ドオオオオオオオオオオオオオオン!!!


唯「なっ!?」

迎えは来なかった

柔らかい光をなぎ払うように、赤い熱線が同じく円盤から発射され立花姫子を直撃したのだ

立花姫子の姿は跡形もなく消え、彼女が立っていた場所の草が焼けこげて赤く光っているだけだった


唯「…………!」


本当の自分に会わせてくれる、そんな"船"を信じた立花姫子はエイリアンから与えられた任務を放棄した

結果

自分が最期の一瞬まで信じ続けた"船"自身に殺されたのだ

シュウウウウウウウウウウウウ

目的が失敗に終わった"船"は、地球から脱出しようとしていた

唯「……許さない」

唯「……」バッ

唯「レオ――――――!!!」

キュイイ キュイイ キュイイ

ドーン

唯『…………』キッ

唯『……!』


ドオオン!     ドオオオオオン!!!
    ドオオン!!     ドオン!     ドオオン!!


大地に佇む赤い巨人を確認した"船"が唯に向かって攻撃を開始した

だが


唯『………………』


唯は攻撃を避けることも防ぐこともせず、ただその場に立っていた


シュウウウウウウウウウウウウ

残弾が尽きたのか、あるいは逃げるが勝ちと悟ったのか
"船"は光弾による攻撃を止め、逃亡することに専念し始めた


唯『…………』


それをも唯はただ見ていた

そして


唯『…………ううううう』

唯『うわあああああああああああああああ!!!!!』バッ


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


怒りの叫びと共に放たれたのはエネルギー光球
レオ最強の必殺光線だ


光線と"船"の距離はみるみる縮まり

遂に


ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!


直撃

大気圏外にて、"船"は爆破四散したのであった


"船"が消滅し、しばらく経ってから朝が来た
律、澪、紬はまだ例の倉庫から戻っていなかったため、部室には唯と梓の2人きりだった


梓「お疲れ様です、唯先輩」

唯「……うん」

梓「……」

唯「……」

梓「……唯先輩」

唯「なに?」

梓「……私にはやっぱり"船"を望む人たちの気持ちは分かりません」

唯「……そっか」



船はいつ、どうやって姫子と接触したのか
最後まで姫子と"船"の関係は、謎のままだった


おしまい





唯「宇宙にきらめくエメラルド~♪」カキカキ

憂「お姉ちゃん、何してるの?」

唯「ん~?」

唯「国語の授業中に描いた怪獣の絵がすっごくよく描けたからね」カキカキ

唯「色塗りしてるの」ヌリヌリ

憂「へぇー」

憂「あ。ホントに上手」

唯「でしょー」ヌリヌリ

憂「でももう遅いから適当なとこで寝てね」

唯「はーい」カキカキ

唯「……よし、かんせーい!」ジャーン

唯「いやいや我ながら惚れ惚れする出来映えだね」

唯「そーだ。せっかくだから名前付けてあげようかな」

唯「うーん……」

唯「お」

唯「モンスー太、モンスー太にしよっ!」

唯「うーん、いい名前。私命名の才能があるのかもね ……うひひ」

唯「……名前も決まったところでそろそろ寝ようかな」

唯「おやすみ、モンスー太」

唯「……zzz」



その夜
大熊座M81星雲から謎の宇宙生命体が飛来、唯の落書き モンスー太に取り憑いた

しかし
その事実に誰も気づかないまま次の日の朝を迎えることとなるのであった


唯「おはよー」

律「おはよ」

唯「今日はみんなに見せたいものがあるんだー」

紬「なになに?」

唯「ふっふっふっー。見て驚くなかれ!」

唯「最強怪獣モンスー太だよ!」ジャーン

澪「モンスター?」

唯「モンスー太!」

紬「わっ、上手!」

律「色まで塗って凝ってるなぁ」

唯「でしょでしょー?」

澪「いつの間にこんなの描いたんだ?」

唯「昨日の国語の授業中に下書きして、家で色塗りしたんだー」

紬「へぇー」

律「ちゃんと授業聞けよう」

唯「ぶー。そういうりっちゃんだって60分中65分寝てたクセにー」

律「バ、バレてたか……」

澪「いや時空歪んでるし」

紬「それはそうと1時間目は体育だけど、着替えないの?」

唯律澪「……忘れてた!」

 イソゲー!   ワー!

   ハヤクハヤク!

