律「え?じゃあ今日ってムギの家に誰もいないの?」

紬「うん。本当は連休中に家族で旅行に行くはずだったんだけど……」

紬「お父様もお母様も仕事で海外に行くことになって、結局私一人だけ残ることになったの」

律「そっかー……仕事なら仕方ないもんな。さすがに海外まで付いていくわけにもいかないし」

律「でもさ、ムギの家ってお手伝いさんとかいるんじゃなかったっけ?ほら、執事の斎藤さんとか……」

紬「お手伝いさんたちも今日からみんなお休みなの。連休中はずっと家を空けるつもりだったから……」

律「あちゃー……、じゃあ本当に一人きりなんだな……。ムギは大丈夫なの?」

紬「うーん、たぶん大丈夫だとは思うけど……今まで家に一人でいることってあまりなかったからちょっぴり不安かな?」

律「そっかー…」

紬「それでね、もしよかったらなんだけど……」

律「ん?」

紬「お休みの間、りっちゃんのおうちに泊まらせてもらえないかなぁ、って」

律「私の家に……?」

紬「ご、ごめんね!いきなり言っても無理よね!やっぱり忘れて!」アセアセ

律「……いいじゃんそれ!是非泊まりに来てよ!」

紬「え?でも迷惑じゃ……」

律「いいっていいって!それに実はうちも町内会の旅行で休み中誰もいなくてさ……やっぱ一人より二人のほうがいいじゃん!」

紬「そうなんだ……じゃあお願いしてもいいかしら」クスッ

律「もちろん!田井中家は誰でもうぇるかーむ!」

律「とりあえずさ、学校終わったら荷物持ってうちにきてよ」

紬「うん、わかった!」


田井中家前!

紬「りっちゃんおまたせー!」タタタッ

律「おっ、ムギー……って随分と大きな荷物だなそれ」

紬「そうかしら?りっちゃんのおうちに泊まるの楽しみなんだもん。色々持ってきちゃった」ゴソゴソ

紬「着替えに宿題に人生当てもんゲームに……あとお土産にケーキも持ってきたの!」

律「おお、わざわざありがとなムギ」

紬「いえいえ~、りっちゃん先生にはこれから色々とお世話になるんですから~」

律「そう言うとなんだか賄賂みたいだな。…こんなものをよこすとは……ムギ、おぬしも悪よのう~」フッフッフ

紬「いえいえ、お代官様こそ~」エッヘッヘ

律「とりあえずケーキは冷蔵庫にしまっておいて……夕飯どうしよっか?どこかに食べに行く?それともうちで……」

紬「りっちゃんの手料理がいい!」

律「そ、そう?」

紬「だって前にりっちゃんが作ってくれたハンバーグ、とってもおいしかったんだもん!」

律「本当?実はあれ自信作なんだよな~。褒めてもらえるとやっぱり嬉しかったり…」テヘヘ

紬「またりっちゃんの料理食べてみたいな~」

律「よーし、そこまで言うなら仕方ない!このりっちゃんが何か作ってあげよう!」

律「それじゃあムギ、一緒に夕飯の買い物に行こうぜ!」

紬「うん!」

………

紬「りっちゃん隊長!りっちゃん隊長!」

律「どうしたムギ隊員ー?」

紬「わたくし、夕飯の献立が気になるのであります!」

律「ふっふっふ……、ならば教えてやろう!今日の夕飯の献立は……」

律「肉じゃがだー!!」パンパカパーン!

紬「肉じゃが……」

律「ってあれ?もしかして……肉じゃが嫌いだった?」

紬「……抱きしめてもよかですか!?」

律「何弁!?ってかそんなに肉じゃが好きなの!?」

紬「好き!大好き!」

律「そ、そうなんだ……」タジッ

紬「うん!だって肉じゃがってとっても家庭の味!って感じがするんだもん!」

律「あーそれは何となくわかるかも。なんかあったかい味っていうか……」

紬「でしょ?私、りっちゃんの肉じゃが食べてみたい!」

律「よーし任せろ!……でも我が部隊のモットーは『働かざる者食うべからず』だからなー。ムギ隊員にもしっかり働いてもらうぞ!」

紬「らじゃー!」ビシッ


スーパーマーケット!

