唯「すー……すー……」

梓「可愛い……可愛いよ、唯先輩……」

梓「毎日のように顔見てるから気付かなかったけど……」

梓「唯先輩の寝顔がこんなに可愛かったなんて……」

唯「んー……にゃ……」

梓「寝言かな……どんな夢見ているんだろう」

唯「あず……にゃん……」

梓「えっ!?」

唯「すぴー……」

梓「……なんだ、寝言か」

梓「でも、私の名前を言ったってことは……」

梓「私の夢を見てる……ってことだよね?」

梓「それとも……私のことが好きで、無意識に……」

梓「あはは、そんなわけないか」

唯「んー……むにゃむにゃ」

梓「……ねえ、唯先輩」

梓「唯先輩は、私のこと……どう思ってるんですか?」

梓「私、とっても辛いんですよ」

梓「唯先輩のことが、好きすぎて……」

梓「好きで好きでたまらなくて……毎日大変なんですから」

唯「……」

梓「あなたが抱きついてくるたびに、私がどれだけ苦労していることか」

梓「上辺では離して下さいなんて言ってますけど……本当は違うんです」

梓「知ってましたか、唯先輩」

梓「私、唯先輩を力ずくで拒否したこと……今までに一度もないんですよ」

梓「いつも歯に衣着せない言い方ばかりしてるのは……愛情の裏返しなんです」

唯「すー……すぴー……」

梓「……なんて、今言っても届くわけないよね」

唯「んー……えへへ……」

梓「人の気も知らずに……幸せそうな顔して寝ちゃって」

唯「だめだよ……あず、にゃん……」

梓「!」ドキッ

唯「すー……」

梓「び、びっくりした……」

梓「いくら寝言とはいえ、今のは反則だよ……」

梓「でも……今の顔、すごく可愛かった……」

唯「すー……」

梓「もう……あなたはどうしてそんなに可愛いんですか」

梓「そんな無防備に寝ている姿見せられたら……」

梓「キ、キスしたくなっちゃうじゃないですか……」

唯「……」

梓(キスとか唯先輩の前で言っちゃった!恥ずかしい……)

梓「唯先輩、起きないと……」

梓「キ、キス……しちゃいますよ」

唯「すー……」

梓「ほ、本当にしちゃっていいんですね」

唯「すぴー……」

梓「ほんとのほんとに、キスしちゃいますよ?」

唯「むにゃ……あず、にゃ……」

梓「!」

梓(ダメ……こんな可愛い寝顔で名前なんて呼ばれたら……)

梓(我慢なんて、できるわけないよ……)

唯「すー……」

梓「唯先輩……唯先輩……」スッ

唯「……」

梓(ああ……唯先輩の顔がこんな近くに……)

梓(改めて間近で見ると……本当に可愛らしい)

梓(肌はもちもちしているし、鼻も小さく整っているし、睫毛だって長いし……)

梓(それに……柔らかそうな唇……)ゴクッ

梓(いいですか唯先輩……私、しちゃってもいいですか……)

梓(キス、しちゃいますよ……唯先輩……)

唯「……」

梓(ヤバい……あと5センチもないよ……)

梓(唯先輩の顔が、視界いっぱいに……)ドキドキ

梓(あと4センチ……)

梓(3センチ……2センチ……)

唯「すー……」

梓「っ……!」

梓(ゆ、唯先輩の吐息が……私の口の中に……!)

梓(もうダメ……体中が熱くて、おかしくなりそう……)

梓(だんだん体勢が苦しくなってきたかも……ちょっとここに手をついて……)

梓(ああ……もう1センチ無いだろうか……いつ触れてもおかしくないよ……)

梓(こ、こういう時って目は閉じた方がいいよね)

梓(いよいよキス……大好きな、唯先輩と……)

梓(私、初めてなんですよ……唯先輩)

梓(唯先輩も初めてかな? そうだといいな……)

梓(でも、もし初めてだったら……)

梓(私がこんな形で……ファーストキスを奪っちゃうことになるよね)

梓(たとえ、唯先輩がこのことを今後知らなかったとしても……)

梓(私がそれをずっと……後悔して生きていくことになるんじゃないだろうか)

梓(どうしよう……もう腕がしびれてきた……)

ガタッ

梓(え?)

