数週間後の帰り道

澪「ふぅ、今日はばッちり練習出来たな」

律「あ~疲れたぁ~」

紬「りっちゃん、お疲れ様」ニコニコ

澪「律もリズムキープできてたしな」

律「エッヘン!」

梓「唯先輩はいつもより磨きがかかってましたね」

唯「そう?ありがと~」

澪「じゃあ、ここで」

唯「バイバイ、澪ちゃん、りっちゃん」

律澪「またな」

紬「私もここで」

紬「じゃあね、唯ちゃん、梓ちゃん」

梓「お疲れ様でした」

唯「バイバイ、ムギちゃん」

梓「では、唯先輩ここで失礼します」

唯「うん、またね。バイバイ」

唯「今日の晩御飯はなにかな~」トコトコ

ゾクッ

唯は首の筋辺りに寒気を感じた。思わず体が震える。

唯「うぅ……寒ッ」

唯「今、寒気が。風でもひいたかな」

唯「あれ……なんだか体が動きにくい」

金縛りにでも遭ったかのように、体が動かなくなった。

唯「なんだr……」

ジジジジジジジジジジジ

唯の体が頭から消えていき、道路には誰もいなくなった。

男「また出て来たぞ」

唯「え?えええぇぇぇぇ!??」

唯は数週間前いた部屋を見て、絶叫した。唯の声が部屋一帯に響き渡る。

~~~~~~~~~~

梓「きゃッ…今寒気が……なんだろう……」

不意に感じた背筋の寒気に梓は声を上げて反応した。

梓「それに……なんだか体が重い………」

梓「インフルエンザかn」

ジジジジジジジジジジジ

唯「あ……あずにゃんッ!」

梓「え?えええぇぇ?唯先輩ッ!?」

先程、別れたばかりの唯の声を聞き、梓は驚嘆した。

梓「はッ!?(まさか……また……)」

言わなくても、すぐに分かった。また来てしまった。またあの地獄のような戦闘が始まってしまう。

男1「なんだよコイツら」

現れるなり、大きな声を出す二人に視線が集まる。

梓「(もしかして……これからも、何度も呼ばれるのかも……)」ブルブル

チャラ男「なんなんだよここは。ドアにも触れねえし出られねえよ」

男2「はぁ……なんでこんなことに」

梓「(この前の私たちと同じ行動をしている……)」

唯「みなさんッ!落ち着いてくださいッ!」

唯が黒い玉に手を置いて言った。

男3「えッ?」

唯「もうすぐ、この黒い玉からラジオ体操の音楽が流れます」

梓「唯先輩……」

チャラ男「は?」

唯「その次に玉に星人が表示されます」

チャラ男「お前頭大丈夫?」

唯「大丈夫です。そして玉が開きます」

あーたーらしーい あーさがきたー

唯が言った直後、時代を感じさせる音楽が流れ始めた。

一同「」ビクゥ

男3「ほ、本当に………」

梓「(それから……星人か……)」

パッ

てめぇ達は今からこの方をヤッつけて下ちい

サムライ星人

特徴
つよい 叫ぶ 切りつける

好きなもの
金 酒

口癖
キエエエエ 許さぬぞよ

イケメン「今から俺たちはそいつを倒さなきゃいけないのか?」

一人の青年が不思議そうな表情で梓に尋ねる。

梓「そうです。それに一体だけとは限りません」

イケメン「……」

ガシャン

玉が開いた。銃は減っておらず、補充されているようだ。

男1「開いたぞ」

唯「それとコレを着てください。コレです」ガサゴソ

唯がチャラ男にスーツケースを手渡す。

チャラ男「なにその箱」

唯「スーツです。中にスーツが入ッています」

チャラ男「……ダセェ」

イケメン「それを着るとなにかあるのか?」

梓「身体能力が飛躍的に上がる……らしいです。死ぬような攻撃を受けても持ちこたえる事が出来ます」

男2「死ぬような攻撃を受けるのか……」

梓「唯先輩、先に着替えてきてください」

唯「うん」トトト

唯はスーツケースを持って廊下に姿を消した。

梓「そして、この銃を武器に闘います」

梓が銃を取り出して、みんなに見えるように掲げた。

男3「これおもちゃじゃないの」カチッ

男1「うおッ、こッから体が透けて見える」カチッ

梓「引き金が二つを同時に押せば、発射されます」

唯「あずにゃん着替えたよ~」

梓「じゃあ、着替えてきますね」

梓「(サムライ星人……どんな星人だろ)」

梓は不安げな表情のままスーツケースを開いた。

