夕方


梓「……」ソワソワ

梓「……」ソワソワ

梓「……ゆい」

梓「まだ、かえて、こな」

梓「……にゃあ」

梓「ごは、ん、たべ、すぎた」

梓「あや、ま、る……にゃあ」

梓「……」


カチカチ カチャリ!

梓「!!」

ガチャ

唯「ただいまー! あっずにゃ~ん♪」

梓「にゃふっ!!」

唯「……おや?」

梓「……」プルプル

唯「なんか散らかってるなぁ」

梓「……」

唯「あずにゃんが散らかしたの?」

梓「にゃうう……ち、が」

唯「もぉー、おとなしくしといてって言ったでしょー?」

梓「じゅん、い、ぬ、きて、たべ、た」

唯「?」

梓「にゃうううう!!!」

唯「めっ! だよあずにゃん」

梓「うにゃあ……」

梓「にゃあああぁぁぁ……」ポロポロ

唯「ご、ごめん! 泣かないで! そんなに怒ったつもりはなかったんだよ」

唯「あずにゃんはいい子だよ。いい子いい子」

唯「一緒にお片づけしよ?」

梓「はい……」

唯「寂しかったよね? ごめんね?」

梓「……にゃあ」

唯「これ終わったらご飯つくるね?」

梓「……にゃあ」

唯「そのあとちょっとだけお勉強してお風呂はいろ!」

梓「……はい」

唯「落ち込まないで! 怒ってないから!」

梓「ほん、と?」

唯「ほんとだよ! あずにゃんまだここ来て一日だもん。わからないことだらけだよね」

唯「だからいっぱい教えてあげるね」

梓「……はい!」

唯「あ、そうだ。帰りにHumAnimal(ヒューマニマル)用の教材かってきたんだよ!」

梓「……?」

唯「あずにゃんたちみたいな子のことをヒューマニマルっていうんだよ」

梓「……はい」

唯「耳もしっぽもふさふさしててきもちーねぇ」ナデナデ

梓「……ふにゃ」

唯「いつからだったかなぁ……あずにゃんたちみたいなのが出てきたのって」

唯「私が生まれるずっと前ってことしかわからないや」

唯「また今度しらべとくね」

梓「にゃあ」

唯「はいでしょ?」

梓「はい」

唯「いい子いい子」

梓「ふにゃ……」

唯「よし、だいたい片付け終わったねー」

梓「はい」

唯「ご飯ご飯っと。待っててね」

唯「あ……冷蔵庫の中身が」

梓「ふにゃあ……」

唯「あずにゃん……」

梓「うぅ……」フルフル

唯「あずにゃんじゃないの?」

梓「にゃあ、にゃあ!」

唯「わかんないなー。早く言葉覚えてもらおう」

梓「にゃあ……」

唯「睡眠学習のだから簡単な言葉なら数日で話せるようになるとおもうよ」

梓「……はい」

唯「がんばろうね」

梓「はい」

唯「さて、今晩のおかずどうしよう」

梓「にゃあ……」

唯「えー? あやまらなくていいよー、ふふふ。何か出前でもとろっかな」


……


唯「おいしかったねーあずにゃん」

梓「ぴざ! ぴざです!」

唯「うんうん、また今度たべようね」

梓「ぴざ! にゃあ!」

唯「さてお風呂はいろうか」

梓「おふ、ろ!」

唯「またちゃんと洗ってあげるからね」

梓「はい!」

唯「ふふ、喜んじゃって」

唯「人猫は結構お風呂嫌いって聞いてたけどそうでもないんだね」

梓「にゃあ!」

唯「さて、いくよー」

梓「にゃあ!」



お風呂


唯「ごしごし」

梓「にゃあにゃあ」

唯「すべすべー」

梓「にゃあ」

唯「明日はもっといっぱい喋れるようになるからね」

梓「はい、にゃあ」

唯「たくさん言葉を覚えたらつぎはいろんな所に連れて行ってあげるね」

梓「にゃあ」

唯「ごしごし」

梓「にゃあにゃあ」

唯「綺麗なお肌……虐待はされてなかったのかな」

唯「ううん、こんなやせ細ってるんだもん。ご飯をあげないのも虐待だよ」

唯「その反動でたくさん食べちゃったのかなー」

唯「いっぱい食べて元気になろう! 嫌なことは忘れちゃおう!」

梓「ふにゃ……」

唯「私が新しい飼い主! あずにゃんの飼い主!」

唯「心配しないで、絶対うまくいくよ!」

唯「それにちょうどほしかったんだ! ヒューマニマル!」

唯「周りはみんな飼ってるんだよ」

唯「だからあずにゃんに出会えて嬉しい!」

唯「そりゃちょっとあずにゃんは他の子とは違ってだめな子かもしれないけど」

梓「うにゃ……」

唯「……でも、そんなとこも含めて大好きだよ!」

唯「それにこれからどんどん学習して成長するから大丈夫!」




