音楽室

唯「へ?」

律「いや、そんなことあってもおかしくないと思わないか?」

澪「あー、わかるぞ。唯と憂ちゃんって瓜二つだもんな」

唯「憂二人?」

梓「瓜二つです、そっくりってことですよ」

紬「雰囲気もどことなく似てるわよね」

唯「うーん、そうかなぁ?」

澪「なんだよ、違うのか?」

唯「違わないんだけど違うかな」

律「すげー唯節だな、普通の人には理解できねえぜ」

梓「もうちょっとわかりやすく説明してくださいよ」

唯「だから、憂と私は似てるようで似てないんだよ、似てるんだけど」

紬「つまり、顔や雰囲気は似ていても、好みなんかは違うってことかしら?」

唯「うん!」

律「おーすげー、ムギ、そのまま唯の通訳になれよ」

紬「え!?その資格はどこで取れるのかしら!?」

澪「おーい、真に受けるなー?」

梓「ムギ先輩ってたまに天然ですよね」

律「お前もな」

梓「うっさいですよー?」

唯「とにかく、私と憂は別人なんだよ!」エッヘン!

澪「いや、そりゃそうだろ・・・」

紬「わかってるわ、唯ちゃん」

律「でも、好みが違うって具体的には?」

梓「っていうか憂に嫌いなものや苦手なものなんてあるんでしょうか?」

唯「あるよ!」

澪「へー、例えば?」

唯「りっちゃん!」



律「」


紬「え゛・・・」

澪「いや、嘘だろ?」

唯「えーなんで?」

律「嘘って言ってくれよ・・・?」

梓「でも、なんで憂は律先輩が嫌いなの?」

唯「嫌いじゃないよ、あずにゃん」

梓「え、そうなんですか?」

律「そ、そっか・・・!」パァァァ!

唯「うん、なんか苦手だって言ってた」




律「」


律「・・・なんで、なんで憂ちゃんは私のことが苦手なんだ?」プルプル

唯「うーん・・・」

澪「どうなんだ、唯!」

唯「・・・わかんない」

梓「」

唯「結構前なんだけど、憂とりっちゃんの話になったことがあるんだ」

紬「うん、それで?どんな話をしたの?」

唯「なんの話もできなかった」



律「」


澪「律、生きろ」

唯「りっちゃんがねーって話を振ったら・・・律さんの話はやめよう?って、やんわり止められた」


律「」


澪「それって・・・結構、決定的じゃないか?」

唯「うん、私もそう思う。というか、その時確信しちゃったもん」

律「もう、やめてくれ」

梓「先輩、事実を受け止めましょう。悪いところがあったら直すんです」

紬「りっちゃん、辛いだろうケド耐えて!」

律「もう既にかなり耐えたんだけど、もう耐え切れないんだけど」ブツブツ

澪「まずい!律がうわ言を!」

唯「ごめん、りっちゃん!今の嘘だから!」

律「ほ、本当かぁ!?」パァァァ!

