律「ここは………街中か………」

梓「レーダーではあッちです」

唯「じゃあ、行くよ!」

全員のスーツが起動した。

キュイイイイイイイン ダンッ

律「(澪もついて来てるな………)」

律が後ろを見て見ると、澪もピッタリついてきている。緊張は少しだけ解けたようだ。

梓「レーダーによればここのハズですが……」

唯「どこにいるんだろう」キョロキョロ

梓「もしかしてあの人……?」

梓が一人の男を指差した。

唯「え~?あれ普通の人だよ」

梓「いえ……ポイントと同じ動きをしているんです」

梓の指さす男は不審な動きを見せ、こちらを何度も見ている。

律「じゃあ、つけてみよう」

忍び足で後をつける。男はこちらを見て表情を曇らせた。

男「……」

律「…………」

男「なんなんだ…お前ら」

唯「ほら~あずにゃん」

しかし、紬が矛盾を突いた。

紬「いや……私たちの姿は見えないハズ……この人星人なんじゃ!」

男「」クンクン

男は犬の様な仕草を始めた。目つきが鋭くなり、瞳孔がみるみる細くなる。

男「グルウウウウウウウッ」

律「オ……オオカミ星人だッ!」

オ「ヴァウッ!!」

オオカミ星人は咆哮を上げて、辺りを威嚇している。

澪「」ガタガタ

オ「ガアアアアッ!」

律「どうやッて撃つんだッ!?この銃!」

梓「引き金を二つ同時に引いてくださいッ」

唯「上トリガ―でロックオンだよッ!りっちゃんッ!」

ゴキッ ゴキッ

梓「ひッ……周りの人がほとんどオオカミ星人ですよッ!」

紬「えいッ!」ギョーン

クルクルッ ガッ

紬の発射した弾はオオカミ星人を縛り付けた。

オ「ヴヴヴヴヴッガウッ!」ジタバタ

オオカミ星人は激しく体を揺さぶりワイヤーを引きちぎろうとしたが、ワイヤーは地面にめり込んでビクともしない。

ギョーン ジジジジジジジジジジジ

紬が再度引き金を引くと、天から光線が降りてきて、オオカミ星人を『上』へ転送した。

紬「やッたよッ唯ちゃん!」

唯「こッちの方も手伝ッてぇ!」ギョーン ギョーン

澪「わ……私も頑張らなきゃ」ギョーン

オ「ガウヴウウウッ!!」スッ

オオカミ星人は澪の放った弾を素早く避けた。

澪「避けられたッ!?」

オ「ガアアアアアッ」バッ

澪「きゃあああッ!!」バッ

恐怖のあまり、澪はしゃがみこんでしまった。

律「澪ッ!(しまッた……自分のことで精一杯で澪のことを……!)

