― repeat ―

澪「和。眼鏡かえた?」

和「あ、うん。この前、どこかで失くしちゃったみたいで」

澪「そっかー」

和「お気に入りだったから、ちょっと残念ね」

澪「お気に入り失くすと、ショックだよなー」

和「そうね」

澪「今のベース失くしたら、わたし泣いちゃうかも…」

和「あはは、想像できるわね」

澪「前のは赤だったっけ?今の緑も似合ってるよ」

和「そう?」

和「ありがと、澪」クス


― 0=all ―

澪「眼鏡をかえると世界が変わるって言うよな」

和「へぇ、初めて聞いた」

澪「……」

和「……」

澪「どう?変わった?」

和「さて、どうかしらね」


和「ねぇ、澪」

澪「ん、なに」

和「楽器って楽しい?」

澪「……?」

澪「楽しいよ」

和「わたしにもできると思う?」

澪「やってみる?ベースだったら教えてあげられるよ」

和「やってみようかしら」

澪「やってみなよ」

澪「でも、どうしたの急に」

和「わたし達、来年で卒業じゃない?」

澪「そうだなー。もうすぐ3年かー…早いなぁ」

和「3年になったら生徒会も、後輩に引き継いでいく形になるし」

和「受験勉強の合間に何かやろうかなって思って」

澪「なるほど。それはいいかもしれないなー」

和「でしょう?」

和「ふふ、それだけなんだけどね」

澪「そっか」クス

澪「じゃあ、わたしそろそろ部活に行くよ」

和「わたしも帰るわ。勉強しなきゃ」

澪「……」

澪「和もたまには遊びにきなよ」

澪「ムギのお茶とお菓子が待ってる」

和「澪がそんなこと言うなんて、珍しいわね」

澪「そんなことないぞー」

和「練習しないでいいの?」

澪「あはは、そうだな。練習しないとね」



……

――ジャカジャーン


和「……」ギィ…ガチャ

――ジャーン

和「唯と律…また、同じところでミスしてるわね」クスス

和「……」ゴソ

バタン

カタン…コツコツコツ

和「…っしょっと」

テクテク


和「…ぅ…わぁ」

和「外、寒いわねぇ」ブルブル


和「……」

和「……さぶ」ブル

和「……」

和「はぁー…」

和「息…白い…」

和「ズズ……ふぅぅ」

和「……」

和「…もう、冬ね」

和「……」

和「お弁当のおかず買ってこ」




――ガヤガヤ

和「……」

和「ん。今日は牛乳が安い」

和「そうだ、卵買わなきゃ」

憂「あ、和さん」

和「憂ちゃん。久しぶりね」

憂「久しぶりですねー」

和「夕飯の買い物?」

憂「はい。今日は寒いし、お鍋にしようかなーって」ニコ

和「そっか、唯、鍋好きだものね」

憂「ですです。お姉ちゃん喜んでくれるかなぁ」ワクワク

憂「あ、よかったら和さんも一緒に鍋しませんか?」

和「今日?」

憂「はい」ニコ

憂「やっぱり、鍋は皆で食べた方が美味しいですし」

憂「お姉ちゃん、きっと喜ぶと思いますよ」

憂「どうですか?」ニコ

和「どうしようかしら…。勉強もしたいし…」

憂「……」

和「んー」

和「……」グゥー

和「ぷ」

和「何だか、お腹空いてきちゃった」クスス


和「……」

prrrr prrrr

和「あ、お母さん?今日の夕飯なんだけど」

和「うん。そう、唯の家」

和「…うん、うん。作るの手伝えなくてごめんね」

和「うん、遅くならないうちに帰るね」

ピ


和「大丈夫みたい」

憂「わぁー、お姉ちゃん喜びますよ」

和「さて、何鍋にしようかしらね」ニヤ

憂「どうしましょうかー」ワクワク





店員「安いよ安いよー」

憂「湯豆腐…いや、鳥鍋も捨て難いよね」ブツブツ


和「鍋と言ったら…まず、えのきよね」ズイ

憂「そうなんですか?」

和「いや、単純にわたしが好きなだけなんだけど」ガサ

和「あの何とも言えない食感が好きなのよ。はい、これ」ヒョイ

憂「わわ、こんなに…」

憂「…ところで、何鍋にします?」

和「そうねー…今日は寒いし、キムチ鍋なんてどう?」

憂「いいですね」

憂「あの辛さがいいんですよねー、あったまりそう」





――テクテク


憂「寒いですねぇー…」ブルッ

和「ほら、マフラー深めに巻いておいた方がいいわよ」マキマキ

憂「わわ、ありがとうごまいまふ」モフモフ

憂「ぷはぁ…ちょっと喋りにくいかも」クスクス

憂「……あ」

和「ん?」

憂「忘れてました…。お姉ちゃんの為にアイス買わなきゃ」

和「こんなに寒いのにアイス食べるの?あの子」

憂「だって、お姉ちゃんですもん」

和「確かに…。悔しいぐらい納得のいく解答ね」

憂「そういうところが、可愛いんですけどね」クスクス




……

ガチャ

和「お邪魔しまーす」

ガサガサ…トン

憂「若干散らかってますけど、どうぞー」サッ

