梓「もう3月か・・・」

純「どーしたの梓?黄昏ちゃって」

梓「あ、純か。いや、もー3月かぁ~って思ってさ」

純「あー、わかるわかる」

梓「もう1カ月したら私たち3年生だよ?受験生だよ?」

純「うっ、今から受験とか考えたくない・・・」

純「あ、そういえば、軽音部のみなさん同じ私立の女子大に無事合格したんだよね」

梓「うん」パカ

純「あ、このメールまだとってたんだ」

梓「うん。なんか消すにけせなくて」

純「憂はともかく、梓までまるで自分の事見たく喜んでたもんね」

梓「べ、別にいいでしょ。嬉しかったんだから」

純「はいはい。みんな一緒ってことは大学生になっても『HTT』続けるのかな?」ワクワク

梓「・・・どうなんだろ?学部とかも違うし、案外違うサークルとか入ってそうだけどね。唯先輩とか」

純「どうしたの梓?やけにネガティブシンキングじゃん?」

梓「なんでもないよ」

純「それにしても、ほんと仲良いよねー。全員同じ大学受けるなんてさ。一人でも落ちてたらどうする気だったんだろ?」

梓「そこまで考えてなかったんじゃない?」

純「それはありえるね」

梓純 ハハハー

憂「なに笑ってるの?」

純「あ、憂お帰りー」

憂「ただいまー」

梓「憂どっか行ってたの?」

憂「うん。卒業式の実行委員の会議があったんだ~」

梓「」

純「あ、そういえば卒業式来週だっけ?」

憂「うん!」

梓「・・・」

憂「それで何の話してたの?」

純「たいしたことじゃないんだけどさー・・・カクカクシカジカ」

憂「へぇ~」

梓(卒業・・・か)


パタパタ

梓(受験終わってからも先輩たちは部室に来てくれてるけど)

梓(それもあと数日なんだなぁ・・・)

梓「はぁ・・・なんか足重いなぁ」

梓「・・・」

梓「・・・はっ!?ダメダメ!こんなんじゃ!」

梓「先輩たちが居なくなっても軽音部を盛り上げなきゃ!ファイト、あたし!」

誰もいない階段で自分を励ました。けど、足の重みは変わらなかった

ギィー

梓「あれ?いない?」

ふとテーブルをみてみるが、お茶を飲んだ形跡もない

梓「まだ来てないのかな?」

バタン

ドアをしめて中に入ると、担いでいたギターを下し壁に立てかけた。

どこかに隠れているんじゃないかと周りを見渡したが、やはり誰もいない

水槽の中のトンちゃんだけがいつものようにスイスイと気楽そうに泳いでいた。

梓「トンちゃんはいいね。気楽そうで」

もちろん返事はなかった。

梓「あーあ」

ドサァ

乱暴にソファに腰を下ろした。

シーン

梓「・・・」

ブルブル

梓「あ、メール」

カチャ

梓「唯先輩からだ・・・」

梓「『ごめーん!あずにゃん今日私たち用事があって出られそうにないんだ!』・・・か」

梓「・・・」

梓「帰ろうかな」

重い腰を持ち上げると、ギターとスクールバックを掴んで音楽室を後にした。

足はさらにその重さを増していた


翌日

梓「昨日先輩たちこなくてさ」

憂「え・・・」

純「え?そうだったの?」

梓「うん。あまりにも暇だったから思わず帰っちゃった」

純「へぇ、どうしたんだろうね」

梓「さぁ?勉強から解放されたから遊び回ってんじゃない?」

憂「・・・」

純「ん?どうしたの憂?」

憂「え!?な、何でもないよ。あ、あたしこれから実行委員だから、行くね」

梓「バイバイ」

純「じゃぁあたし達も部活へと行きますか~」

梓「そだね」

梓「来てる・・・のかな?」

一抹の不安を覚えながらゆっくりとドアの開く

梓「こんにちわー・・・」

返事は無かった

梓「・・・」

昨日帰った時と同じ状態の部室がそこにはあった。

梓「・・・今日もかな?」

中へと歩を進める

梓「い、いいもん。今日は一人でもやるもん」

強がってみせるが、その強がりを見てくれる人もいない

梓(部室ってこんなに広かったんだ・・・)

