憂はソファを降りて、私の顔の横に座ると、頬をぷにぷに突っつきだした。

憂「明日どーする?」

唯「あひた?」

 まだ興奮さめやらぬ中、ぼんやり応答する。

唯「あぁ……あひた土曜日かぁ」

憂「うん、部活ないでしょ?」

唯「ん、無いよぉ」

 憂が親指でくちびるを撫でてくる。

 またキスがしたくなってしまった。

 動けるようになったら襲おう。

憂「じゃあ……デートいく?」

唯「おー、良いねぇ。映画とか見ようよ」

憂「映画なんて行ったって、いつもちゅーしてばっかりじゃん」

唯「いやなの?」

憂「いやなわけないよ! ただ、1000円もったいない……」

唯「じゃあ今回は、最後まで見れるように頑張ろうよ」

 ちょっとずつ身体からだるさが抜けてくる。

 ソファにつかまって上半身を起こした。

憂「うーん……できるかなぁ?」

唯「なんかこう、仔犬の映画とか、ナチュラルジオなんとかっぽい大自然の映画とか見てさ」

唯「ちゅーしたくならないような映画なら、いけるんじゃない?」

憂「そうかなぁ……」

 憂はあまり気乗りしないようだった。

 今までも何度か映画は見に行ったけれど、最長で上映開始前から2時間弱キスし続けたことがある。

 その映画のタイトルさえも思い出せない。

唯「ま、いーじゃん。デート用のお小遣いを友達との付き合いに使うわけじゃないでしょ?」

憂「当たり前だよ! けど、だったらお姉ちゃんと可愛いもの買ったりおいしいもの食べたり……」

唯「おいしいものなら食べれるじゃん。これこれ」

 くちびるに指を当てて、ばかな事を言ってみる。

憂「もうっ、そういうのじゃなくてさ……」

唯「でもさ。その理屈だったら、私は憂と映画も見てみたいな」

憂「ん……うん、それは確かに」

唯「じゃあ決定ね。明日はまず映画館に行こう!」

 憂の言葉を遮って、強引に決める。

 憂はちょっと頬を膨らませていたけれど、結局文句は口から飛び出しはしなかった。

 いい加減、「そういうキス」は卒業したい。

 その想いは憂も同じなのだ。

憂「映画のあとは?」

唯「そだねー、お買い物に……あっ、あと、あそこの凄いおいしかったアイス屋!」

憂「コトブキ?」

唯「そんな名前だったような……まぁ行ったら分かるよね。そこも行こう!」

憂「そしたら後は、ちょっとお洋服も買いに行こうよ」

唯「いいね。可愛いのあるかな?」

憂「お姉ちゃんが着たらなんでも可愛いよ!」

唯「はいはい」

 いきりたつ憂の頭に手を置き、立ち上がる。

唯「じゃプランはそんな感じで、暗くなる前に帰ろうね」

憂「うん。……お姉ちゃんお風呂?」

唯「そだよ。一緒に入るでしょ?」

憂「うん、いっしょいっしょ!」

 リレーのバトンを受け取るように左手を差し出すと、

 憂が両手で握って立ち上がった。

 手を繋いだまま階段を上がり、着替えを取って引き返してお風呂場に行く。

 シャツを放り、ズボンを脱ぐと、憂が小さく笑った。

憂「お姉ちゃん、パンツびしょびしょだよ?」

唯「う、憂のせいでしょ! いきなり激しくして……」

憂「えへへっ、ごめんね」

 いたずらっぽく笑ったかと思うと、耳の後ろから手が伸びて、目の前に白い景色が広がった。

 ぬるく、甘ったるいような匂いがする。

憂「……私もこうだから、お互いさまってことにしよ?」

 憂は脱いだ服を洗濯かごへ放ると、リボンをほどいた髪をゆらしながら浴室のドアを開けた。

憂「先にシャワーあっためとくね?」

唯「ぁ、うん」

 お風呂場に入ると、憂は椅子に座ってシャワーを浴びていた。

唯「……うーいっ」

 ひざまずいて、後ろから抱きつく。

憂「お姉ちゃん、手ぇ冷え冷え」

 そう言って、私の体にお湯を当ててくれる。

 ひっついた私の胸と憂の背中にお湯が一旦溜まり、こぼれ落ちていく。

唯「……憂、体洗ってあげるね」

憂「後ろから?」

唯「後ろからがいい?」

憂「ううん、前……私もお姉ちゃん洗いたいし」

唯「ん、おっけ」

 肩に手を置いて立つと、憂の前に回ってしゃがむ。

唯「椅子降りないとつらいよ?」

憂「ん、そうだね」

 腰を浮かして椅子を後ろにずらすと、お風呂マットの上にお尻を落ちつける。

 私もあぐらをかくようにマットに座り込んだ。

唯「はい憂、私の上のって」

憂「……うん」

 私のお腹のあたりをちらっと見てから、

 憂はなるべく脚を閉じたまま器用に私の横へ膝をつく。

 そしてしがみつくように、足を腰に巻きつけてきた。

