キーンコーンカーン

律「ういー、やっとお昼かぁー」ノビー

唯「りっちゃんってば寝てたくせによく言うよっ!」

律「なんだとー?このー」キャイキャイ

唯「やだぁ、痛いってばー」キャイキャイ

紬「寝る子は育つっていうものね、二人とも」クスクス

律「二人とも・・・ってことは、唯!お前も寝てたのか!」

唯「えへへー実はりっちゃんよりもちょっと早く起きただけなんだー」ポワ

律「なんだよー唯も私と大して変わらないじゃんか。ムギを見習おうぜ!」

紬「え?私?私も唯ちゃんが起きる5分くらい前に起きたんだけど・・・」

唯「えー!?ムギちゃんも居眠り組みかぁー」

律「うーん、ちょっと意外だったな」

紬「もちろん、先生達にはバレない様に寝てるのよ?」ウフフ

律唯(どうやって!?)

唯「りっちゃん、りっちゃん」

律「なんだー?」

唯「今日購買に行かない?」

律「唯が購買?珍しいな」

唯「実は今日、憂の作ってくれたお弁当、お家に忘れてきちゃったんだ・・・」

律「うわぁ、もったいねー」

唯「家に帰ってから食べるもん」

律「そうかそうか。それがいいな」

紬「あの、今日からご飯は二人で食べてもらえる?」



律唯「へ?」

律「あの・・・ムギ?」

唯「私たち、何か悪いことしちゃったかな・・・?」

紬「へ?・・・あぁ!もちろん、そういう意味じゃないわよ?」

律「・・・本当か?」

紬「これからしばらくは委員会の仕事があるから社会科教室でお昼を食べないといけないの・・・」

唯「そっか、今月は美化強化月間だもんね」

紬「えぇ・・・私も本当は二人と一緒に食べたいんだけど・・・こればっかりは仕方がないわ」

律「うーん、残念だな」

紬「えぇ、本当に。・・・それじゃ、私はそろそろ行くわね」ガタッ

律「うん、寂しくなったらいつでも戻って来いよー?」ニカッ

唯「来いよー」

律「こらー私の真似するなー」

唯「私の真似するなー」

律「こいつー」グリグリ

唯「あははは、いたい、いたいよー」キャイキャイ

律「よし、んじゃ・・・私たちも行くか?」

唯「うん!購買って普段使わないから楽しみ~」

律「よーし、購買マスターの律様が購買の極意を教えてやろう!」

唯「教えて購買マスター!」

律「よし、第一!」

唯「うん!」ゴクッ

律「4時間目が終わったらダッシュで購買に向かうこと!」

唯「わかった!・・・って、あれ?4時間目が終わってもう10分くらい経ってる・・・」

律「うん、この時点で負け決定だな」タハハ

唯「そんな!信じてたのに!信じてたのに!」

律「まだ諦めるな!」

唯「だって聞いてよ購買マスター、もう10分も出遅れてるんだよ・・・?」

律「待て。これは数少ないコーヒー牛乳を手に入れるための極意なのである!」

唯「なのである!」

律「つまり!10分くらいの遅れでパンが買えなくなる、なんてことはない!」

唯「本当!?やったね!」

律「ってワケで・・・ダッシュだ!唯!」

唯「あいあいさー!」



唯「うわーすごい人だねー」

律「そうそう、出遅れると人ごみに巻き込まれることもあるんだ」

唯「そっかー大変だね」

律「唯はどんなパンが好きなんだ?」

唯「うーん、なんでも好き!」

律「うーん、じゃあ適当に2~3個取ってくるけど、それでいいか?」

唯「行ってくれるの!?さすが購買マスター!」

律「ははは、大したことではありませんよ。私にはあなたの笑顔という最高の報酬が待っているのですから」ダッ

唯「購買マスターかっこいいー!」キャー


5分後

律「ほらよ」

唯「おおー!大漁じゃ大漁じゃ!」

律「へへーん、どうだー?」

唯「購買マスター愛してる!」

律「はっはっはっ、さぁ私に報酬を・・・!」

唯「はい!購買マスター!」ニパァァ

律「ぐっ・・・なんて輝かしい微笑なんだ・・・!」

唯「わっはっはっは!私は微笑みマスターだったのさ!」

律「なんだってー!お前が伝説のあの・・・!」

唯「・・・自分で振っといてなんだけど、そろそろ教室に戻ろうか?」

律「ああ、そうだな」



律「よっしゃ、いただきまーす!」

唯「いただきまーす!・・・あ、りっちゃんも購買のパンなんだ?」

律「おうっ、まあな」モグモグ

唯「それにしても、お昼にパンっていうのもたまにはいいね!美味しい!」モグモグモグモグ

律「あ、こらっ、唯!そんなに早食いすると喉に」

唯「ぐっ!」

律「言わんこっちゃない!ほら!」ゴトン

