がっこう

紬「……」

澪「昨日は霧なんて出なかったよな?なのになんで……」

律「知らねーよ!こっちが聞きたいぜ!!」

唯「事件の被害者は昨日会った子だよね」

律「……そういえばあの子、私たちに大事な話があるみたいだった」

澪「もしかして事件の犯人を見たんじゃないか!?」

律「それで殺されたってのかよ?でも犯人はシャドウだろ!」

唯「あのとき、ちゃんと話を聞いてあげれば、あの子は死なずにすんだのかな」

律「……」

澪「わ、私たちのせいで……」

律「クソっ!ぜってー許せない!!今日から毎晩パトロールするぞ!!」

唯「そ、それはなんでも……」

律「んだよ!唯はこのままシャドウを野放しにしててもいいってのかよ!?」

唯「そうは言ってないよ!」

紬「落ち着いてっ!!」

律「……っ!」

唯「……ご、ごめん」

澪「……」

紬「私たちが言い争っても死んだ人は帰ってこないわ」

律「……」

紬「昨日は霧は出なかった。そうね」

澪「ああ、天気予報やネットで調べたけど、霧は出てなかったみたいだ」

紬「憂ちゃん、昨日はシャドウの気配を感じた?」

憂「いえ、全く感じませんでした。と、言っても私は深夜1時に寝てしまったのですが」

紬「警察によると、死亡推定時刻は夜の21時から22時まで間らしいわ」

憂「その時間にも感じられなかったです」

澪「家から学校までかなり距離あるだろ。そんなに広範囲のシャドウの場所が分かるのか?」

憂「その、気配でシャドウが出現したかどうかは分かるんです。だけど、具体的な位置までは分かりません」

紬「つまり、昨夜はシャドウが出現しなかったってことになるわね」

律「シャドウが現れなかったって、どういうことだよ。犯人はシャドウだろ?」

唯「犯人はシャドウじゃない……?」

紬「……もしかしたら、私たちは大きな勘違いをしているんじゃないかしら」

澪「どういう意味だ、ムギ」

紬「……」

 キーンコーンカーンコーン

紬「チャイムが鳴ったわね。そろそろ教室に戻りましょう」

唯「そうだね。また放課後話し合おうよ」

律「ああ……」


ほうかご

純「あっずさー、ういー、一緒に帰ろー」

梓「うん、いいよ」

憂「ごめん、この後予定があって」

純「なになに、デート?」

憂「あはは、違うよー。また今度誘ってね、バイバイ」 スタスタ

純「行っちゃった」

梓「……」

純「最近憂付き合い悪くない?」

梓「うん」

純「ほんとに彼氏だったりして」

梓「憂ならそういうことはちゃんと言ってくれるよ」

純「そーかなー」

梓「……」

純「ところでさ、今日梓暇?」

梓「とくに予定はないけど。どうしたの?」

純「でへへ、実はさ……」 ゴニョゴニョ

梓「えぇ!?」

純「声大きいって!」

梓「そ、それってまずくない?だって今は……」

純「そーだけど、やっぱ1人じゃ怖いからさ」

梓「それで友達を危ない目にあわせるのはどうなの?」

純「お願い!今度なんかおごるから!!」

梓「わりに合わないような……」

純「梓さま!!」 ギュッ

梓「にゃ!?な、な、何するの純!!」

純「お願いいたしますー!この通り!!」

梓「分かった!分かったから!!」

純「さっすが梓ー!心の友よ~」

梓「もう、純は強引なんだから」

純「それじゃあよろしくね」

梓「あまり気が進まないけど、しょうがないなぁ」

純「頼りにしてるから♪」

梓「はいはい……」


 「今夜21時に公園集合!」



21じ こうえん

 ニャーニャー

純「かっわいいでしょー♪」

梓「か、かわいい……」

純「公園に子猫5匹捨てられてるの見つけたときはびっくりしたよ」

梓「にゃにゃ?」

純「飼ってあげたいけど、私んち親が猫アレルギーだからね。今里親を探しながら世話してて」

