104. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 21:56:00.59 ID:ejMwY/co
まとめた時間が取れず携帯からちょくちょく書いていたものを投下。
あくまでむぎあずとは別物語のifとしてお考えくださればありがたい。
105. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 21:57:05.67 ID:ejMwY/co
『お前のそれは、恋じゃないよ』

律はそういった。
だとしたら、何だというのか。
私の抑え切れない気持ちは、
この気持ちは
どこへ向かえばいいというんだろうか。

『私は、澪の事大好きだ。
一番、大好き。
でもそれは、親友としての『好き』であって恋人に向ける『好き』じゃないんだ』

はっきりと、律は言った。
これ以上は、望めないと。

『時間をおけばわかるよ。
私は澪の望んでた王子様でもなければ夢見てた恋人でもないんだってさ』

私は、そんな夢見る少女じゃない。
王子様も、いらない。
律だけいればいい。
律がいるだけでいいのに。

なのに

『違うよ』

そう否定された。

そして律は、私の元から離れて行った。
106. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 21:58:12.41 ID:ejMwY/co
私は泣いていた。
この気持ちを処理する方法がわからなかった。
私の世界にはつねに律がいた。
そばにあり続けてくれた。
気がつけば、私を私たらしめる、大事なものになっていた。
律が他の人のものになる。
そう考えただけで、私は自己というものを失う。
それくらい、律は私の大事なものだった。



私はもう、一人で立ち上がることは出来なかった。

そこで、私に手を指しのべたのてくれたのは

「澪ちゃん……」

唯だった。
107. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 21:59:09.29 ID:ejMwY/co
唯は知ってか知らずか、何も聞かずにずっとそばに居続けてくれた。
気がつけば私は唯の家の住人になっていた。

家に帰るのが、律にあってしまうのが怖かったから。
唯はずっといてもいいといってくれた。

私が立ち上がるのを、ゆっくりと待ってくれる。
望めば、何時だって手を差し延べてくれる。
だから、私は甘えた。


この、心地好い泥沼に
108. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 21:59:52.84 ID:ejMwY/co
解っていた。
このままではいけないと。
私は唯に甘えているだけで、差し延べられる手を見ているだけで、立ち上がろうとしていない。
それでも、そばにいてくれる唯を見て安心したいだけ。
悲劇のヒロインを演じたいだけ。


私は、唯のためにも早く立ち上がろうと思った。
109. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:00:41.07 ID:ejMwY/co
私は少しずつ笑えるようになった。
それは唯がそばで笑っていてくれたからだった。
律とも、ちゃんと話せるようになった。
それは、私が律と会う時に唯がいつもそばにいてくれたからだった。

それでも、私は家に帰ることが怖かった。
家にもし律がいたら。
それは私にとってとても恐ろしいことだった。
考えるだけで手が震えた。
その度唯は私の手を握ってくれた。
ずっと居ていいといってくれる。

それが、とてもありがたかった。
110. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:01:23.67 ID:ejMwY/co
唯に、私はありがとうと伝えた。
今までずっと言えなかった分のありがとうを。

なぜだろう。

唯が悲しそうな顔をしているのは




「ねぇ、澪ちゃん




キス、しよっか」
111. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:02:29.52 ID:ejMwY/co
言葉の意味を理解するより速く、私は唯の顔が目の前にあることに気づく。
唇が、触れる。

始めての感情は、驚き。
そして次の感情は、何故?という疑問だった

「ぷはぁ……
えへへ、しちゃったね」

わけがわからなかった。
唯の中にある感情が。
それに、私の中にある感情も。

「ねぇ」

背筋がぞわりとする。
初めて見る、唯の声色。目。匂い。
それは、わけのわからないものに対する恐怖と
「澪ちゃん」

確かな、感情の高ぶり。



「抱いて」
112. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:02:57.28 ID:ejMwY/co
「一番じゃなくていいよ。
別に他の誰かのものだっていい。
だけど、今だけは澪ちゃんの一番で居させて。
私で心をいっぱいにして」

唯はそういった。

解っていた。
また私は唯に甘えていると。

それでも、私は…………
113. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:04:19.46 ID:ejMwY/co
私は、以前と同じように律と接する事が出来るようになっていた。
今なら、律の言っていたことがわかる。
私はただ、律が奪われるのが嫌で駄々をこねていただけだった。
律は、今でも変わらず大事な友人でありつづけた。
私はそれで満足だったのだ。


けれど、逆にわからなくなってしまった、いや、いまもなおわからなくなり続けているものがあった。




「澪ちゃん……抱いて」

私はまだ唯の家に帰り続けていた。
そしてこの関係も続いていた。

「私に悪いと思ってる?
私は嬉しいんだけどな」

私の心は用意に唯に汲み取られる。
だけれども、私には唯の気持ちがわからない。
「ねぇ」

また背筋がゾクリとする。
まるで、私の知らない人であるかのように。
いつものふわふわした女の子でない、唯があらわれる。

「澪ちゃんのしたいことを、して。
キスしたいなら、して。
殴ってくれても、蹴ってくれてもいい。
澪ちゃんにされることなら、なんでも幸せだから」

わからなくなる。

「だから、お願い。
シテ」


そして私はまた唯と体を重ねる。
重ねるほどに、解らなくなっていく。
114. 【唯& ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:05:34.11 ID:ejMwY/co
私は幸せだった。
求められている。
少しの間だけでも一番で居られる。
例え今だけでも、独占できている。

