美容院

店員「今日はどのような髪型を?」

唯「き、金髪にパーマあててくださいっ!」

店員「えっ? でもあなた高校生でしょう? 校則とか大丈夫?」

唯「だだだ大丈夫ですっ!」

店員「……ならいいんだけど」

唯「」ドキドキ

そう、明日からいよいよ私も高校生。

何かしなきゃいけない、そうずっと思って来た……。

でもちょっと前、ついに見つけたよ!

私……



店員「これでどうかしら?」

唯「(ツッパリになるよ!)」キリッ


次の日!

唯「なんか思ってたのとちがーう……」

もっとパンチなの想像してたのに。

憂「お姉ちゃん…」

唯「あ、憂! 行ってく(ry……コホン 行ってくんぜ!」

憂「お姉ちゃんが……グレちゃったよぉぉぉぉぉぉ」うわーん


泣くな泣くな妹よ!
今日から私の覇道が始まる、それは確かに危険で過酷な道だけど……てっぺん摂るまでやめらんねぇ!


唯「金髪にしたし弁当も持ったし~♪」

唯「ふふふ……学校に行ったらさぞ目立つんだろうな~。こんな気合いの入った髪色私だけだろうしね!」


唯「いい子ちゃんはみんな黒髪にしときな……じゃないと火傷するぜってね」

唯「ふんふふふ~ん♪」

紬「」

唯「あ゛?」

あ、あの電車から降りて来る金髪?クリーム色の髪型の人桜ヶ丘の制服着てる……!

唯「……! よいしょっ!よいしょっ」

鞄から学生手帳を出して校則一覧をガン垂れてやんぜこらー!

唯「第6項 髪色は黒を原則とする……ちゃんと書いてるよね……」

紬「」

唯「……」

唯「ほんまもんや……あれほんまもんやで!」ガクガクガクガク

唯「ビ、ビビっちゃダメだよ! こっちだって金髪だし……今の内に友達……じゃない〆とこうか……!」

紬「」

眉毛太い……怖い!

唯「きょ、今日のところはやめといてあげようかな。学校に遅刻してもいけないし……」サササ……

桜ヶ丘高校って意外と悪高だったんだね……。

唯「でもここで挫けるぐらいならツッパリやってないってんだべらぼ~!」

そうだ、今日から私は!

ツッパリなんだから!



学校!

クラスは……ここか。初めからガン付けてビビらしちゃおっと。

ガラララ

唯「」ジロッ

青髪「ん?」
緑髪「どうしたの?」
赤髪「おはよー」

唯「はわわわわ」

緑髪「?」

赤青緑ってヒーロー戦隊みたいな髪の方々がいらっしゃるなんて聞いてないよぉ!

ヤバいよ……赤とか緑とか校則とか言うレベルじゃないよ。
私が言うのもなんだけど……。

青髪「席順前に貼ってるよ」

唯「あ……ども……」サササ…

あの人達とは出来るだけ遠くに座りたいな…
あっ、窓側の一番奥だぁ。やったね!

唯「おかしいよ……なんかいじめられっ子みたいになってる……」

ダメダメ!金髪悪魔はもっとふんぞり返ってないと!

唯「お~ここか~」ドカッ

ふふ、わざと荒々しく着席して怖さアピールだよ!
前の席の眼鏡ちゃんガクブルっちゃってるよきっと!

和「あれ? 唯髪型変えたの? ってその色!」

……幼なじみでした。

唯「オナ中の真鍋じゃん! 元気やってっかよ?」バンッ

こう言って肩叩いとけばこいつら仲間か……と思われて迂闊に手は出せない筈!

和「元気かって昨日会ったばかりじゃない」

唯「そうでした」

和「で、その髪型どうしたの? いきなり金髪だなんて。先生に怒られるわよ?」

唯「えっ!?」

和「?」

ヒーロー戦隊の人達はスルーなの和ちゃん……?
そっかぁ……怖くて言えないんだよね。
わかるよその気持ち!

唯「大丈夫だよ和ちゃん……和子は私が守る」

和「和子って誰よ」

唯「まあなんとかなるっぺ!」

和「なんか性格変わったわねあんた」

唯「でさ、和ちゃん……」

和「なに?」

唯「こんなウニ頭した子見なかった?」

和「いるわけないでしょ……」

唯「そっかぁ……」

伊藤ちゃんはいないんだね……。


さわ子「副担任の山中さわ子です。このホームルームが終わったら体育館で始業式ですから皆さん出席番号順に並んでください」

唯「」ドカッ

さわ子「……」

こうやって机に足乗せて座るの憧れてたんだよね~。
せんこーもビビっちゃってるしぃ。

さわ子「えぇっと……平沢唯さん?」

唯「なんですか? 先生」ニコギロッ

笑みの中にも殺意だよ!
感じとったが最後、もう先生は三年間私に恐怖しながら過ごすことに……

さわ子「パンツ見えてますよ。もっと女の子らしくしなさい」

唯「はわわわっ」ササッ

さわ子「はい良くできました。じゃあ移動してくださーい」

あのせんこーめ……次にあったらわんぱんだよわんぱん!

唯「」ブツブツ

さわ子「小さく前へ習え」

唯「」ビシッ

さわ子「はいやめ」

唯「」ササッ

さわ子「じゃあ行きましょう」

唯「絶対ちょーぱんしてやる……」ブツブツ

青髪「(何か可愛いらしい子ね……)」


体育館!

