――――

――唯

唯「憂、ういー」

唯「どこに行っちゃったんだろ」

猫2「にゃぁ、にゃあー」

唯「あっ、昨日の猫さんだ」

猫2「にゃぁ、にゃあー」

唯「君も誰かさがしてるの?」

猫2「にゃあ!」

唯「じゃあ、私と一緒だね」

猫2「みゃぁ……」

唯「私は妹をさがしてるの、君は?」

猫2「にゃ、にゃぁにゃあ」

唯「さっぱりわかんないや」

唯「よく見たら君、憂が持ってた猫さんに似てるね」

猫「みゃぁ……」

唯「ひょっとしたら憂の持ってた猫さんさがしてるのかな」

唯「よし、一緒にさがそっか、2人でさがした方がきっと早くみつかるよ」ダキッ

猫2「にゃあ!」


――――

――憂

憂「ただいま」

―シーン

憂「お姉ちゃーん」

―シーン

憂「いないのかな、お姉ちゃんの部屋に行ってみよう」

―バタン

憂「お姉ちゃーん……いないや」

憂「どこに行っちゃったんだろう」

憂「………ん?」

そのとき私の目はお姉ちゃんの机の上にあるものに向けられた

憂「これは……」

それは一冊のノートだった、表紙には日記帳と書いてある

憂「お姉ちゃんが日記……」

憂「………」キョロキョロ

ゆいにゃん「にゃあ!」

憂「ほぇっ……ってゆいにゃんかぁ、驚かせないで」

憂「ごめんね、お姉ちゃん」

私はその日記帳を開いてみた


○月○日

今日から私、平沢唯は毎日日記を書くことにしました

澪ちゃんに歌詞を書くコツを尋ねたら、まずは毎日日記でも書いてみるのはどうかって言われたからです

記念すべき初日、いっぱい書こうと思ったんだけど案外書くことがないよぉ

だから初日は短くいきます
ムギちゃんの持ってくるお菓子は今日もおいしかった

でも憂のお料理はもっとおいしかった

――○月○日

唯「澪ちゃんの歌詞って凄くいいよね」

澪「そうかな///」テレッ

唯「うん」

唯「だから私に歌詞の書き方のコツを教えて」

澪「えぇっ!?」

唯「私も歌詞を書いてみたいの」

律「唯が歌詞!?とんでもないことになりそうだな」

梓「想像がつきませんね」

紬「そうね」



澪「そうだな……まずは日記を毎日つけてみたらどうだ」

唯「日記?」

澪「あぁ、その日あっとことを日記に書くんだ」

澪「歌詞っていうのは日常の思いがけないところから生まれるんだ」

澪「だから日記をつけるっていうのは意外と侮れないをだぞ」

唯「そうなんだー、じゃあ私頑張ってみるよ」

律「ちゃんと毎日続けられるのか?」

唯「うん、私頑張るよぉ」




○月△日

だいぶ日記を書くのにも慣れてきた気がする

今日は帰り道に犬さんと遊んだ

無邪気っていうのはああいうのを言うのかな

可愛かったよぉ

そういえば最近憂に元気がないような気がする

気のせいかな……そうだったらいいな

憂には元気でいてほしい


―――

憂「お姉ちゃん……」

読み進めていくとどの日にも私のことが書いてあった

お姉ちゃんのありのままの日常を書いた日記に私の名前があることが嬉しい

どうでもいいようなこともあった

でもお姉ちゃんは私のことをいつも気にかけてくれていたんだ

そのことが本当に嬉しい

めくっていくうちにこの前お姉ちゃんが遊びに行った日付けになった




△月○日

今日は軽音部のみんなで遊びにいった

とても楽しかった

そういえば最近休日にあんまり家にいない気がする

ということは憂を1人にしちゃってるんだ

いけないお姉ちゃんだ

来週は何があっても憂と遊ぶぞ

おぉー

さっきのあずにゃんのメールのお泊まりも楽しみだけどね




△月○+1日

今日もいつも通りのまったりした部活だった

