がっこう

梓「……正門、閉まってますね」

澪「もう学校の中には誰もいたいみたいだな」

唯「りっちゃん、入ってみる?」

律「せっかくここまで来たんだ。入ろう」

梓「りょーかいです」

律「やっぱり昇降口も鍵かかってんな」

澪「時間が時間だしな、仕方ないだろ」

梓「これからどうしますか?」

紬「さすがに窓を割って中に入るってわけにもいかないわね」

唯「屋上に行ってみない?」

律「でも鍵かかって、中には入れないんだぜ?」

澪「あ、ひょっとしてペルソナで?」

唯「思いっきり、びょーんって飛んだら行けると思うんだ」

紬「うん、行けるわ」

澪「でも、けっこう高さあるぞ……」

律「怖いってんなら、私がトモエで抱いて連れてってやるよ」

澪「こ、怖くないぞ!」

律「はいはい、トモエ、澪を頼む」

トモエ「……」 コクン

澪「おい、これってお姫様だっこじゃ!」

律「トモエ、飛べ!!」

澪「うわぁあああ!!高いぃいいいいい!!」

紬「……」

梓「ほんとに屋上までジャンプしちゃいましたね」

唯「次は私が行くよ」

紬「唯ちゃんお先に~」 ピョン

唯「あぁ!待ってよ、ムギちゃーん!!」 ピョーン

梓「……」

梓「じゃ、じゃあ私も。ネコショウグン!!」 カッ

ネコ「ニャー」

梓「あの、屋上まで連れて行ってほしいんだけど、できる?」

ネコ「ニャ?」

梓(……大丈夫かな)

