☆☆☆


梓「だいぶ一人で泳げるようになったです」バシャバシャ

唯「あずにゃん飲み込みはやいねー」

梓「当然です! ヤッテヤルデス星人の学習能力は地球人とは比べ物にならないです!」

唯「へー、そうなんだー。泳ぐの楽しい?」

梓「とても楽しいです! きもちいです!」

唯「うふふ、そうだ、私先あがってるね。ちょっとお水のんでくる!」

梓「はいです! まだしばらく泳いでるです!」

唯「あんまりはしゃいで沖までいかないでねー」

梓「わかってるです! さすがに足がつかないとこでは泳がないです」



梓「……」バシャバシャバシャバシャ

梓「……で、なんでここにいるですか」


 『梓様、お久しぶりです』

梓「お久しぶりですじゃなくて、どうしてここにいるか聞いてるんです、むったん」

 『梓様が海か山にでも身を潜めてろと命令されたので』

梓「とかいいつつ絶対あとをつけてたです」

 『不可視モードなので発見される危険性はありません』

梓「おせっかい……それで、修理のほうはどうです」

 『梓様、口調変わられましたね』

梓「それはどうでもいいです。ちょっとしたバグだから気にするなです」

 『自動修復は現在60%まで完了。長距離航行はできませんが簡単なフライトなら可能です』

梓「そうですか……」

 『どうかされましたか?』

梓「な、なんでもないです! 早く修理しやがれです!」

 『あと二週間といったところでしょうか。調査のほうは順調ですか?』

梓「ッ!!」

 『梓様? 顔色がよろしくないですね。真っ黒です』

梓「ん、これはスキン焼けしただけです」

 『随分と楽しんでおいでで。梓様らしくありませんね』

梓「機械の分際で偉そうな口きくなです」

 『申し訳ありません』

梓「それで、どうしてこのタイミングで来たです」

 『実は、今夜あたりにテストフライトとバランサーのマニュアル調整を行ってもらおうかと』

梓「……むう、しかたないですね」

 『お手をわずらわせて申し訳ありません』

梓「せっかくの合宿なのに……」

 『それでは今宵0時にて海岸でお待ちしております。それでは』

梓「わかったです。早くどっか潜れです」



梓(……はぁ、現実に引き戻されちゃった……)

梓(そうだよ……私は調査隊……ここで遊んでるだけじゃだめなんだ……)

梓(あと二週間もすれば……この星とも……)


