―――

梓「ただいま~」

梓「ん?この靴…」

梓ママ「あ、おかえりなさい。そうそう、純ちゃん来てるわよ?」

梓「え…?」

梓ママ「梓の部屋で待ってもらってるからね」

梓「え、私の部屋?私の部屋って…えっと」

梓(確かアレが出しっ放しで…)

梓「ま、まずい!!」ドタドタ

梓「純!」ガチャ

純「!!」

純「びくっ!あ、梓おかえり…」

純「あ、あのごめんね!英語のノート借りたまま持って帰っちゃって、あ、それで明日英語の宿題あるから梓困るなーと思って」

純「届けに来たんだけど…」

梓(えーと…どうなんだろ?バレてるの?バレてないの?)

純「ああ、そういえば私の布ポスター届いたんだね!家にもそろそろ届いてるかなー?い、いやーこうして見るとなかなか恥ずかしいっていうか」

純「で、でもさ!結構かわいく写ってると思わない?」

梓「あ、うん。そうだね…」

梓(大丈夫かな?さりげなく仕舞わないと。だってアレ…)

純「で、でね?えとね、あのー…このポスターなんだけど…」

純「なんでさ、こんなにさ、ぐ、ぐっちょり?湿ってるのかな…?」ビクビク

梓「ヒッ!え、えとそれは…」

梓(だめだ!やっぱりバレてた!!どどどうしよう何か言い訳を…)

純「梓まさかこれ…」

梓「いや!違うの純!別にそれ私が舐めたんじゃなくて!!」

純「え?舐めたって…」

梓「え?だ、だから違うの!舐めてないよ!!ただちょっと舌触りが気になったっていうか!」

純「いやそれ舐めてるんじゃ…」

梓「いや、そうじゃなくて!別に純が可愛すぎてたまらずペロペロとかそういうことじゃなくてね!」

梓「あの、あのね!」オロオロ

梓(どうしよう頭真っ白で何も思いつかないよ!なんかとんでもないこと口走っちゃってるような…)

梓「だからね、別にね…」

梓(もうだめだ…もう絶対純に嫌われちゃう…)

梓「…っう、ぐすっ…ひっく…」

梓「ぅわぁぁぁん!ごめんなさいごめんなさい!!」ボロボロ

純「あ、梓落ち着いて!」

梓「ごめんなさい許して嫌いにならないで…!」ポロポロ

純「ちょっと、冷静に!話がイマイチ飲み込めないって!いや、大体わかるような気もするけど…」

純「と、とりあえず一回泣き止も?ほら、深呼吸して!」

梓「っぐす…純、ありがとう。ごめんね…」

純「ほら、落ち着いて、いきなり謝られても困っちゃうよ?ちゃんと話してくれなきゃ」ナデナデ

梓「…」

梓(純の手、あったかい…ちょっと落ち着いてきたかも)

梓(だめだな私、純を困らせちゃった。本当はこの気持ちは絶対に伝えないって決めてたけど…こうなった以上覚悟を決めないと)