そういえばあずにゃんが気になることを言っていた

憂の様子がちょっとおかしいって

でも家での憂はいつも通りだった気がする

でもちょっと元気はなかったかな

明日は朝練だ

憂と一緒に学校に行けないからさびしいな




△月○+2日

あずにゃんの家に明日お泊まりすることになった

楽しみだなぁ

ここで気になることが1つ

今日の憂は明らかにおかしかった

なんかいつもとは違ってた

大丈夫かな、明日1人にして大丈夫かな

心配だなぁ……

でもこんなときに何て声をかけてあげたらいいかわからない

私は駄目なお姉ちゃんだ

そう言いながらも明日のお泊まりのことで頭がいっぱい

本当に駄目なお姉ちゃんだ




昨日の日付

お泊まりっていいな

梓ちゃんのお料理もおいしかったし、楽しい時間を過ごせてる

今日この日記を澪ちゃん達に見せてあげた

毎日きちんと書いてることを褒めてくれた、けどみんながこう言ったのが一番心に残ってる

憂ちゃんのことばっかりじゃないか、本当に憂ちゃんのことが大好きなんだなって

言われてみれば憂のことばかり書いてる

でもそう言われて悪い気はしない、だって私は憂が大好きなんだから

明日は昼前に憂の様子を見に行こう

憂がちょっと心配だし、そして何より……

憂に会いたい




今日の日付

最低だ

私は最低だ

憂に寂しい思いをさせてるなんて気づけなかった

憂があんなに思い悩んでるなんて気づいてあげられなかった

私のたった1人の、かけがえのない、大好きな妹なのに

私にお姉ちゃんの資格なんてないね

ごめんね、憂

こんなお姉ちゃんでごめん……


―――

憂「お姉ちゃん……」

―ポトッ、ポタポタ

憂「ごめんね、お姉ちゃん」

憂「お姉ちゃんの気持ちがわかってないのは私の方だったね」

憂「なのにあんなひどいこと言って……」

―ポトッ、ポタポタ

ゆいにゃん「にゃぁ、にゃぁ」ペロペロ

憂「ゆいにゃん……」

ゆいにゃん「みゃあ!」グイッ

憂「そうだね、今はお姉ちゃんをさがさないとね、行こうゆいにゃん」

ゆいにゃん「にゃあ!」


――――

唯「憂どこに行ったのかなぁ、全然見つからないや」

猫2「にゃぁ……」

唯「ほぇー、ちょっと疲れちゃった、あの公園で休もうっと」

猫2「にゃあ!」

唯「憂には本当に悪いことしちゃったなぁ……」

猫2「みゃぁ……」

唯「君もそうなんだ、仲間だね」

唯「そうだ、名前つけてあげる」

唯「……ういにゃんはどうかな」

猫2「にゃぁ、にゃあ!」

唯「気に入ってくれたんだ」ナデナデ

唯「それにしてもこんなにさがしても見つからないなんて……」

唯「もう家に帰っちゃったのかな」

唯「でも今の私に家に帰る資格なんてないし」

唯「はぁー……」

ういにゃん「にゃぁ、にゃあ」ペロペロ

唯「励ましてくれてるんだ、ありがとー」ナデナデ

唯「ういにゃんのさがしてる猫も見つけないとね」グリグリ

ういにゃん「にゃぁー」

唯「えへへ……憂、私のこと嫌いになっちゃったかな、そんなの当たり前だよね」グスッ

憂「そんなわけないよ!」

唯「えっ!?」

憂「私がお姉ちゃんを嫌いになるなんてそんなこと絶対にないよ」

唯「憂……」

憂「お姉ちゃんを嫌いになんてなれないよぉ」ギュッ

唯「憂……」ナデナデ

憂「ごめんねお姉ちゃん、私、お姉ちゃんの気持ち何にもわかってなかった」グスッ

唯「なんで憂が謝るの、謝るのは私の方だよ」

憂「違うの、謝るのは私の方なの、私お姉ちゃんにひどいこと言っちゃった」グスン

唯「言ってないよ、憂は本当のことしか言ってないんだから」

憂「違うの、お姉ちゃんの日記見ちゃったの」

唯「えっ!?日記見たの?」