梓「にゃにゃにゃ」

純「こうしてこっそり面倒見てるわけよ。子猫だから食欲旺盛で大変だわ」

梓「にゃっ!にゃっ!」

 ニャーニャーニャー

純「……梓、猫と会話してる」

梓「にゃー!!」

憂「……」

律「憂ちゃんどうだ?」

憂「かすかですが、シャドウの気配の感じます。あっちの方角です」

澪「今夜は早い時間に霧が出たな」

紬「霧が出る時間帯が段々早まってきてる気がするの。このままだと昼にも霧が出るかもしれないわ」

律「そうならないためにも、さっさとやっつけちまおう」

唯「りっちゃんの言う通りだよ!霧で覆われた町なんて見たくないよ」

憂「あっ!」

澪「どうした、憂ちゃん」

憂「シャドウの近くに人が……、おそらく二人います!」

律「いよいよ急いだほうがいいな」

紬「ええ」

唯「行くよ、みんな!」

 「「おーっ!!」」

梓「……はぁ、かわいかったな」

純「梓ってそんなに猫好きだったっけ?」

梓「んー、そうでもなかったんだけど、今日ので完全に猫派になった」

純「あはは、そうですか」

梓「ごめんね、遅くなっちゃって」

純「いいって。もとは私が誘ったんだし」

梓「うん。……あれ?」

純「どしたの?」

梓「霧が出てよく見えないけど、あそこに誰かいない?」

純「……うっすらと人型のシルエットが見えますな」

梓「ま、まさか……」

純「まさか、だよね?」

梓「……ちょっと近づいてみよっか」

純「やめたほーがいいって。このまま帰ろ?」

梓「でも、なんだかすごい気になっちゃって……」

梓「……これは」

純「あ、梓、待ってよ」 タタタッ

梓「……鏡?」

純「ほんとだ、梓が写ってるね。でもなんでこんな所に鏡があるんだろ」

梓「分からない」

純「にしてもおっきな鏡だよね。まるでもう1人梓がいるみたいだよ」

梓「……」

純「もうちょっとよく見てみよ」

梓「純!」

純「な、何よ、いきなり大きな声出して。びっくりするじゃん」

梓「それに近づかないで……」

純「え、だってただの鏡だよ?別にどうってことないでしょ」

梓「おかしいよ」

純「なにが?」

梓「鏡なら、純が写ってないとおかしい」

梓【ふ、ふふ……】

純「鏡の梓がしゃべった!?」

梓「……」

梓【……】

梓「あなた、誰」

梓【梓】

梓「梓は私」

純「ど、どうなってんの……」

澪「鈴木さん!」

唯「あずにゃん!!」

純「み、皆さん!」

律「おい、なんで梓が二人いんだよ」

憂「片方はシャドウです!」

澪「なんで梓とそっくりなんだ!?」

梓【あぁ、けいおん部の先輩方じゃないですかぁ。どうも】

唯「あずにゃん?」

梓【そーですよ。あなたの大好きなあずにゃんです。ウザイ唯先輩】

梓「……っ!」

梓【唯先輩ってほんとウザイんですよね、べたべたしてきて】

梓【律先輩も律先輩でだらしないし?練習もほとんどやらないダメ部】

律「梓、おまえ……」

梓「わ、私はそんなこと思ってない!!」

梓【だらしないから部員だって私が入部してから増えないじゃない。先輩が卒業したら廃部だよ】

梓「私が頑張って集める……廃部になんて……」

梓【はぁ……、なんで私こんな部活に入部しちゃったんだろ】

梓「や、やめて……」

梓【他の部活にしとけばよかったな】

梓「……あなたなんか私じゃない……あなたなんか私じゃない!!」

梓【ふ、ふふふ……あはははは……!!】

憂「シャドウの力が強まってる!」

澪「どーなってんだよ!あれは単なるシャドウの物真似じゃないのか!?」

紬「おそらく、あれは梓ちゃんの抑圧された心にシャドウが干渉したもの」

律「いうなれば、もう1人の梓ってわけか?」

唯「わわ、なんだかまずい雰囲気だよ!?」

紬「自分自身に否定されたことで、力が暴走する……!」

