コンビニ!

店員「いらっしゃいませぇ~~~」

唯梓「は~~~涼し~~~」

梓「アラスカ並ですね~~~」

唯「それは言い過ぎだよ~~~」

唯「喉渇いたなぁ~ジュース買おうよあずにゃん!」

梓「!!」ササッ

唯「え……ど、どうしたの??」

梓「すみません……ペットボトルはちょっと……威圧されてる感じがして苦手なんです……」

唯(どういうことなの……)

梓「私、あっちで遊戯王カード見てますね」

唯「わ、わかった……」



5分後!

子供A「おねーさん何やってるのー?」

梓「これはサーチといって、袋を開けずにレアを見分けるテクニックでうんたらかんたら……」

子供B「マジで!?すっげーー!」

唯「……」



10分後!

……その時

……唯は見た!

唯(暇だなぁ雑誌でも読んでよ……ん?)

紬「♪」テクテク

唯「……あ!!ムギちゃんいた!!」

唯「あずにゃんどうしよ! 外にムギちゃんいたよ!」タタタ

店員「お客さん! 困ります! サーチ禁止なんですよ! 流行らせないで下さい!」プンプン

梓「違います! 私はただ、勝つためには危ない橋を渡る必要がある事を、子供達に教えてただけなんです!」

店員「違わないじゃないですか! やめて下さい!」

梓「じゃあ何で触れる位置に陳列してるんですか!? この状態でサーチ禁止って! そりゃ無いでしょうよー!?」

唯(なにやってんのーーーー!?)ガーン

唯「ごめんなさい店員さん! この子、ちょっと頭がアレなもんで……」

唯「もう! 何やってんの!? 行くよあずにゃん! ていうか、ムギちゃんいたよ!?」

梓「待って下さい!! 先輩!」

梓「今からあの店員が着てる、青と白の縞々の制服の白の部分を、このマーカーで塗り潰して真っ青にしてやるんですから!!」キュポッ!

唯「やめなよ!! 可哀想だよ!! 何わけわかんない事言ってんの!?」

唯「早くしてよ! ムギちゃん見失っちゃうでしょ!」


走って逃げて

再び駅前!

唯「はあ……ハア……」

梓「はあはあ……悪に背を向ける事になるとは……」ギリッ

唯「悪って……あのコンビニ結構使うんだから……気まずくなるでしょ!?」

唯「それより、ほら! あれ!」

紬「ふんふふ~ん♪」

梓「はい、わかってます。先輩? ここからが勝負ですよ? 目立つ行動は控えてください」

唯「ゴクリ……」ドキドキ

梓「逆立ちとかしないで下さいよ? 目立ちますから」

唯(しないよ! できないよ!)

紬「そろそろ行こうかしら♪」

梓「あ! 移動しましたよ! 後付けますよ!?」コソリコソリ

唯「ラジャー!」コソリコソリ


PSP開始!!

紬「今日も暑いわ~♪」

紬「あ! 少し急がなきゃ♪」

梓「どこに行くんでしょうね」コソリ

唯「……」

唯「……あんま実感無かったけど……よく考えたらさ」

梓「え?」

唯「私達、悪い事してるんだよね……?」

唯「それに、ムギちゃんの家ってお金持ちでしょ……?」

唯「どこかにボ、ボディガードの人とかいたら……」プルプル

梓「……フフ、怖くなっちゃいましたか?」

梓「大丈夫ですよ、唯先輩!」

唯「あずにゃん……」

梓「銃って、思ってるより当たりませんから」クスッ

唯「じゅ、銃!!? 撃たれる様な事になるの!?」

唯「想像の遥か上を行ったよ! なんにも大丈夫じゃないよ!」

唯「ていうか、私達、軽装過ぎない!? 私なんて手ぶらだよ?」

唯「カメラとかビデオとか使うんじゃないの? 何にも準備してないけど大丈夫?」

唯「ムギちゃんの先回りして、店とかトイレに何か仕掛けるんじゃないの?」

梓「唯先輩はPSPと普通のストーカーを混同してます!!」

梓「確かにカメラを仕掛ける事もありますが……」

梓「お風呂とかトイレとか、プライベートエリアには絶対に仕掛けませんよ!」

梓「自宅の部屋とかの公共エリアだけです!!」

唯「部屋は公共じゃないでしょお!? 何その勝手なルール!?」

梓「ていうか……唯先輩……トイレにカメラって……」ゾワッ

唯「ち、ちょっと? 何であずにゃんが引いてるの!?」

唯「あずにゃんに引く資格なんて無いでしょお!?」ズイッ

梓「キャッ……嫌ッ……来ないでっ……」ナヨッ

唯「純情ぶらないでよ! キャッじゃないよ!!」

 ガタタッ!