梓「…あのね、驚かないで聞いてくれる?」

純「…うん」

梓「あ、って言っても絶対驚くと思うんだけど、えっとちゃんと聞いて欲しいって言うか」

梓「あーもうそんなこといいや!えと、言うね!!」

純(梓すごく緊張してる…私もなんだか…)ドキドキ

梓「あのね…、私、純のことが好きなの!」

純「…!」

梓「純と恋人になって手を繋いだり、あの、き、キスとか…そのいちゃいちゃしたりとか…そういう好きなの!」

梓「ごめんねいきなり。女の子同士なのに私おかしいよね…びっくりしたでしょ?」

純「…うん、ビックリした。」

梓「…」ショボン

純「まぁでもさっきの梓が取り乱してた時ので大体予想はついてたし、それに、ビックリしたけどおかしくなんてないと思うよ」

純「別に誰を好きになろうと梓は梓だし、人を好きになることが悪いことなわけないじゃん。そんなことで謝るなんておかしいよ」

梓「純…うん、ありがと」

純「私は別に梓が女の子が好きでも全然気にしないし…ま、まぁそれが私っていうのはやっぱりびっくりしたけど…」

梓「…うん。でもね、私は女の子が好きっていうより、純が好きなの!女の子も男の子も関係ない、純だから好きなの!」

梓「ぶっきらぼうで適当でマイペースで、初めは私と全然違うタイプだなって思った」

梓「でも気付くとそんな風にいつも自然体でいられる純が羨ましくて」

梓「だからずっと見てたの」

梓「そしたら、また違う面も見えてきて…」

梓「いつもマイペースなんだけど、さりげなく周りに気を使える子なんだってわかった」

梓「私が困ったとき、悩んだときはすぐに気付いてくれて」

梓「素直になれない私の背中をぐいぐい押してくれたり」

梓「かと思ったら不器用で意地っ張りで、ありがとうもちゃんと言えない私に気を使わせないようにさり気無くアドバイスしてくれるときもあって」

梓「私のことわかってくれてるんだって、本心見透かされちゃってるんだって」

梓「ホントは純にいつもいつもありがとうって素直に伝えたかったのに、きっと純は私が思ってても言えない性格ってわかってくれてるって」

梓「純は私のことわかってるはずって純に甘えて、自己嫌悪になったり」

梓「そうやって純のことばっかり考えるようになってて、気付いたらもう心の中にずっと純がいて」

梓「好きで好きでたまらなくて、この気持ちも見透かされそうで怖くて…」

梓「でもバレたら絶対今まで通り友達でいられなくなっちゃうのわかってたから…」

梓「えと、私何言ってんだろ。話が全然まとまらないや…」

純「梓…」

梓「あのね、つまりね、私…純が好きで…ありがとうって言いたくて…」

梓「純に……」

梓「嫌われたくないよぉ…ぐすっ」

純「…」

純「バカ」

梓「え?」

純「梓のバカバカバカ」

梓「あ、あの?」

純「バカバカバカバーカ!」

梓「えっと…怒った?」

純「あのねぇ!そんなこと言われてねぇ、そこまで必死に告白されて、梓のこと嫌いになれるわけないでしょ!」

純「こんなに人に好きって言われて、嬉しくない人なんていないでしょ!」

梓「純…」

純「確かに梓が私のこと好きなんてびっくりしたし、私の気持ちの整理もまだついてないけどさ」

純「ちょっと照れるけど、今これだけはハッキリ言えるよ」

純「ありがとう梓、私のこと好きになってくれて」

―――

憂「梓ちゃんどうしたの?」

梓「」ボーッ

憂「梓ちゃん?」

梓「う、憂!おはよう!」

憂「大丈夫?なんかボーっとしてるけど…」

梓「え?そ、そうかな?なんでもないよー」

純「憂!梓!おはよう!!」

憂「あ、純ちゃん来た。おはよー」

梓「…お、おはよう」

純「どーしたのよ梓。なんかそっけなくない?」

梓「べ、別にそんなことないし…」

純「こないだはあんなに情熱的だったのに」ボソッ

梓「!!ちょっと純!」

憂「?」

憂「今日も仲良いね」

純「そーお?ありがと」

梓「そ、別にそんなこと…」

純「もー素直じゃないんだから!」

梓(あの事件からしばらくが経った。私の方はまだドギマギしてるんだけど純はすっかりいつも通りに戻ってしまった。)

梓(いや、元通りでもないか)

梓(今の純は私の抱いている特別な感情も全て知った上で私と接してくれているんだ)

梓(前以上に私は純に全てを見透かされちゃっているようで何だかこそばゆいんだけど)

梓(ま、それも悪くないかな)

梓(純との距離も日々近づいていっているような感じもするし…)

梓(今はまだ友達だけど、このまま行けばきっといつか、ね)


終わり



最終更新:2011年03月09日 05:34