唯「おはよー」

律「おっはー」

澪「古っ!」

律「今日は遅刻しないでこれたな」

唯「へへーん」

唯「私はやればできる子なんだよ」

紬「あらあら」

澪「でも遅刻じゃないだけでかなりギリギリだけどな」

律「今日、休み多いから唯も休みかと思って心配したんだぞ」

唯「今日休み多いの?」

紬「ええ。立花さんに高橋さん、それに三浦さんと山本さんがお休みなの」

唯「へぇー」

唯「ってそういえば、姫子ちゃんって最近ずっと休んでるね」

澪「確かに」

ガラッ

さわ子「はーい、HR始めるわよー」
――――――――――――――――――
――――――――――――――

さわ子「今日の連絡はそんなところです」

みんな「はーい」

さわ子「あ。田井中さん、平沢さん、琴吹さん、秋山さんの4人は」

さわ子「用事があるからこの後ちょっと音楽室に来てちょうだい」

律「え? 私たち?」

さわ子「そうよ。よろしくね」

さわ子「それじゃ、HRはこれでおしまい」


キリーッ レー アートーゴザマシター

律「呼ばれて飛び出て来たのはいいけど……」

唯「誰もいないねー」


ガチャッ


律「! せんせ……

梓「失礼しまー……って先輩!?」

唯「あずにゃん!」

梓「あ、あれ? 先輩、なんでこんなとこに?」

キーンコーンカーンコーン

唯「あ。授業始まっちゃった」

澪「私たちはさわ子先生に呼ばれて来たんだけど」

紬「梓ちゃんもなの?」

梓「あ、はい。そうです」

澪「……軽音部集めて一体何をする気なんだ?」


ガチャッ

さわ子「みんな揃ったわね」

律「さわちゃん!」

唯「授業始まっちゃったけど用事ってなにー?」

さわ子「ええ。順を追って説明するからちょっと待ってね」

さわ子「まず、今日からみんなにはしばらく学校は休んでもらうわ」

澪「はぁ!?」

紬「な、なんでですか!」

さわ子「ここ最近、桜ヶ丘で失踪事件が相次いでるのは知ってる?」

唯「失踪事件?」

律「ニュースでもやってるじゃん」

唯「え? そうなの?」

梓「そうですよ」

梓「なんでも、これまで3件で40人も蒸発してる前代未聞の集団失踪事件だとか」

唯「へぇー」

澪「それでその失踪事件がどうかしたんですか?」

さわ子「ええ。その失踪事件がね」

さわ子「エイリアンの手によるものだと判明したの」


みんな「エイリアン!?」


さわ子「そうよ」

紬「じゃあエイリアンが人々をさらってるって言うんですか?」

澪「一体何のために……」

さわ子「それも含めてみんなに調査をしてほしいのよ」

律「なるほど。それで学校を休め、と」

さわ子「そういうこと」

唯「でも手がかりもなしに調査なんて……」

さわ子「被害者の名簿や情報はあるからそれを手がかりに調査してちょうだい」

さわ子「それと」

梓「それと?」

さわ子「被害者の1人が失踪の直前に周囲にこう言ってたそうよ」

さわ子「『私は"船"に乗るんだ』って」

紬「船、ですか?」

律「それってフェリーとかそういうの?」

さわ子「それはわからないわ」

澪「ふーん」

唯「……」

梓「唯先輩、どうかしたんですか?」

唯「え、あ。うん、ちょっとね」

律「ちょっとどうしたんだよ」

唯「ちょっと心当たりが、ね……」

さわ子「ええっ!」

紬「一体どんな心当たりが?」

唯「あ、いや。確実な心当たりでもないし」

唯「私、ちょっと別行動してもいいかな?」

律「その心当たりについて調べたいのか」

唯「うん」

澪「いいんじゃないか?」

澪「被害者名簿だけじゃ手がかりとしては弱いし」

澪「調べられるものがあるならなんでも調べた方がいいよ」

唯「ありがとう、澪ちゃん!」

律「よーし」

律「調査、始めるか!」

みんな「おーっ!」

唯「じゃあ私、ちょっと外で調べてくね」

律「おう、いってらっしゃい」

ガチャッ




さわ子「それじゃ被害者の名簿、渡しとくわね」

紬「あ、はい」

律「へぇー、こんなにいるのか」パラパラ

梓「会社員から学生まで、まさに多種多様ですね」

澪「……ん? 律、ちょっとストップ」

律「え?」

澪「……」

澪「……先生」

さわ子「なに?」

