ペルソナッ!!


 「……」


?「なぁ、こいつどうする?」

?「まだ使えそうだし、捨てるの勿体なくね?」

?「だな」

?「じゃあもうちっと使うか」

?「サンセー」

?「ひひひ」


……

唯「ふぁー……」

憂「ふふ、お姉ちゃんすごい欠伸」

唯「えへへ」

憂「授業中寝ちゃだめだよ?」

唯「分かってるよー」

律「よー、平沢姉妹」

澪「二人とも、お早う」

憂「お早うございます」

唯「りっちゃん、澪ちゃんおはよー」

梓「お早うございます。こうして皆さんが揃うのは久しぶりですね」

唯「あっずにゃ~ん!」 スリスリ

梓「ん!あ、朝からそーゆーことするのダメです!!」

梓「それにしても唯先輩、さっき大きな欠伸してましたけど」

唯「見てたの?恥ずかしーなー」 スリスリ

梓「す、スリスリしちゃダメって言ってるじゃないですか!」

律「すりすり~」

梓「律先輩もダメです!!」

憂「ふふふ」

澪「こら、いい加減にしないか律」 ポカ

律「いてぇ!暴力はよくないぞ、澪~」

澪「おまえが悪い」

律「ついカッっとなってやった、後悔はしていない」

梓「……はぁ。ところで、唯先輩はなんでそんなに眠そうなんですか?」

唯「えへへ、実は昨日ギー太が寝かせてくれなくてさぁ」

梓「……寝かせて」

律「お、梓がいやらしいこと考えてるぞー」

梓「かか、考えてませんよ!?」

律「焦るところがまた怪しいな」

唯「あずにゃんえっち……」

憂「梓ちゃんたら」

梓「う、憂まで!?」

律「スケベ梓ー!」

唯「えっちなあずにゃんここまでおいでー!」

梓「むきー!!」

憂「ふふ、行っちゃいましたね」

澪「あの二人にも困ったものだ」

憂「でもとっても楽しそうでした」

澪「今年で受験生なんだから、その自覚をそろそろ持って欲しいんだけどな」

憂「大丈夫ですよ!お姉ちゃんやるときはやっちゃう子です!!」

澪「……」

憂「皆さんが大学生になっても……、こんな日が続くといいですね」

澪「憂ちゃん?」

憂「私たちもお姉ちゃんたちを追いかけましょう!」

澪「あ、ああ」


がっこう

唯「ふぁ……」

紬「ふふ、唯ちゃんの欠伸とってもキュート」

唯「あ、ムギちゃんおはよう!」

澪「お早う、ムギ。唯は授業中寝ないよう気をつけろよ」

唯「えへへ、憂にも同じこと言われたよ」

律「そうだぞー、私を見習って真面目に授業受けないとな!」

唯「……」

律「何か言えよ!!てかツッコめよ!!」

澪「今日は心なしかクラスが騒がしいな。何かあったのか?」

紬「……」

澪「ムギ、知らないか?」

紬「うーん、分からないわ」

律「気のせいじゃねーか?」

澪「そうかな……」

さわ子「はーい、みんな席ついてー」

唯「あ、さわちゃんきたよ!」

律「澪、席に戻ろうぜ」

澪「そうだな」

紬「じゃあ、また後でね」

唯「うん!」



さわ子「……はい、点呼おしまいっと。それから、皆さんに大事なお話があります」

律「ついに彼氏ができたんですかー?」

さわ子「り……田井中さん、後で体育倉庫に来るように」

律「職員室じゃないのかよ!?」

さわ子「コホン……、それで大事な話なんだけど、今朝のニュースで知っている人も大勢いると思います」

唯「……zzz」

律(あー、今日はニュース見てなかったな)

澪(もしかして朝騒がしかったのはそのせいなのか)

紬(……)