唯「髪濡らして?」

憂「了解でーす♪」

 憂がシャワーをとり、頭を撫でながらお湯を通してくれる。

 憂の指の間を髪が抜けていくのが、とても心地いい。

 きゅ、とシャワーが止められる。

憂「いよっと……」

 私の体につかまりながら前のめりになって、憂がシャンプーのボトルを手に取る。

 首筋があらわになっていたので、くちびるを寄せてみる。

憂「あん、もうっ……ダメでしょ」

唯「えへへ、ついね」

憂「ちゅーならここにしていいから……」

 憂はちょっとお尻を引いて、顔を私の高さに合わせる。

唯「ん。……ちゅっ」

 軽いキスだけをして、すぐ離れる。

 お風呂場であまりキスに夢中になってしまうと、

 倒れて怪我したり体を冷やしたり、とにかく危険が伴うのだ。

 それに髪を洗っている間は、シャンプーが口に入って憂とのキスが台無しになることもあり得る。

 キスをするにしても、髪を洗ったあとがいい。

唯「うい、シャンプ」

憂「……むー」

 こうやって簡単なキスだけで済ませると、憂は不満そうな顔をするようになってしまった。

 昔は軽いキスだけであんなに顔を真っ赤にして嬉しそうにしてくれたというのに。

 くちびるを曲げて、憂はシャンプーのポンプを2回押して手に取った。

唯「ちょうだい」

 右手で受け皿を作り、憂の手から垂らしてもらう。

 手を憂の後ろに持っていき、両手を合わせてシャンプーを少し暖める。

 またポンプが鳴り、憂が私の髪を洗うぶんのシャンプーを出した。

 そして、まるで私と抱き合うみたいに私の後ろに両手を持ってくる。

憂「お姉ちゃん目つぶって?」

唯「ほいほい、憂もだよ」

 視界を真っ暗にし、何も見えない中で憂の髪に触れる。

 くしゅくしゅ撫でると、泡が立った。

 同じように憂も私の髪でシャンプーを泡立てる。

 キーボードを弾く時みたいに指を広げて、指先で髪の付け根からこすってあげる。

憂「んーきもちい……」

 憂の甘い声が耳にささやきかけて、くちびるにむしゃぶりつきそうになる。

 実際そういうことも何度かあった。

 憂のくちびるの位置なんて分かっているから、目を閉じていてもキスするぐらいは簡単だが、

 大変なのはキスをやめることのほうなのだ。

 別にキスに夢中になって風邪をひいたって私は全然構わないけれど、

 どちらかが病気になると、治るまで憂はぜったいキスをしてくれないのだ。

 昔、風邪で倒れた憂にむりやりキスをしたら、しっかり元気なビンタを受けたことを思い出す。

 そして私もしっかり風邪をもらった挙句、完治してもしばらく、

 「まだ病み上がりでしょ」とキスを2週間ほど断られ続けた。

 それ以来、風邪には気を遣っているのだ。

 なんとかキスしたい欲求をこらえて、憂の頭を洗い続ける。

唯「……」

 髪を洗われるのはものすごく気持ちいいし、洗ってあげていると愛しさがこみ上げてくるけれど、

 毎日やっていることだから、キスを我慢するぐらいは無理でもない。

 早く流したいな、とは思うけれど、しっかり洗ってあげたい気持ちも強い。

唯「うい……」

憂「ん、お姉ちゃん……」

唯「もう綺麗になった?」

 目をつぶったまま問う。

 流石に汚れ落ちまでは分からない、というか憂の汚れなんて目をこらしても見つけたことがない。

憂「ちょっと待ってね、後ろの方もう少し丁寧にやるから……」

 言って、憂の顔が少し近付く。

 憂のくちびるは、いま私のくちびるがある所よりちょっと上にいるみたいだ。

 ひょっとこみたいに口を曲げて、息を吹きかける。

憂「ん、待ってってば」

 憂がくすぐったそうにする。

 あ、これかわいい。

 続けて息を吹きかける。

唯「ふー、ふーっ」

憂「む。すぅ……」

 すると、息をかけるのと同時に憂が見計らったように深く息を吸った。

 胸がどきりと締められる。

憂「はぁ……」

 肺まで入った憂の息が返される。

 心臓が変に跳ね回る。息が出せない。

憂「……おいしいね、お姉ちゃん」

 たっぷりもって、真っ暗闇にそんな憂の声がする。

憂「っん、んぅ♪」

 次の瞬間、私は泡だらけの手で憂を抱きしめて、くちびるにしゃぶりついていた。

 くちびるを舌でぺろりとなぞってはキスをし、舐めてはキス、舐めてはキス。

唯「ん、ふうっ。ういっ、ういっ」

 夢中で憂のくちびるをしゃぶっていると、

 ほっぺたが引っぱられて、むりやりキスを中断させられる。

憂「髪洗ってる間はめっ、でしょ?」

