――――――――――――――――


ざっざっ

シルバー「ここは…」

サカキ「なんの変哲もない、ただの森の一空間さ。だがこんなところだからこそ、私達の“戦

う”場所に相応しいのかもしれない…」

シルバー「……」

サカキ「決着をしに来たんだろう?」

シルバー「ああ…」かちゃ

サカキ「ふ…」かちゃ

…ぽん!!

シードラ「シー!!」

サイドン「ガオー!!」

シルバー「シードラ、ハイドロポンプ!!」

シードラ「ドラー!!」ぶしゅううう!

サイドン「…!!」

サカキ「相性ではこちらが不利…。だが!! パワーではこちらが断然上だ!!
サイドン! つのドリル!!」

サイドン「ガオー!!」ぎゅるるっ

シードラ「!?」

ぎゅおおおおおお……!!

ばしゃああん!!!

シードラ「ドラー!?」

シードラ「シー…」ばたっ

シルバー「…!!」

サカキ「さあ、次は何を出す?」

シルバー「……」かちゃ


――――――――――――――――


ミュウツー「……」ぶんっ!

びゅおっ!!

律「うっ!?」

澪「! ハブりん!!」ぽん!

ハブりん「プッププ~!」ばっ

どさっ…

律「おっ…」

ハブりん「プッププ~」しゅっ

律「…サンキュー」

唯「ピッ太、みずのはどう!」

ピッ太「ピッ!」しゅわっ

ミュウツー「……」すっ…

ぱああん!

唯「ああ…!」

ミュウツー「……」かちゃ…

う゛おおおおおん!!

唯「ひかりのかべえ!!」

ピッ太「ピッ!!」かっ

きいいいん!!

ミュウツー「………」

唯「ふう…」

律「くそ…これじゃあキリがないぜ。こっちは防戦一方だし…」

澪「戦えるポケモンも少なくなってきたな…」

唯「…ところで、シルバー君は無事に行けたのかな!?」

律「行けたと思うぜ! あとはあいつ次第だ!」

澪「とりあえず、シルバー君を安心させるためにも、まずミュウツーを止めないと!」

唯「うん! 私達、お姉さんなんだし頑張ろう!!」

律澪「おう!!」

――――――――――――――――


サカキ「クロバット! エアスラッシュだ!!」

クロバット「クロクロバ!」しゅばっ!

ざきいっ!!

ヤミカラス「」がくっ

シルバー「……く、」

サカキ「…もう諦めたらどうだ? 私はお前の手持ちを知り尽くしている。手も読める……お前

に勝ち目はない」

シルバー「……」

サカキ「もうこんな無意味な争いはやめて、私と一緒に来い。それで…」

シルバー「あんたとなんて、まっぴら御免だ! 俺まで巻き込むな!」

シルバー「昔からそうだった…。あんたは俺のことを放っておいて、どこかに行って……、今

思えばミュウツーの研究をしていたのか。
…くだらない!! こんなことのために毎日毎日…! 自分の都合でポケモンを作って!!
あんたはいつまでも変わらない!! 俺のことを……! ………ぐ…」ぎゅっ…

サカキ「……」

シルバー「あんたは俺のすべてを知っていると言いたげだが、数年間なにも見てこなかったあ

んたに俺の何が分かるっていうんだ!
この数ヶ月で手に入れたポケモンもいるんだ!!」

ぽん!!

リングマ「グマー!!」

サカキ「!」

シルバー「あんたはここで倒す!!」

サカキ「…ふふふ」

シルバー「?」

サカキ「ニュースでやっていたぞ。そのリングマ…ウツギ研究所から盗んだポケモンだろう?


シルバー「それは…」

サカキ「お前は私の子だ…。変わらないのさ、結局」

シルバー「……確かに、」

シルバー「俺は間違っていた…俺のしていたことは…。でも、」

シルバー「俺はこの数ヶ月間、とても楽しかった…。あいつらに出会えて……
一緒に戦ってくれる仲間や、ポケモンを通して知り合った人達、優しい人達、人の優しさを教

えてくれた人!!
……俺はこの旅をしてよかったと思っている。
こんなこと言ったら都合がいいけど…でも!
ヒメグマを盗んだこと、後悔はしていない!!」

サカキ「……悪人をくじく正義の味方らしからぬ発言だな」

シルバー「俺は正義の味方でもなんでもない。ただの一人のトレーナーさ。
それに、罪なら償う! 償いきれないかもしれないけど俺は責任を持って、それを背負って生き

ていく!!
出来れば…!!」

シルバー(あんたと一緒に…!! 俺を初めて抱いてくれたあの時の親父に戻るなら…!!!)

