんないです!」

律「わかれよ!どんだけ鈍いんだよ!」

梓「何が!?」

律「だから、私もお前のこと好きなんだからなかなか言い出せなかったんだよ!バカ!」

梓「よっしゃぁ!好きって言わせてやった!!」



律「」


律「おい、ちょっと待て、どういうことだ」

梓「律先輩が『ばかっ!恥ずかしいからに決まってんだろ!///』って言ったときに気付きましたよ!」

梓「先輩の気持ちにね!」

律「な!?なのにお前、気付いてないフリしたのかよ!!」

梓「これでお互い様ですよーだ!」

律「こらー!」ガオー

梓「きゃー!」キャイキャイ

律「全くっ、お前ってヤツは!」プンッ

梓「・・・ふふ」クス

律「・・・ふ、ははは」クス

律梓「あははは!」

律「あーもー・・・なんてーか、私たち・・・」ヒーヒー

梓「な、なんですか?」ヒーヒー

律「バッカみてー」

梓「あはは、確かに」クスクス

律「・・・梓」

梓「はい?」

律「本当は・・・もっと早くこうして笑い合えたハズなのに・・・ごめんな?」

梓「な、なんで先輩が謝るんですか!」

律「私は梓の気持ちに気付いてたのに・・・私も好きだよって、言ってやれなくて・・・ごめん」

梓「そ、そんなこと・・・どうだっていいですよ///」

律「そ、そうか?」

梓「はい、今こうして先輩と笑い合えてるから・・・それで・・・チャラにしてあげないこともないです」

律「おいっ!とことん素直じゃないな、お前は」ジー

梓「素直じゃないって分ってるなら・・・私の本当の気持ちだって、分ってるんですよね?」

律「も、もちろんだ!・・・でも、たまには素直になれよ」

梓「はい、またの機会に善処します」

律「今ぁぁ!!今善処してくれよ!」

梓「え、えー・・・えっと、それじゃ、律先輩・・・?」

律「んー?」

梓「その、さっきの冗談なんですけど・・・」

律「おう」ニヤニヤ

梓「冗談じゃなくしてください」

律「うーん、どうしようっかなー?」

梓「う゛っ・・・ひどいです・・・!」

律「ま、梓にしちゃ、素直になった方・・・かな?」

梓「え、じゃあ・・・!」パァァ!

律「梓、もっとこっち来いよ」

梓「・・・」モジモジ

律「あれ?来ないのか?」ニヤニヤ

梓「うぅ~・・・///」スリスリ

律「いや、近すぎだろっ///」

梓「律先輩がこっち来いって言ったんじゃないですかっ・・・///」

律「そ、そりゃ、そうなんだけど・・・///」

梓「・・・して、くれますよね?」

律「うっ・・・!」ドッキーン

梓「先輩?」

律「あ、あぁ、するよ・・・目、閉じろよ///」

梓「はい・・・///」


チュッ


律「ほほほほら!しししたぞ!///」

梓「~~~!!///」

律「こ、これでいいだろっ!///」

梓「は、はい・・・///」

律「梓がしてくれって言ったからしたんだからな!?私の意思じゃないからな!?」

梓「いや、役割分担が滅茶苦茶ですよ、先輩はツンデレじゃなくていいんですって!っていうか、何をいまさら・・・」

律「っだぁぁー!!細かいことはいいの!///」

梓「あ、はい」

律「・・・私たちさ、付き合うの?」

梓「そ、そりゃもちろん///」

律「そっかー、じゃあみんなに報告しないとだな!」

梓「えぇ、なんと!私たち付き合うとことになりましたー!みたいな感じで」

律「おう!やっと付き合えましたぁ!って言っとくか」ニヤニヤ

梓「なんですか、その言い方・・・まるで・・・」

律「おう、私たちが両想いだっていうのはみんな知ってるぞ?」

梓「いやぁぁぁぁぁ!!!」ベキョベキョベキョ!

律「あぁぁぁぁ!!私のカチューシャ(だったもの)が粉々にぃぃぃ!!」





おわり