音楽準備室!

純「失礼しまーす。あずさー、この前言ってたCDなんだけど……」ガチャ

澪「ん?梓に何か用?」

純「みみみみ澪先輩!?」ドッキーン

澪「あれ?確か……鈴木さんだったよね?梓の友達の…」

純「は、はい!2年1組、ジャズ研の鈴木純です!よろしくお願いします!」

澪「よ、よろしく…」

純「あの、梓って今どこかに行ってるんですか?」キョロキョロ

澪「ああ、唯のギターの調子がおかしいみたいでさ、みんなで楽器屋に行って見てもらってるんだ」

純「なるほど……澪先輩は一緒に行かなかったんですか?」

澪「私はほら、右利き用の楽器を見てても悲しくなるだけだから……」ズーン

純「なんかすいません……」

澪「それにしてもみんな遅いな……、もう帰って来てもいいはずなんだけど……」

純「そうですねえ……そろそろ下校時間ですし」

澪「鈴木さんは時間大丈夫?用事なら私が代わりに伝えとこうか?」

純「いえ、大した用事じゃないんです。この前CD買ったんで、もしかしたら梓も聞くかなーと思って……」ゴソゴソ

澪「それって……○○○のベスト盤?」

純「そうですけど……もしかして澪先輩もジャズとか聞く人ですか!?」

澪「ああ。○○○は中学の頃から聞いてるし、ベースの△△のソロアルバムも持ってるよ」

純「私もです!実は私△△に憧れてベース始めたんですよ!」

澪「へぇ!鈴木さんもベースやってるんだ!」

純「はい!とはいってもまだそんなに上手くは弾けないんですけどね……」アハハ

純「私△△だったらのソロの1作目が好きですね。なんたってかっこいいですし!」

澪「私もそれ好きだよ!特に最初の……」ジワッ

純「な、なんで泣くんですか!?」

澪「ごめんな、ここで音楽の話をするなんてずいぶん久しぶりだったからつい……」グスッ

純(軽音部っていつも何の話してるんだろう……?)

純(それにしても澪先輩かっこいいなあ……)

純(綺麗だしベース上手だし、それにとっても優しいし……)

純(梓が羨ましいなあ……。軽音部で澪先輩と一緒に遊びに行けて……)

純(……私も1回くらい澪先輩と遊んだって罰は当たらないよね?)

澪「? どうしたの?」

純「あの……澪先輩、もしよかったら今度……」

唯「ただいまー!」ガチャ

純「うひゃぁっ!?」ビクッ

澪「あ、みんなおかえり」

律「あ゙~疲れた~、もう動けない~」グデーン

梓「何言ってるんですか、ずっと楽器見てただけなのに……ってあれ?純来てたんだ?」

唯「あ、純ちゃんやっほー」

純「…」

紬「澪ちゃんごめんね、道が工事してて遠回りしてたら遅くなっちゃったの」

澪「それなら仕方ないよ。ところで唯、ギターはどうだった?」

唯「おかげ様でばっちりです!」フンス

梓「でも思ったより時間がかかっちゃいましたね」

律「そうだなー。もう外も暗くなってきたし、今日の部活はこれでおわりにした方がいいな」

紬「うん、あまり遅くなるのも危ないしね」

澪「今日はもう遅いから仕方ないけど……、明日は絶対に練習するからな!」

律「わかってるってばー♪」

唯「明日のお菓子は何かな~♪」

澪「もう練習する気ないし……」

紬「ほら、梓ちゃんも帰ろう?」

梓「あ、私今日は純と一緒に帰ります」

律「そっか、じゃあ私ら先に帰るから戸締りよろしくな」

唯「じゃあねー、あずにゃん純ちゃん」ブンブン

紬「ばいばーい♪」

澪「また明日な」

ガチャ バタン

梓「さてと……それじゃあ純、私たちも帰ろっか?」

純「………空気読め!!」

梓「へ?」


翌日!