紬「ーーーーーー!?」キョロキョロ

唯(!!)ササッ

梓(ヤバ!)ササッ

紬「ん~~?」(警戒中)

梓「唯先輩が大声出すからですよ!? 気付かれちゃったかも!」ヒソヒソ

唯「ぐっ……ご、ごめん……」ヒソヒソ

紬「うーん、おかしいなー……? 何か聞こえたような……」

紬「ストーカーとか……お風呂にカメラとか……」

唯(……)

紬「サーチ禁止とか……」

唯(!? それかなり前じゃない!?)

紬「残酷な処刑とか……」

唯(いいい言ってない! そんなの言ってない! 処刑って……え!? 私達をってこと!?)

紬「聞こえた気がしたけど……」

唯梓(……)ドキドキ

紬「気のせいよね♪」

紬「あ、もうこんな時間!急がないと♪」テクテク

唯「……」

梓「……」

梓「……ふう~~。セーフみたいですね」ホッ

唯「い、今のはセーフと考えて良かったのかな……」

梓「多分……大丈夫です。ギリギリ三振です」

唯(アウトだよ……)


30分後!

商店街!

紬「もう始まっちゃったかな~?」

梓「何が始まるんでしょうね?」ソロリソロリ

唯「うん……ていうかムギちゃん、独り言の声大きいよね……助かるけど」ソロリソロリ

梓「あ! 建物に入りましたよ!」

唯「この建物が目的地かな~? あ! 看板がある、ええーっと…」

 『ガサ入れ上等!やらかしちゃうぜ!俺達のブラック競売所!』

唯「……」

梓「……」

唯「ええぇーー!? 何ここ!?」ガーン

梓「こ、こんな(素敵な)施設がこの街にあったなんて……!」

唯(入りたくない……)

梓「中が気になります! とにかく入りましょう!」ワクワク

唯「うぅ……やだよぉ~~! あずにゃん1人で行って来てよぉ~! 死にたくないよぉぉ~~!」グスッ

梓「何言ってんですか! 危険を冒さないと利益は得られません! ほら、ことわざでもあるでしょ!?」

梓「虎の穴に挿入して子供を得る、とか何とかそういう感じの奴が!」

唯「似てるけど何か違うよぉ~! 意味違ってきてるよぉ~!」

係員「本日の参加受付、あと2名で終了でーす」

唯(!? 図ったかのように!?)

梓「あ、はーい! 私達参加しまーす! ほら、行きますよ!? ちゃんと歩いて下さい!」ズリズリ

唯「やあぁぁ~~~だぁぁ~~~!」ズリズリ


競売所!

係員「こちらにお座りくださーい」

梓「あ、どーも」

梓「係りの人、何もくれませんでしたね……価格提示は挙手でしょうか……」

梓「……お客さんは……20人くらい、かな」

梓「思ってたより普通な感じです」

唯「グスッ……普通じゃないよぉ……何を冷静に分析してんのぉ……」

唯「何でノーチェックで入れたの……怪しすぎるよぉ……」

梓「えーっと……あ! いた! ムギ先輩は前の方ですね」

梓「ムギ先輩から私達は見えませんが、目立たないように注意していきましょう」

唯「り、了解……」

梓「始まるみたいですよ……!」

 ワー!
 パチパチパチ!

司会「エー、ァン、ホンジツワ、オアツマァリ、イタダキマス」

唯(なんで司会者がカタコトの外国人なの!?)ガーン

司会「アァン? マ、マコッ……アァン? マッコッ…………」

唯(詰まっちゃったよ!!)ガーン

係員「真に有難う御座いますだって! 真に有難う御座いますだって!!」ヒソヒソ

司会「アァン? マトコ?」

唯(懸命に教えてるよ!!)ガーン

 ザワザワ…
 コウタイ!コウタイシテ!…
 ザワザワ…

司会2「えー……本日は御集まり頂き、真に有難う御座います!」

唯(代わっちゃったよ!! 何だったの!?)ガーン

司会2「長々したおしゃべりは面倒ですので、早速、競売に移らせて頂きます!」

 ワー!
 パチパチ!