ドタバタドタバタ―――――――――――





ノート「……」



謎の宇宙生物がとり憑いた唯の落書き
慌てて教室を飛び出した唯たちはその落書きが描かれたノートを開いたままにしてしまった

そのため

唯の落書き、最強怪獣モンスー太に真夏の日光が降り注いだ


ズズズズズズズズズズズズズズ

なんやかんやで不思議なことが起こって


モンスー太「ピギイイイイイイ!!」


モンスー太は実体化してしまった!


モンスー太「ピギイイイイイ!!」

ガラガラガラ―――――



茜「きゃー! 校舎から怪獣ー!!」

佐々木「こ、校舎が崩れたー!!」

 キャー!  ワー!

   イヤー! ギャー!



律「お、おい」

澪「あれって……」

紬「さっきの……」

唯「モンスー太!」

モンスー太「ピギイイイイイ!!」


唯「手に槍、歯に牙、足には鉤爪、肘には刃、刺々しい体表、尖った角に鋭い眼、長い尻尾と腹部のレーザー発射口……」

唯「間違いない! あれモンスー太だよ!」

律(類い希なる"ぼくの考えたさいきょうのかいじゅう"だったんだな……)

律「でも、落書きが本物の怪獣に……?」

紬「……確か別の怪獣が同じように具現化してたはず。あれは……」

澪「待って、今はそんなこと言ってる場合じゃないぞ!」

澪「体育の授業でたくさんの生徒が運動場に出てるからチェスターは発進できない」

澪「このままじゃ怪獣は暴れたい放題だ!」

律「そうだった!」


モンスー太「ピギイイイイイイ!!」


律「い、急がなきゃ!」

律「誰か変身アイテム持ってきてるか!」

唯「体育だから教室に置いてきちゃったよ……」

紬「私も……」

律「私もリーフラッシャーはかさばるから鞄に入れっぱなしだし……」

澪「となると」

澪「今戦えるのは運動場に歯ブラシを持ってきた私だけ」

澪「久しぶりに私の出番



キュイーン

メビウス(梓「せやーっ!」バーン



唯「あずにゃん!」

澪「えっ」


唯「頑張って、あずにゃ……メビウス!」


放課後ティータイムがウルトラマンであることはみんなには秘密なのだ


メビウス(梓『はい!』

メビウス(梓『……いくぞ!』

メビウス(梓「せやっ!」ブンッ

モンスー太「ピギイイイ!!」フッ

メビウス(梓『えっ!?』


澪「メビウスのパンチが怪獣をすり抜けた……?」

律「唯、あの怪獣にはあんな能力があるのかよ!」

唯「な、ないよ、そんな設定! 火は吹くけど」

紬「えっ」


モンスー太「ピギイイイ!」


ボオオオオオオオオオオオオオ!!!


メビウス(梓『にゃ―――! 熱っ、熱っ!!』ジタバタ


メビウス(梓『このお……』グッ

メビウス(梓『メビュームブレード!』シャキーン

メビウス(梓「しぇあっ!」ブンブン

モンスー太「ピギイ!」フッ

メビウス(梓『……くぅっ!』


律「ダメだ、メビウスの攻撃が通用しない!」

紬「このままじゃメビウスが……」


メビウス(梓『あっ!』ピコンピコン

モンスー太「ピギイイイ!」


紬「カラータイマーが!」

澪「……」キョロキョロ

澪「……律! 校庭に人がいなくなった。チェスターが出せるぞ!」

律「そうか。よし! 全員部室に移動だ、梓を援護する!」

唯「待って!!」

律「ん?」

唯「見て」



モンスー太「ピギイイイ!」

メビウス(梓『……ん?』ピコンピコン

モンスー太「―ギイ――!」スー

メビウス(梓『……なんか色が薄くなってく』ピコンピコン

―ンス――「―ギ―イイ――」スー

――「――イ―」スー

―「」



メビウス(梓『……き、消えた?』ピコンピコン


紬「カラータイマーが!」

澪「……」キョロキョロ

澪「……律! 校庭に人がいなくなった。チェスターが出せるぞ!」

律「そうか。よし! 全員部室に移動だ、梓を援護する!」

唯「待って!!」

律「ん?」

唯「見て」



モンスー太「ピギイイイ!」

メビウス(梓『……ん?』ピコンピコン

モンスー太「―ギイ――!」スー

メビウス(梓『……なんか色が薄くなってく』ピコンピコン

―ンス――「―ギ―イイ――」スー

――「――イ―」スー

―「」



メビウス(梓『……き、消えた?』ピコンピコン


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最終更新:2011年03月13日 00:23