憂「それじゃあ純ちゃんは澪さんともっと仲良くなりたいんだ?」

純「うん、だって澪先輩ってばかっこいいし、ベース上手だし優しいし」

梓「へへーん、まあね」

純「梓はいいよねー。私もなんとかして澪先輩とお近付きになりたいよ」

純「昨日はせっかく『今度一緒に遊びに行きませんか~』って誘おうとしたのに、いいところで邪魔されちゃうし……」

梓「だからそれは悪かったってば」

憂「でも遊びに行くのを断られたわけじゃないんでしょ?」

梓「そうだよ、もう一度誘ってみればいいじゃん」

純「うーん、そういうわけにもいかないのよねー」

憂「どうして?」

純「ほら、私と澪先輩ってそんなに接点があるわけじゃないでしょ?なのにいきなり『一緒に遊びましょう!』なんて不自然じゃん」

憂「確かにいきなりそんなこと言われたらびっくりしちゃうかも。それに澪さんって結構人見知りだし」

純「でしょ?昨日は雰囲気でなんとなくいけそうだったけど……やっぱりこういうのってきっかけがないと!」

梓「ふーん、純もそういうの気にするんだ」

純「む、失礼な!」プンスカ

憂「純ちゃんどうどう」ヨシヨシ

梓「まあ冗談だって。でもそれくらいだったら私も手伝うよ?」

純「え!?ホント!?」パアァァ

憂「うん。純ちゃんと澪さんが仲良くなれるように私たちも協力するよ」

純「あ、あんたらホンマええ人や……」

憂「関西弁?」

梓「それで何をすればいいの?」

純「えっとね……じゃあ澪先輩の趣味とかお気に入りとか、とにかく何でもいいから澪先輩のことについて教えてよ」

憂「澪さんの?」

純「うん、まずは先輩の興味のあることを知って、それを話のきっかけにしていこうってわけよ」

純「それにさ、遊びに誘うにしても澪先輩の趣味にあわせた方が誘いやすいじゃん?」

憂「なるほどー、純ちゃん頭いい!」パチパチパチ

純「そう!私は出来る女!」エッヘン!

梓「そういうことだったら……」


作戦その1・澪先輩と読書!

梓「澪先輩って音楽以外だったら読書が趣味なんじゃないかな?最初は文芸部に入るつもりだったって言ってたし」

純「なるほど、澪先輩は本が好き、っと……。ちなみにどんな本が好きなの?」メモメモ

梓「うーん、そこまではちょっと……」

憂「そういえば前にお姉ちゃんが『澪さんにおすすめを教えてもらった~』って本を買ってきてたよ」

純「本当!?なんて本!?」

憂「えっと確か……この本だよ」ゴソゴソ

純「おお、憂ありがとう!!……でもどうして憂の鞄に?」

憂「えへへ、お姉ちゃん途中で飽きちゃったみたいだし、私が先に読んじゃった」

梓「あー、その本結構分厚いもんね。唯先輩には無理そう」

梓「純は大丈夫?途中で投げたりしない?」

純「当たり前じゃん!くそー、梓はすぐ私を馬鹿にしてー!」プンスカ

憂「あはは…」


純の家!

純「さて、ご飯は食べたしお風呂にも入ったし、準備は万端!」

純「とりあえず感想言えるくらいには読んどかないとね」

純「澪先輩のおすすめなんだから、きっと面白い本なんだろうなあ」

純「これを読めば私も澪先輩みたいにクールビューティーな女になれるかも……」エヘヘ…

純「それでは早速」ペラ

純「ほうほう……」ペラ

純「ふむふむ……」ペラ

純「…」ペラ

純「………ZZZ」


翌日!

梓「純、昨日の本どうだった?」

純「えーっと……とっても面白かった、よ?」

憂「…もしかして途中で寝ちゃった?」

純「はい……」

梓「まあ、あの本は長いし結構難しいし、純が読めなくっても仕方ないね」

純「ううう……言い返せない……」グヌヌ…


作戦その2・澪先輩と人形!

憂「そういえばね、澪さんってかわいいものが好きらしいよ」

純「へー、なんか意外」メモメモ

梓「自分には似合わないだろうから、って隠してるらしいからね」

梓「でも澪先輩ってお気に入りの人形をこっそり鞄に入れてたりするんだよ。もう持ち帰っちゃったけど部室にもたくさんあったし」

純「何それかわいい」

憂「あ、その人形お姉ちゃんの荷物にも混ざってたよ。駅前のゲームセンターにあるのと同じだよね?」

梓「そうそう、それ」

純「憂、そこまで案内して!!」

憂「え?」

純「ちょっとゲーセンまで行ってきます!」ビューン

憂「え!?え!?」

梓「速っ!?」


ゲームセンター!