ババババババババンッ

律「え?」

辺り一帯のオオカミ星人が一匹残らずに破裂した。

唯「全員……倒れたちゃッた」

バチバチバチ

ク「………」

クリスがスパークを帯びながら姿を現した。

律「ウッ……」バッ

律は突然のグロテスクな光景に吐き気を催した。口元を手で覆いながらみんなの元へ歩いた。

律「(あいつが全員撃ッたのか。まぁ、澪が無事で助かッた)」

梓「ありがとうございますッ」

ク「あぁ。無事で良かッた」

唯「今日は早く済んだね」

梓「そうですね。良かッたです」

律「澪も良く頑張ッたな」

澪「……うん」

ジジジジジジジジジジジ

転送が始まる。今回は誰も死なずに済んだ。

唯「ふぅ~」

梓「採点ですね」

律「あぁ、たしか100点で自由だッたな」

チーン それではちいてんをはじめる

パッ

あきやまさん 0点 TOTAL0点

弱すぎ ビビりすぎ

澪「0点……」

律「だ、大丈夫だッて!次頑張ればさッ!」

パッ

沢庵 4点 TOTAL4点

ニコニコしすぎ

紬「やッた~4点!」

唯「良かッたね、ムギちゃん」

梓「ニコニコしすぎ……(まぁムギ先輩らしいかな……)」

パッ

凸 4点 TOTAL4点

あきやまのこと心配しすぎ

律「ばッ……!!」

紬「あきやまのこと心配しすぎ……」パァー

律「なんだコレはぁッ!?////」

梓「(そんなに想ッているなんて、本当に仲が良いんだなぁ)」

あずにゃん 4点 TOTAL6点

心ここにあらず

唯「心ここにあらず?」

律「どういう意味だ?」

紬「物事に集中できてないッてことなんじゃないかな」

梓「(みんなのこと心配しすぎッてことかな……)」

平沢進 8点 TOTAL19点

のん気すぎ なごみすぎ

唯「なごんでなんかないよー。けッこう闘ッてるよね?」

律「うーん…どうだろうなぁ」

クリス 20点 TOTAL24点

覚醒しすぎ

律「24点ッ!?すげー」

梓「すごいですね……本当に」

ク「ロックオンしてから一気に撃ッたからな」

フッ

画面が消え元の黒い玉へと戻った。

唯「それにしても本当に今日は早かッたね~」

律「(毎回こんな具合ならいつかクリアできそうだな)」ホッ

梓「頑張ッて、100点を目指しましょうッ」

紬「頑張ろうーッ!」

唯「オーッ!!」

全員が拳を天井へ突き上げた。その拳には強い意志が宿っていた。


帰り道

澪「…………」

澪「(私だけ0点か……本当にクリアできるのかな……)」

律「……」チラッ

律が澪の様子を伺うと、一人静かに俯いている。律は一呼吸して澪の肩に手を置いた。

律「澪ッ、大丈夫だッて!一所懸命頑張れば100点取れるッて」

暗い表情で俯いている澪に律が元気づけた。澪が律を見つめ返す。

澪「律………」

紬「ねえ、唯ちゃん」

唯「どうしたの?ムギちゃん」

紬「私たちもトレーニングに混ぜてくれない?せッかくスーツも持ッて帰ッてきたし…」

梓「そうしましょうッ!みんなでした方が色々と捗ります」

紬「ありがとうー唯ちゃん、梓ちゃん」ニコニコ

唯「じゃあ、私はここで。バイバ~イ」

梓「私はこッちなので。さようなら」

紬「またね、バイバ~イ!」

澪「あぁ、バイバイ」

~~~~~~~~~~

澪「なぁ、律」

律「ん?どした?」

澪「私……もっと頑張るよッ」

律「あぁ」クスッ

律「ビビるなよッ」バシッ

澪「なんだッて~?」

律「いや~よして~ッ」

澪「待てッ律!!」タタタタ

律「あッ」

澪「ど、どうした」ビクッ

律「私たち……ムギと澪と私は転送された時に鞄持ッてなかッたから学校に鞄忘れた……」

澪「あ」

二人は暗い表情で帰路についた。


平沢家

唯「ただいま~」

憂「おかえり、お姉ちゃん」

憂「今日、部活なかッたの?」

唯「えッ?」

憂「今日部室に行ッたら誰もいなかッたから」

憂「それにムギさんと澪さんと律さんの鞄がソファに置きッぱなしだッたよ」

何気ないただの質問だが今の唯には定期テストよりも答え難かった。

唯「あ、ええ…ッと、みんなで音楽のお店に行ッてたの!」

唯「ギー太のメンテナンスッ!」

憂「え?この間メンテナンスしたッて言ッて無かッたッけ?」

唯「!!(しまッた!!)」

唯「そ……そうダッケカー……アハハハ……お風呂ッ!!」ダダダダダダ

憂「(何かおかしい…………)」

唯はその場を逃げ出すように風呂場へと駆けだした。憂は怪訝な顔でその後ろ姿を見ていた。


数週間後

ゾクッ

律の首筋に寒気が走った。あの部屋への転送が始まる前の不吉な寒気。

律「これが例の寒気ッてやつか……」

律「スーツ、スーツッと」

律「準備完了…………」

律はスーツに着替え鏡の前に立った。顔が少し強張っている。頬を二度叩いた直後、鏡の中の自分の頭部が消えていくのを見た。

ジジジジジジジジジジジジ

澪「律!」

律「オッス」

部屋へと転送が完了すると、澪が出迎えてくれた。

紬「今日も頑張ろうね!」

dqnA「また出て来たぞ」

dqnB「なにその服wwww」

柄の悪そうな男たちが四人をあざけ笑った。

梓「クリスさんも来てますし、あとは唯先輩だけですね」

ジジジジジジジジジジジ

律「おッ、来たぞ」

ジジジジジジジジジジジ

唯「あ……ああ………」

転送されてきた唯の顔は真っ青になっていた。紬が心配そうに声をかける。

紬「どうしたの?唯ちゃん」

唯「スーツ忘れてきちゃッた……」

梓「えぇッ!?どうするんですかッ!!?」

唯「どうしよう……私死んじゃうよぅ………」オロオロ

澪「大丈夫だ唯。私が唯の分まで頑張るからさ」

唯「澪ちゃん……」ジーン

あーたーらしーい あーさがきたー

dqnA「なんだ?この曲は」

DQNたちが音源の黒い玉を取り囲み様子を窺った。

パッ

ヤリ星人

特徴

長い 強い

好きなもの


dqnB「ヤリ星人……ふざけてんの?」

dqnBが冷静な目で表示された画面を眺めた。

ガシャン

dqnC「うおッ!?開いたぞ!」

梓「みなさんお願いですッ!この黒い服を着てください!」

dqnB「なんでンな服着なくちゃいけないんだよ」

梓「この服を着れば、力が強くなれるんです」

dqnB「お前もふざけてんの?」ガッ

梓「あッ」

dqnBが梓に掴みかかる。スーツを着ている梓は痛くも痒くもないが、不穏な空気が部屋に漂う。

唯「あずにゃんに手を出さないでッ!」ドンッ

dqnB「お前……」

唯がdqnBに体当たりで押し倒した。倒れたdqnBは唯を睨めつけた。

梓「大丈夫ですかッ!?」

唯「うん、大丈夫だよあずにゃん」

dqnB「……」

