今からおよそ40年前

地球は、怪獣や侵略者の脅威に晒されていた

人々の笑顔が奪われそうになった時、遥か遠く、光の国から彼等はやって来た

「ウルトラ兄弟」と呼ばれる、頼もしいヒーローたちが

そして今、ウルトラの父は、一人の若き勇者を地球へと送った……

その名は………


律「私だよんっ!」

梓「いや私たちもいますから」


というわけではじまりはじまり

唯「はふぅ」

律「今日も今日とて暇だねぇ」

梓「暇なら練習でもしたらどうですか?」

唯「それは無理」キリッ

律「私たちはお茶を飲むのに忙しいからな」キリリッ

梓「えー」

澪「まあまあ」

澪「いいんじゃない? たまにはのんびりしても」

梓「澪先輩まで……」

紬「梓ちゃん。今日のお菓子はたい焼きだけど、食べる?」

梓「いただきます!」

ビーッ ビーッ ビーッ


ガチャッ

律「もしもーし」

さわ子「はいはーい」

さわ子「突然だけど、F地区の高井山で怪獣の卵が見つかったらしいの」

律「卵?」

さわ子「えぇ」

さわ子「それでね、今日はちょっとそれを見に行ってほしいのよ」

律「はーい」

さわ子「よろしくね」

ガチャッ


律「よーし、みんな。山行くぞ、山ー」

唯「山かー」

梓「え? あ、あの、たい焼きは……?」

紬「お預けね♪」

梓「うわー……」



律「HTT出動ー!」

みんな「おー!」

梓「……はぁ」


ワン ダー ダバダバダー ダバダバダー ダバダバター

バシュ―――――――ン

唯「ワンダバダ~~♪」モグモグ

梓「……」

唯「ダバダバダ~~♪」モグモグ

梓「……唯先輩」

唯「なに~♪」モグモグ

梓「どうして機内にたい焼き持ち込んでるんですか!!」

唯「おいしいからに決まってるじゃん♪」モグモグ

梓「……理由になってません!」

律「梓ー。あんまり大きな声出すなよ。うるさいだろー」モグモグ

澪「そうだぞー」モグモグ

梓「あっ! た、食べてる!?」

紬「大丈夫よ、梓ちゃん」モグモグ

梓「ムギ先輩!」

紬「梓ちゃんの分は保冷剤と一緒にちゃんと部室に置いてきたから!」モグモグ

梓「……も、持ってきてくださいよ」

梓「……」

梓「……くすん」


―――――――――――――――――――――

唯「見えた! 高井山だよ」

梓「……早く着陸しましょう!」

唯「ど、どうしたの急に?」

梓「いつまでもメソメソしてるのは性に合いません」

梓「早く済ませて、早く帰って、早くたい焼きを食べることにしました!」

紬「あらあら」


律「お、あの辺が広くて良さそうだな」

律「澪。着陸してくれ」

澪「りょーかい」


シュウウウウウン

梓「それで! その変な卵っていうのはどこに!」

唯「そ、そんなに急がなくても卵は逃げないってば……」

律「えー、と。ここからだいたい3kmくらい西だな」

澪「遠いなぁ……」

紬「1時間は歩かないといけないわね」

律「山だからな」

唯「お散歩だと思えば楽しいよー」

梓「そんなお気楽じゃダメです! ダッシュしますよ、ダッシュ!」

唯「ええっ!?」


―――――――――――――――――――――

澪「はぁ……はぁ……」

紬「いい運動だったわ♪」

唯「つーかーれーたー」

律「歩いて1時間の山道を30分で来たんだもんな……」

梓「先輩、先輩。卵はどこですか?」

律「んー?」

律「もらった資料ではこの辺だって言われてるんだけど……」

唯「卵なんて見当たらないよー」

律「資料によると卵と言うより小さめの丸い岩って感じらしいぞ?」

澪「そんなのも見当たらないな」

梓「資料読み違えてるんじゃないですか?」

律「ないない」

律「ほら、F地区第4ブロックポイントK―76って書いてあるだろ?」

唯「ホントだ」

紬「でも実際卵はないのよね」

梓「のんびりしてるから卵が逃げちゃったんですよ!」

澪「そんな馬鹿な……」

律「とりあえず、ここら一帯をもうちょっとよく探してみよう。考えるのはそれからだ」

みんな「おー」


律「とはいえそんな簡単には見つからないよなー」

律「……ふぅ」

律「みんなはどんな感じかな?」


梓「毎日毎日♪ 僕らは鉄板の~♪」

梓「上で焼かれてやんなっちゃうよ~♪」


唯「あ、バッタ!」

唯「こっちにはてんとう虫!」


澪「あの雲ハート型してる……」

澪「ふふっ」


律「……」

律(……誰も真面目に探してない!)

