使い捨てられた人工衛星、シャトルが切り離したタンク、ステーション建造時にでた廃棄物。
 これらは宇宙のゴミ、スペースデブリは秒速8km近い速度で地球の周りを回っています。
 そんなデブリは宇宙船とぶつかれば大きな事故につながりかねません。そこで人々はデブリを回収する必要に迫られました。
 2075年、これは宇宙のゴミが問題になった時代の物語。


――宇宙ステーション ISPV-7 通路!

純「っはは、梓張り切り過ぎ」

梓「もう、わかってるなら言ってよ!」

純「ちゃんと管制課って書いてあったじゃん」

梓「うぅ……」

純「ま、そんなに緊張しなくても大丈夫でしょ、なんてったって梓の配属先は……」

梓「(はぁ、入社初日からついてないな。こんなはずじゃないのに……気合い入れなきゃ、 カムバックあたし!っ!)」

純「ってどうしたの? 握りこぶしなんかつくって」

梓「べっ、別に……(ふぅ、いけないいけない)」

純「ほら、このエレベーターだよ、今度は間違えないようにね」

梓「もうっ、子供じゃないんだから」

純「じゃあ私はこっちだから、またね、梓」テクテク

梓「うん、純も、乗務員がんばってね」

 ――デブリ課!

梓「っと、うん! ここで間違いないよね! ……ふぅ、よし!」

 ウィーン

梓「失礼しますっ! このた……っ!?」

 ギターの爆音! 中の一人が梓に気づく。

??「あっ! おい、皆! ちょっとストップ!」

 ウィーン(ドアが閉まる)

??『早く片付けろ!』

 ワーワーガヤガヤ

梓「(……えっと、あれ? ここで、合ってるよ……ね?)」

 ウィーン

梓「あ、あのー……」

??「「ようこそ、けいおんぶへ!」」

??「って、違うだろ!」ポカッ

??「ぁいて! なんであたしだけ……」

梓「……」

澪「ようこそ、デブリ課へ、私はここで船外活動員をしている秋山澪。よろしくな」

律「あ、ズルいぞ澪ばっか! 船長のあたしを差し置いて!」

澪「こいつは田井中律、それであっちが……」

唯「平沢唯です!」フンス

梓「……あっ、えっと新入社員の中野梓です! 今日からここでお世話になることになりました、よろしくお願いします」ペコ

律「話はさわちゃんから聞いてるよっ、ささ、入った入った」

梓「し、失礼します」

唯「どうぞどうぞ~」

梓「(ここが、デブリ課、なんだよね? なんか想像してたのとちがう)」

唯「えへへ」ニコニコ

律「唯は嬉しいんだよなぁー、初めての後輩ができてさ」

唯「はりきってギターの練習しました!」フンス

梓「(そういえばさっきのって……)」

澪「はい、お茶」コトッ

梓「あっ、ありがとうございます」

澪「さっきは驚かせちゃってごめんな、実は新しい子がくるってことで歓迎会の練習をしてたんだ」

梓「はぁ」

唯「あー! 澪ちゃんそれはナイショだよ~! サプライズなんだよ~!」

律「って、もうバレてたと思うけどな」タハハ

 ウィーン

唯「あ、さわちゃ~ん」

さわこ「……」キョロキョロ ダッ!

梓「えっ?」ガシッ

さわこ「……やっぱり私の目に狂いはなかったわ」ハァハァ

梓「え? えっ、あの……」

さわこ「かっわいいわぁ~!」ギュッ

梓「にゃっ! ちょ、ちょっとなんなんですか!? 放してください!」

唯「さわちゃんばっかズルい~、わたしもわたしも~」ギュ

律「あたしも混ぜろ~!」ダキッ

澪「はぁ……」

 ――――

さわこ「というわけで、私はデブリ課課長の山中さわ子、よろしくね、中野さん」

梓「はぁ、よろしくお願いします」

さわこ「もう皆の紹介は済んでるかしら、じゃあ中野さん、早速だけど資材課でEVAスーツを合わせてきなさい。唯ちゃん、連れてってあげて」

唯「了解しました!」フンス

さわこ「それから、中野さんは唯ちゃんとコンビを組んでもらうことにするから、中野さん、わからないことがあったらなんでも唯ちゃんに聞いてね? 唯ちゃん、先輩らしくちゃんと面倒みてあげてね」

澪律「「(丸投げしたーっ)!」」

唯「! (先輩らしく……せんぱいらしく……!)」ニヘラ

梓「よろしくお願いします、唯先輩!」ペコリ

唯「よろしくね! 梓ちゃんっ!」ニギニギ


 ――トイボックス!