~~~~~~~~~~

dqnC「これでいいのかッ!?」

DQNたちはしぶしぶ梓の指示に従い、スーツを着用した。しかし、dqnBは執拗に唯を睨み続けた。

梓「はい」

dqnB「(あの女……なにかあッたらボコる)」

dqnA「刀でるッてやつ持ッて行こうぜ」

梓「では、改めて言いますッ!私たちはこの星人を倒しに行きます」

梓「一般の人たちには私たちは見えません。エリアからでると頭が爆発します」

律「転送が始まるぞ」

ジジジジジジジジジジジ

dqnA「うおッ、外d」

ジジジジジジジジジジジ

紬「ここは……」

澪「さ……桜ヶ丘高校の近くだ」

律「もう出て来たぞッ!」

ヤ「ソリャァッ!」シュッ

律が銃を構えると、槍を持った体長数メートルの星人が現れた。

dqnA「で…でけぇ」

律「行くぞッ!」

ギョーン

唯「あッ……みんな!助けてぇ!」

唯はヤリ星人に取り囲まれてしまった。ヤリ星人は唯をジリジリと追い詰める。

ヤ「ツァリャーッ!」

唯「あッ……」

キュウウウウウウン ズバッ

ク「ケガは無いかッ!?」

突如、上からクリスが現れ、刀でヤリ星人を斬りつけた。斬られた星人は血を流して呻いている。

唯「あ、ありがとッ!クリスさん」

律「いけるぞッ!澪ッ!」

ギョーン クルクル ガッ

澪が放った弾は星人を縛りつけ、動きを封じ込めた。星人は突然身動きがとれなくなり困惑した表情を浮かべている。

ヤ「ぬ……おおッ!?」ジタバタ

澪「」ギョーン

ジジジジジジジジジジジ

天から光線が降り、星人を『上』へと送る。

澪「やッた……初めて………」

律「良くやったなッ澪!」

紬「すごいわ!澪ちゃん」

澪「よしッ………」

澪は照れ隠しに微笑んだ。

dqnC「いけッ!テツゥ!!」

dqnB「へッ!楽勝ゥッ!」ギョーン

ヤ「ぶbらッ」バン

dqnBは銃で星人の顔を吹きとばした。顔には勝者の不敵な笑みがこぼれた。

梓「レーダーには何も表示されません。全員倒しましたッ!」

律「よしッ!終わッたか!」

紬「みんなすごいわー」

唯「あッ和ちゃんッ!」タタタタ

曲がり角から和が現れた。遅くまで残っていたのか、欠伸をしている。

梓「唯先輩……(どうせ見えないのに)」

dqnA「」ピッ スウウウウッ

dqnAがコントローラーを押すと、姿が消え透明になった。

バチバチッ

そして、再び現れた。

dqnC「おおッ!さッきお前消えたぞッ!」

和「えッ」

和は不吉なものを見たかのようにその場に立ち止まった。


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