唯「ううん、嘘って言うのが嘘」

律「・・・」ズーン

澪「唯、上げて落とすような真似はするな!」

唯「だって、嘘って言って欲しそうだったから・・・」

梓「でも事実ならしょうがないです、ここは律先輩が受け入れるしかないんです」

紬「りっちゃん、頑張って!」

律「くっそー・・・なんで私は憂ちゃんに嫌われてるんだ・・・?」

梓「でも・・・本当に、なんででしょうね?」

律「うぅ・・・私、憂ちゃんに何か酷いことしたのかな・・・?」

唯「えっと・・・変なこと言ってごめんね?」

律「いいもん・・・いいもん・・・」イジイジ

紬「りっちゃん・・・かなり堪えてるみたいね・・・」

澪「そりゃ、憂ちゃんは律のお気に入りだからな」

唯「へ?そうなの?」

澪「ああ、いつも憂ちゃんの話になると『憂ちゃんみたいな妹が欲しかった』って言ってるぞ」

唯「そうだったんだ・・・ホント、ごめんねりっちゃん」

律「・・・事実ならしかたがないよ・・・」イジイジ

唯「でも、嫌いってワケじゃないんだよ?きっと」

律「いいよ、唯・・・そういうフォローはかえってつらいよ」イジイジ

唯「えーでも、本当だよ?」

梓「ほら、律先輩?元気出して」

紬「そうよ、私たちはりっちゃんが大好きよ?」

澪「あ、ああ・・・そうだぞ、律」

律「う、うん・・・サンキュ」グスッ

澪「(って、おぉぉい!!泣いちゃったぞ!?)」

唯「(・・・私のせい、だよね?)」

梓「(確かに唯先輩の話からこうなりましたけど、憂が律先輩のこと苦手ならこうなるのも時間の問題でしたって)」

律「うっ・・・ひぐっ・・・」グスッグスッ

紬「(そうよっ全て唯ちゃんが悪いっていうワケじゃないわ)」

唯「(そっか・・・)」

澪「(それよりも、この場をどう沈めるか、だよ。こんな泣いてる律、私ですら見たことないくらいだぞ?)」

紬「(うーん、どうしましょう・・・)」

梓「(みんなでなんとかしてあげましょう)」

澪「(相談って・・・原因もわからないのに・・・)」

唯「(そうだよ、あずにゃん!りっちゃんの話をしたときの憂って言ったら・・・!)」

紬「(何々?)」

唯「(姉の私ですら踏み込めないくらいの穏やかな殺気を取り巻いてたよ)」

梓「(怖っ!!)」

唯「(だから、憂に聞いたりするのはまずいと思うんだよね・・・)」

澪「(うーん・・・じゃあ、やっぱり梓の言うとおり、私たちでなんとかしてあげよう)」

唯「(っちょっと、私の話聞いてた?)」

澪「(大丈夫だ、私に考えがある!)」

梓「(・・・わかりました、任せましたよ?澪先輩)」

紬「(私たちは澪ちゃんに合わせるわ)」

唯「(お願いね!)」

澪「なあ、律」

律「うぇっ・・・ひっぐ・・・」グスングスン・・・

澪「おーい?律ー?」

律「・・・ぐずっ・・・ふ、ふぇ?」

澪「もう泣くな」ナデナデ

律「う・・・だって、憂ちゃんが・・・」

澪「そのことなんだけどな、律。きっと憂ちゃんは律のことを何か誤解してるんだよ」

律「・・・誤解?」

澪「ああ、そうだ。だから、みんなで憂ちゃんの誤解を解こう」

律「みんな、で・・・?」

澪「ああ、いいよな?みんな」

梓紬唯「もちろん!」

澪「よし、今週の土曜日は唯の家に集合だ、みんな都合は大丈夫か?」

紬「ええ、大丈夫よ」

梓「私も」

唯「大丈夫!お昼くらいからにする?」

澪「ああ、そうだな」

律「でも・・・どうやって誤解を解くんだ?」

澪「まずは憂ちゃんが律をどんな風に思っているのか知るところからだ」

律「どんな風にって・・・苦手、なんじゃねぇの・・・?」グスッ

紬「(澪ちゃん!それは地雷よ!)」

澪「ああああ!ごめん、律!そういう意味じゃなくててだな」

律「・・・なんだよ」

澪「なんで憂ちゃんは律のことを苦手だと思っているか、それを調べるんだ」

律「・・・憂ちゃんは私の話もしたくないんだろ・・・?」

澪「う゛っ・・・だ、だから、言葉じゃなくて態度で確かめるんだ」

唯「態度で?」

澪「ああ、色々律が憂ちゃんに話かけながら、何が苦手なのかを探っていくんだ」

梓「いや、それ一歩間違ったら血祭りじゃないですか」

律「血祭り・・・」グスッ

紬「(だからそういうのは地雷だってば!!!!)」

梓「ひぃぃ、すみません・・・(ムギ先輩、怒りすぎて白目と黒目が逆になってる・・・)」

唯「でも、それいいかも」

澪「だ、だろ?」

唯「うん!流石に『家に上げません!』とは言わないだろうし」

紬「確かに、問題を解決するためには原因の究明は必須だわ」

梓「・・・本当にやるんですか?」

律「・・・梓、ごめんな、嫌なら来なくていいからな?」グスッ

梓「あーもー!行きますよ!行けばいいんでしょ!?」

唯「うわぁ、あずにゃんがキレた!」

梓「めそめそしてる律先輩なんて律先輩じゃないですよ!ガラじゃねぇってんです!」プンスカ

唯「うーん、あずにゃんはやっぱりいい子だねー」ギューナデナデ

梓「へへへー」ポワ

紬「へへへー」ポワ

律澪「おい、ムギ、待て」

澪「よし、そうと決まればみんなそのまま予定空けておけよ?」

梓「っていうか」

澪「ん?なんだ?」

梓「今週の土曜日って・・・明日じゃないですか」

澪「あ、言われてみればそうだったな・・・」

唯「この部には天然じゃない子はいないんだね」

澪「う///」カァァァ

紬「いいじゃない、私はこうやってみんなでボケたりつっこんだりするのも楽しいわよ?」

澪「そ、そうだな」アハハハ

紬「つまり受けと攻め」

律「おい、待てって」

紬「つまり、5人はリバ可」

梓唯澪律「黙れ、変態」



その日の夜

唯「憂ー?」

憂「ん?なあに、お姉ちゃん」

唯「明日、みんなが遊びに来るんだー」

憂「そうなんだぁ!わかった、しっかりおもてなししないとね!」

唯「うん!よろしくね!」

憂「了解♪」

ブルルルル

唯「ん?メールだ。・・・澪ちゃんからだ」ピッ

明日はよろしくな!あと、念のため憂ちゃんには私たちが行くって黙っててくれ。
憂ちゃんが律を避けて、友達と予定入れちゃったりしたら台無しだからなー。
外に出られたら憂ちゃんの気持ち、確かめられないぞ?
ま、唯でもそんなことわかるよな、ごめん。それじゃ、また明日な。