☆☆☆


唯「晩ご飯はBBQだよー!」

梓「ばーべきゅーってなんです。おいしいですか?」

律「梓はすぐおいしいかどうか聞くんだな」

澪「おいしいよ。梓も準備手伝って!」

紬「この串に切った食材をさしていってくれるかしら?」

梓「なるほど……ざくざく、あむあむ、んふぇっ! まずいです!!」

唯「あははーあずにゃーん、まだそれじゃ食べられないよー」

律「あとで焼くんだよ、焼いて食べんの。ほんと何も知らないんだな」

梓「それを先に言えです。口のなかがとんでもないことになってるです。水をよこせです」

唯「私お肉と玉ねぎと~、あ、ピーマンはあずにゃんにあげるー」

梓「その苦い物体は苦手です! いらないです排除するです!」

澪「わー待て待て! 私たち食べるから!」

律「よーし、だいたい準備できたし、順番に焼いていくか」

紬「たべ終わったら花火しましょ~?」

澪「おい、それじゃ結局練習があんまり……」

唯「いいじゃんまだ一日目だし! 思い出作り思い出作り!」

梓「思い出作り……」

唯「あずにゃんもいっぱい楽しみたいよね?」

律「うおおおー見よ、この美しいサンセットを! 私たちまるでドラマの主人公になったみたいだ!」

澪「あぁ、綺麗な夕焼けだな……」

紬「これがこの別荘の自慢なの~」

唯「あずにゃん、あずにゃんのいたところでも夕焼けは綺麗だった?」

梓「ゆうやけ……これが……神秘的です。この星は……」

梓「綺麗……これは報告対象です。急いで量産体制に移るです」

唯「……あずにゃんぎゅー」

梓「なんですいきなり」

唯「来年もまた一緒に来れるといいねー」


梓「来年も……そうですね」

唯「えへへー、あったかあったか~」


律「おーい、焼き始めるぞ~」

唯「あ! りっちゃんそれ私のスペシャルお肉串だからとっちゃだめー!」

澪「食い意地はってるなあ」

梓「……澪先輩、どうぞです」スッ

澪「ん? あぁ、くれるのか。ありがとう梓……ってこれ!」

梓「スペシャルピーマン串です。澪先輩の好物です。こんなのが好きなんて変わってるです報告するです」

澪「い、いやそれは……ちが……さっきのは……」

律「よかったなー澪。だーいすきなピーマンだぞー。あ、肉はたべといてやるよ太るから、にひひ」

紬「いっぱいあるからどんどん食べてね」

澪「ち、ちがう~!」

唯「あずにゃんはこれ! はい!」

梓「ばーべきゅーとやら……早速いただくです。もぐもぐ……!!! ふぁ……ふにゃあっほおおおおおお!!」

梓「これはあああああ!! なんてワイルドな! それでいてどこか繊細な味付け!!」

梓「持って帰って国食に指定するよう申請するです」

梓「全く、地球人ときたらこんなうまいものばっか食べてずるいです! 宇宙規模で平等に分配するべきです」

紬「う、宇宙?」

唯「わーちょっとあずにゃん!」

梓「そうでした。つい、ついですね。オーバーヒート寸前です」

律「たしかにこういうところで食うBBQは格別にうまい!」

梓「え? 場所関係あるんですか?」

律「くく、梓、感じないか……この、絶対のムードというやつを! サンセットとBBQという絶妙なシチュエーションを!」

梓「な、なるほど! うまいものをいい場所で食べるとなおうまいということですね! 報告です!」

唯「あずにゃんもだんだんわかってきたね」

梓「じゃ、じゃあ唯先輩と食べればなんでもおいしく感じるのもムードというやつですか!!?」

唯「…………え?」

澪「えっと、そ、それは……あはは…………なぁ、ムギ?」

紬「そ、そうね……うふふふ。梓ちゃん、唯ちゃんのことがきっと大好きなのね」

梓「だいすき? ……だいすきですか?」

唯「えへ~あずにゃん大好きだよ~」ギュウウ

澪「その大好きか……なんだ、びっくりした」

律「ほほーう」

紬「梓ちゃんはどう?」

唯「あずにゃんも私のこと大好きだもんねー?」スリスリ

梓「んー、まぁまぁですね。サンプルとしては上質なのは認めています」

唯「えぇ~~!? それ割とショックだよぉ」

梓「ま、気にするなです。感謝はしているです」

澪「あぁ、夕日が沈んでく……」

唯「…………うん」

梓「唯先輩、どうしてさみしそうな目をするんです?」

唯「……太陽はどうしてずっと側にいてくれないのかなって、思っちゃって」

梓「…………わがままです」

唯「わがままだよね……あずにゃんは、記憶がもどってもずっと側にいてくれるかな」

梓「……さ、さぁ! もっとどんどん食べるです!」

律「そうだな、食べて花火して、お風呂はいって」

澪「うんうん、それでそのあと」

唯「おやすみー!」

澪「おい!! 練習!」

律「ジョークだって」

唯「澪ちゃんはいつまでも変わりませんなー」

紬「うふふ、澪ちゃん可愛い」

澪「む、ムギまで……うぅ」

梓「地球製のジョークもしっかりテイクアウトするです」モグモグ

唯「あずにゃんあ~ん」

梓「あむっ、もぐもぐ、これじゃ体重管理もままならないです」

唯「まるまる太らせてたべちゃうぞー」

梓「はっ! ハニートラップ! さすがの野蛮人です、危うく私も食料の一部にされるところです」

梓「全く、地球人の文化に対する貪欲さには呆れてものも言えないです。報告するです」


☆☆☆


唯「あずにゃん、入らないの? お風呂きもちいよ?」

律「どうしたー?」

唯「なんかあずにゃんってお風呂嫌いなんだよね」

梓「むむ……あの日のトラウマがよみがえるです」

唯「あ、お風呂で私を襲っちゃったこと? 気にしてないのにー」

澪「襲った!? 襲ったのか!!?」

紬「!!?」

梓「はい、不覚にもオーバーヒートして襲ってしまったです」

律「ちょ、おい!! まだ早い、そんな時間じゃない!! それは後で詳しく聞かせろ」

唯「ほえ?」

紬「まさか二人にそんな進展があったなんて……気づかなかったわ」

梓「あの日はたくさんあったかあったかしたです」

澪「や、やめろぉ……聞きたくない……」


唯「ほら、教えてあげたでしょあずにゃん」

梓「はい?」

唯「こういうのは一気に……とりゃ!」

ザブン

梓「ふにゃああああああああ!!!」

唯「あ、日焼けで痛かったのか」

梓「き、きもちーです……あやうく宇宙の星になるところでした」

唯「……」

梓「ふにゃ……お風呂最高です」

唯「……ふふ、あとで体あらってあげるね」



律「唯も後輩ができたせいかしっかりしてきたな」

澪「あぁ、去年まではあんな唯考えられなかったよ」

紬「それほど大事に思ってるのね、梓ちゃんのこと」

澪「ちょっと、うらやましい関係だな……」


☆☆☆


梓「ヤッテヤルデス!」ミョーン

唯「あぁっ、ピックはそう持つんじゃないよ! あとギターはしっかり安定するように」

梓「~♪」ジャンジャン

唯「……ふふふ。楽しそう」

梓「音がでるです! すごいです! これでどうやったらふわふわ時間が演奏できるです!?」

唯「えっと、まずはこのコードで……こんな感じにおさえて?」

梓「それよりも唯先輩に一度演奏してみて欲しいです。コピーするです」

唯「え?」

梓「いいから早くするです。私の音楽的探究心はいまこの瞬間ヤッテヤルデス星一になったです!」

唯「う、うん。それじゃあ―――――


ジャカジャン!


唯「っとこんな感じだよ! じゃあまずコード教えるね?」


梓「……なるほど。記憶したです」

唯「え?」

梓「……」ジャカジャカ

唯「え? え?」


ジャジャンジャジャン ジャーン…


梓「……どうですか?」

唯「す、すごい……え? っていうかちょっとまってよ!」

律「お、おい……梓」

澪「う、うん……いま梓が確かに……はじめてなのに……」

紬「恐ろしい才能だわ……」

唯「あずにゃん……すごいねええ!!!」

梓「ふふん。こんなの朝飯前です。ヤッテヤルデス星人の学習能力をなめるなです」

律「ヤッテヤルデスがなにかはしらないけど、いやほんと宇宙人レベルだぞ! すごいもんだ!」

澪「これなら梓ももうセッションできるんじゃないか?」

紬「まぁ同じパートになるわけだけど」

唯「いいよ! 一緒にやろうよ!」

梓「ヤッテヤルデス!」

律「よーしじゃあふわふわな! ワンツー!」


6