さわ子「この近くで殺人事件がありました」


ほうかご ぶしつ

律「事件のせいでしばらく部活動は禁止だってよ」

唯「これじゃ練習できないね」

律「でもケーキは食べような」

唯「……えへ」

梓「えへ、じゃありません。こうして残るのだってほんとはいけないんですよ」

唯「つ、つっこまれちゃったよ、りっちゃん」

律「梓は先輩だろうと容赦しないからな」

梓「今日だって午前中で授業は終わりなんです。もしさわ子先生に見つかりでもしたら……」

さわ子「……あなたたち」

澪「ひっ!?」

さわ子「もぉ、あれほど今日は早く帰りなさいって言ったのに」

律「ケーキ食べながら言っても説得力ないぜ」

さわ子「……」 キッ

律「なんでもございません」

唯「でもでも、帰るまでお腹空いちゃうし」

律「ムギが持ってきてくれたケーキを無駄にするのもなんだし?」

さわ子「そうね……。私の分も持ってきてくれわけだし」

紬「ふふ♪」

澪「じゃあ今日はケーキを食べて早めに解散しよう」

梓「そうですね。練習ができないのは残念ですが、仕方ありません」

さわ子「ほんと、今日だけだからね?」

唯「はーい」

さわ子「それにしても、ひどい事件よね」

律「今朝ニュース見てないから、どんな事件か知らないんだよなー」

唯「私も私も」

澪「唯はいつもニュース見ないだろ」

梓「そうですね」

唯「ひどい!」

紬「たしか電信柱に被害者が突き刺さってたんでしたよね」

さわ子「ええ、それも三人まとめてね」

律「……すげぇな」

梓「異常としか言えません」

さわ子「大の男が三人まとめてやられて、三人まとめて電信柱に突き刺されるなんて、狂ってるわ」

紬「一部ではなんとか三兄弟って騒がれてるけど」

唯「なんとか?」

紬「えっと、たしか昔流行った曲だったと思うんだけど」

律「あー、あったな、そんなの」

梓「うーん、私は記憶にないです」

唯「私も分からないよー。何三兄弟なの?」

紬「ごめんなさい、私もド忘れしちゃって……」

さわ子「とにかく!今日はケーキ食べたら早く帰りなさい」

律「分かってるって。部長の私が、責任を持って帰宅させるぜ!」

さわ子「それが一番心配なの」

律「とらすとみー」

紬「……そういえば澪ちゃんは?」

唯「部屋の隅でガタガタ震えてるよ」

紬「最近夜は物騒だってうちの使用人が言ってたけど、まさかこんな事件が起こるなんてね」

律(……使用人がいるんだ)