チュッ

梓「!?」

梓(え……どうして……)

梓(私、唯先輩とキスしてる……)

梓(唯先輩……もしかして、起きてたの……?)

梓(ダメ……唇の感触が気持ち良すぎて、何も考えられない……)

梓「んっ……ゆいせんぱ……い……」

唯「んん……あず、にゃん……」

梓(あ……唯先輩、目開いてる……)

梓(今度は寝言じゃ、ないんですね……)

梓(大好きです……ゆいせんぱい……)

唯「んっ……ふむっ……」

梓「んっ、んんっ……せんぱい……」

唯「んちゅ……はぁ、はぁ」

梓「はぁ、はぁ……」

唯「……もう、あずにゃんのバカ」

梓「はぁ……えっ……?」

唯「どうして……私が寝ているときにキスしようとしたの」

梓「やっぱり……起きていたんですね」

唯「……うん」

梓「いつから……ですか」

唯「あずにゃんが、顔を近づけてきたときからかな……」


唯「それで……どうしてキスしようとしたの」


梓「そ、それは……」

梓(どうしよう……唯先輩、怒ってる)

梓(そりゃそうだよね……寝ているときにキスなんて心外に決まってる)

梓(しかもただのキスじゃない……ファーストキスだもの)

梓(そりゃ、いくら優しい唯先輩だって怒るよ……)

梓「あの……ごめんなさい」

唯「あずにゃん……私は、どうしてキスしようとしたか理由を聞いているんだよ」

梓「うっ……」

梓(もう……正直に言うしかない)

梓「ゆ、唯先輩」

唯「ん?」

梓「……怒らないで聞いてもらえますか?」

唯「うん、分かった」

梓「私、実は……唯先輩のこと、好きなんです」

梓「先輩として好きとか、同じ部活仲間として好きとかそんなんじゃなくて……」

梓「……恋人になりたいっていう好きなんです」

唯「……」

梓「好きで好きでたまらなくて……いつも想像していたんです」

梓「手を繋いでデートすることとか、夜景を見ながらキスすることとか……」

梓「毎日毎日、妄想ばかりが膨らんじゃって……」

梓「それで、今日部室に来てみたら唯先輩が寝ていて……」

梓「寝顔とか見ているうちに、だんだん我慢できなくなって……それで」

唯「……そっか」

梓(全部言っちゃった……)

梓(嫌われちゃったかな、私……)

唯「……直接、言ってくれれば良かったのに」ボソッ

梓「え……何ですか?」

唯「だからね……寝ているときなんかじゃなくてさ」

唯「起きているときに、ちゃんと告白してくれたら良かったんだよ」

梓「そ、そうですよね……すみませ……ん?」

梓(それって、唯先輩……)


ギュッ

梓「あっ……」

唯「私だって……あずにゃんのこと、好きだったんだから」

梓「!」

梓(唯先輩が、私のことを……好き……?)

唯「まさかこんな形であずにゃんの気持ちを知るとは思わなかったけどね……えへへ」

梓「ほ、本当ですか……?」

唯「うん……好きだよ、あずにゃん」

梓「じゃあ、怒ってないんですか……?」

唯「全然、怒ってなんかないよぉ」

梓(嘘みたい……相思相愛だったなんて……)

唯「まあ、本当に私が寝ているときにキスされたら怒ってたけどね」

梓「キスしようとしたことは……本当にすみません」

唯「もう気にしてないって。結果オーライだよ、あずにゃん」

梓「そうですね……」

唯「えへへ、これで私たち恋人だね!」

梓「なんだか、夢みたいです……実感がないというか」

唯「夢じゃないよ、だってほら」

梓「あっ……」

チュッ

梓「……はぁ、はぁ」

唯「……ね、夢じゃないでしょ?」

梓「はい……でも、急にするなんてずるいです」

唯「えー、あずにゃんには言われたくないよ」

梓「そうでしたね……」

唯「んもぉ、冗談だって」

唯「これからは、今まで以上にぎゅうってできるね」

梓「皆さんの前ではほどほどにお願いします」

唯「恋人なんだからいいじゃーん♪」

梓「にゃあっ……もう……」

梓(やっぱり、いつもの唯先輩の方が可愛いよね)


おしまい!



戻る
2 ※小ネタ