唯「・・・!!」ゴッキュゴッキュ

唯「ぷはー!」

律「おい、大丈夫か?」

唯「うんっ!大丈夫!それにしても・・・」

律「うん?どうしたんだ?」

唯「コーヒー牛乳・・・なんで・・・?」

律「はっはっは、これが購買マスターの実力ってヤツさ!」ピカン

唯「おぉーおでこが光ったぁー」

律「私ほど素晴らしければおでこも自ずと輝くのだ!」

唯「へへー」オガミオガミ

律「お、おいっ拝むなっ///」

唯「えへへー」ニコニコ

律「それにしても・・・」

唯「うん?」モグモグ

律「二人でご飯食べるのって、何気に久々だなー」

唯「言われてみればそうだね。お昼はいつも3人で食べてたし、部活の後の寄り道もみんなでしてたもんね」

律「えーと、いつ振り?」

唯「・・・あれ」

律「ん?」

唯「・・・もしかして、初めてじゃない?」

律「えぇ!?マジか!」

唯「だって、記憶にある?二人でご飯食べたって」

律「・・・ない」

唯「だよねー。やったぁ!」

律「おいどうした」

唯「今日は記念日だよ!」

律「『二人で初めて一緒にご飯食べた記念』か?」タハハ

唯「うん!やったー!りっちゃんの初めてゲットー!」

律「おい!デカい声でそういうこと言うなっ!///」

唯「えーいいじゃん、りっちゃんのケチー」ブー

律「ブーじゃない、可愛く言っても駄目なもんは駄目っ!///」

唯「私は嬉しかったんだよー?」

律「そ、そうかよっ///」

唯「ねーりっちゃん、せっかく二人なんだし、なんか面白い話しようよ」

律「えー?面白い話ならいつもしてるだろー?」

唯「まあねー」

律「それって、どういうことだ?」

唯「だから、二人きりならではの面白い話だよ!」

律「いや、無茶振り過ぎるだろー」

唯「えー」

律「じゃあ唯、ちょっとお手本見せてくれ」

唯「え・・・っと・・・。うーん・・・」

律「・・・」

唯「そういう無茶振り、良くないと思う」

律「お前が言い出したんだろー!」

唯「確かに、難しいね」

律「ああ、かなり高度だろ?」

唯「うーん・・・二人きり・・・ならでは・・・」

律「おい、唯。そんなに真面目に考えなくていいって!」

唯「りっちゃん!面白い話かわかんないけど・・・私りっちゃんのことが好き!」




律「」

律「は、はぁぁぁ?///」

唯「・・・」

律「え・・・えっと・・・マジ、なのか?///」

唯「冗談で言ってるように聞こえる?」

律「ああ、聞こえるな」

唯「むふーバレちゃしかたがない!」

律「おまっ!このー!」グリグリ

唯「きゃー」キャイキャイ

律「全く、ちょっとビックリしたぞ!」

唯「もー冗談だってばぁ」

律「そういう冗談はあまり言うなっ!心臓に悪い!」

唯「あーりっちゃんってばこの間5組の山本さんに告白されたばっかだもんね」

律「だぁー!///デカい声で言うなっての!」

唯「大丈夫だよ、誰も聞いてないって」

律「そういう問題じゃない!言っちゃ駄目だぞ!」

唯「でも、なんで断っちゃったの?」

律「・・・なんでって、理由は明らかだろ」

唯「あー山本さんって残念な顔してるもんね」

律「こらー!あまり大きい声でそーゆーこと言わないの!!確かにちょっと居たたまれない顔してるけど!・・・じゃなくて、顔以前の問題だっつの!」

唯「えー?顔以前の問題って何?あー!わかった!臭いだ!確かに山本さんって」

律「こらー!だから違うっての!アンモニア臭のことは言ってやるなって!」

唯「えーじゃあ本当にわからないよ・・・」

律「だって・・・女子高で生徒に告られても・・・なぁ?」

唯「・・・何か問題ある?」

律「・・・女同士じゃん」

唯「へ?」

律「・・・へ?」

唯「それって何か駄目なの?法律違反?」

律「いや、そんなことないけど・・・」

唯「・・・?」

律「えっと、唯・・・同性愛って知ってるか?」

唯「うん、レズとホモでしょ?」

律「バッサリだー!!」

唯「でも、それがどうしたの?」

律「・・・へ?」

唯「だってさー好きならしょうがないじゃん。駄目なの?」

律「いや、駄目じゃないけど・・・」

唯「じゃあ振った理由になりません!」

律「う゛・・・」

唯「?」

律「駄目じゃないけど・・・いいことじゃないだろ?」

唯「えーと、りっちゃんは差別?してるの?」

律「そんなんじゃねぇよ・・・。ただ・・・っだー!」

唯「ほえ!?」

律「私にも色々と事情ってもんがあるんだよ!」