ジャラーン

梓「よし」

梓「何を弾こう・・・」

ジャ、ジャララ

梓「・・・」

梓「・・・のご飯が食べたいよ」

梓「もし君が帰ってきたら とびっきりの笑顔で抱きつくよ」

梓「君の笑顔が見れればそれだけでいいんだよ」

梓「君がそばにいるこーとで」

梓「いつも 勇気もらあーてた」

梓「いつまででも 一緒にいたい」

梓「この気持ちを伝えたーいよ・・・」ピタ

梓「・・・」

ギュ

梓「むったん・・・」グス

自分以外いない部室はやけに広く、寂しく感じた



数日後

梓「卒業式も明日か・・・」

純「あれから先輩たち来てくれた?」

梓「うん・・・何回か、昨日も来てくれたよ。来れない日の理由は具体的には教えてくれなかったけど」

純「ふーん」

梓純「・・・」

梓「卒業式も明日か・・・」

純「それ二回目」

梓「あ、ごめん、ごめん。つい」

純「けど、ホント不思議な感じだよね」

梓「何が?」

純「だって、あんな当たり前にいる、居て当たり前~と思ってた先輩たちが明日からもういなくなるんだよ?」

梓「・・・」

純「ジャズ研は文化祭終わって3年生引退しちゃったけど、軽音部はねぇ」

梓「・・・て」

純「急に居なくなるわけじゃん?来年度一年生入らなかったら梓が一人n」

梓「やめて!」

純 ビク

梓「あ、ごめん・・・」

純「こっちこそごめん」

梓「ら、来年度は勧誘して、部員増やすもん!」

純「そっか、頑張ってね」

梓純「・・・」

純「卒業式も」

梓「3回目」



部室

唯「大丈夫・・・?」

律「ああ、ぬかりはないハズだぜ」

紬「ドキドキするわね」

澪「今から緊張してどうするんだよ」ガチャガチャ

律「カップをもつ手の震えを止めてからいいまちょうね」

ガタ

唯 ビク

梓「あ、みなさん」

澪「梓も来たし最後の演奏、しよっか」

梓「え?あ、はい!」

唯「ジャーンっと」

唯「どうだった今のふわふわ!?」

紬「今までで一番良い演奏だったと思うわ!」

澪「そうだな!梓のギターソロも相変わらず冴えてたしな」

梓「ありがとうございます」

唯「私あそこ、2番終わった後のギターソロ弾けないんだよねぇ」

律「おいおい、まぁあそこは梓が入部してから付け加えたもんな」

梓「・・・」

律「よーしっ!じゃあもう一曲いっちゃおー!!」

唯「イエ~イ!」

梓「・・・」

澪「ん?どうした梓?」

梓「す、すいません!ぼぉーっとしてて、けど大丈夫です!」

律「はっは~ん、さては」

梓「な、なんですか?」

律「私たちが卒業するから、寂しいんだろ~?」

梓「な!?べ、別に寂しくなんかないですっ!」

律「ホントかなぁ?」

梓「本当です!別に先輩たちが居なくなったって私は・・・私は・・・」

唯「あずにゃ~ん!」タ

梓「やめてください!」パシッ

唯「あ・・・ずにゃん?」

梓「別に先輩たちが居なくたって私は一人でもやっていけます!!」

嘘,だよ

澪「梓・・・」

梓「来年度の新入生を勧誘して、こんな5人なんて少人数じゃなくてもっと、もっと人集めて、
毎日お茶何てせずに練習して、練習して先輩たちなんて足元にも及ばないぐらいの部を私がつくるんです!!」