唯「たしかに夜はなんだかいや~な感じだね」

律「最近になって変な霧が出始めたからな、そのせいで余計にだ」

梓「あ、私も思いました。夜の0時頃から時折霧が出るんですよね」

紬「使用人たちの話によるとね、霧の中を歩いてると、お化けが出るんですって」

さわ子「……その話は初めて聞くわね」

唯「も、もしかしたら、事件の犯人はそのお化けなんじゃ」

律「んなわけないだろー、お化けなんていないって!……う、噂話だよな?」

紬「私も聞いた話だから、なんとも言えないわ」

梓「夜遅くに出歩かないほうがいいってことですね」

律「そうだな」

唯「憂にも言っておかないと」

紬「それじゃあ、そろそろ帰りましょう」

さわ子「みんな、気をつけて帰るのよ。なんだったら私が車で」

律「大丈夫だって。まだ昼だぜ?さすがにこんな時間からは出ないだろ」

唯「もしものときはりっちゃんが身体をはってくれるんだよね」

律「そういう役は唯だろ」

唯「えぇ!?」


わたしんち

唯「たっだいまー」

憂「あ、お姉ちゃんお帰り。遅いから心配したよ」

唯「えへへ、ごめんね憂」

憂「お昼できてるよ。一緒に食べよう?」

唯「うん!今日は何かなー」

憂「今日のお昼はうどんでーす」

唯「わー♪」

唯「ご馳走様でしたー。すっごくおいしかったよ」

憂「ふふ、ありがとう」

唯「満腹満腹~」 ゴロン

憂「食べてすぐ寝ると牛さんになっちゃうよ?」

唯「ならないよー」

憂「お姉ちゃん、午後は何か予定あるの?」

唯「んー、とくにないかなぁ」

憂「事件のことは知ってるよね?」

唯「うん、今朝さわちゃんから聞いたよ。怖いよね」

憂「だからね、外出はなるべく控えたほうがいいと思うんだ」

唯「そだね、とくに夜は……あっ!」

憂「どうしたの?」

唯「ムギちゃんから聞いたんだけど、霧が出てる晩に出歩くと、お化けに会うんだって」

憂「お化け?」

唯「うん」

憂「それって、黒い液体みたいなやつかな?」

唯「うーん、そこまでは分からないよ」

憂「……そう」

唯「だからね、憂も出歩いちゃだめなんだよ!」

憂「うん、気をつけるね。心配してくれてありがとう、お姉ちゃん」

唯「かわいい妹のためだからね!」


よるおそく

唯「……ない」

唯「消しゴムが……、ない!」

唯(どうしよう、これじゃ宿題ができないよ)

唯(憂に借りれば……。でも、それだと明日学校で困るし……)

唯(コンビニまでは歩いて10分ぐらいだけど……うーん)

唯「今は、23時半……。霧が出てなかったら買いに行こうかな」

唯「どれどれ……」

唯(うん、大丈夫みたい。ぱっと行ってぱっと帰ってくれば平気だよね……)

唯「いってきまーす」


こんびに

唯「……ぷっ」

唯「ふふ!」

 『ポーン!りそね銀行が午前0時をお伝えします』

唯「……っ!」

唯(今週号のジャソプを立ち読みしてたら、いつの間にか0時になっちゃった)

唯「し、しかも霧がが出てる」

唯(どうしよう……)

 ブブブブブブ

唯「……!?」

唯(け、携帯電話かぁ。びっくりしたよ)

唯(憂から……。勝手に出歩いたこと怒られるよね)

唯「も、もしもし?」

憂『おねーちゃーん』

唯「ごご、ごめんなさい!ついカッとなって!!」

憂『夜に出歩いちゃだめって言ったじゃない』

唯「ごめんね、あの、消しゴムが無くて、えへへ」

憂『それなら私が貸してあげたのに。じゃあ今はコンビニにいるの?』

唯「うん。早く帰ってこようと思ったんだけど、ジャソプが面白くて長居しちゃった」

憂『もう……。じゃあ私が迎えに行くから、お姉ちゃんはコンビニで待っててね』

唯「だ、大丈夫だよ!走って帰れば5分ぐらいだし、それに憂だって危ないよ」

憂『私は平気。今から迎えに行くから、コンビニで待ってなくちゃダメだよ?』

唯「でも……」

憂『本当に危ないの!だから待っててね!!』

憂「お姉ちゃん?」

唯「あ、憂」

憂「良かった、ちゃんとコンビニで待ってたんだね」

唯「これ以上憂に心配かけたくなかったからね。それと、今日はごめんなさい」

憂「ううん、もういいよ。さ、急いで帰ろう」

唯「そうだね、帰って早く寝よう!」

憂「……宿題あるんじゃないの?」

唯「やりたくないよー」

憂「それは自分で頑張らないとだめだよ」

唯「……はい」


かえりみち

唯「それでね!その話がすごく面白くて!!」

憂「そんなに面白いの?」

唯「うん、そんなにだよ!とくに『1、2の3で消えますから』って歌が傑作なんだよ!」

憂「そうなんだ。でもお姉ちゃん、立ち読みばっかりしてちゃだめだよ?ちゃんと買わないと」

唯「う、うん、そうだね。今度は買って、憂と一緒に見る」

憂「私と?」

唯「二人で仲良く読むんだよ」

憂「ふふ、楽しそう」

唯「でしょー?」

憂「……」

唯「憂?」

唯「どうしたの憂?」

憂「お姉ちゃん、私の後ろに隠れて」 グイッ

唯「う、憂!?」

憂「……来るよ」

唯「来るって、何が……」

 ガガ……ギギ゙……

唯「な……何、あの黒い塊……」

憂「お化けの正体だよ」

唯「あれが……」

憂(まったく気配を感じなかった……。気配を消せるタイプもいるってことなの?)

唯「に、逃げないと。逃げようよ、憂!」

憂「たぶん、追いつかれちゃうよ」

唯「そんな……」

憂「大丈夫だよ。お姉ちゃんは、私が守る……!」

憂「来て、ヒミコッ!!」


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最終更新:2011年02月24日 22:14