唯「えー事情って何?教えてー?」

律「いやだ!はい、この話はお終い!」

唯「えー!」ブーブー

律「・・・唯は、好きなヤツとかいるのかよ」ボソッ

唯「へ?」

律「だから・・・」

唯「・・・いるよ」

律「・・・!」

唯「確かに私、ポヤポヤしてるけど・・・好きな人くらい人並みにいるよ?」

律「・・・そっか・・・」

唯「りっちゃんにも・・・好きな人がいるんだね・・・?」

律「・・・!」

唯「同性がっていうよりも・・・告白してきたのが異性でも・・・その人じゃない限り、答えは変わらなかったんだよね?」

律「うっせーよ・・・///」

キーンコーンカーン・・・

唯「あ、予鈴だ」

律「・・・じゃあ片付けるぞー」

唯「はーい」

律「よいしょっと・・・」

唯「ねえりっちゃん・・・?」

律「なんだー?」

唯「さっきの話の続き・・・またしたいな?」

律「・・・また、明日な・・・///」


…帰り道

澪「へー、じゃあしばらく唯と二人でご飯食べるのか」

律「あ、ああ」

澪「ははは、おい律」

律「ななななんだよ・・・」

澪「よかったじゃん」ニヤニヤ

律「うううっせー///」

澪「これはチャンスだって!」

律「・・・そうかな」

澪「ああ、なんとかこのチャンスをモノにするんだ!」

律「お前はってヤツは・・・人の恋愛に横槍入れるのが好きなのか?」

澪「そういうワケじゃないけど、やっぱり律には幸せになって欲しいし」

律「そ、そうか・・・」

澪「それに、相手が唯なら・・・結ばれたらきっと幸せになれると思うし、な・・・///」

律「・・・ありがとよっ///」

澪「んで、記念すべき一日目は何かいいことあったか?」

律「うーん・・・あ、そうだ」

澪「なんだ?」

律「唯って、同性愛に偏見ないみたいだな」

澪「・・・それは、そうじゃないか?唯のあの性格なら・・・」

律「そそそうなんだけど・・・、本人の口から聞くと安心するだろっ?」

澪んーまあ、確かに」

律「でもなー・・・唯、好きなヤツがいるらしいんだ・・・」

澪「」

澪「はい?」

律「びっくりだよな」

澪「今日律が元気なかった理由、わかったよ・・・」

律「ああ・・・」

澪「それじゃ、また明日な」

律「おう」


次の日~昼休み~

律「さて今日もやって参りました!楽しい楽しいお昼休みの時間です!」

唯「楽しいね!」キャイキャイ

律「っつーわけで!私は購買に」

唯「待って!」

律「ん?」

唯「あの、今日はお弁当食べない?」

律「いや、持ってきてない」

唯「憂に頼んでりっちゃんの分も作ってもらったんだ~」ヘッヘーン

律「な、なんだってー!」

唯「ほら、だから一緒に食べよう?」

律「おう!・・・憂ちゃんにお礼言わないと!」

唯「待ちなさいりっちゃん隊員!」

律「なんですかー!」

唯「憂に頼んであげた私にもお礼を!」

律「おおう!これは失礼した!唯隊員!恩に着るぞ!」

唯「うむ!では食べようではないか!」

律「おう!」

律唯「いっただっきまーす!」

律「うめー」モグモグ

唯「ねー美味しいよね」モグモグ

律「ああ、昨日の唯の気持ちがわかったぜ!」

唯「私の気持ち?」

律「ああ、たまにパンとご飯を切り替えると物凄く美味く感じる!憂ちゃん作ってくれた弁当だから尚更だけどな!」ニカッ

唯「でしょー?たまにはいいよね」

律「ああ、美味い」モグモグ

唯「でも大丈夫だった?」

律「何が?」

唯「いや、いつもと違うもの食べるのを嫌がる人もたまにいるでしょ?」

律「ああ、確かにそういう奴もいるけど、私は大歓迎だぜ」

唯「そっか、よかった」

律「それにパンが好きだから購買に行くわけじゃないんだ。朝、時間ないだけなんだよ」

唯「あーなんかりっちゃんらしい理由だね?」

律「うっさーい!だから本当に嬉しいよ、ありがとうな」

唯「へ?う、うん!・・・へへ///」

律「ん?」

唯「んーん、なんでもない」

律「?そっか?」

唯「そういえな、昨日飲んだコーヒー牛乳、美味しかったなー」

律「ああ、ビンに入ってるあれは反則だよなー?」

唯「そうそう!今まであのコーヒー牛乳の存在を知らずに1年ちょっと過ごしたのかと思うと・・・」ガクガク

律「大丈夫だって、買い方がわかったんだからこれからは飲みたいときに飲めるだろ?」

唯「うん!なんてったって購買マスター直伝だからね!」

律「おうよ!」


2
最終更新:2010年01月07日 14:49