梓「DS-12……これで、宇宙に出るんだ」

唯「そうだよ~、トイ太はすごいんだよ~」

梓「(といた?)でもこれ、なんだかすごく……」

澪「まぁ、この船はもう三十年以上も飛んでるからなぁ、見た目は気にしないでくれ」

梓「そ、そんなに古いんですか!? 道理で……(大丈夫なのかな)」

唯「む! 大丈夫だよ~! トイ太はまだまだ現役だもんねぇ~」バキッ

梓「ちょっ!」

澪「あぁまたか、唯、帰ってきたらちゃんとくっつけとくんだぞ?」

唯「ほーい」ポイ

梓「(……ちゃんと生きて帰って来れるよね?)」

律『おーい、準備できたかぁ? 出るぞー』

 ――宇宙!

律『今日の任務は衛星軌道上にあるデブリの回収、ま、デブリ課の一般的な仕事だ、唯、中野は初めての船外活動だからな、しっかりサポートしてやれよ、ゆーこぴ?』

唯「あいこぴ! いくよ、梓ちゃん!」フンス

梓「は、はい!」ドキドキ

 フィッシュボーン(二人乗りの回収船、トイボックスに搭載されてる)に 乗って宇宙に出る二人!

梓「(……研修でさんざん訓練したけど、想像以上に恐いっ!)」

唯「~♪」

梓「(ロープはちゃんと繋がってるよね)」グイッ

唯「お、みえてきたよ~」

梓「(い、息が苦しい、酸素の減りが早い? 呼吸数きをつけなきゃ)」ハァハァ

唯「到着ぅ! じゃあはじめよっか、梓ちゃん」

梓「は、はい! やってやるです!」

 ――トイボックス船内!

律「中野のやつ、だいぶテンパってるなぁ、大丈夫かぁ?」

澪「まぁ、唯がついてるから大丈夫だろ、あぁみえてもあいつは……」

梓『キャァアアアアア!』

 ――宇宙!

梓「わっ、わっ、お、落ちる! 溺れる! たすけて!」グルグル

唯「む! わたしも負けないよ~」グルグル

梓「っ! (先輩も回って……! って突っ込んでる余裕ない!)」グルグル

澪『梓、落ち着け! 唯も、遊んでないで梓を助けろ!』

唯「ちぇ~、はーい」クルン

梓「」グルグル

 ――デブリ課

梓「……」

澪「梓のやつ、大丈夫かな」

律「初めての宇宙であれだけ溺れればなぁ、ゆーいーお前がしっかりみててやらなきゃダメだろー?」

唯「てっきり遊んでるのかと思いまして」テヘヘ

律「ま、けが人がでなくてよかったな、なぁ? 澪」

澪「ひっ!」ガタガタ

唯「ねぇねぇ、それよりさぁ~歓迎ライブを……」チラチラ

澪「そんな雰囲気じゃないだろ……肝心の梓があれじゃあ」チラッ

梓「はぁ……」ズーン

唯「えぇー、せっかく練習したのにぃ~、久しぶりのライブなのにぃ~」

律「お前自分がやりたいだけだろ」

唯「でもでも、りっちゃんだってやりたいでしょ? 歓迎ライブ」

律「そりゃあまーなぁ」

唯「うん! じゃあわたし行ってくるよ! りっちゃん船長!」

律「よぉーし、唯隊員、中野を回収してこい!」

唯「あいこぴー!」タタタッ

澪「おい!」

唯「あーずさちゃん」

梓「……はい、なんですか、唯先輩」

唯「えっとですねぇ、そのぉ、梓ちゃんの初仕事も無事に……

梓「!」

 終わったことですしぃ、その、歓迎ライブの方を開催しようかと……」

梓「……じゃないです」

唯「思うのですが、って、え?」

梓「全然無事じゃないです!」ガタッ

澪律「「!」」

梓「初めての宇宙で、溺れかけて……しんじゃうかもしれなかった! 全然無事なんかじゃないです! それなのに歓迎会なんて……そんなの、そんな気分になれるわけ……」

みんな「「「……」」」

梓「すみません。今日は失礼します」タタタッ

律「あちゃー、だからやめとけっていったのに」

澪「ふん!」ポカッ

律「ぁいてー!」

唯「……」

 ――訓練室

 無重力空間で推進剤を使って宇宙遊泳の練習をする梓!