梓「……スピー」

【おはよう。こんにちは。こんばんは。おやすみなさい】

梓「オハ……コン……zzz」

唯「んにゅ……あずにゃ……ムニャムニャ」

【いただきます。ごちそうさまでした。ありがとうございました】

梓「イタダ……zzz」


唯「あずにゃ……がんばって、ね……zzz」



梓「ムニャムニャ……ユイ、ゴシュジ……」


【ヒューマニマルとして正しい生き方をしましょう。決して野良になってはいけません】

【あなたを愛してくれるご主人様のために日々働き、癒しを与えましょう】





梓「……おきてください」

唯「……むう……あと5分」

梓「おきてください朝ですよ!」

唯「ほえ……ふぁ……あっ!」

唯「あずにゃん! しゃべってる!」

梓「はい。これくらいかんたんです」

唯「おお! さすが高級学習セット。頭とか痛くない? 副作用大丈夫?」

梓「大丈夫です。あ、そうだ」

梓「おはようございますご主人様」

唯「!」

梓「……どうしましたか?」

唯「こ、これだよ……私が長年夢見てきた……うふふ」

唯「あっずにゃ~ん♪」ギュウウ

梓「みゃあ……」

唯「むふふ~、こんな可愛い子にご主人様ってよばれるなんて幸せー」

梓「あんまり抱きつかないでください……」

唯「え~? どうして?」

梓「なんか……変な気持ちになるので」

唯「ん~?」

梓「うにゃ……」

唯「あずにゃんは抱っこされるの好き?」

梓「すき……はまだよくわからないです」

唯「そっかぁ」

梓「でもお気に入りです……」

唯「うんうん。なら遠慮無く抱いちゃおう」ギュウウ

梓「ふあ……」

唯「さてと、今日もお仕事お仕事。朝御飯たべよっか」

梓「お仕事……」

唯「ん? どったの?」モグモグ

梓「わたしもお仕事……ついてく」

唯「んー、あー……それは……」

唯「まだ早いかな……」

梓「ふにゃあ……」

唯「おっと時間だ、いってきます」

唯「いい子にしてるんだよ?」

梓「にゃあ……はい」

唯「じゃあねー」

ガチャ バタン


梓「……」

 『きっとあんたみたいな出来の悪い人猫を連れまわすのが恥ずかしかったんだよ』

梓「そうなのかな……」

梓「純は今日もくるのかな……」




梓「テレビおもしろい……」

梓「ヒューマニマルも出てる……」

梓「よくこんなにいっぱいしゃべれるなあ」

梓「私あとどれだけ勉強したらいいんだろう」

梓「あ……あれ!?」

梓「唯! ご主人様だ!」

 『えー本日のゲストは~~』

梓「……」

梓「うにゃ、テレビの人とお話ししてる」

梓「ご主人様ー! ご主人様ー!」

梓「あ、ヒューマニマルともお話ししてる」

梓「あんなに笑顔で……」

梓「ふにゃああ……変なきもちになる」

梓「ご主人様……そんなとこにいないで早く帰ってきてください……」

コンコン

梓「!」

コンコンコンコン ガンガン!

梓「!」

純「あけろー私だよーん」

梓「ど、どろぼー!」

純「今日はどろぼー目的じゃないよ。まぁだされたご飯はいただくけど」

梓「あ! そういえば純のせいで昨日怒られた!」

純「やっぱりねー! 所詮人間なんて表面上のことしか見てないんだよ」

梓「で、でもご主人様は許してくれた! もう怒ってないよ!」

純「……へぇ」

梓「純は今日はなにしにきたの! またかんゆう?」

純「まぁまぁ話は中で」

梓「それは純のセリフじゃないよ!」

純「あんた一日でちょっとはマシになったじゃん。平沢唯、たいしてお金稼いでないくせに高級つかったんだ太っ腹ぁ」

梓「私がつかった学習装置高いの?」

純「そりゃもう。あんたみたいなバカ猫には超もったいないくらい。ぐんぐん知能レベルあがるらしいよ」

梓「わ、わたしばかじゃないもん!」

純「あーあ、なーんか温室でぬくぬくしててむかつくー」

梓「あ、外寒い?」

純「寒い寒い、だから入れてよ」

梓「きょ、今日は荒らしちゃだめだよ! あと昨日のこともあやまって!」

純「あーもう、ちょっと賢くなったらこれだー」

梓「純!」

純「ごめんなさい。っとこれでいい?」

梓「……むぅ」

純「入れてってばー。凍え死んじゃうよ」

梓「わ、わかった……そのかわりお話すんだらすぐ帰ってよ?」

純「オッケーオッケー」

梓「……」 ガチャ


3
最終更新:2011年03月09日 20:49