昨日澪ちゃんが引っかいた背中痛み。
澪ちゃんが噛んだ肩の歯型。
それだけで十分だった。

十分だと、そう思っていた。

それなのに





私自信が引いた線が、音を建ててくずれる。



私はその場から逃げるように、いや。

文字通り『逃げ去った』
116. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:07:47.75 ID:ejMwY/co
私は律と自然に笑って会話できるまでに回復した。
これも全て唯のおかげだ。
なのに

なんでそんな顔をしてるの?

「ごめん、私帰るね」

そういうと唯は走って行ってしまった。
追い掛けようととっさに足が動く。
けれど、すぐに私は立ち止まってしまう。

追い掛けて、一体何を言えばいい?
一体何をすればいい?


唯は何を考えているの?
117. 【唯’s side】 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:09:35.17 ID:ejMwY/co
ダメだった。
解っていたのに。
堪えられると思っていたのに。



携帯を握りしめる。
着信が着てほしくないのに。

泣いちゃダメなのに。
いつも通りでいないとそばにいれないのに。
与える側じゃないといけないのに。

涙が止まらない。
震えが止まらない。
求めて、止まらない。


助けてよ
澪ちゃん――――――――――
118. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:11:41.70 ID:ejMwY/co
唯―――――――――――

家に、唯はいた。

「ねぇ、澪ちゃん」

まただ。
またあの感覚。
背筋を撫でる、あの声、あの眼、あの匂い。

「シテ」

どくんと鼓動が高鳴る。
でもそれはいつものような高ぶりではない。

それはきっと―――――罪悪感。

唯の体に付けた無数のキスマーク。
無数の傷後。
全てが過ちのような気がしてきた。

唯が望んでいると、そう自分に言い聞かせてきた。
そうやって自分を騙してきた。

けれど、もしかすると。






もしかすると、唯はずっとこんなに壊れそうな顔をしていたのか?
119. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:13:07.89 ID:ejMwY/co
「そっか」

唯は一人頷いた。
解らない。
なにが『そっか』なんだ?
なんで一人だけ解ったような事を言うんだ?
なぁ、唯は何を考えてるんだ?

「出てって」

なっ――――――
どうしてなんだよ!
傷つけたなら謝るから。
だからそんなこと言うなよ!

「いいじゃんか。
もうりっちゃんの事吹っ切れたんでしょ?
また戻ってきたんでしょ?
つらいときも、楽しいときも、ずっとそばにいてくれるよ。
だから」






「出てって」
120. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:13:41.70 ID:ejMwY/co
解らなかった。
唯がなんであんな事を言ったのか。
唯が何を望んでいるのか。
どうして苦しんでいるのか。
どうすればまた笑ってくれるのか。


唯。
なぁ、唯。
お前は、一体どんな気持ちであんなこと言ったんだよ……
121. 【唯’s side】 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:14:09.51 ID:ejMwY/co
一人ぼっちの部屋。
広くて、冷たい。
あはは、と渇いた笑いがこぼれる。
私に相応しいじゃないか。
望みすぎて、結局我慢できずにこの有様だ。

近くにいられるだけで良かった、なんて嘘。
一番になろうとして、一番になれなくて、癇癪を起こした結果がこれ。
馬鹿らしくて滑稽だ。

本当に馬鹿だ。

馬鹿らしくて、馬鹿らしくて






涙が、止まらない
122. 澪唯 ◆8Mj6VMVRzQ 2010/10/27(水) 22:15:04.37 ID:ejMwY/co
――――パシン

渇いた音が響く。
ヒリヒリと言う痛みが今の私には心地好かった。

「まず、お前の一番の間違いは私に相談したこと」

そう律は言った。

解ってる。
そんなこと解ってる。

私が律から離れて、唯のそばにいる。
ずっとそうすればいいのは解ってる。

でもそれは、結局時間が風化させるだけで、根本的な解決にならないのも解っていた。

「そして次に、解らないなんて言って考えるのをやめたことだ」

そうだ。
私は解らないと決め付けて、解ろうとしなかった。
考えても解らないのではない。
思考を停止させることで傷付くことから避けていたのだ。

「そして何よりも私が怒っているのは、そうやって逃げて自分だけ傷つかないようにしてることろだ」

「悪いって思うんならなんで逃げんだよ。
傷つけたって思うならなんで私のところに来るんだよ。
どうして唯が泣いてるってわかってんのにお前はここに居るんだよ!」

そういうと律は溜息をついた。

「ほんとはだいたい気づいてんだろ?
だけど傷付くのが怖いからそうやって向き合おうとしないんだ。
わかるわかんないじゃなくて少しは行動しろよ」


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