21世紀

世界各地に異常災害が発生し、空想の産物と思われていた怪獣が現実に出現するようになった

それは、あまりに繁栄をしすぎた人類という種に対して生態系が産み出した天敵でもあったのだ

しかし、怪獣の出現に呼応するように宇宙の彼方から、人類の味方もやって来た


ウルトラマンだ


なんやかんやで彼らは桜高軽音部員に力を貸すことになったのだが、長くなるから割愛しよう


そんなわけで

普段は女子高ライフをのんびりまったりエンジョイしている軽音部の面々

しかし、人々の叫びを聞いた時

彼女たちは銀色の巨人へとその姿を変え、迫る巨悪と戦うのだ!


頑張れ! 放課後ティータイム

負けるな! 放課後ティータイム



梓「とは言うものの……」

唯「暇だねぇー」

律「暇だなぁー」

紬「ウルトラマンと出会った時以来、2週間ほど怪獣たちは音沙汰なしだもんねぇ」

律「ウルトラマンになったからには、もっと戦い詰めかと思ってたのにな」

唯「ねー」

澪「いやいや」

澪「戦わないで済むならならそれが一番いいんだよ。うん」

律「あれれー? 澪しゃん戦うのが怖いのかなー?」

澪「そ、そんなことないっ!」

ポカッ

律「あいたっ」

梓「それにしたって、皆さんだらけすぎですよ」

律「だって暇だしなぁ」

唯「暇だしねぇ」

紬「ねー」

梓「いや、いつまた怪獣が現れるかわからないんだからもっと緊張感を……


ビーッ ビーッ ビーッ


澪「!」

律「電話だ!」


放課後ティータイムのメンバーがウルトラマンであることを知っているのは2人だけだ

それは、さわ子と和である

そして街に怪獣が現れた時、部室に設置されたホットラインへと2人から連絡が入るようになっている

ちょうどパワーパフガールズと市長さんの関係のようなものだ

唯「私が出る!」

ガチャッ

唯「もしもし」

さわ子「B地区に怪獣が! 助けて!」

唯「うん! すぐ行くよ!」

ガチャンッ


唯「街に怪獣です、りっちゃん隊長!」

律「よーし、それなら出動だ」

律「みんな準備はいいか!」

みんな「おー!」

そう言って各々、部室に新設されたロッカーに入る。端から見るとかなり滑稽な姿だが、笑うことなかれ
ここより彼女たちはHTTの誇る特殊戦闘機 クロムチェスターに搭乗するのだ


律「それじゃ。HTT、出動――っ!!」

みんな「おー!!」


校庭が真っ二つに裂け、クロムチェスターが発進する
普通なら生徒たちは、この非日常的光景に驚き、戸惑うだろう

しかし、クロムチェスターは離着陸時に特殊なバリアを展開しているため、一般の生徒たちにはクロムチェスターを視認することはできない
ただ単に、校庭で地割れが起きたようにしか見えないのだ

