―――朝、教室―――



澪「うーん……」ウデクミ


チョコドッサリ


律「毎度のことながら」


紬「澪ちゃんのバレンタインチョコ、いっぱいね」


律「しかも全部手紙やらメッセージ付き。学校のアイドルってのは大変だな」


澪「他人事みたいに言わないでよ……こんなに食べきれないし、何より」


律「太っちゃうもんな♪」プププ


澪「」ゴチン


律「おぶぅっ!」


紬「どうするの、澪ちゃん?流石に捨てちゃうのは可哀想だし……」


澪「うん、くれた人達には申し訳ないけど……部活のときに皆に分けるよ。でも、手紙やメッセージはちゃんと読む」


唯「……」ジーッ


澪(……唯?)チラッ


唯「」プイッ


姫子「おはよ、皆」


律「お、姫。おっす」


紬「おはよう、姫ちゃん」


澪「あぁ、おはよう」


姫子「うっわ、すごいね澪!全部ファンクラブの人達の?」


澪「うん、そうなんだよ……あの、姫」


姫子「ん、なに?」


澪「唯にさ、『お昼ご飯食べた後部室に来て』って伝えてくれる?」


姫子「んー……」チラリ


唯「……」ムスー


姫子「なるほど、分かった。任せといて」グッ


澪「ありがと」


姫子「いーっていーって。あ、そうだ!はい、皆に友チョコ!」


律「おー、さんきゅ姫ー!」


紬「ありがとう!私、友チョコもらうの夢だったの!」キラキラ


姫子「澪は……いる?」


澪「あはは、気持ちだけでももらっておくよ」


姫子「このチョコの量じゃしょうがないよ。じゃ、気持ちだけー」ナデナデ


澪「ちょ、撫でるなよぉ!」


姫子「まぁまぁ♪」


唯「……」ムスーッ



―――


――




―――お昼休み、部室―――



澪(唯、いるかな?)ガチャ


唯「……」ソファーニチョコン


澪「あ、よかった。唯来てくれたんだ」ホッ


唯「……なぁに、大人気の澪ちゃん」ツーン


澪「そんなこと言わないでよ。……隣、いい?」


唯「……ふんだ」スッ


澪「ありがと。よいしょっと」ドサリ


唯「くっつきすぎ」グイグイ


澪「まぁまぁ。……唯」ギュ


唯「っ!」ピク


澪「唯に渡したいものがあるんだ」


唯「な、に?」プルプル


澪「はい、バレンタインチョコ。……ちゃんと本命だよ?」スッ


唯「み、澪ちゃん……」ジワッ


澪「唯のために頑張って作ったんだ。喜んでくれるかな、って思いながら」


唯「う、ふえぇ……ふわぁぁぁん!」ダキッ ギュ


澪「わっ!ど、どしたの唯!?」アセアセ


唯「だ、だっでぇ!澪ぢゃん皆に人気、でぇっ!うっぐ、澪ちゃんと私の距離、が、ひぐぅ!離れちゃうって思っでぇぇ!」ギュウ


澪「唯……」ナデナデ


唯「う゛ぅぅ……姫ちゃんにも撫でてもらってたしぃ」グスグス


澪「あれは流れで……泣かないで、ゆーい」ナデコナデコ


唯「ふえぐぅ……」


澪「私の一番は唯だよ。誰の他でもなく、唯だから。安心して、ね?」


唯「うん……。ごめんね、素っ気なくしちゃって。嫉妬してたの、皆に」グシグシ


澪「気にしてないよ。妬いてる唯も可愛い!」


唯「ふみゅ……恥ずかしい」カーッ


澪「で、食べてくれる?私のチョコ」


唯「もちろんだよぉ!澪ちゃんのチョコ♪澪ちゃんのチョコ♪」


澪「ふふふ、はい。あーんして?」ヒョイ


唯「あーん♪あむっ」


澪「どう?」ドキドキ


唯「……おいしー!!澪ちゃん上手!ホントに美味しいよ!」


澪「良かったぁ、喜んでもらえて♪」


唯「いくつでも食べられるよぉ!」パクパク


澪「あはは、がっつくなって!」


唯「澪ちゃんだーい好きぃ!」スリスリ


澪「私も唯のこと大好き!」ギュ


唯「あ、でも……」


澪「なに?」


唯「私も澪ちゃんのために作ったんだけど……教室の鞄の中だ」シュン


澪「ホント?なら、部活のときに頂戴?」


唯「うー、でも上手く作れなかったし……」


澪「唯が作ってくれたなら、どんなのも食べるよ!」


唯「……えへ。気持ちは込めたから、食べてくれたら嬉しいな」テレテレ


澪「もちろん全部食べるさ!唯は私の特別、だからね」


唯「むふー、ありがとー♪……ねぇ、お昼休み終わるまで、こうしてていい?」ギュウ


澪「……うん、もちろん」ギュ


唯「ふへぇ……あったかぁ……」ホンワカ


澪「うん、あったかいな♪」


唯澪「あったかあったか♪」ラブラブ



―――


――




―――放課後、また部室―――



律「このチョコうまー!」パクパク


梓「もー!練習しましょうよぉ!」


紬「梓ちゃん、口元にチョコ付けたままじゃ説得力ないわよ?」フフフ


梓「うっ。だ、だって美味しいんですもん!」モグモグ


律「でもホントにいいのか?みんな食べちゃって」ハグハグ


澪「遠慮なく食べてる奴の言う台詞か?いいんだよ、食べられずに捨てられるよりはさ」


紬「手紙にも『尊敬してます』『好きです』の嵐ね」


梓「でもこういうのって、得てして、その人からの一方通行みたいなものですよね」パクパク