律「えーっと、人参と玉葱はまだ家にあったはずだから、あとはじゃがいもと……」

紬「りっちゃん、お肉持ってきたよ!」タタタッ

律「ん、ありがと。でもこれは2人分にしてはちょっと多すぎるかな?」

紬「そうなの?」

律「そうなの。だから今日はこっちの小さいのにしような」

紬「すごいわ~、りっちゃんって何でも知ってるのね!」

律「まあな、いつもじゃないけど母さんの手伝いしてるし、自然に覚えちゃったよ」

紬「それにりっちゃんはお料理も上手だし!」

律「おう!」

紬「お裁縫も得意だし!」

律「おう…?」

紬「それにとってもかわいいし!」

律「……///」

紬「気配り上手で優しくて、りっちゃんはきっといいお嫁さんになれるわ!」

律「……そ、そんなことよりさ、早くレジ並んじゃおうぜ!今なら空いてるし!ホラホラ!」グイグイ

紬「え?ちょっとりっちゃん?」

………

律「ごめんなムギ、荷物持ってもらって。重くない?」

紬「ううん平気!それにこれくらいは手伝わなきゃ!」フンス

紬「帰りはこっちの道だったよね?じゃあ……」

律「あ、ちょっと待って、その前に……」ゴソゴソ

紬「?」

律「へへ、じゃーん!」バァーン!

紬「それって……」

律「そう!商店街の福引券!さっきの買い物でちょうど2枚もらったし、1回ずつまわしていこうぜ!」

………

律「おりゃー!!」ガラガラガラガラ ポトッ 

「はーい、5等賞のポケットティッシュ大当たりー」カランカラン

律「ティッシュかよちくしょ~!」ヘナヘナ

紬「ドンマイりっちゃん!よーし、りっちゃんの仇は私が……」

「お譲ちゃん運がいいねー。あと中に入ってるのは5等賞と1等賞の2つだけだよー」

律「1等賞って……嘘!?フィンランドの旅行券!?」

紬「フィンランド……」

律「そうだよ!スゲー!!いいなームギー!!」

紬「……あの、この旅行券って日程とか期限とかって決まってるんですか?」

「いんや、いつでも好きな時に行っていいよー。まあ当たったらの話だけどな」

紬「……決めた!私1等賞とってりっちゃんにプレゼントする!」

律「え?それじゃあ悪いよ、やっぱりムギが……」

紬「ううん、りっちゃんにもらってほしいの」

律「でも…」

紬「お願い……!」

律「……そっか、じゃあ頼んだぞムギ!!」

紬「任せて!それじゃあ……えーい!」ガラガラガラ…



帰り道!

律「…5等賞だったな」

紬「ごめんねりっちゃん……。あんなに偉そうなこと言ったのに……」シュン

律「いいっていいって。そりゃ私もちょっとは当たらないかな~とは思ったけど、やっぱりそうはうまくいかないよ」

紬「そう、よね……。自分の思う通りにはいかない、どうしようもないこともあるよね……」

律「……ムギ?」

紬「…」

律「……そういえばさ、今日は誰も部活に来なかったけど一体なんでなんだろうな?」

紬「えーっと……、確か唯ちゃんは今日は憂ちゃんと一緒に帰るから~って言ってたわ」

律「へー、でもいつも一緒なのになんでわざわざ……」

紬「今日ね、久しぶりに唯ちゃんのお父さんとお母さんが帰ってくるらしいの。だから2人でお迎えの準備をするって……」

律「あー、なるほどねー。唯も夕飯に呼んでやろうかと思ったけどそれだったら邪魔しちゃ悪いな」

紬「梓ちゃんはお友達と買い物らしいし、澪ちゃんも今日は塾って言ってたし……」

律「澪が?あいつ塾なんか行ってたっけ?」

紬「あれ?そういえばどうだったかしら……?」

律「うーん………あ!」ポン-3

紬「どうしたの?」

律「そういえば今日は澪のお父さんの誕生日だよ!だから澪のやつ早く帰ったんじゃないかな?」

紬「なるほど!そういうことだったのね!」

律「澪はお父さんっ子だからなー。小学校の頃はよく『パパが出張に行っちゃったー』って泣いてたし」

紬「へ~!」キラキラ

律「……澪もいないし、もっと話しちゃう?」

紬「ぜひお願いします!」

律「よしきた!あれは小5の時の話なんだけど……」


田井中家!

律紬「ついたー!」

律「ただいまー……って誰もいないか」

紬「おかえり~」

律「あっ…」

紬「えへへ」

律「……じゃあ今度はムギの番な!」

紬「わかった!……今日からよろしくお願いします!ただいまー!」

律「おかえり!じゃあ遅くなっちゃったし早速夕飯の準備するか!」

紬「うん!りっちゃん、私は何をすればいい?」

律「じゃあムギには野菜の皮むきをお願いしてもいいかな?」

紬「わかったわ!」フンス

律「その間に私はお鍋の準備を……って鍋焦げてるし!?」


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