シルバー「リングマァア!!」

リングマ「グマー!!!」

サカキ「スピアー!!」ぽん!

スピアー「スピー!!!」

シルバー「おんがえし!!」

サカキ「ダブルニードル!!」

リングマ「グマー!!」だっ

スピアー「スピー!!」しゅっ

どおおおおおん!!!

リングマ「グマ…」がくっ…

スピアー「…スピー……」ばたっ

サカキ「!!」

サカキ「ま、負けた…!」

シルバー「もう終わりだ、これで…。ミュウツーを解放しろ」

サカキ「まだ、だ…。まだ終われない! 私の夢を叶えるためにまだ!!」

シルバー「そんなに世界征服が大事なのかよ!?」

サカキ「違う!!」

シルバー「! …なに?」

サカキ「私の本当の夢は…」がさっ…

ぽん!

サカキ「!?」

セレビィ「ビィー!!」びゅおっ

サカキ「セレビィ!? なぜ勝手に…」

セレビィ「ビィー」しゅっ

サカキ「! どこへ行く、セレビィ!!」

セレビィ「ビィー……」くるっ

セレビィ「ビィ!」にこっ

シルバー「!」

セレビィ「ビィー!!」しゅっ

サカキ「待て!! セレビィイイイ!!!」


――――――――――――――――


律「はあはあ…」

ミュウツー「………」

澪「強すぎる…!! いつまで体力が持つんだ…?」

律「はあはあ…。もう手持ちは全員ヒットポイント尽きてるぞ…」

澪「私はまだ…何体かいるけど……でも、」

律「ははっ、これが満身創痍って奴だな」

澪「言ってる場合か…」

律「だって澪、ボロボロじゃん」

澪「そういう律だって…。服破れてるぞ、はしたない」

律「へへっ、澪も胸がまる見えだぞ?」

澪「いえっ!?//」ばっ

律「ははっ、冗談だよ」

澪「バカ律! こんな時にそんな冗談言うな!!」

律「こんな時だからこそだろぉ」

唯「ピッ太ぁ…大丈夫?」なでなで

ピッ太「ピッ……」

澪「唯…」

律「…はボロボロじゃないな、見事に」

唯「ピッ太が守ってくれたからね。嬉しいやら悲しいやら…」

唯「でも、これが絶対領域って奴だね!」

律澪「全然違う」

律「つーかホント動けねえ…ヤバいぞこれは…」

澪「…!」

唯「どしたの? 澪ちゃん」

澪「なにか来る…!」

ぴょんぴょん…

律「…なんだ?」

ミュウツー「………?」

「ミミロー!」ぴょんぴょん

律「なんだあれ…?」ぴっ

ポケモン図鑑『ミミロップ、うさぎポケモン。
いつも耳先をけづくろいして手入れを怠らないきれい好き。軽やかに跳びはねて走る。』

律「ミミロップか…」

澪「シンオウのポケモンがなんでこんな所に?」

唯「いや! りっちゃん、澪ちゃん…ちょっと待って!!」

澪「…?」

律「どうしたんだ、唯」

唯「うん…。あの子……」

律澪「……」ごくり

唯「すごくかわいい~!!!」

律澪「だあ~…」がくっ

澪「だから、言ってる場合か!!」

唯「だってあんなにかわいいんだよ!?」

律「知るか!」

唯「近くに行ってみよう!」たたっ

澪「完全にミュウツーのこと忘れてる…」

律「まったく……。ん?」

律「!!」

律「待て、唯!」だっ

がしっ

唯「ふぇ?」

律「あいつ…ミュウツーに向かってるぞ?」

唯「え!?」

ミミロップ「ミミロー」ぴょんぴょん

しゅたっ

ミュウツー「………」ぎろっ

唯「危ないよおっ!!」

ミュウツー「……」ぶんっ!

ミミロップ「…!」

ミミロップ「ミミロー!!」ぶおっ!