これも嘘

紬「あずさちゃん・・・」

梓「だ、だから、先輩たちがいなくなったってちっとも寂しくないんですよ!!
逆にやっと私のやり方でいけると思うと、う、嬉しいです!!」

どうしよう、嘘が止まらない

唯「あずにゃん・・・」

律「・・・そっか」

梓「あ、す、すみません」

律「じゃぁ心配ないな。よーし、じゃ、最後の曲いくぞぉ!!」

唯「え?あ、イエ~イ!」

梓「・・・」

最低だ、私



卒業式当日
早朝

梓「・・・今日、か」

梓「今日で先輩たち・・・」

梓「昨日はひどいことしちゃったな・・・」


梓「もうひと眠りしよ・・・」

そうだ、寝てしまえば、何も考えなくて・・・いい


学校

梓「ハァハァ、なんとか間に合った」

憂「梓ちゃん!」

純「遅いよー梓。ギリギリじゃん」

梓「ごめん、ごめん。寝坊しちゃって」

純「全く~今日に限って~」

梓「今日、だからね・・・」

純「ん?」

梓「なんでもないよ・・・」

純「・・・行くよ」


講堂

教頭「これより、第××回桜ケ丘高等学校卒業証書授与式を執り行います。一同、起立、礼」

梓「・・・」

教頭「続きまして、PTA会長の・・・・様よりお祝いのお言葉を」

梓「・・・」

教頭「続きまして、来賓の方々をご紹介したいと思います」

純「これ、妙に長いから嫌い」コソコソ

梓「そだね」

教頭「在校生による送辞」

純「そう言えば新しい生徒会長って誰だっけ?」

梓「さあ?」

会長「――3年生のみなさん、本当にありがとうございました!」

パチパチ

教頭「卒業証書授与!名前を呼ばれた者は起立してください」

担任「3年1組出席番号一番!・・・」

担任「出席番号38番!・・・」

純「あ、次澪先輩たちのクラスだよ」

梓「うん・・・」

さわ子「3年2組出席番号一番秋山澪」

澪「はい!」

梓(多分澪先輩とっても緊張してるんだろうなぁ)

さわ子「10番琴吹紬」

紬「はい!」

梓(相変わらずはりきってるなぁ)

さわ子「19番田井中律」

律「はい!」

梓(あ、今日はちゃんと裾入れてる)

さわ子「29番平沢唯」

唯「ふぁい!」

梓(最後の最後までやらかしてるなぁ)

純「大丈夫、憂?」

憂「おねえぢゃん、立派になって」グスッ

梓「親だね・・・」

梓「・・・」

梓(そうだよね、普通感動するよね)

梓(なんでだろう、昨日あんなこといっちゃったからかな)

梓(心に、何かぽっかり穴があいた気がして涙もでないよ・・・)

教頭「以上を持ちまして第××回桜ケ丘高等学校卒業式を終了します。一同起立、礼」

純「おわった、ね」

憂「うん・・・」

梓「・・・」


2年生教室

梓「・・・」ボー

憂「どうしたの、梓ちゃん?」

梓「え?」

純「なんか今日変だよ?」

梓「せ、先輩たち卒業しちゃうからね」

純「感動とかそんな感じには見えないけど?」

梓「・・・実は昨日」


3年生教室

うっ、グス

風子「うぅ、グス」

姫子「やっぱ、さ、グス、高校の卒業式って泣けるね、グス」アハハ

エリ「大学別でもずっと友達でいようねぇ」ウワーン

いちご「・・・グス」

ちか「グス、あ、そうだ!みんなで写真撮ろうよ」

エリ「いいね、撮ろう、撮ろう!」グス

信代「みんな、後ろに集まろー」

姫子「あれ?唯は?」

風子「ムギちゃんは?」

ちか「そういえばりっちゃんも」

曜子「澪ちゃんも居ないわ!」

ガラ

さわ子「はーい、みんな席着いて~最後のHR始めるわよ」

はーい

ガタガタ

さわ子「あら?平沢さんは?田井中さん、琴吹さんに秋山さんまで!?」

ちか「体育館でるまでは一緒に居たんですけど」

さわ子「全くあの子たちは最後の最後まで~!」



ザザ、ザザ、ピー

「あ、あー」


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