梓「はぁ……はぁ……」

唯「あっずにゃーん、遅いよー」

澪「ここまで登ってきたのか……」

梓「だ、だってネコショウグンが、ジャンプは無理だって」

紬「ネコはジャンプ力あったと思うけど」

律「ああ」

梓「……」

ネコ「ウニャ?」

梓「もう!」

律「屋上に来たものの、なんもないな」

唯「うぅ、ここまで来れば何かあると思ったんだけど」

澪「KEEP OUTの黄色のテープが生々しいな」

梓「……」

 コツコツ……

唯「……今、何か聞こえなかった?」

澪「私は何も」

律「私も分からなかったな」

唯「足音みたいな音が聞こえたんだけど、気のせいだったのかな」

 コツコツ……コツコツ……

紬「聞こえたわ」

梓「はい!確かに足音が聞こえます!」

 コツコツ……

澪「どんどん近づいてるぞ!」

?「…………こんばんは」

紬「あなたは……」

唯「姫子ちゃん!」

姫子「こんなところで何してるの、けいおん部」

澪「それは……」

姫子「まぁ、だいたい察しはつくけどね」

梓「どういう意味です?」

姫子「こういうこと……ティターニアッ!」

澪「ペルソナ!?」

律「おまえも、ペルソナ使いなのか」

姫子「まーね」

唯「どうして姫子ちゃんが」

姫子「私だって分からないわよ。でも使えちゃうものは使えちゃうから」

律「姫子がペルソナ使いってのは分かった。学校にいるのはなんでだ?」

姫子「もしかして、私疑われちゃってる?」

唯「お願い、教えて姫子ちゃん」

姫子「唯にそう言われちゃしょーがない、教えてあげちゃう」

紬「……」

姫子「あなたたち、霧が出る夜に影の幽霊が出るって話知ってるよね?」

梓「はい。私たちはシャドウと呼んでいます」

姫子「へぇ、それかっこいいね。私もそう呼ぼう」

紬「続けて」

姫子「ああ、ごめん。私もさ、そんなのは噂話程だろうって思ってたんだけど、これがほんとに出ちゃって」

姫子「びっくりしたわ。さすがにあのときは死ぬかと思ったもの」

澪「それがきっかけで、ペルソナに目覚めた?」

姫子「うん。気がついたらティターニアが私の側に立ってた」

姫子「自分は特別なんだ、選ばれた人間なんだ、って思ったら舞い上がっちゃって」

律「……」

姫子「事件を解決してやろうと1人で頑張ってみたけど、全然分からない。お手上げ状態」

梓「じゃあ今日ここに来たのもそのためなんですね」

姫子「そ。ここで殺されたなら、また同じシャドウがここに現れるって思ったの」

唯「私たちも犯人を捕まえようってみんなで協力してるんだよ!」

姫子「へぇ……」

律「よかったら私たちの仲間にならないか?姫子が来てくれれば心強い」

姫子「……」

唯「姫子ちゃん、みんなで犯人を捕まえよう?この町の霧を晴らそうよ」

梓「わ、私からもお願いいます。先輩、協力してください」

澪「姫子、頼む」

姫子「私はやめておくわ」

唯「どうして!?」

姫子「事件を調べてるうちにね、思ったことがあるの」

紬「……」

唯「それは、なに?」

姫子「犯人は、もしかしたら私と同じペルソナ使いなんじゃないかって」

澪「そんな!!」

唯「……っ!!」

姫子「だから、あなたたちとは一緒にはいられない。もしかしたら、あなたたちの中に犯人がいるかもしれない」

梓「あ、ありえません!絶対そんなことありえませんっ!!」

姫子「どうして言い切れるのかしら」

梓「私はけいおん部でたくさんの時間を過ごしてきて、そんなことをする人じゃないって知ってます!」

姫子「私はね、そこまで信頼するほどの時間を過ごしたわけじゃないから」

唯「そんなの……悲しいよ……姫子ちゃん」

姫子「それに、私は犯人かもしれない」

唯「絶対違うよ、姫子ちゃんはそんなことしないもん!」

姫子「……」

唯「友達だから、分かるもん!!」

姫子「唯は、優しいね」

律「姫子、おまえ……」

姫子「さてと、私はそろそろ帰るわ。それじゃあ……」

姫子「……あ、そうだ。言い忘れてたことがあった」

澪「言い忘れてたこと?」

姫子「実はね、正門の前で真鍋さんを見かけたの」

唯「和ちゃんを……?」

姫子「じっと校舎のほうを見ていたけど、私が声をかけようと思ったら走って行ってしまって」

姫子「そのまま声をかけれず仕舞い。真鍋さん、あそこで何をしていたのかしらね」

唯「……」

姫子「ふふ、それじゃあね、唯」

澪「……行っちゃった」

梓「最後に言ったこと、本当でしょうか」

律「分からない」

紬「もしかしたら、和ちゃんもペルソナ使い……」

唯「……和ちゃん」

律「今日のところは、これで引き上げよう」

澪「夜のパトロールはどするんだ?」

律「今日はお休み。色々あってみんな疲れてるだろうから」

紬「そうね、それがいいわ」

律「唯、憂ちゃんにもゆっくり身体を休めるよう言っておいてくれ」

唯「……」

梓「唯先輩?」

唯「あ、ごめん。聞いてなかった」

律「しっかりしろ、犯人見つけるんだろ?」

唯「そうだね……」


よくあさ ゆいちゃんち

唯「……」 モグモグ

憂(昨日家に帰ってきてから、お姉ちゃん元気ないな。何かあったのかな)

唯「ご馳走様」

憂「お姉ちゃん、あのね……」

唯「おトイレ」

憂(聞こうとしてもはぐらかされちゃうし、どうしたんだろう……)


がっこう

律「おっはー」

紬「お早う、りっちゃん、澪ちゃん」

唯「おはよう」

紬「唯ちゃんもお早う」

律「SHRまでまだ時間あるし、ちょっくら部室で作戦会議でもするか」

唯「ごめん、私はちょっと用事あるから」

澪「あ、唯!」

律「唯のやつ、どうしちまったんだ?」

紬「昨日からなんだか元気がないみたい」

澪「和のこと、気にしてるのかな……」


せいとかいしつ

唯「失礼します」 ガラガラ

和「あら、唯じゃない。どうしたの?」

唯「和ちゃんに用があって」

和「そう。用って何かしら?」

唯「あ、あのね和ちゃん……」

和「なーに?」

唯「昨日、学校に来た?」

和「ええ、もちろん来たわよ」

唯「えっと、学校から帰った後なんだけど。16時くらいかな」

和「……」

唯「……来たのかな?」

和「来てないわ。昨日は霧が出ていたでしょう?危ないからずっと家で勉強してたの」

唯「そうなんだ」

和「なんでそんなこと聞くのかしら?」

唯「その時間に学校で和ちゃんを見た人がいて、ちょっと気になったの」

和「……誰」

唯「え?」

和「私を見たって人は、だーれ?」

唯「え、あ、えっと……」

和「……」

唯「……それは」

和「言いたくないのなら別にいいけど」

唯「……」

和「用はそれだけかしら?私はこの書類を片付けたいから、もう少しここに残っていくわ」

唯「分かったよ。お仕事の邪魔しちゃってごめんね」

和「邪魔だなんて……。またいらっしゃい、今度はお茶でも入れてあげる」

唯「うん、ありがとう。私先に戻ってるから」 ガラガラ

和「ええ、教室でね」

和「…………」

和「…………誰に見られたのかしら」

唯(和ちゃんが言うには、学校にきてない……)

唯(姫子ちゃんが言うには、和ちゃんは学校にきていた……)

唯(どっちかが嘘をついてるってことだよね)

唯(……)

姫子「唯、お早う」

唯「ひ、姫子ちゃん」

姫子「私の顔を見て驚くひどくない?」

唯「そんなんじゃないよ、いきなり声をかけられたからびっくりして、あはは」

姫子「ふーん、考えごとでもしてたのかな?」

唯「う、うん」

姫子「当ててみせようか?」

唯「それは困るかなー、なんて……」

姫子「真鍋さんのことでしょ」

唯「……っ!」

姫子「ふふ、唯は嘘がつけないタイプね」

唯「あのね、姫子ちゃん」

姫子「なに?」

唯「昨日、ほんとに和ちゃんを見たの?」

姫子「ええ、あれは間違いなく真鍋さんだったわ」

唯「よく似てる人ってことは……」

姫子「さすがにクラスメイトの顔は見間違えないわよ」

唯「そう、だよね」

姫子「もしかして、そのこと真鍋さんに聞いたの?」

唯「……うん」

姫子「それで、学校にはきてないって言われたのかな。だから私が嘘をついてると思った?」

唯「そんなつもりじゃ!」

姫子「でもね、二人の意見が食い違ってるってことは、どちらかが嘘をついてるってことよね」

唯「も、もしかしたら何かの勘違いかもしれないよ!?」

姫子「なら断言しておくわ。私は勘違いなんかしていない」

唯「姫子ちゃん……」

姫子「さて、嘘をついているのはどちらでしょう?」

唯「……」

姫子「ふふ、なーんて。じゃあね、唯」

律「おぅ、何処行ってたんだよー、唯」

澪「そろそろSHR始まっちゃうぞ」

唯「えへへ、ごめんね。ちょっと用事があって」

さわ子「みんなー、席つきなさーい」 ガラガラ

紬「さわ子先生来たみたい」

律「じゃあ学校終わったら駅前のファミレスで作戦会議な」

紬「分かったわ」

澪「そういうことだから、憂ちゃんにも声かけておいてくれ」

唯「あ、うん……」

さわ子「いつまで話してるの?欠席扱いにしちゃうわよー」

律「そりゃないぜさわちゃん!」


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