澪「来るぞ!!」

 【ニャアアアアアアー!】


純「どどど、どーなってんですかー!?」

梓「……」 バタリ

唯「あずにゃん!?」

律「唯、憂ちゃん!梓と鈴木さんを安全なところへ!」

唯「がってん!」

憂「分かりました。純ちゃんこっちにきて!」

純「う、うん」

律「残りは戦闘準備だ!」

澪「ああ!」

紬「任せておいて!」


 【ウニャウニャー】

律「しかし、ほんとに梓らしいシャドウだな。ちょっとかわいくて油断しちゃう」

 【シャー!!】

紬「危ない!!」 ガキン!

律「いきなりかよ!てか尻尾が三本もあるなんて、まんま化け猫だな」

紬「りっちゃん、見た目に惑わされないで。これはシャドウなのよ」

律「すまん、ムギ。助かったぜ」

澪「私から行く!コノハナサクヤ!!」

サクヤ「……!!」 カッ!!

 【アチュイニャー!!】

紬「炎でひるんだ!」

律「総攻撃のチャンス!?」

 【ニャアーーーーー!!】

律「うわっ!」

澪「馬鹿!調子に乗るな!!」

 【ニャアー】

律「くっそー、あの尻尾が厄介だな」

唯「お待たせ!二人とも安全な場所に避難させたよ」

澪「憂ちゃんは?」

唯「二人を見ててもらってる。あれがあずにゃんの……」

 【ニャア?】

唯「……か、かわいい」

澪「それはもういい!」

律「んでどーすんだ、何か案は?」

紬「私にいい考えがあるわ」

 【フニャア】 

紬「アヌビス!やっちゃいなさい!!」

アヌビス「……!!」 ゴォオオオ!

唯「わっ!すごい風!!」

 【ニャニャニャニャニャ!?】

律「ふらついてるな」

澪「……あ、ひっくり返った」

【ニャー!!】 ジタバタ

律「今度こそ!」

澪「総攻撃のチャンス!!」

唯「イーちゃん!!」 カッ!

 【ギニャー!!】

【ニャァ……】 シュウー

紬「影が消えていく……」

律「やっつけたみたいだな」

唯「あ!あれを見て!!」

梓【……】

澪「また梓の姿に?ど、どういうことだ……」

紬「なんだか、とても悲しそうな顔をしているわね」

梓「……」

唯「あずにゃん!?どうしてここに」

憂「梓ちゃんが、どうしてもってきかなくて」

梓【……】

梓「……」 ヨロヨロ

唯「近づいたら危ないよ、あずにゃん!」

律「待て、唯。あのシャドウはもう敵意はないみたいだ」

梓「……最初は、どうしてこんな部活入っちゃったんだろうって思った」

梓【……】

梓「だけど、けいおん部で過ごす時間はとっても楽しくて、とっても充実してた」

梓「だから、先輩が卒業していなくなっちゃうのが余計につらかった」

唯「あずにゃん……」

梓「あなたはたしかに私。もう、否定しない」

梓【私はあなた……?】

梓「認めてあげられなくて、ごめんね」

梓【ううん、もういいよ】  スー

律「もう1人の梓が、消えていく……」

梓「……」 バタリ

澪「梓!」

憂「……気を失ってるだけみたいです」

唯「よかったー」

律「一件落着、なのか」

紬「今日のところは、そうみたいね」

澪「なら梓を送り届けて、私たちも帰ろう」

唯「私もそれにサンセー!きっとあずにゃんも疲れてるんだよ」

律「話はまた学校でな」

澪「ああ、今日はゆっくり休もう」

紬「そうね」

憂「それじゃあ梓ちゃんは私が……」

唯「みんなで送ろうよ!」

律「そのほうがいいだろ」

憂「分かりました」

澪「じゃあ帰るぞ」

唯「あいあいさー!」

憂(何か忘れているような……)

唯「うーいー?早くこないと置いて行っちゃうぞー?」

憂「純ちゃん!!」






純「へっくしっ!!」


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