梓「うわぁ!」グルグル

梓「はぁ(全然駄目だなぁわたし。まだ始まったばかりなのに、失敗ばっかり。先輩たちには八つ当たりしちゃったし、明日、行きにくいなぁ)」プシュー

梓「(でも、先輩も先輩だよ。全然真面目に仕事してないみたいだし、わたし、ホントにしにそうだったのに、助けてくれないし) はぁ」プシュー

澪「へぇー、なんだ、ちゃんとできるじゃないか」

梓「えっ、あっ、澪先輩!?」グルグル

 ――――

梓「わたし、宇宙飛行士ってもっとこう、真面目な人たちだと思ってたんです」

澪「真面目、か」

梓「はい、宇宙ではただでさえ生活も行動も制限されますし。飛行士になるにはさらにいくつもの厳しい試験をクリアしなきゃいけません。だから、そういう色々なことを乗り越えてきた宇宙飛行士って、もっとすごい人たちなんだって思ってました」

澪「ってことは、梓もすごい人ってことになるな」

梓「あっ、いえ……わたしは、わたしは、ただ……」

 ――回想!

梓父『すごいぞ梓、さすがは私の子供だ』

梓母『あなたは私たちの夢なのよ』

梓父『どうしてこれくらいのことができない! お前には音楽家の血がな荒れているんだ! 出来ないはずがないんだ! お前は私たちの……』

梓母『この音楽大学はお母さんたちの母校なのよ、試験は難しいけど、あなたなら出来るわ。だってあなたは私たちの……』

梓父母『『娘なんだから』』

 ――現在!

澪「梓?」

梓「わたしはただ、遠くに行きたかったんです。生まれた街から、国から、地球から、離れればちょっとは自由になれるかなって、思って……」

澪「……」

梓「あっ! でも全然ダメダメで、だから、わたしもすごい人なんかじゃないです」ヘヘヘ

澪「すごいじゃないか」

梓「え?」

澪「自由になりたいって思って、その一心でなったんだろ、宇宙飛行士に。私はすごいと思うよ、梓のこと」

梓「あ、えっと……///」

澪「けどさ、それってみんな同じだと思うんだ。宇宙飛行士になる為にはそれは大変な努力をしなければならない。
じゃあなんでそんな大変なことをわざわざするのかって言ったら、やっぱりみんなそれぞれ心に秘めた想いがあるからだって、私は思うんだ。梓が、自由になりたいって思ったようにね」

梓「……(秘めた想い、か。あるのかな、澪先輩や唯先輩にも、わたしみたいな……)」

澪「って、ごめんな、長々と話しちゃって」

梓「いえ! こちらこそ、こんなにグチグチと……」グゥー

澪「っはは、夕飯まだなんだろ? 一緒に食べにいかないか、おごるからさ」

梓「/// ……はい」

 ――食堂!

唯「あ! きたきた! 澪ちゃんこっち~」

梓「唯先輩! に、律先輩……」

律「もう待ちくたびれたぜ~。腹ぺこでしぬ~」グデン

梓「ちょ、澪先輩!」ギュ

澪「ごめんな、騙すみたいなやり方して。でも、あのままじゃ、梓明日来にくいだろ? ここで仲直りしといたほうがいいと思って」ウインク

梓「うぅ……もうっ」

唯「あ~ずにゃん!」ダキッ

梓「にゃっ! な、なんですか唯先輩、放してください! それにあ、あずにゃんって、なんなんですか!」

唯「えぇ~、あずにゃんはあずにゃんだよ~」スリスリ

律「ほい」ネコミミソウチャク

唯「うんうん、すごく似合ってるよ~、あずにゃんにゃん」スリスリ

梓「って、こんなものどこから持ってきたんですか!///」

 柱の影からのぞいてるさわ子、親指を立てる! ビシッ

梓「ぅぅぅ~……やっぱりこんなんじゃダメですーーー!」

 あははははー


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