放課後ティータイムのメンバーがウルトラマンであり日夜怪獣と戦っている、という秘密はこうして守られている


律「唯。怪獣はどこに現れたんだ?」

唯「B地区だよ、りっちゃん」

律「B地区か」

紬「B地区?」

唯「B地区」

紬「B地区!」

澪「……女の子がビーチク、ビーチク言うんじゃない!」

バシュ―――――――ン

梓「先輩。B地区、怪獣出現ポイントまであと2kmです」

澪「そろそろ視認できるな」

律「怪獣はどこだー!」

唯「どこだー!」

紬「……いたわ。1時の方向よ」

ギャアアア! ドカ―ン

唯「あっ、ホントだ」

律「……む。1匹じゃないな」

澪「全部で3匹だ」

律「ムギ、あいつらの情報あるか?」

紬「えぇ」

紬「右端にいるのが、一角超獣バキシム。これといった弱点はないわ」

紬「真ん中が、宇宙戦闘獣コッヴ。こっちにも弱点はなし」

紬「左端のは、宇宙恐竜エレキング。確か、頭の角が弱点のはずよ」

律「なるほど……」

梓「先輩。エレキングから攻めましょう!」

律「当然!」

律「まずはエレキングを攻撃だ。ミサイルでヤツの角を叩き、ストライクバニッシャーでトドメをさすぞ!」

ウルトラマンになれるからといってその力に頼りきりではいけない

彼女たちにできることを、人としてできることを

そうしなければウルトラマンの力を借りる資格など、地球のために戦う資格などないのだ


律「唯。全ミサイル、エレキングの角へ向かって発射!」

唯「りょーかい!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ド

エレキング「ギャアアア!!」

澪「当たった!」

紬「効いてるわ!」

律「よーし、梓! ストライクバニッシャー発射ぁ!」

梓「ストライクバニッシャー、はっし……


ド―――――――ン


律「な、なんだ!?」

紬「バキシム! バキシムがロケット弾で攻撃を……

ド――――ン

唯「きゃっ!」

澪「あぁっ! 右の第2ブースターが停止してる!」

梓「高度がドンドン下がってます!!」

律「くっ! 仕方ない、不時着するぞ!」

律「何かにしっかりつかまってろー!!」


唯「……」ギュッ

梓「私につかまるのは止めてください!」

唯「でも、あずにゃんが一番落ち着くから……

律「しゃべると舌噛むぞ――!!」


ズザザザザ―――――――


HTTを乗せたクロムチェスターはB地区外れの森の中に不時着した


澪「いたたたた……」

律「みんな無事かー?」

梓「はい」

紬「えぇ」

唯「無事だよー」



律「ムギ、クロムチェスターはまだ飛べるか?」

紬「……ダメ。右ブースターの受けたダメージが大きすぎるわ」

律「そうか……」

律「仕方ない、全員外に出よう」

律「変身だ」


HTTの5人は丘の上に並び立った
なかなか様になっている。映画ならポスターになりそうなシーンだ



律「ダイナ――――!」バッ

変身アイテム リーフラッシャーを天高く掲げる、律


唯「……」バッ バッバッ

唯「レオ――――!」バッ

右手にはめたレオリングを勢いよく突き出す、唯


紬「タロ――――ウ!」バッ

空に掲げた腕のバッチが輝く、紬


梓「……」キュイーン

梓「メビウ――――ス!」バッ

左腕のメビウスブレスを高々と突き上げる、梓


そして

澪「……」シャカシャカシャカシャカ

澪「……」バッ

歯を磨く、澪


……

ダイナ(律「だあっ!」

レオ(唯「や――っ!」

タロウ(紬「たぁーっ!」

メビウス(梓「せやぁーっ!」

ゼアス(澪「ぜあっ!」


並び立つ5人の巨人たち
圧巻だ。こちらをポスターにしてもいいかもしれない


ダイナ(律『街ではまだ怪獣が暴れてる。急ごう』

みんな『おー!』


こちらB地区市街地


エレキング「ギャアアアア!」

コッヴ「ガァアアアア!」

バキシム「グゥアアアア!」

ドカ――――ン    ズカ―――――ン
   ワー   キャー
     ボカ――――――ン
     キャー    ワー


HTTの攻撃作戦が失敗した今、怪獣たちは街を蹂躙し尽くしていた
ビルは燃え、血が流れ、人々は逃げ惑った

しかし、そんな悲劇が永く続くワケはない

レオ(唯)『やめろぉ――――!!』

ド――――ン

エレキング「ギャアア!」


メビウス(梓)「せやぁ!」

ダ――――ン

コッヴ「ガァアア!」


タロウ(紬)「たぁ!」

バシ――――ッ

バキシム「グゥアア!」





ダイナ(律)『本当の戦いは、……ここからだぜ!』

HTTの攻撃作戦第2弾の、始まりだ


……

レオ(唯「やーっ!」バシッ

レオは格闘に秀でたウルトラマンだ
猛烈な打撃の嵐が次々にエレキングに決まる

エレキング「ギャアア!」

レオ(唯「えぃっ! えぃっ!」バシッ バシッ

レオ(唯「ぃ、やあ!」ドカッ

エレキング「ギャアア!」

レオ(唯『!』

エレキング「キシャアアア!」

ビーッ ビーッ ビ――ッ

レオ(唯『光線!? それなら……』

レオ(唯「やあ!」バッ

エレキングの放った光線に唯は身構え……


傘を差した


バキィイイイイン

レオ(唯『どんなもんだい!』


その名もレオブレラ
ウルトラマンキングからもらった代物で、開けば強力なバリアの役割を果たすのだ。いやマジで


エレキング「ギャアア!」

レオ(唯『もう打つ手がないみたいだね』

レオ(唯『トドメだ!』

レオ(唯「や――っ!」

唯は空高く、地上1000mまで跳び上がる

レオ(唯「ぇや――っ!」

必殺 レオキックだ!

バシィイイイイイイイイ

エレキング「ギャアアアア!」

エレキング「……ギ、ャ……ァア……ァ」


ドカ――――――――――――――ン


タロウ(紬「たぁ!」バシッ

メビウス(梓「せやっ!」ダンッ

コッヴ「ガァアア!」

メビウス(梓『楽勝ですね』

タロウ(紬『油断禁物。一気に決めるわよ』

メビウス(梓『はいっ!』


タロウ(紬「でやあっ!」ドカッ

コッヴ「ギィイイイ!」

紬が放ったのはアトミックパンチ
なんとあの原子爆弾と同等の威力を誇る恐ろしいパンチだ!


タロウ(紬『敵が怯んだ、今よ!』

メビウス(梓『了解です』

メビウス(梓「……」キュピーン
タロウ(紬「……」バッ バッ

メビウス(梓『メビュームシュート!』
タロウ(紬 「ストリウム光線!!」


ビィイイイイイイイイイイイイイイイ


コッヴ「ガァアアアア!」


ドカ――――――――――――――ン


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最終更新:2011年03月13日 00:00