唯 「おや・・・す・・・み」ふにゃー

梓 「おやすみなさい・・・て、ええー!?」

唯 「すーすー」

梓 「のび太か・・・」

梓 「先輩、本当に寝ちゃったんですか?」

唯 「むにゃむにゃ」

梓 「寝ちゃってる。人をドキドキさせといて・・・」

梓 「なんか悔しいな・・・ えい、つねってやるです」

むにっ

梓 「えいえいっ」

ふにふに

唯 「あう~ むにゃむにゃ」

梓 「これで起きないなんて、恐ろしい子・・・っ」

梓 「・・・・目、冴えちゃった」

梓 「先輩にぎゅってされてドキドキして、眠気なんか吹っ飛んじゃったよ」

梓 「でも、それは私だけだったみたいで・・・」

梓 「先輩は先にさっさと眠っちゃって・・・」

梓 「私・・・バカみたい」

ふにふに

梓 「先輩・・・」

ふにふに

梓 「起きてくださいよ・・・」

ふにふに

梓 「・・・起きないんだったら、キスしちゃいますよ」

唯 「・・・・・」

どきどき

梓 「冗談なんかじゃないんですからね。本当にしちゃうんですからね」

どきどき

梓 「う~~・・・やってやるです!」

どっきんどっきん

梓 「ん~~~~・・・・・」

ぐぐっ

先輩の吐息が鼻先をかすめる。

下着のときの葛藤もなにもかも、頭から吹っ飛んでしまった。

目の前の無防備に開かれた先輩の唇。

それを自分だけのものにしたいという欲求が、とめどなく腹の底から湧き出してくる。

とめどなく、抑えがたく。


梓 「ゆ、唯・・・」

名前で呼ぶ。

目の前の彼女を先輩ではなく、ただ一人の女性として、その名で呼んでみる。

梓 「唯・・・ 大好き・・・」

寝ているから、聞こえないからこそ言えた言葉には違いない。

でも。それは。

ずっと言いたかった、彼女に聞いてもらいたかった本当の気持ち。

偽らざる、私の本心だった。

梓 「唯、好き。大好き・・・・」

んーーーーー・・・(>3<)