かきいいん!!

ミュウツー「……!」

律「とびげりか!」

唯「おおっ! 強い!」

澪「でも…あのミミロップ、野生か?」

律「だよな。いくらなんでもミュウツー相手に…」

澪「ん? あのミミロップ、なにか持ってる…?」

ミミロップ「ミミロー!」さっ

ミュウツー「………」じろっ

ミミロップ「ミミロー?」

ミュウツー「……!?」

ぴかあああっ!!

唯「まぶしい…」

律「赤と…」

澪「…青の閃光!!」


しゅううう……

ミュウツー「……」ぽかん…

ミュウツー「こ、ここはどこだ…?」

唯律澪「!!」

ミュウツー「むう…私は、誰だ……?」よろっ

澪「ミュウツー!!」たっ

ミュウツー「…澪、か?」

澪「正気に戻ったんだな!!」

ミュウツー「正気…? なんの話だ?」

律「はあ…なんも覚えてないのかよ」

唯「でもよかったね!」

ミュウツー「お前達は…いつかの…」

律「あの時は危なかったんだぞー?」

唯「いきなり地面が割れて、パーンってね!」

ミュウツー「あの時は…」

律「ああ、いいっていいって。済んだことだし!」

唯「うん!」

ミュウツー「ふ…」

しゅたっ

ミュウツー「どうやら…お前達に迷惑をかけてしまったようだな」

澪「迷惑だなんて! 友達だろ?」

ミュウツー「…ふ、友達…か」

びゅうっ…

唯「あれ? ミミロップちゃんがいない!」

律「結局野生だったのか?」

唯「…んー、でも何か訳ありな感じだったよね。なんでミュウツーがあの光で戻ったのかなあ

…?」

律「ん~…よく分かんないけど、」

律「“絆”…じゃね?」キリッ

唯「……」

唯「…りっちゃん恥ずかしい」ぷぷっ

律「なんだとぉー!?」

ぎゃあぎゃあ!!

澪「ふふ…」

ミュウツー「……」

ミュウツー(あの赤と青の光はルビーとサファイア…。ふふ、そういうことか)

ミュウツー「フフフ…」

澪「?」

ミュウツー「澪。それで、サカキは?」

澪「ああ…。サカキとは今、シルバー君が戦ってる」

ミュウツー「行った方がいいのか?」

澪「ううん。大丈夫だよ」

ミュウツー「そうか…。……澪、」

澪「ん?」

ミュウツー「ありがとうな」

澪「…うん」

ぎゃあぎゃあ!

律「こらー、唯!」

唯「絆…」きりっ

唯「だって~!」ぷぷぷ

律「くぉらあああ!!」

ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ!

ミュウツー(彼女らにもお礼を………まあ、必要はないか。だが一応言っておこう。ありがとう

唯、律)

唯「きゅ~…」

律「ミュウツー!」

ミュウツー「! なんだ?」

律「まだ私はお前のこと、完全には信じられないけどさ! よかったよ、元に戻れたみたいで!


ミュウツー「ふ…。ああ!」

澪「そうだ、ミュウツー!
実は、今コガネのラジオ塔でニャース達がホウオウと戦ってるんだ! ニャース達を手伝ってほ

しい、そしてホウオウを解放してやってくれ!! ホウオウもまた、ロケット団に操られている

んだ!!」

ミュウツー「承知した!」たっ

唯「あっ! カツラさんもいるよお!! エンテイ達の為にもお願い!! ミュウツー!!!」

ミュウツー「ああ…!」しゅっ!

澪「これでひとまず安心だな…」

律「ん、そうだな。シルバーが帰ってきたら、みんなでお祝いだ!! パーッとやろうぜ! パ

ーッと!!」

澪「いいけど、ハメ外しすぎるなよ?」

律「わぁってるって! ムギや梓も呼ぼうぜー!!」

唯「さわちゃんや純ちゃん、和ちゃんも!」

律「聡も呼んでやらねえとな…。料理は憂ちゃんに任せるか!」(あ…憂ちゃん今旅途中だ)

わいわい!

澪「まったく…」

澪「でも、これで終わったんだな…」

澪「…やりましたよ、リラ師匠」



―最終章完―



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最終更新:2011年03月07日 23:56