………

律「で、完成したものがこちらになります」コトッ

紬「わーい」パチパチパチ

律「うんうん、ちょっと焦げちゃったけどなかなかの出来だと思うぞ!」

紬「りっちゃんが作ったんだもん。絶対においしいに決まってるわ!」

律「おいしいかどうかは食べてみないとわからないわけで……とりあえずご飯にしよっか?実は私もうおなかペコペコでさー」グー

紬「実は私もなの~」クスッ

律「それじゃあ……」

律紬「いただきまーす!」

紬「はむっ」モグモグ

律「どう?」

紬「うん、とってもおいしいわ!」ニコッ

律「本当に?よかったー……ムギはいつもおいしいもの食べてそうだから、口に合うか心配だったよ」ホッ…

紬「そう?私はそんなことないと思うんだけど……」

律「えー?絶対そうだろー。例えば毎日ステーキとかさー」

紬「もう、いくらなんでもそうなことないもん!」プンスカ

律「あはは、ごめんごめん」アハハ

紬「……私ね、ずっと前からこんな家庭的なごはんに憧れてたの」

律「家庭的?」

紬「うん。うちはお父様もお母様もいつも仕事で遅いから、小さい頃からみんなで揃ってご飯っていうのがあまりなくて……」

紬「だからこんな風にりっちゃんと2人で笑って食べるご飯がとっても嬉しいの」

紬「それにりっちゃんの料理はあったかくて、優しくて……私、りっちゃんのごはんがとっても好き!」

律「そ、そう?そこまで言われるとなんか照れちゃうなー」ナハハ

律「私としてはムギがいつもどんなもの食べてるかも気になるんだけど……」

紬「じゃあ今度はうちに泊まりに来ない?」

律「え?いいの!?」

紬「うん!りっちゃんの想像しているような料理は出せないと思うけど……」

律「やったー!ステーキだー!聡に自慢してやろうっと!」

紬「だからステーキなんて食べてないってば!」クスッ


お風呂!

律「あ゙ー、きもちいー……」カポーン

紬「うん……」カポーン

律「…」ジー

紬「?」ムギュン

律「…」リツーン

律「神は不公平だ……」ガックシ

紬「……ねえりっちゃん、背中流しっこしよっか?」

律「お、いいね!」

紬「じゃありっちゃんから先に流してあげるわね。ささ、こちらにどうぞ」

律「はーい」

紬「よいしょ、よいしょ」ゴシゴシ

律「あー……」

紬「かゆいところはございませんかー?」

律「もうちょっと背中の真ん中あたり……」

紬「えーっと、ここかしら?」ゴシゴシ

律「うん、そこー……」

紬「…」ウズウズ

律「どったのムギ?」

紬「……えーい!」コチョコチョ

律「ちょ、ムg……あははははは!」

紬「やぁー!」コチョコチョ

律「あははははは!わ、脇は反則……あはははは!」

紬「ここかー♪ここがええのんかー♪」コチョコチョ

律「ぜえ…ぜえ……よくもやってくれましたわね紬さん……」

紬「…」ワクワク

律「このー……お仕置きだベー!!」ウリャー

紬「きゃー♪」

………

律「じゃあそろそろ寝るかー……」

紬「そうね……今日はもう疲れちゃった……」

律「じゃあ私床に布団敷いて寝るから、ムギはベッドで……」

紬「……ねえ、今日はりっちゃんと一緒に寝ていい?」

律「……もう、ムギは甘えんぼさんだなー」

紬「だめ?」

律「いいよ、ほらおいでー」

紬「………とぉー!」ボフッ

律「うむむ……ムギのやつめ、既にフライング布団潜り込みアタックをマスターしているとは……」

紬「えへへ…」ヒョコ

律「うむ!もうワシから教えることは何もない!免許皆伝じゃー!」

紬「ありがとうございますししょー!」

律「うむ、免許皆伝の褒美は何がいい?何でも言ってみ?」

紬「……明日、りっちゃんと一緒に遊びに行きたいな」

律「お、いいね!ムギはどこ行きたい?」

紬「どこでも!とにかくりっちゃんといろんなところに行きたいの!」

律「そっかー、ムギをエスコートするんだからどこ行くかしっかり考えとかないとなー……」

律「そうだ!たまには電車で遠出してみようぜ!」

紬「電車で……?それはとっても素敵だわ!」

律「だろ?それでさ……」

………

紬「……」

律「…zzz」スヤスヤ

紬「…ねえりっちゃん、もう寝ちゃった?」

律「…zzz」グーグー

紬「………あのね、最初にお父様とお母様は仕事で海外に、って言ったけど……あれ本当は嘘なの」

紬「斎藤がこっそり教えてくれたんだけどね、本当は2人でフィンランドの大学を見学に行ってるらしいの」

紬「……私は1人っ子だから、いつかはお父様の跡を継がなきゃいけない」

紬「だからそのために海外の大学で勉強をさせることも考えてるって……」

紬「……なんとなく、いつかこんな話が来るだろうって予想はしてた」

紬「だから最初にその話を聞いた時もそんなに驚かなかったわ。この家に生まれてきたんだから、これは仕方ないことだって」

紬「世の中そう自分の思い通りにはいかないんだって……だから最初はその話も受け入るつもりでいたの……。でも……」

紬「高校に入って、せっかくみんなと仲良くなれて、大学でもみんなで一緒にいれるかもしれないのに……」

紬「……やっぱり私、本当はまだまだみんなと一緒にいたいの!」

紬「もっとみんなと音楽がしたい!遊びたい!いっぱいいっぱいお話がしたい!」

紬「……でも家のことを考えたらそれがなかなか言い出せなくて」

紬「私のわがままのせいでみんなに迷惑がかかるかもって思ったら、言いだす勇気がなくって……」

紬「でもみんなと離れ離れになることを考えたらもっと悲しくなって……、それで今日はりっちゃんにいっぱい甘えちゃったの……」

律「…zzz」

紬「……少し話したら楽になったかも」

紬「りっちゃん、今日は本当にありがとうね。じゃあおやすみ…」

律「……」


次の日!

律「ムギ、準備は大丈夫?」

紬「ええ、バッチリ!ところでりっちゃん、今日の一体どこに……?」

律「うむ、まずは隣町の遊園地でも攻めていこうかと思う!」

紬「遊園地に?それはとっても素敵ね!」キラキラ

律「しかーし!こちらの人員はたったの2名!隣町まで行くにはこれでは少々心もとない!」

律「そこで!援軍を要請しておいた!」ババーン!

紬「援軍って……どこに?」キョロキョロ

律「………もう来てるはずなんだけどなー……」


澪「ごめん!少し遅れた!」タタタッ

梓「もう!唯先輩が寝坊なんてするからですよ!」タタタッ

唯「うわーん!本当にごめーん!!」グスン

紬「みんな……」

律「今朝メールしておいたんだ。そしたらみんなムギと遊びたいってさ」

律「みんなムギのこと大好きから、もっと一緒にいたいって」

紬「りっちゃん、もしかして聞いてたの……?」

律「さあー?私寝てたから知らなーい」

律「でもさ、もし困ってることがあるなら何でも言ってくれよ」

律「私もみんなも、ムギのことが大好きで……」

律「それになんたって友達なんだからな!」

紬「……ありがとう」

ありがとうりっちゃん。私、勇気を出してみるね

私と、みんなと、これからの私たちのために……

おわりー