ねえねえ、りっちゃん

んー?


りっちゃんは恋したことある?

ああ、あるよ

それっていつ?

さあ、いつだったっけなぁ

どんな人?

うーん忘れたなぁ

なんだよ、りっちゃんずるい

へへ



ねえねえ、りっちゃん

んー?


どうして人は人を好きになるんだろね?

唯もそんなこと考えるんだな

どうしてかなあ

一人じゃ寂しいからだろ、きっとさ

そうか、さすがりっちゃん

まあな



ねえねえ、りっちゃん

んー?


なんで男性とか女性とかあるのかな?

バカだな

なんでよ

女ばっかじゃ子供できないだろ

あそっか、深いね

深くないし

毛深いよね

私は普通だし



ねえねえ、りっちゃん

んー?


赤ちゃんってコウノトリが運んで来るってほんと?

ああ、あれうそ

じゃあどうして出来るの

大人の男の人と女の人が一緒に寝るんだ

一緒に寝ると赤ちゃん出来るの?

それだけじゃないぞ、子どもが欲しいって願いながら手をつないで寝るんだ

すごい、やっぱりりっちゃん物知りだ

あんまり褒めんなよ、照れるし



ねえねえ、りっちゃん

んー?


私達も子供生んだりするのかな?

生きてりゃそのうちにな

お腹が割れたら痛いのかな?

まあ痛いだろな

元に戻るよね

そりゃ戻るだろ

ペコッって戻る?

うん、ペコってな

でもやだなあ、澪ちゃんとか絶対無理だよね

そうだな



ねえねえ、りっちゃん

んー?


人を嫌いになるのはどうしてかな?

好きが見えなくなっちゃうんだろなあ

えっと、ちょっとわかんないよ

嫌いってのは好きと同じとこにあってさ

へえ

ちょっとしたことで好きが見えたり嫌いが見えたりさ、するんじゃないか

うーん、だったら私はずっと好きだけ見ていたいよ

だよな



ねえねえ、りっちゃん

んー?


その好きと嫌いのもう一つ向こうって、何かあるのかな?

あるよ、きっと

何があるんだろね?

そうだなあ……たぶん

たぶん?

大好き、かな

おぉそうかあ、そうだといいよねえ

いいだろ?今考えたんだけどな

うん、やっぱりりっちゃんだね

なんだよそれ

大好き

ん、よしよし



ねえねえりっちゃん

んー?


楽しい時間ってなんですぐ過ぎちゃうんだろね

楽しくて夢中になるからだろ

やだなあ

仕方ないだろ

でもそれって楽しい人生はすぐ終わっちゃうってことでしょ

かもな

私毎日すっごく楽しいよ

いいな、唯は

だから怖いよ

唯は長生きするよ

りっちゃんは?

さあ



ねえねえ、りっちゃん

んー?


人は死んだらどこ行くんだろ?

どこかな

面白い所だったらいいのにな~

そうだな

死んでもみんな一緒だったらいいのに

みんな一緒に死ぬつもりかよ

あれれ?

ばーか



ねえねえ、りっちゃん

んー?


今日は憂がねえハンバーグ作ってくれるんだって

へえ

憂のハンバーグ美味しいよ

憂ちゃん料理上手いからな

でも、りっちゃんのハンバーグも美味しかったなあ

へへ、そうか

また食べたいなあ

そいつは光栄だ

また作ってね

……






ぶうぅぅぅぅん

ガタゴトガタゴト







ねえねえ、りっちゃん

んー?


さっきから乗ってるこのバスどこまで行くのかな?

さあなあ

ずいぶんオンボロだね

だな

川の横ずっと走ってるけど、暗くて向こう岸見えないや

うん

私達どこから乗ったっけ?

さあ……なぁ






ぶうぅぅぅぅん

ガタゴトガタゴト







ねえねえ、りっちゃん

んー?


澪ちゃんたちは?

もうとっくに降りたよ、ムギも梓も

えぇ~私知らないよ

唯は寝てたじゃないか

黙って降りちゃうなんてみんなひどいなぁ

いいじゃん、また会えるんだしさ

そっか、また会えるんだもんね

唯はな

ほへ?



ぶうぅぅぅぅん

ガタゴトガタゴト



揺れるね

そうだな


でも不思議と酔わないや

そうか



ぶうぅぅぅぅん

ガタゴトガタゴト



ねえねえりっちゃん

んー?


何か停留所みたいなのあるよ

ああ

バス停まるのかな?

停まるよ

よく知ってるね

まあな



プシュ~

ガラガラッ



なあに?


お前はここで降りるんだ

ええっ?りっちゃんは?

あたしはここじゃないんだよ

ええっ、私一人で降りるのやだな~

あたしが降りるのはもっと先なんだ 

そうなの?

うんそうだ

そっかぁ



じゃあな、ここでさよならだ、今までありがとうな

え……?

ほら行けよ



……やだ

どうしたんだ?


やだよ、何その言い方、そんなありがとういらない

なに言ってんだよ


りっちゃんも一緒に降りようよ



我儘言うなよ、バス出ちゃうぞ

りっちゃんが降りないなら私も降りない


ダメだって

やだやだ

いいから降りろって、怒るぞっ

……りっちゃん


困らせんなよ

わかった……じゃあさ

なんだ

降りるとこまで一緒に来て

……

見送ってよ

わかった



ここでいいか

うん、はい握手

よせよ

握手してくれないと降りないよ

まったく唯は……ほら

 ぎゅっ


ん……りっちゃんの手あったかい

そうか

また会おうね

……

また会うからね

唯……



プップー

もう降りろ、バスが出ちゃうぞ



ほらっ!りっちゃん!行くよっ!

 グイッ

あっ!放せ唯!

やだもん、絶対一緒に降りるっ!

 グイッグイッ

わあっ!!!!!!


 ドサァッ!

~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~

 『お姉ちゃん!』

 『律!律!』

 『唯先輩!』

 『りっちゃん!』

 『唯!』

 『律先輩!』

 『唯ちゃん!』




唯「……」

憂「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

唯「りっ…ちゃん……あれぇ憂……?」

梓「唯先輩!先生!唯先輩の意識が戻ってます!」

唯「あ、あずにゃん……なんで包帯巻いてるの?……大丈夫?……痛くない?」

梓「もうっ、私より自分の心配して下さいよぅ」


律「っ…」

澪「律も気がついたぞっ」

紬「りっちゃん!しっかり!」

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 「昨日の交通事故の続報です

 昨日、6時頃暴走車が○○市桜ヶ丘高校前で同校の女生徒5人を次々と跳ね飛ばした事件で 

 意識不明になっていた女生徒2名の意識が戻りました……」



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~~~~~~~~~~~~~

唯「ねえねえ、りっちゃん」

律「んー?」


唯「楽しい時間続けばいいね」

律「そうだな」

唯「私あの時夢見てたよ」

律「ふうん」

唯「りっちゃんは見なかった?何かお間抜けな話してたような気がするんだ」

律「夢?……覚えてないや」

唯「そっか」




律「なあ、唯」

唯「なあに?」


律「ありがとな」

唯「え?なにが?」

律「いや…なんとなく、かな」


唯「へんなりっちゃん」

律「んー?」


唯「んー」

律「んー」




        楽しい時間、続けばいいね


                      おしまい