唯 「あのね、あずにゃん!」

梓 「んぎゃあああああっ!?」

梓 「お・・おきっ!?おきててて!?」

梓 「おきてたんdねうsか!?」

唯 「あずにゃんしっかり。ふじこっちゃってるよ」

梓 「狸寝入りですかずっと起きてたんですか私の恥ずかしい行為を見てたんですか!?!?」

唯 「いやまぁ、落ち着いて」

梓 「これが落ち着いていられるかです!」

唯 「ごめんね」

梓 「じゃ・・・全部、聞いてたんですよね・・・ 今の・・・」

唯 「聞いてたよ。バカの不注意で聞かれなくてもいい所にまで聞かれたみたいだけど、それは置いといて聞いてたよ」

梓 「うう・・・ な、なんで寝たふりなんて・・・先輩、サイテーです」

唯 「そうだよね。でもね、あずにゃんをギュッとしてたらね・・・・」

唯 「なんだかドキドキして、変な気持ちになっちゃってね・・・」

梓 「え・・・?」

唯 「どうして良いかわからなくなっちゃって、それで思わず寝たふりをしちゃいました」

唯 「そのままでいたら、なにしちゃうか自分でも分からなくなっちゃって・・・ごめんね」

唯 「だけどね。あずにゃんが私のことを・・・その・・・」

唯 「ね?そう言ってくれたから、もう目を瞑ってちゃダメだって思って。きちんと答えなきゃって」

唯 「だからn
梓 「忘れてください!」

唯 「・・・・・・」

梓 「・・・・・・」

唯 「あずにゃん?」

梓 「あれは違うんです!ついドキドキして、くちばしたって言うか・・・」

唯 「え・・・」

梓 「だからあの言葉は違うんです。お願いです、忘れて下さい!」

唯 「違うって・・・ じゃあ、あずにゃん。あれって、本心じゃなかったの・・・?」

梓 「あ・・・」

唯 「勢いだけの、でまかせだったの・・・?」

梓 「え、違う・・・」

梓 「違う、そうじゃないです!」

梓 「メチャクチャ本心です!でも・・・違うんです!」

梓 「さっきのはつい、先輩があんまり・・・その・・・か、可愛くて・・・」

梓 「夕方の下着の件もあったし、おんなじ布団だし、私も舞い上がっちゃって・・・」

梓 「それで寝ている先輩の顔を見ていたら、言葉と心を抑えることができなくなってしまって・・・」

唯 「あずにゃん」

梓 「でも私の気持ちは、本当の本気の気持ちだから、先輩に知られる時には先輩の目を見て、真正面から伝えないとダメなんです」

梓 「そういった意味で、さっきのは違うんです。あの・・・予行演習と言いましょうか・・」

梓 「だからお願いです!今のはなかったことに!」

唯 「えー・・・ そんなこと言われても、見ちゃったものをなかったことにはできないよ」

梓 「うう・・・」

唯 「だからね。今この場で言ってみない?」

梓 「ええっ!?」

唯 「そうすればさっきのはタイムラグといいましょうか、多少のフライングだったって事で丸く収まるような♪」

梓 「あ・・・え?そんないきなり?え・・・あの・・・・・   ええ!?」

唯 「さ、あずにゃん!私はジーっとみてるよ。さぁあずにゃんも私の目を見て、さぁ!」

唯 「言ってみよう!」

梓 「~~~~~~~!!!!」

がばっ!!

梓 「おやすみなさい!!」

唯 「えーーーー!」

梓 「ああ眠い!超ねむいなぁー!ああ、、もうダメかもー!ふぁ~~~あ。かくん!ぐーぐー」

唯 「期待させておいて、それはないよ。あずにゃん、ねぇ、本当は起きてるんでしょ!?」

唯 「あずにゃん~~~」

梓 「きこえなーい。ぐーぐー」

こうして今度は私が狸寝入り。このまま朝まで誤魔化してやろうっと。

でも・・・

いつか必ず近いうちに、また先輩のうちに遊びに来よう。

そしてそのときには必ず。

先輩の正面に陣取って、先輩の目を見つめながら、先輩への気持ちを伝えるんだ。


その為にも・・・



翌日!


梓 「それじゃお邪魔しました」

唯 「うん、あずにゃん。昨日は本当にありがとうねー」

唯 「あずにゃん分タンクは超満タン!これでしばらくはがんばっていけそうだよー」

梓 「そうですか。・・・・あの、その・・・」

唯 「んー?」

梓 「その、あずにゃん分ってどのくらいもつんですかね!?」

唯 「???」

梓 「補給に来ないと、また空になっちゃうんじゃないかなって・・・・」

唯 「あずにゃん・・・・」

梓 「あ、あの・・・ね。また来週・・・ もし良かったらあずにゃん分を補給に来ても良いですよ?」

唯 「あ、あずにゃん!!!」(ぱぁーっ)

梓 (あ・・・・まぶしい位の良い笑顔だ)きゅんっ

唯 「来週といわず、毎週でも来てよ!」

唯 「もうーーー、ダイ!ダイ!ダイ!ダイ!ダイ!大歓迎するよ!!!」

梓 「あはは、そんなにですか」

唯 「そんなにだよ!」

梓 「分かりました。じゃ、また来週。メールで連絡しますね。それじゃ!」

唯 「うん、ばいばーい!」

梓 「あんなに喜んでくれて・・・ 言ってみてよかった!」

よし、まずは心の準備だ。

そして次には言葉の準備。慌てずあせらない様に、気持ちを伝えるための言葉を準備しておかなくちゃ。

先輩と後輩の枠組みに終止符を打ち、新たな一歩を踏む出すための、鍵となる言葉を。



月曜 教室!!


梓 「てことがあってね」

純 「ふーん」

梓 「また来週ね、唯先輩に会ってくるよ」

梓 「純のおかげ」

純 「そ」

梓 「気のない返事」

純 「いやね、自分に呆れちゃってさ」

梓 「なんでまた」

純 (自分でけしかけておいて、その結果に焼きもち妬くなんて)

純 (我ながらアホだ)

梓 「ねぇ、なんでさ?」

純 「だまれ鈍感」

梓 「ひどっ!?」

梓 「ねぇ、本当になんなの?」

純 (落ち着けわたし。辛いけど。悲しいけど)

純 (大好きな梓が嬉しそうにしてる。その代償と思えば安いものじゃない)

純 (大人にならなきゃ。笑ってなきゃね、梓の前では)

梓 「ね・・・ねぇ、純ってば・・・」

純 「触るなゴキブリ!!!」

梓 「!!??」


おわり!



最終更新:2011年02月20日 01:34