和「スリッパ、ありがと憂ちゃん」ニコ

和「ふぅ……ズズ」

憂「あ、ごめんなさい!寒いですよね?今、暖房つけますね」アタフタ

和「寒いって…外より全然あったかいわよ」クスクス

ピピ

憂「もうちょっとしたら、暖かくなると思います」

和「ふふ、ありがとね」

和「じゃぁ、準備しちゃおうか」

憂「はい」ニコ



――トントントントン

和「憂ちゃんて、ほんと料理上手よね」

憂「そんなことないですよー」アセアセ

トントントントン

和「この妹にして、姉は何故ああなのかしら…不思議だわ」

憂「お姉ちゃんは、これからなんですっ」ズイ

和「あ、それ、水通して水切っておいてもらえる?」

憂「あ、はい」アセアセ

ジャーー

トントントン…

和「まぁ…」

憂「…?」サッサッサ

和「唯は唯で、良いところあるよね」

ジャーー…キュッ


憂「そうなんです」ズイ

憂「この前だって、わたしの為にご飯をよそってくれたんですよ…!」

憂「すっごく優しいお姉ちゃんなんですっ」グッ

和「フォローになってないわよ、それ」クス

憂「えええ」ガーン

和「やっぱ姉妹ね、なんだかんだ似てるもの」クスクス

憂「……」

憂「姉妹ですから」ニコ



唯「ただいまー!」

唯「ふいー、あったかいよー…」

唯「あれ…?」

唯「の、のどかちゃん…?」キラキラ

和「おかえり、唯」クス

憂「おかえりー、お姉ちゃん」

唯「和ちゃぁーん!」キラキラキラ

だきっ

和「あ、こら、唯ー」

唯「スンスン…やっぱ和ちゃんだ。のどか臭がするもん」スリスリ

和「何よそれ」

唯「でへへー」

唯「で。和ちゃん、今日はどうしたの?」

憂「お買い物してる途中で会ったから、わたしが夕飯に誘ったんだよー」

和「ま、そんな感じね」

唯「で、でかしたー!さすが我が妹です!」

憂「わーい」キャッキャ

和「何て言うか…ほんと、仲良いわね。あなた達」クスクス


唯「だって、姉妹だもーん」ニヒヒ


……

唯「よいしょ、よいしょ」モゾモゾ

唯「おこた…、あったかい……はふぅ」

唯「……ふー」

和「そこで寝たら風邪ひくわよ、唯」

唯「大丈夫だよー。和ちゃん」

唯「和ちゃんも、こっちおいでよー」

唯「一緒にコタツはいろ?」ニコ

和「わたしは準備してるでしょう?」

唯「ちょっとだけ~。…だめ?」

和「だーめ」

唯「ちぇー」



……

グツグツ

唯「まっだかっな、まっだかっな~」

憂「もうちょっとだから、まってねー」クス

唯「楽しみだなぁ」ニヒヒ

和「すっごい嬉しそうねー」

唯「嬉しいよー」

唯「憂がいて、和ちゃんがいて…、おいしいお鍋が食べられる」

唯「とっても、嬉しいことだよ」ニコ

和「……」

唯「……」

和「え、何?告白?これ告白?」

唯「え!?わたし告白してた?」ガーン


憂「はーい、できたよ―」



唯「わぁー…、おいしそう」

グツグツ グツグツ

ガチャコン…ボッ

憂「はい、どうぞ召し上がれ」ニコ

唯「いただきまーす」キャッキャ

唯「あふ、あふぇ、あふぃ」ハグハグ

和「ほら、がっつかないの。ヤケドするわよ」

唯「らぃほーふ!あひひ」

唯「はふはふ…はぐはぐ」

唯「おいひい」ニコ

和「そう。よかった」ニコ

唯「あったまるね」

憂「うん。あったまるねー」


……

唯「ふぅー…おいしかった」ニコ

唯「ごちそうさまでした」ニャム

和・憂「お粗末様でした」


唯「うーいー、あいすー」

憂「ちょっと待ってねー」トタトタ

和「鍋食べた後に、よく食べられるわね…」

唯「和ちゃんの分も、お願ーい」

憂「はーい」

和「え?わたしも食べるの?」アセ



憂「はい、お姉ちゃん」ヒョイ

唯「ありがと、憂ー。和ちゃん、わたしの部屋行こー?」

和「いや、まだ片付けが残って…」

憂「片付けは、わたしがやっておくんで大丈夫ですよ」ニコ

和「そう?ごめんね、憂ちゃん」

憂「いえいえ、そんなことないです」

和「憂ちゃん」

憂「はい?」

和「わたしの妹にならない?一家に一人は欲しいわ」

憂「ええええ」アタフタ

唯「だめ!だーめ、憂はわたしの妹なの」プンプン

和「はいはい、わかってるわ」クス





ギィ

ガチャ

和「あー…、唯臭がするわね」スンスン

唯「の、のどかちゃん…えっちぃです」キュン

和「いや、あんたが最初に言ったんでしょ」

唯「にっひっひ、ばれたかー」クスクス

唯「散らかっててごめんね」

和「唯が言うと、まったく申し訳なさを感じないのよねー」

唯「でへへ、すいやせん」


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最終更新:2010年01月06日 00:19