 頭を撫でながら叱られる。

 今がチャンスと飛びつこうとするが、その行動も読まれていたのか顎が右手にぶつかる。

 こんどは寂しさに胸が締めつけられる。

唯「やっ、やだぁ! キスしたい、キスしたいよぉ!」

憂「髪流したらいっぱいしてあげるから」

 後ろからきゅ、と音がして、体に温かいお湯がかかる。

唯「う……」

 憂にしがみつきながら、頭を流される。

憂「お姉ちゃん、洗われてるワンコみたいだよ」

 優しく頭を撫でられて、犬でもいいやと思う。

憂「はい、ヨシ」

唯「ぷふぇ」

 目の周りに残ったお湯を手の甲で拭う。

 次は憂が泡を流し始めた。

 その間はキスするわけにもいかず、ただ閉じている憂の目を見つめているしかなかった。

憂「ふーっ……」

 やがて憂がシャワーを止めるが、まだキスは早い。

 ノズルを置いて、今度はボディソープのボトルを取る。

 再び手を出し、ボディソープを出してもらって憂に抱き着く。

 背中を抱き、すりすりと撫でさする。

憂「ぁん、まだ……」

 冷たかったのか、憂がちょっとえっちな声を出した。

 憂はまだボディソープを出そうとしている途中だったけれど、構わず口に吸いつく。

憂「んぅー、まっふぇ……」

 舌で憂の口の中をかき回しながら、手をまんべんなく動かして背中を洗ってあげる。

唯「れろぉ、ちゅ」

憂「ぁむ、ぅっふ……は、ちゅ」

 どうにか憂もボディソープを出して、私の背中に手を回す。

 ぎゅっと抱き合いたいけれど、そうすると憂が上に行きすぎてしまってキスが届かなくなる。

 抱き合うよりはキスしてるほうが裸でも気持ちいいので、

 強く抱きしめたいのは我慢する。

 どうしても駄目な時は、体に泡を付けたあと、

 お風呂マットの上に押し倒して体をこすりつけて洗ってあげながら、抱き合ってキスをする。

唯「んっち、ぁむ、ちゅちゅぅ」

 背中から肩を通り、憂の胸に触れる。

憂「んぁ……おれえひゃん……だめ、らぁの?」

 舌を絡めつつ、憂は器用に喋る。

唯「ん、うんっ」

 頷くと、憂は手を私の太ももに下ろしてきて、泡をなでつけた。

 憂の柔らかい乳房に泡をつけていく。

憂「おれぇひゃ、かけるよ」

唯「ふぁっ、んむ、れぅちゅ……」

 突如憂が言うと、胸にピュッとボディソープが飛んできた。

 一瞬おどろいたけれど、慌てずキスを続ける。

 続けてお腹、脚にボディソープが垂れ、背中にも引っかけられる。

 もういいでしょ。

 そう訴えるように、くちびるで憂をぐいぐい押していく。

憂「んっ、ちゅぅちうぅ」

 憂が強く唇に吸いつき、キスが離れないようにしながら後ろへ倒れていく。

 滑らないようにしっかりと憂を抱きしめて、しがみつく憂をゆっくり床に下ろす。

 手の甲がマットのふかふかした感触に包まれる。

唯「んい、いいぉ」

 そして、抱えた腕に憂の体の重みがかかる。

 滑り落ちそうになる体は憂に支えられ、憂のもぞもぞという動きでこすられ、また落ちていく。

 私はただ、ぞくぞくして腰が勝手に動くのに任せて、くちびるに吸いつき、

 口の中を舌で探検していればいいだけのことだった。

憂「んぁっ、あむ、ぁ……」

 服を着ているときの憂はふかふかと暖かいけれど、

 はだかんぼで泡まみれになった憂はすべすべでとにかく熱い。

憂「ま、あぁぅ、んうあぁあんんっっ!」

 太ももが、憂の脚の間にずりずり滑り落ちていった。

 憂の腰がびくびくと跳ね、あやうくキスが途切れそうになる。

憂「ん、んむ。ちゅぷ、くちゅちゃっ……」

 薄く目を開けてみると、憂が涙を浮かべながら一生懸命キスをしているのが分かった。

唯「んい、んいー……」

憂「んむっ!? っ、ふ、ぁめっ、おねえひゃあ、ぁ!」

 前歯の後ろ、上顎の前方をリズミカルに舌先で擦る。

 ここが憂の口の中で一番弱いところ、一番好きな攻められかただ。

憂「んんーん、んんーんっ!!」

 しゅっ、しゅっ、と右へ左へ舐めさする。

 憂の肩が浮いて抵抗のそぶりを見せるが、くちびるを更に深くくっつけて押し戻す。

 完全にくちびるを塞がれてながらも、憂が「お姉ちゃん、お姉ちゃん」とうめいている。

唯「んい、んっ……」

 この可愛い妹に、早くあの一番すごい気持ちよさをあげたい。

 その一心で、私も一生懸命に憂の口を食べていく。


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