憂「えーっと確か……この人形だよ、澪さんが好きなのって」

純「へぇー……ちょっと確認するけど、このおやじっちみたいなやつ?」

憂「うん、そうだよ」

純(澪先輩のかわいいの基準がわからない…)

憂「かわいいよね~」

純(ひょっとしてずれてるのって私?)

憂「? 純ちゃんどうしたの?」

純「い、いや!どうやってゲットしてやろうかなー、って考えてたの!」

憂「そういえば純ちゃんUFOキャッチャー得意なんだっけ?」

純「もちろん!なんたって昔は『ゲーセン荒らしの純』とまで呼ばれてた程だからね!こんな人形朝飯前よ!」

憂「純ちゃん頼もしい!」パチパチ

純「狙いを付けて、100円入れて……GO!!」ポチッ

………

純「…」

憂「純ちゃん……」

純「……さよなら私の樋口さん」


作戦その3・澪先輩とカメラ!

梓「そういえば澪先輩って写真撮るのとかも結構好きなのかも」

純「そうなの?」

梓「うん、だっていつもカメラ持ち歩いてるし、軽音部で写真撮る時もいつも澪先輩のような気がするし」

純「なるほど…」メモメモ

憂「カメラが趣味の子ってクラスにも結構いるよね。難しい言葉ばっかりで何話してるかはよくわからないけど」

梓「やっぱり好きな者同士じゃないとわからない話もあるんだね」

純「私もカメラ買う!勉強して澪先輩と一緒に写真撮る!」

梓「えー…」


家電量販店!

純「カ~メラカメラ~♪ガメラじゃないよ~カメラだよ~♪」

梓「こんなところで変な歌うたわないでよ……」

純「別にいいじゃん、梓に迷惑掛かけてるわけじゃないんだし。カメラはどこかなど~こかな~♪」

梓「隣にいる私まで恥ずかしくなるんだってば……」

店員「何かお探しですか?」

純「あ、すみません!カメラを1つ下さい!」ビシッ

店員「デジタルカメラでしたらこちらのコーナーになりますね」ズラー

梓「うわぁ、こんなにたくさん……」

店員「こちらの最新型の物ですとタッチパネルで簡単に操作ができますし…(中略)こちらは光学24倍ズームと高速連写で…(中略)

こちらは防水・防塵に耐低温と非常に耐久性に優れ…(中略)こちらは手ブレ補正と、さらに顔認識まで……」

純「!? !?」プスプス…

梓「あ、あの!初心者にもお勧めなのってどれですか!?」

店員「それでしたらこちらになりますね。これならシンプルで使いやすいと思いますよ」

梓「純、これなら簡単だって!ボタン押すだけでいいって!」

純「そっかあ……じゃあこれにします……」プスプス…

店員「ありがとうございます」

純「そういえばよく見てなかったけど、いくらだっけこれ……!?」

梓「? どうしたの?」

純「梓さん、ちょっとばかしお金を貸してやってもらえませんか……?」

梓「足りなかったの?いくら?」

純「……19780円」

梓「…20円しか持ってないんだ」

純「うん…」

梓「…私もそんなに持ってないし、今回は諦めよう?」

純「うん……」


作戦その4・澪先輩とストレート

お風呂!

純「ふっふっふ……、ついにコレを使う時が来たか……」カポーン…

純「澪先輩愛用のシャンプーを!」ジャジャーン!

純「梓が澪先輩の家に泊まったことがあるってのは正直許せないけど、おかげでいい情報が手に入ったんだから特別に不問にしてあげよう」

純「それにしてもいい匂い……お母さんに土下座して買ってもらったかいがあるよ」スンスン

純「それではさっそく……」ワシャ

純「おお、すごい!!なんか指通りがつるん!って感じ!!よくわかんないけど!!」ワシャワシャ

純「これなら私も澪先輩みたいなサラサラヘアーになれるような気がする!」

純『あれ?純ちゃん今日は髪が……』

純「はい!昨日から○○のシャンプーを使ってみたんです!」

純『私も同じの使ってるよ、髪がサラサラになるんだよね』

純『いつもの髪型もいいけど、サラサラな髪の純ちゃんもかわいいね』ナデナデ

純「み、澪先輩……」ドキドキ

純「なーんてなーんて!」キャー

純「えへへ…」

純おかん「純うるさいよー!いつまで風呂入ってるのー!?」

純「あ、すいません」


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最終更新:2011年02月19日 02:52