律「おーっす唯」

唯「あ、りっちゃん、おは・・・よ・・・う」

律「唯?」

唯「りっちゃ・・・ネジ・・・背中」

律「なんだ。ネジが止まりそうなだけか。巻いてやるから背中出してみ」

キリキリキリキリ…

唯「ふう!治った!」

律「まったく。朝ちゃんと巻かないとだめだろ?」

唯「ごめーん。今日は憂が体調悪くて」

律「この年になって一人で自分のネジ巻けないのかよ・・・子供だな唯は」

唯「えへへー」


唯「お礼にりっちゃんのネジも巻いてあげるね!」

ゴソ

律「あ、ちょっと!じゅうぶん巻いてあるからいいよ」

唯「まあまあ。私に任せなさい・・・あ。ネジ黄色い!」

律「あちゃーばれちゃったか」

唯「ネジ染めは校則で禁止されてるのに!りっちゃん悪い子だなあ」

律「いーじゃんこのくらい。最近の高校生はネジ染めくらい普通にやってるって」

唯「もー。巻くよ?」プンプン

ギリギリギリ…

唯「うわ、かたい!」

律「それだけパワフルなんだよ私のネジは!」

唯「っていうことがあったんだよ~」

澪「まったく律は・・・」

律「澪。私にそんなこと言っていいのかあ?」

澪「へ?」

律「小さい頃澪のネジをいつも巻いてあげてたのは誰だったかなあ?」

澪「な・・・//」

紬「その話詳しく聞かせて!」

ガタン!

梓「ムギ先輩目がマジです!」

澪「別に、小さい頃はお互いのネジをよく巻いてたってだけだよ。
  小学生ぐらいだとよくある話だろ?」

紬「私はずっと執事とかメイドさんに巻いてもらってたから、そういうのうらやましいわ」

律「そ、そうなんだ」

梓「唯先輩は?」

唯「私はいつも和ちゃんに巻いてもらってたなあ」

澪「やっぱりそうか。和のネジ巻きは正確だもんね」

唯「うん。お母さんよりうまかったよ!
  だから朝わざとあまり巻かないで学校行ったりしたなあ。和ちゃんにたくさん巻いてもらえるから」

律「ちょっと澪?和のネジ巻きは正確って、和に巻いてもらったことあるのかよ?」

澪「うん。体育の時に予想以上に回っちゃってさ。それでね」

律「ふ~ん・・・」


紬「あらあら」

唯「じゃあ私がムギちゃんのネジを巻いてあげるよ!」

紬「え?いいの?」

唯「うん!」

紬「ありがとう。友達にネジ巻いてもらうの夢だったの」

唯「じゃあ服まくるね~」

ペロ

唯澪律梓「こ、これは・・・!」

律「すげー金ピカだ!」

澪「ゴージャスだな・・・」

紬「恥ずかしいわ・・・//」

唯「染めたの?」

紬「ううん。これは生まれつきよ」

梓「やっぱり凄い家系なんですね」

唯「じゃ、じゃあ巻くよ」

紬「お願いします♪」

唯「よいしょっと」

キリキリキリ

唯「おお!すごいなめらかな巻き心地!」

澪「いいグリス使ってるんだなあ」

紬「良かったら、私の使ってるグリス今度みんなにも持ってこようか?」

律「え、いいのか?」

紬「ええ♪」

唯「はい、巻き終わり」

紬「ありがと、唯ちゃん」


唯「なんかネジ巻きが楽しくなっちゃった!
  誰か巻いてほしい人いない?」ウズウズ

律「小学生かよ」

唯「やっばりここは・・・」チラ

梓「!」

唯「あずにゃ~ん♪」ダキッ

梓「は、離してください//巻かなくで平気ですから!」

唯「だめ~。逃がさないよー」ガサゴソ

梓「あぁん・・・!」

唯「ふお!どうしたのあずにゃん?」

梓「私くすぐったがりなんです!特にネジのあたりは敏感なんですよ」

唯「ほほーう。じゃあ優しく巻いてあげるね」

梓「そういう問題じゃ・・・ぁん!」


唯「あずにゃんはネジも小さくてかわいいね~」

キリキリキリキリ

梓「あ、あう//ほっといてください・・・//」

唯「はい、終わり♪」パッ

梓「あっ」

唯「あれ?もっと巻いてほしかった?」

梓「そそ、そんなわけないです!」

紬「うふふ」

澪「唯。もう満足したか?そろそろ練習するぞ」

唯「ストップ澪ちゃん!まだ私が巻いてない人がいるよ~?」

澪「い、いいよ私は!」

律「確保!今だ唯!」ガシッ

澪「律!はなせー!」

唯「ナイスりっちゃん・・・それでは」ガバッ

澪「ちょ・・・//」


唯「澪ちゃんのネジは相変わらず黒くて綺麗だなあ」

澪「そ、そうかな」

律「心が黒いから。なんちゃって」

ゴツン!

澪「馬鹿!」

律「いてて、ごめん」

唯「じゃあ巻くよ~」

キリキリキリキリ

澪「本当は律に巻いてほしいんだけどな・・・」

律「ん?」

澪「なんでもない!」 

ゴツン!

