―――日曜日

憂「お姉ちゃん、そろそろ起きなよー」

唯「う、憂……もうちょっと……ムニャ」

憂「そろそろ私家出なきゃいけないんだけど」

唯「え、もうそんな時間!?」

憂「もう、お姉ちゃんったら……って髪ボサボサだね」

唯「あぁ、乾かして寝なかったから」

唯「(ってあれなんだか頭が痛いよ、体もだるい)」

唯「よいしょっと、ってあれ……」

(ふらふらっとし再び布団に倒れた唯)

憂「お姉ちゃん、どうしたの?」

唯「えっ、いや、何でもないよ、布団が私を呼んでるのかな」

憂「もう、お姉ちゃんったら、早く朝ご飯食べなよ」

唯「ほーい」

唯「(やばいよー、私、風邪ひいちゃったよ)」

でも憂に気付かれるわけにはいかない

憂に気付かれたら憂は絶対に梓ちゃんとの約束をキャンセルして私の看病をしようとするだろう

今日だけはそういうわけにはいかないんだ

―――

憂「どうしたのお姉ちゃん、食欲ないの?」

唯「えっ……」

憂「お姉ちゃんが食欲ないなんて珍しいね?」

唯「そんなことないよ、今から食べるよ」

唯「(うぅっ、きついよ……吐きそう)」

憂「?」

―――玄関

憂「じゃあ、お姉ちゃん、いってくるね」

唯「うん、いってらっしゃい」

唯「(うぅー、立ってるのもきついよー)」

憂「あっ、昼御飯は冷蔵庫に入れてあるから、暖めて食べなよ」

唯「ほーい……」

憂「……お姉ちゃん、何かおかしくない?」

唯「ほぇっ、全然そんなことないよ」

憂「本当に?」

唯「うん、憂は心配性だなぁ(さすが憂、鋭い)」

でも私は隠し通さなきゃいけない

唯「ほら、憂、遅れちゃうよ」

憂「うん、いってきます(何かお姉ちゃん顔が赤いような……)」

―パタン

―――

唯「ほぇー、なんとかだよー」

唯「コホン、コホン、ゴホ」

―――

唯「わー、39℃もあるよ」

唯「寝とかないと……」

唯「コホン、コホン、ゴホ」

―――

梓「いてもたってもいられなくて、30分も前に来ちゃった」

梓「……」

梓「って私今からドキドキしてどうするの」

憂「梓ちゃーん」

梓「う、憂」

憂「梓ちゃん、今日は早いんだね」

梓「うん、いつも待たせたら悪いから」

憂「今日はどこ行くの?」

梓「今日は買い物行こうよ」

憂「いいよ」

梓「じゃあ、行こう」

憂「(お姉ちゃん、大丈夫かな……)」

梓「憂!」

憂「えっ!?」

梓「何ぼーっとしてるの」

憂「な、何でもないよ、行こ」

―――昼食

憂「楽しかったね」

梓「……うん」

憂「梓ちゃん、どうかしたの?」

梓「憂、どこか上の空だったから……」

憂「そ、そんなことないよ」

梓「うそ!何回も私の言ったこと聞き逃してた」

憂「それは……」

梓「何かあったの?」

憂「その……お姉ちゃんの様子が朝おかしかったから心配で……」

梓「唯先輩が……?」

憂「うん……」

梓「(私と二人でいるのに唯先輩の方が気になるんだ……)」

梓「(やっぱり憂は……)」

梓「(でも私は結果がどうであれ憂に気持ちを伝えたい)」

梓「憂、外にでよう」

憂「……うん」

―――

憂「梓ちゃん、どうしたの?」

梓「憂に聞いてほしい話があって……」

憂「さっきの場所じゃだめな話?」

梓「うん」

梓「憂、あのね、私、憂のことが好きなの、一人の女の子として大好きなの、だから私と付き合ってほしいの」

憂「えっ!?」

―――憂

梓ちゃんの言葉を聞いたとき嬉しかった

梓ちゃんが私のことをそういう風に思ってくれてたなんて思わなかった

私が『こんな私でよかったら、よろしくお願いします』

そう言おうと思ったとき……

急にお姉ちゃんの悲しそうな顔が頭の中に浮かんだ

そしたら言おうとしていた言葉を言えなくなっていた

梓「う、憂……?」

(顔を真っ赤にして憂を見つめる梓)