憂「うん、ごめんね」

唯「……///」

憂「お姉ちゃん?」

唯「恥ずかしいよぉ、憂に見られるなんて///」カァァ

憂「……お姉ちゃん、私すっごく嬉しかったよ」

憂「お姉ちゃんがあんなにも私のこと書いてくれてて、本当に嬉しかった」

唯「憂……」

憂「そして何より私のこと大好きって書いてくれてたのが一番嬉しかったよ」ニコッ

唯「憂、ごめんね、私……」

憂「お姉ちゃん、私も大好きだよ」ニコッ

唯「憂、ういー」ギュッ

唯「ごめんね、寂しい思いさせてぇ」グスングスン

憂「うん、私、すっごく寂しかったんだから」

憂「でもいいんだ、こうしてお姉ちゃんの気持ち知ることができたから」

唯「憂……大好きー」ギュー

憂「お姉ちゃん、苦しいよぉ」

ゆいにゃん「にゃぁー!」

ういにゃん「にゃぁー!」

ゆいにゃん「にゃ!?」

ういにゃん「にゃ!?」

ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー!」ダキッ

唯・憂「ほぇっ!?」

ういにゃん「にゃ、にゃぁ」

ゆいにゃん「にゃぁ、にゃあー」

唯「そっかー、やっぱりういにゃんがさがしてた猫はゆいにゃんだったのかぁ」

憂「ういにゃん?」

唯「うん、この子の名前」

憂「あっ、あの猫だぁ」

ゆいにゃん・ういにゃん「にゃぁー」ゴロゴロ

唯「仲良しさんだねぇ、まるで私と憂みたい」

憂「お姉ちゃん……」

唯「だって名前もゆいにゃんとういにゃんでしょ」

憂「……うん」

唯「じゃあ、この子達連れて帰ろうか、私、はやく憂のお料理が食べたい」ニコッ

憂「うん、期待しててお姉ちゃん」ニコッ

―ニギッ

唯・憂「えへへ」

ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー」!


――――

梓「つーかまーえた」ダキッ

猫1「にゃあ!」

梓「えへへ」ナデナデ

猫1「にゃぁ、にゃあー!」スリスリ

梓「えへへ、お持ち帰りだね」

――――

律「なぁ、私達忘れられてないか」

澪「そうだな」

紬「そうねぇ」

―――――

唯「おいしいー、やっぱり憂の料理は世界一だよ」

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

今度はお姉ちゃんの褒め言葉を素直に喜ぶことができた

憂「ゆいにゃんもういにゃんもおいしい?」

ういにゃん「にゃあー!」

ゆいにゃん「みゃあー!」

憂「よかった」

ありがとう、ゆいにゃん、ういにゃん、おかげで私の心は晴れ渡ったよ


―――

ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー」ゴロゴロ

唯「本当に仲がいいんだねぇ」

憂「そうだねぇ」

―チュッ

唯「あっ、ゆいにゃんとういにゃんがキスを!!」

憂「!!!」

唯「ねぇ、憂、私達もキスしよっか」

憂「えぇっ!?」

―チュッ

唯「えへへ、憂のファーストキス頂きー」

憂「お姉ちゃん///」

唯「憂、大好きだよ」

憂「私も大好きだよ、お姉ちゃん」


――――

今日の日付

今日は色んなことがありました

でも今、こうして笑って日記を書くことができます

憂のファーストキスをもらっちゃった

ゆいにゃん、ういにゃん、ありがとう

憂、今度の休みは2人でお出かけ、いやデートしようね

憂、大好き、もう一回書くね、憂、大好きだよ

―――――

後にこの一冊の日記帳から1つの曲ができあがります

曲名は『U&I』

憂への想いを綴った私が作った憂のための歌

―――――

――おしまい