紬「りっちゃん、りっちゃん」

律「ん? ムギ?」

律「どしたん?」

紬「ほら見て。ここ」

紬「石か何かが置いてあったみたいに地面がへこんでる」

律「……ホントだ」

紬「それでね」

紬「ほら。このすぐ近くを車が通った跡があるの」

紬「この先は林道になってるんだわ」

紬「そしてこの辺、妙にたくさん人の足跡がついてるのよ」

律「……むむむ」

律「それってつまり……」

梓唯澪「誰が車で卵を持ってっちゃったー!?」



紬「推測だけどね」

梓「じゃあもう帰りましょうよ」

律「そうもいかない」

律「忘れたのか? あれは、怪獣の卵だ」

律「ほったらかしにはできないよ」

梓「む……。なんて厄介なことを……」

澪「それで? 私たちはこれからどうするんだ?」

律「うん。車の通った跡があるからそれを辿っていこうと思う」

唯「歩いて?」

律「2人だけな。残りの3人はチェスターで空から調査だ」




唯「じゃあ、組み分けじゃんけんしよっか!」

みんな「じゃーんけーん―――――――


梓「……私、もう二度とチョキなんて信用しません」

唯「まあまあ、そう言わずに」


梓「とりあえずこの林道をたどればいいんですよね」

唯「とりあえずはね」

梓「よーし。早く行って、早く帰りましょう!」

唯「た、卵が見つからないと帰れないってば」

梓「すべてはたい焼きのために!」

唯「き、聞いてないし……」

律「うん。すっかり忘れてた」

律「じゃんけんに勝ったのはいいけど」

澪「チェスターの着陸場所までまた1時間、か……」

紬「~♪」

律「ムギはへっちゃらそうだなぁ」

紬「ふふふ。ダイエットだと思えばむしろ走りたいくらいよ♪」

律「なるほどねー」

澪「……律、走ろう!」

律「え」

……

梓「……」

唯「ワンダバダ~♪」

梓「……先輩」

唯「なにー?」

梓「暇ですし、しりとりでもしませんか?」

唯「おぉーいいねー」

梓「じゃあ、しりとりの"ち"からいきましょう」

唯「おー」


梓「ちり」

唯「り、り、り…… リス!」

梓「すり」

唯「りー…… リズム!」

梓「むり」

唯「……リサイクル!」

梓「るり」

唯「りいぃぃぃぃ……?」

唯「あ!」

唯「りょうり!」

梓「倫理」

唯「うわっ!」


のんきなものである


唯「りぃー……?」

梓「~♪」



梓「……あれ?」

唯「どしたの、あずにゃん」

梓「ほら。あそこに山小屋がありますよね」

唯「うん。軽トラが止まってるね」

梓「その、軽トラの積み荷が……」

唯「……」

唯「……なんか卵っぽいね」

梓「ですよね……」


唯「ちょっと行ってみよっか」

梓「はい」


ガチャッ

唯「おじゃましまーす」

梓「しまーす」

恵「あら、こんにちは」

唯「こんにちはー」

梓「こんにちは」


梓「あの、すいません。表に止めてある軽トラって……」

恵「?」

恵「私のだけどどうかしました?」

梓「あのですね……」

唯「……あずにゃん、あずにゃん」チョイチョイ

梓「……何ですか、唯先輩。人が喋ってる時に邪魔しないでくださいよ」ヒソヒソ

唯「いや、ほら。その人。なーんか見覚えない?」ヒソヒソ

梓「見覚えなんてあるわけ……?」ヒソヒソ

梓「? ……ジー」

恵「……?」

梓「……ん?」

恵「……あれ?」


梓恵「……あっ!」


梓「……もしかして去年の桜高の会長さんですか?」

恵「そういうあなたたちは軽音部の……」

唯「はい! 3年の平沢と」

梓「2年の中野です」

恵「ふふっ。こんなところで会うなんて奇遇ね」

恵「そういえば秋山さんは来てないの?」

唯「今日はちょっと別行動なんです」

恵「あらそう」

梓「あ、あの。さっきの話に戻るんですけど……」

梓「あの軽トラは先輩のなんですよね?」

恵「えぇ、そうよ」

梓「じゃあ、積み荷はどうしたんですか?」

恵「ああ、あれね」

恵「今日ここには小旅行みたいな感じで来たんだけど……」

唯(暇人だ)

梓(暇な大学生だ)

恵「表の林道をまっすぐ行った所で見つけてね」

恵「あんまり珍しい石だから思わず拾っちゃったの」

唯「なるほどー」

梓(こんな投げやりな説明で納得しちゃった!)

恵「あの石がどうかしたの?」

唯「あ……、その。え、っと……」

恵「?」


放課後ティータイムのメンバーがウルトラマンであり、特捜チームとして活動しているのは秘密にしないといけないのだ!


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