律「なんで殴るのよ・・・」

キリキリ… ピタ

唯「はい、澪ちゃんのも巻いたよ」


澪「あ、ありがと。じゃあそろそろ練習するぞ」

梓「ですね!」

律「もうちょっと休もうよ~」

澪「言うと思った・・・」

律「まあこれが私の役目だしね」

唯「ムギちゃん、お菓子はないの?」

紬「ごめんなさい。昨日は祖父の葬式だったから忙しくて準備できなかったの」

律「へー」

澪「ムギのおじいさんはもう寿命なんだ」

紬「うん。意外と速くてびっくりしたわ」


梓「そんなことより、お菓子がないんならさっさと練習しましょうよ」

澪「そうだな、梓の言う通りだぞ」

律「へいへい、わかりましたよー」


唯「あ、ギー太忘れた」

梓「えっ」

澪「今、何と?」

唯「ギー太、忘れちゃった。えへへ」

紬「あらら・・・」

律「おいおい・・・」

梓「っ・・・!」

唯「ごめんね~」テヘ

梓「いい加減にしてください!!!」

律「うわ、キレた!」

梓「せっかく早く練習できると思ったのに!忘れるとは何事ですか!それでも軽音部ですか!」

ギュオンギュオン!

律「あ、梓?ネジがすごい勢いで回ってるぞ・・・?」

紬「そんなに回しちゃもたないわよ?」

唯「あずにゃん」ギュ

梓「あ・・・」

唯「いい子いい子♪」ナデナデ

澪「そんなんで収まるわけ・・・」


梓「・・・//」ポワワー

澪「おさまった!」

律「ネジも通常の速度に戻ったな」

梓「こ、今回は特別に許します//そのかわり唯先輩はボーカルに集中してくださいよ?」

唯「うん!ありがとうあずにゃん!」

律「でもなんでギター忘れたんだ?唯は天然でもギターは忘れないことに定評があったのに」

唯「朝も言ったけど憂が体調悪くてさー。たぶん心配でギター忘れちゃたんだと思うな」

紬「どんな具合なの?」

唯「ネジの調子が変なんだ。たくさん巻いてもすぐ止まっちゃうんだよ」

律「ちゃんと手入れしてるのか?」

唯「憂は出来た子だから、そういうのはちゃんと自分でやってるよ」

澪「ゼンマイの故障かもな」

律「でもネジの故障って地味に面倒だよな」

梓「病院で診てもらえませんもんね」

唯「ふえ?そうだったの?」

紬「唯ちゃんの家族は今まで故障したことないの?」

唯「ないと思うな~」


律「じゃあ取り換えも経験なしかー」

澪「中1の時だっけ?律が3階から落ちて取り換えたんだよな」

律「あーそうらしいね。前の私は馬鹿だよなー」

澪「今のも充分馬鹿だから安心しろ」

律「おい!」

唯「憂、早く治るといいなあ」

梓「ネジの故障は放っておいても治りませんよ」

律「自力でなんとかならないんなら憂ちゃんを取り換えたほうが手っ取り早いんじゃない?」

澪「そうかもな」

唯「え、嫌だよ。そんなの」


律「嫌ってお前・・・」

紬「なんで嫌なの?」

唯「だって、取り換えちゃったら今いる憂はどうなるの?」

澪「普通に廃棄されるんじゃない?」

唯「そんな、酷いよ・・・」

梓「何が酷いんですか?」

澪「もしかして、しばらく憂ちゃんがいなくなるのが困るんじゃないのか?」

律「あーだからか。唯は家事できないもんな。でも今は取り換えなんて2、3日でできるだろ」

唯「そういう問題じゃないよ!」

律「じゃあどういう問題なんだ?」

唯「だって、今の憂は死んじゃうってことだよね?」

澪「まあそういう言い方はあまりしないけど、そういうことかな」

唯「嫌だよ。生まれてからずっと憂と一緒に暮らしてきたのに、その憂が死んじゃうなんて」

梓「別に記憶ならだいたい複製されるから取り替えても思い出話だってできま」

唯「だからそういう問題じゃないって言ってるのに!!!」

梓「っ!」ビクッ

唯「ご、ごめんあずにゃん。いきなり怒鳴って」

律「どうしたんだよ唯、お前・・・」

紬「まあまあまあまあまあまあ」

澪「6回」


紬「唯ちゃんは憂ちゃんが心配みたいだし、今日はこのへんにしない?」

律「そ、そうだな。今日は解散にするか」

唯「ありがとう。ムギちゃん」

紬「いいのよ」

梓「あ、唯先輩。憂のお見舞いに行きたいんですけど」

唯「うん。いいよ。あずにゃん来てくれたらきっと憂、喜ぶよ!」

律「私たちも行っていいか?」

唯「うんうん。来て来て」

紬「大勢で行って大丈夫?」

唯「大丈夫だよ~。みんなおいで~」

澪「じゃあお言葉に甘えて、私もお見舞いに行こうかな」



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最終更新:2010年01月05日 00:33