唯「」

唯「やべっ」

唯「憂ー?」

憂「ん?」

唯「あのさ、明日は・・・ずっと家にいる?」

憂「へ?いるよ?なんで?」

唯「本当!?」

憂「え、なんで!?なんでそんなに嬉しそうなの!?」

唯「よかったぁー!!」

憂「だからどうして!?」

唯「憂がりっちゃん避けてどっか行っちゃうんじゃないかと思ったの!よかったー!」ポヤー

憂「律、さん・・・?」


唯「やべっ」


憂「ねえ、明日律さんも来るの?」

唯「はい?なんのこと?」

憂「こら」

唯「あ、はい。りっちゃんも来ます・・・」

憂「・・・」

唯「えと、ごめん・・・」

憂「なんで?」

唯「へ?」

憂「だから、なんで?」

唯「いや、だって、りっちゃんも仲良しだもん、除け者には出来ないよ」

憂「それはわかるけど・・・」

唯「うん?」
憂「私と律さんを話させたいの?」

唯「(ぎくぅ!)・・・まさか、なんで?」

憂「いや、だって」

唯「そんなことないよ、ただ、憂ってりっちゃんのこと苦手でしょ?」

憂「う゛・・・」

唯「だから、嫌になってどっか行っちゃうんじゃないかなーって思ったの」

憂「う・・・さすがにそこまでしないよ、大丈夫だよ」

唯「そっか、よかった(・・・憂、りっちゃんが苦手って、否定しないんだ・・・)」

憂「じゃあお姉ちゃん、そろそろ寝たほうがいいんじゃない?」

唯「うん、そうだね。おやすみ!」

憂「歯磨いてからでしょー?」

唯「あちゃー、バレたかー」



一同「お邪魔しまーす」

唯「おー来た来たぁ!みんなおはよう!」ゴロゴロゴロ

梓「リビングからなんか転がって来たっ!」

憂「みなさん、おはようございます」

憂「ほら、お姉ちゃんゴロゴロしてないで立って挨拶しよう?」

唯「うーめんどくさぁい」ゴロゴロ

憂「もーお姉ちゃんってばー」クスクス

唯「みんなーとりあえず上がってー?」ゴロゴロゴロ・・・

一同「はーい」



唯の部屋


唯「よし、とりあえず適当な話をしよう」

澪「ああ!・・・って、おい!!もっと大切な話があるだろっ!」

唯「ふっ甘いよ、澪ちゃん」

紬「どういうこと?」

唯「憂はすぐに飲み物を持って、やってくる」

ガチャ

憂「失礼します。みなさん、お口に合うか分りませんが・・・」

一同「(本当だ!)

憂「それじゃ、ゆっくりしていって下さいね!」バタンッ

律「」ポカーン

澪「・・・」

梓「唯先輩、流石です」

紬「すごいわね」

唯「えっへん!」フンスッ

澪「・・・じゃあ、もう話していいか?」

唯「いいや、まだだよ澪ちゃん」

律「・・・まだ何かあるのか?」

唯「うん」

ガチャ

憂「お待たせしました、適当につまんでください」ゴトッ

澪「憂ちゃん、ありがとう」

憂「いいえー。それじゃ、また何かあったら呼んでくださいねー?」バタンッ

唯「憂は・・・ジュースを持ってきた後にすぐ、お菓子をもってくる・・・」フッ

梓「・・・(得意げになって馬鹿みたい、可愛いけど)」

唯「それじゃ、話そうか」

澪「ああ」

紬「それで、どうするの?」

梓「今のところ、憂は律先輩のことが苦手ってことしかわからないんですよね?」

紬「ええ、そうなるわね」

律「どうしたらいいんだ?」

澪「私今から憂ちゃん呼んでくるわ」

律「って、唐突だなぁ!おい!」

澪「『律が呼んでる』って言ってくる」

律「やめろ、そんないきなり・・・!」

澪「その時の憂ちゃんのリアクション見てくる」

梓「で、でも・・・それで憂がこっちに来て、どうするんですか?」

澪「それは残ったみんなで考えておいてくれ」

唯「そ、そんなー」

澪「それじゃ、行って来るな」バタン


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最終更新:2010年01月07日 15:15