憂「えっとね……凄く嬉しいよ、梓ちゃんが私のことをそんな風に思ってくれてて……」

梓「……うん」

憂「でもね……その……なんていうか………」

憂「……」

梓「……」

沈黙が続く……

このとき梓には憂がなんで言葉に詰まってるかわかっていた

憂「……私も梓ちゃんのことは好きなんだけどね……」

梓「憂、無理しなくていいよ」

憂「えっ!?」

梓「唯先輩でしょ……」

憂「(そっか、私が梓ちゃんのこと好きだと思ってるのに、最後の言葉が出ないのは……)」

憂「(私はお姉ちゃんのことが一人の女の子として好きなんだ……)」

憂「……うん、だからごめんね、梓ちゃん」

憂「でも、私ね……」

梓「憂、いいよ、もう言わなくても」

梓「私達親友でしょ」

憂「……うん」

梓「ほら、唯先輩のところにいってあげて」

憂「うん……ごめんね、梓ちゃん」

梓「うん、また明日学校でね、憂」

憂「うん、ありがとう」

―タタッ

―――梓

やっぱりフラれてしまった

でもすっきりとした気持ちだ

言ってよかった

唯先輩にだったら憂を任せられる……いや、役割的には逆かな

そんなことを考えて一瞬クスリとしたけど……やっぱり……

目からは涙がでてきた

梓「ううっ、ヒクッ、グスン」

今日は思いきり泣こう

そして明日は憂と唯先輩を笑顔で祝福しよう

そうだ……律先輩達に結果を報告してお礼を言わなきゃ

でも、もう少し泣いててもいいよね


―――唯の部屋

唯「ううっ、体も熱いし、頭いたいよー」

唯「こういうときはいつもそばで憂が看病してくれてたなぁ」

唯「憂は今頃あずにゃんと楽しんでるのかな……」

唯「それともあずにゃんの告白をOKして二人で仲良く手を繋いだりして歩いてるのかな……」

そう思うと急に悲しくなってきた……

こんなに自分が苦しんでいるときいつもそばには憂がいてくれた

でも今はいない

そばで優しく励ましてくれる憂が……

そのとき私の目から涙が出てきていた

そして無意識にこう呟いていた

唯「憂…寂しいよ…」

―バタン

唯「!?」

―パタン

憂「お姉ちゃーん、大丈夫ー?」

唯「う、憂!?」

憂「お姉ちゃん、やっぱり、風邪ひいてたんだね」

唯「憂、あずにゃんは?」

憂「お姉ちゃんが心配だから帰ってきたの」

唯「憂……」

憂「ごめんね、お姉ちゃん、お姉ちゃんが苦しいときに一人にして」

ギュッ

唯「う、憂!?」

唯「……ありがとう、憂」

唯「そういえば憂、あずにゃんに告白されなかった?」

憂「えっ……うん、されたよ」

唯「……なんて答えたの?」

憂「……ごめんねって」

唯「そうなんだ……」

憂「お姉ちゃん、私ね……」

唯「待って、憂、私に話させて」

唯「憂、あのね、コホン、コホン、ゴホ」

憂「お、お姉ちゃん、大丈夫?」

唯「だ、大丈夫……」

唯「憂、私、憂が大好き、妹としてじゃないよ、一人の女の子として」

憂「お姉ちゃん……私もだよ、私もお姉ちゃんが大好き」

唯「やったー、両想いだね」

憂「うん」

唯「えへへ、コホン、コホン、ゴホ」

憂「お姉ちゃん、大丈夫?」

憂「おかゆも食べ終わったし、ちゃんと寝てなよ」

唯「うん……ねぇ、ういー」

憂「何、お姉ちゃん?」

唯「おやすみのちゅー、して……」

憂「もう……」

―チュッ

憂「えへ」

唯「えへへ」

―チュッ

―――翌日

朝起きたら風邪はすっかり治っていた

憂の看病のおかげだね

学校に行ったらりっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、そしてあずにゃんがおめでとうと言ってくれました

あずにゃんは凄いな……あずにゃんには感謝しないといけないね

あずにゃん憂は私が絶対に幸せにするよ

そしてギターの練習も頑張るよ

あずにゃんに文句言われないようにね

―――後日

憂「お姉ちゃんと二人きりでお出掛けなんて久しぶりだね」

唯「憂、お出かけじゃないよ、デートだよ」

憂「ごめん、お姉ちゃん」

唯「いいよ、憂」

―ニギッ

憂「お姉ちゃん……」

(堂々と手をつなぎ仲良く歩く二人)

唯「あっ、ういー、あいす食べたい」

憂「いいよ」

―――

憂「おいしいね、お姉ちゃん」

唯「うん、あっ……憂、顔にあいすついてるよ」

憂「えっ、本当!?」

―ペロッ

憂「お、お姉ちゃん!?」

唯「えへへ、この前のお返し」

憂「もう、こんな人前で……」

唯「えー、いいじゃん、恥ずかしがることないよー」

憂「……そうだね」

―――帰り道

唯「憂、いつもありがとね」

憂「どうしたの急に?」

唯「急にお礼が言いたくなったの」

憂「そっか……」

唯「憂、大好き」

憂「私も、大好きだよ、お姉ちゃん」

―チュッ

唯「憂!」

憂「何、お姉ちゃん?」

唯「私達ずっと一緒なんだからね」

憂「うん」


―――

そうだ今度憂のことを書いた歌詞作ってみようかな

私には何をするにも憂が必要なんだよ

そんな想いを込めて

曲名は……『U&I』


―――おしまい