律「うひゃ~いるね~」

澪「みんなと仲良くなれるかな……?」

律「な~に友達100人出来るかなみたいなこと言ってんだよ! 私らでてっぺんとるんだろ?!」

澪「てっぺんって……」

律「しかし桜ヶ丘って色々な髪色いるな~赤青緑に何でもござれだな」

澪「あ、あの子……」

唯「」


律「ん? あの金髪がどうかした?」

澪「綺麗に染めてて可愛いいなって……」

律「そうか~? 澪の黒髪の方が私は好きだけどな」

澪「そうかな?」

律「そうそう」

唯「……なるほどね」

数だけは大したもんだけど気合いの入ったのは数人って感じかな……。

唯「まず一年をしめてから二年、三年で最後は裏番……そして桜ヶ丘しめた後は隣の開久(高校名だけ同じ)に乗り込むか……」

唯「私のツッパリロードも先が長いや……」

和「(完璧に何かの影響受けてるわねこの子……大丈夫かしら)」

先生「続きまして……新入生、答辞」

唯「ふぁあ~」

早く終わらないかな~。

さわ子「……えぇっ? それでその子は……」

先生「それが凄い熱らしくて途中で……どうしましょうか……」

さわ子「ちょっと内のクラスの子に頼んでみます」

なにやら騒がしい……卒業生のお礼参りでもあったのかな?

さわ子「真鍋さん、ちょっといいかしら」

和「はい?」

さわ子「答辞を言う予定の子が熱で倒れちゃって……代わりに壇上に上がってくれないかしら?」

和「はあ……いいですけど」

唯「(壇上→上がる→目立つ)」!

唯「先生、私がやりますよ……それ」ニヤリッ


ギシギシとしなる階段をゆっくり上がる。
背筋には何百人もの視線。
答辞ってことはこれはもう一年をシメたと同じことだよね。

ふふ、案外あっさりだったなぁ~。

後はバシッと決めるだけ!

理想
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
唯「新入生代表平沢唯! 平は平の清盛の平! 沢は沢尻エリカの沢! 唯は唯我独尊の唯! 今日からこの学校のてっぺんとるんで二年や三年の人も覚悟しといてくださいよ?」

_ _________ 0o。    現実
   唯「ほ、ほんじつはお日柄もよよく……」

校長「緊張しなくていいからゆっくりね」


唯「これから三年間たくさんのことを学びたいと思います」

パチパチパチ

校長「代役ご苦労様でした」

唯「えへへ、ども~」

急いで列の中に戻る。

和「良かったわよ唯」

青髪「可愛かったよ唯ちゃん」

緑「お疲れ様」

唯「ありがとぉ」

ってなんか違うよ!


放課後!

唯「結局あんまりツッパリれなかったな~……5ツッパリぐらいだよこんなの」

明日からはもっとツッパらないと……

ドカッ
唯Σ律「」

律「っとごめんごめん急いでてさ! 澪~早く行くぞ~!」

澪「待ってよ律~」

えっ、今ぶつかったよね?
間違いなくぶつかってきたよね?

唯「……ちょっと待ってよ」

律「ん? 何か用?」

目があったよ!私今だよ!

唯「おい……なにメンチカツくれとんじゃこらー!」

あっ……ちょっと間違った。


律「メンチカツ?」

澪「あっこの子……」

唯「わ、わびいれんかいこならー!」

律「こならー? 方言? 澪わかるか?」

澪「……ちょっとわからないかな」

なめくさりやがって……ここでなめられたらツッパリ失格だよ!
言葉が通じないならこれでどうだ!

唯「ぶつかったんだからもっとちゃんと謝って……ください」

律「なに?」

唯「だから……そのぉ……」

律「あ? なんだって?」

ひいいいいいよく見たらこの子怖い!

唯「……今日の晩御飯メンチカツだから一緒に食べませんか……?」

律「あ~あれあんたの献立だったの? でも全く違うクラスの子をいきなり晩御飯に誘うって」

澪「面白い子だね」

唯「あの……その……」

律「あーごめん! 今日は色々と忙しいから。また今度な!」

唯「あっ……はぃ……」

律「私ら音楽でてっぺん取るのに忙しいから! んじゃ! ほら、行くぞ澪!」

澪「え? あぁっちょっと引っ張るなよ!」

唯「音楽で……てっぺん?」

律と言う子が片腕で天井を指す光景が何故か目に焼き付いた。

今日はとことんツッパれなかった分家ではツッパってやる!

唯「……」

憂「あ、お姉ちゃんおかえ」

唯「やんのかこらー!」ぎゅー

憂「お、お姉ちゃん?」

唯「ちくしょうがー!」メソメソ

憂「何かあったの……?」

唯「なんでもねーよ!」ぎゅー

憂「……」よしよし


明日こそはツッパってやるんだ……!

三ちゃんだって初めからそこまで……ツッパってたよね……。


見た瞬間に憧れた。

卑怯、最強、最悪、金髪の悪魔。

呼び名はいくつもあり街を闊歩するだけで人は彼を避ける。

でも本当は心優しいところも大好きだった。

そんな存在に漫画と言えど私は憧れた……。

だからツッパリになった。
誰にも指図されず、我が道突き進む……それがツッパリ。

そんな存在に私は本当になれるのだろうか……外張りは三ちゃんでも中身は谷川だよ……。

唯「明日こそ私は!」

布団の中でそう呟き、眠りについた。

唯「……わたしぁ平沢だぞ~……zzz」


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最終更新:2011年03月08日 03:02