澪「ここに書いてある高橋風子って……」

さわ子「……ええ。うちのクラスの高橋さんよ」

律澪紬「!」

さわ子「ちなみに"船"の話をしていたというのも高橋さんよ」

澪「そ、そんな……」

さわ子「気持ちはわかるけどここでグダグダしてても始まらないわ」

さわ子「私はもう行くけど、調査頑張ってね」

ガチャッ バタン



紬「……さっそく始めましょう」

律「そうだな」

律「とりあえず、私と澪は高橋さんちに行ってみる」

律「その名簿を元に被害者の共通点とかを探してみてくれ」

梓「はい」

紬「わかったわ」


唯「私が単独調査なんていつぶりだろう」テクテク

唯「……」テクテク

唯(……あれは、2週間前だったかな?)テケテク






唯『お腹がなくから帰ろ~♪』テクテク

唯『……あれ?』

姫子『……』スタスタ

唯『あ、姫子ちゃんだ』

唯『おーい、姫子ちゃ――ん!』

姫子『! ……平沢さん?』

唯『あー、やっぱり姫子ちゃんだ』

唯『今日学校休んでたよね? どうしたの?』

姫子『別に何も……』

唯『ふーん』


唯『じゃあ体調とかは大丈夫なんだ?』

姫子『まあね』

唯『良かったぁ。安心したから私、帰るね』

姫子『あぁ、そう……』

唯『バイバーイ!』テクテク

姫子『……』

唯『~♪』テクテク

姫子『……平沢さん!』

唯『?』

姫子『ちょっと話があるんだけど』

唯『なに?』

姫子『……』

唯『?』


姫子『……"船"に、乗ってみない?』


唯『船?』





唯(……あの時は特に興味ないって言って別れたけど)テクテク

唯(姫子ちゃんが言ってた船ってこの事件に関係あるに違いないよ)テクテク

唯(だから姫子ちゃんを探し出せれば、きっと……)テクテク




梓「はぁー」

紬「ため息なんてついちゃって」

梓「でも、ムギ先輩」

梓「この名簿、どんなに眺めたって被害者の共通点1つ上がってこないんですよ?」

紬「それはそうなんだけどねえ」

梓「名簿に従って被害者について聞き込みしたって」

梓「みんな口を揃えて『勤勉で優等生タイプだった』なんて」

梓「そんないらないところで共通項発揮されても困ります!」

紬「私に怒られたって、私が困るわ」


梓「こうなれば」

紬「こうなれば?」

梓「被害者の動きを完全に監視してやりましょう!」

紬「……え?」

梓「ほら、このNo.027のマサキ ケイゴさん」

梓「この人が勤めてる会社ってセキュリティーが厳しいことで有名なんですよ」

梓「だからその会社に行って……」

紬「監視カメラの映像を見せてもらうのね!」

梓「はい!」



だがしかし

一介の女子高生風情に会社が監視カメラの映像を提供するわけもなく
紬の実家の介入(わいr)がある、これから90分後まで2人は立ち往生するハメになったのだった


律「ぬゃー!」

澪「……どんな発音だ、それ」

律「まさか高橋さんちがこんなに遠いとは……」

澪「そうは言ってももう着くんだけどな」

律「あのマンションに住んでるんだっけ?」

澪「名簿ではそうなってた」

律「ふーん」





澪「……ここだ。この部屋だ」

律「よし。いくぞ」

ピンポーン



シーン

澪「……」

律「……む」


ピンポーン ピンポピンポピンポピーンポーン


澪「人んちのチャイムで遊ぶな!」スパーン

律「あいてーっ!」

澪「まったく、律は幼稚なんだから」

律「だ、だって誰も出ないからさー」

澪「当然だよ。高橋さんは1人暮らしだったんだから」

律「……それを先に言えよ!」

澪「さ、管理人さんとこ行って鍵借りてこよ」

律「仕切るなよ!」



ガチャリ

澪「これが高橋さんの部屋か」

律「なんか散らかってるな……」

澪「いや、これは散らかってるというより……」

澪「テレビもパソコンもつけっぱなしで」

澪「ペットボトルのふたは開きっぱなしだし」


澪「慌てて飛び出して部屋がそのままって感じじゃないか?」

律「なるほど言われてみれば」

澪「うーん……」

律「?」


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