梓「どんな商品なんでしょうね?」ヒソヒソ

唯(ヤバイ物だよぉ……多分ここはお金持ちが集まるヤバイ所なんだよぉ……)

司会2「本日は週に2度の豚足デーですので、商品は全て豚足となっております。奮って御参加下さい!」

唯(豚足デー!? 何それ!? んん? 豚足……まさか!?)

 ガタッ!

紬「よぉし来たーーー!!♪」

唯(ム、ムギちゃんーーー!? 噂は本当だった……!!)ガーン

紬「♪~♪~」

客A「お、おい……あの子!」

客B「ああ……豚足のムギだ」

唯(有名人なの!? なんか嫌な通り名だなぁ……)

客A「マジかよ……」ガタガタ…

客B「昨日も……やらかしたらしいぜ?」

唯(だから昨日来なかったのかな……)

司会2「では、一品目。沖縄産豚足10kg! では、500から!」

 600!
 700!
 900!

紬「うふふ♪……2000!!」

客達「おおおぉ~~~~!!」

唯(おおお~、じゃないよ……何この盛り上がり……)

 …2200!
 …2500!

紬「3500!!」

唯(単位が無いのが怖いよぉ……円? 円だよね??)

梓「クソ……4000!」

唯(なにしてんのーーー!?)ガーン

司会2「はい、決定! 4000で落札です!」ズビシッ!

梓「いよっしゃーーっ!!」

唯(競り落としちゃったよ!!)ガーン

唯「ちょっ! ちょっと!? あずにゃん駄目でしょ!?」ヒソヒソ

梓「う……すみません。もっと安く落札するべきでしたよね……でも、次は頑張ります!」

唯「そんな目的じゃなかったでしょ!?」

唯「違うよ! 目立っちゃ駄目でしょって言ってんの!」ヒソヒソ

梓「だって……だって私も参加したかったんだもん!!」

唯「子供じゃないんだから! わんぱく過ぎだよ!」ガーン

梓「もう! 気付かれて無いんだから、いいでしょう!?」プンプン

唯「何で怒ってんの……ていうか気付かれ無かったんだ……奇跡的な奇跡だよ……」

紬「あ~あ、全部落札したかったんだけどな~」シュン…

唯「ほらぁ~! 可哀想に……ムギちゃんションボリしてるじゃん!」プンプン

梓「わ、わかりました! 目立っちゃ駄目でしたよね! もうしません! 私、超わかりました!!」

唯(ホントにわかったのかなぁ……)


その後、ムギちゃんは次々出てくる豚足を全て落札していきました

時々あずにゃんが「3000!」とか「5000!」とか「糞がぁ!」とか

言ってた気がするけど、たぶん気のせいだと思います

1時間後

係員「本日は終了でーす。有難うございましたー」

唯(……結局、この競売所は何だったのだろうか)

紬「今日はまあまあだったかな♪」

唯(ムギちゃん……あんな大量の豚足、どうする気なんだろ)

紬「よいしょっと……、じゃあ帰ろうかしら♪」ズリズリ

唯「あ! 移動したよ! あずにゃん何してんの? 行くよ?」

梓「お、重いぃ~……唯先輩! 豚足半分持って下さいよ~……」ズリズリ

唯「知らないよぉ……自分が悪いんでしょお……」

梓「重いよ~……臭いよ~……邪魔だよ~……」ズリズリ

唯(何で落札したのさ……)ズーン


30分後

再び駅前!

紬「よいしょ♪よいしょ♪」ズリズリ

唯「ムギちゃん……遠くから見ると豚足の塊が歩いてるみたい……」

梓「ムシャリ……豚足の影に隠れて、ほとんどムギ先輩が見えませんね……見失わないよう注意しましょう」ムシャムシャ

唯「見失わないよ……逆に目立ってるもん……」

紬「よいしょっ……と♪」ピピッ

唯「あ! 改札通った! ムギちゃん電車乗るよ?」

唯「あずにゃん電車はトラウマだよね? どうすんの!?」

梓「ええ!? ヤバイ! どうしよう! えーと……」アワワ

唯(やっぱりこの子何も計画してないよぉ……)

梓「あ! そうだ! 二手に分かれましょう! 先輩はこのまま尾行を続けて下さい!」

梓「で、ムギ先輩が降りたら連絡して下さい! 私は後からタクシーで行きます!」

唯「ええぇーー……」

梓「大丈夫です! 私がサポートします! 何かあったら電話して下さい!」

唯「うぅ……もう、わかったよ……」

 ハッシャシマース


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最終更新:2011年03月12日 04:15