律「そーそー、自己満足だろーな。あんま気にしないでいいだろ」モグモグ


澪「そ、そうかな……。心がちょっと痛いけど、私には」チラリ


唯「あー……うー……」モジモジ


澪「唯がいるからな♪」ギュ


唯「ひゃうっ!?」ビックゥ


澪「どうしたの?ゆーい♪」クスクス


唯「うぅ……こ、これ」


澪「あ、それチョコ?」ニコニコ


紬「うふふ、唯ちゃんは誰に渡すのかしら?」


唯「い、苛めないでよぉ……み、澪ちゃん!」キリッ


澪「はい!」


唯「本命のバレンタインチョコです!受け取ってください!」スッ


澪「ふふ、喜んで!」


唯「恥ずかちぃ……!」プシュー


澪「ゆ、唯が作ってくれたチョコ……!」ジーン


紬「良かったわね、唯ちゃん澪ちゃん!じゃ、私は紅茶の用意するわね」ウフフ


律梓「おいしー♪」ヒョイパクヒョイパク


澪「唯、早速食べていい?」


唯「う、うん……あんまり自信ないから、期待しないで?」


澪「んー……あ、シンプルだな」カサカサ


唯「カカオから挽いたの。全部手作りにしたかったから」テレテレ


澪「すごい……ホントにありがとう、唯。じゃあ、頂きます!」


唯「ど、どうぞ!」


澪「もぐ」


唯「ど、どうかな……」ドキドキ


澪「むぐ……う、苦い……」


唯「あうぅ……やっぱりぃ……」ヘンニャリ


澪「……あ、甘いとこもある!大丈夫だよ、唯!」


唯「ほ、ほんと?」パァッ


澪「うん、美味しい美味しい!」モグモグ


唯「良かったぁ……!」


紬「はい、紅茶淹れたわ。良かったわね、唯ちゃん♪」カチャ


唯「うん!」ニコニコ


澪「よし!ムギの紅茶も飲んだし、唯のチョコを堪能しよう♪」


唯「苦いのはペッ、ってしていいからね?」イジイジ


澪「そんなことするもんか!ぜーんぶ頂きます!」フンス


紬「まぁまぁ、張り切ってるわね♪」


澪「それでは2つ目を……あれ?」


スッカラカン


唯「はれ?出来の良さそうなの3つ持ってきてたのに」ハテ


紬「あら、変ね?」


律「うぐ、これにっが!まずぅ!」ペッペッ


梓「うわ、ホントですね……こんなの澪先輩に食べさせようなんて、どこのおバカさんでしょう」

唯「え、あ!あぁ……あぁ……!」ヘナヘナ


紬「ま、まさか……」


澪「」ビシッ


律「ん、どしたー?ムギ、紅茶くれ。口直し口直し、っと」


梓「私も下さい。なんか舌がザラザラして気持ち悪いです」


紬「あ、いや、あの……」チラリ


唯「お、おバカさん……」ポロポロ


澪「」ビシビシッ


紬「ち、ちょっとお手洗い行ってきますぅ!」ピュー


律「……どしたんだ、ムギ」


梓「さぁ?うー、口の中が……」


澪「……ぇら」ボソ


律「ん?なんだ澪」


梓「どうされたんです?」


唯「……うぅ、うぇぇぇぇん!!」ボロボロ


梓「って、唯先輩まで!?一体何が……」


澪「おおお前らぁぁぁあああ!!!」


律梓「ひぃっ!?」ビクゥ


澪「私にくれた唯のチョコ、食べといて……まずい、だと……!?」ゴゴゴゴ


律「え、あれ唯のだったのか!?しらな」


澪「知らないで済むかぁぁっ!!」


律「ぴぃ!?」


梓「み、澪先輩どうか落ち着いて……」アワアワ


澪「梓もだぁぁぁっ!!」


梓「はひぃっ!」ビクビク


澪「お前も……唯のチョコが気持ち悪い、だってぇ……!?」ユラリ


梓「あ、あうあうあう……!」


澪「ファンの皆の分はさておき……。唯がどんな気持ちで作ってくれたのか!分かってるのかぁぁっ!!」クワッ


律梓「ぁ、ぁああ……!」ガクブル


唯「み、澪ちゃん!いいよ!まだ家に作りかけが」グスグス


澪「唯、ちょっと待ってて?この二人を、すぐに片付けるからね?」ニッコリ


唯「は、はひ……」


澪「さて。律、梓?」クルリ


律梓「ひっ!」ギュッ


澪「……覚悟は出来てるよなぁぁぁぁっ!!!」グワァァッ


律梓「みぎゃああああああ!?!?」


あああ!?


あああ!


あああ……



―――


――




ガチャ


紬「お、終わったかしら……?」ヒョコッ


律梓「」チーン


紬「ご、ご愁傷さまです……」


澪「ゆいぃ、食べられなくてごめんなぁ」グスグス


唯「う、ううん。気にしないで?どうせ失敗作だったんだし」


澪「でもぉ……」ウルウル


唯「あ、そうだ!ホワイトデー!今度は一緒に作ろうよ!」


澪「唯と一緒に……?」グシュ


唯「うん、そしたらその場で食べさせ合えるもん!良いアイデアだよ!」


澪「う、うん、そうだな!今日みたいなバカ、いないもんな!」


紬「哀れなりっちゃん、梓ちゃん……」ホロリ


律梓「コワイコワイコワイ」ガクガクブルブル


唯「みーおちゃん♪」ベタベタ


澪「ゆーい♪」ベタベタ


紬「……とりあえず、亡骸の二人を現世に戻しましょ」ユサユサ


律梓「アバババババ」ブクブクブク


唯澪「大好きぃ!」ギュー




おわり。