~~~~~~~~~~

梓「みなさんッスーツを着ましたかッ!?」

チャラ男「なんでこんな服……」

チャラ男はスーツのデザインに聊か不満があるようだ。服を着た自分の姿を見て顔をしかめている。

男2「あッ……お前頭が……」

ジジジジジジジジジジジ

チャラ男の頭部が消えていく。チャラ男が頭のあった場所をまさぐっている。

梓「始まりますッ!」

ジジジジジジジジジジジ

唯「…………」

イケメン「………………」

ジジジジジジジジジジジ

チャラ男「おッ外だ」

梓「あッ、言い忘れてました。一定のエリアから出るとアラームが鳴ッて頭が爆発します」

男1「こえーッ」

唯「あと、一般の人には私たちは見えないんだよね」

男2「はぁ…………」ハァッ

梓「では行きましょう」ダダダダダダンッ

黒い服を身に纏った集団が夜の街を駆け抜けた。

梓「(このスーツ……本当に凄い……気分が高揚してなんでもできる気がする)」

キュイイイイイイイン ダンッ

少し力を入れるだけで家一軒を軽く飛び越えることができた。今なら全てができる気がした。

チャラ男「うおおッすげェッ!!」

男1「何だあれッ!?」

梓「あそこです!」

チャラ男「じゃあ、俺がッ!」

チャラ男が率先して、前に出て行った。前方にはサムライ星人と思われる侍が立っている。

サ「キエエエエッ!」ブンッ

日本刀を振り回し、チャラ男に切りかかった。

チャラ男「危ねぇッ!」

サ「キエエエエッ」

チャラ男「オラぁッ!」ドカッ

サ「ぐぬぬ……」ズササ

チャラ男が侍を殴ると侍は数メートル勢いよく吹き飛んだ。

パンパンッ

男1「ぐあッ」バチッ

男1に見えない何かが当たった。前を見ると、銃を持った集団がこちらに体を向けて構えている。

梓「あれは……火縄銃……!?」

パンパンッ

梓「(確かに痛くはないけど怖い……!)」

梓「いきますよッ唯先輩!!」

唯「うんッあずにゃん!」

梓は反撃と言わんばかりに銃を撃ち返す。後ろから唯が続く。

ギョーン ギョーン

バンッ

火「ぬおぉうッ!?」

パンパンッ

梓「あと二人も!?」

後ろに火縄銃の侍が潜んでいた。

ギョーン ギョーン 

バンッ

イケメン「こッちはまかせろッ!」

クリスが素早く銃で侍を撃った。撃たれた二人の侍は腕が吹き飛び苦しみ叫んだ。

梓「あ…ありがとうございますッ」

火「多勢で攻めるとは武士の恥………ぐああああ」バンッ

イケメン「はぁッ……お前らもだろ………」

キュウウウウウウン ドロッ

男のスーツからゲル状の液体がレンズ状のポイントから染み出てきた。

男「あれ?このスーツからなんかドロドロしたものが…………」

男「これッてなに?」

梓「すいません、それはちょッとわかりません」

サ「ぶッぬああああ」バンッ

チャラ男「こッちも終わッたけど楽勝じゃんw」

チャラ男が銃を手で回しながら言った。どうやら男たちにとってはこの戦闘は容易だったようだ。

イケメン「まだ星人はいるのか?」

梓「わかりません……」

唯「ねぇ、あずにゃん」

唯「これッてこの街の地図かなぁ?」

唯がコントローラーのような機械を手にして言った。

梓「見せてくださいッ!」バッ

梓はコントローラーを唯から受け取り、周りを確認した。どうやらこの地域の地図らしい。

梓「どうやらそのようですね」

唯「じゃあ、この赤い点ッて星人のことかな?」

梓「恐らくそうですッ!ありがとうございますッ!唯先輩!」

梓「(横のタイマーはタイムリミットかな……」)

唯「えへへ~」

梓「では、みなさん!行きましょう」

梓「(この調子だと今回もクリアできるかも。頑張らなくちゃ)」

黒の集団は再び駆けだした。

チャラ男「ここにいるのか……」

唯「おッきいダムだね~」

一行は巨大なダム現場に着いた。地図のレーダーによればここに星人がいるようだ。

梓「(早く倒して……元の世界へ……)」

イケメン「あれじゃないか」

イケメンが遠くを指差した。人の集団が見えた。どうやら侍はまだいる様子だ。

梓「あれは……」

チャラ男「なんだよ……10人くらいか?」

パパパパパパパパッ

火縄銃の部隊が縦三列に組んで、絶え間なく撃ってくる。

男3「撃ッてきた!」

梓「行きましょうッ!」

チャラ男「おおおおおッ」

チャラ男が空高く跳び上がり、銃を連射する。

ギョーン ギョーン ギョーン

パパパパパパパパッ

男1「がぁッ……!」ドサッ

不意に男1が倒れこんだ。男の周りに血が流れ始めた。

火「あげbッ」バンッ

梓「(な……なんであの人は……。スーツを着ているハズなのに……)」

火「ぐ……ああ……」

チャラ男「しつけーよ」

男が恍惚の笑みで侍の顔に照準を定め発射した。

ギョーン   バンッ

侍「ばッd」

イケメン「あとはあの一人か……」

チャラ男「ほら、あれだ。織田信長みたいじゃね?」

梓「(で、デカイ……)」

侍集団のいた場所の中央に一人の男が立ち上がった。図体が大きく、顔が織田信長に似ている気がする。

織「ぬしら……よくもワシの家臣を……」ブンッ

織「ワシが叩き切ッてくれるッ!」バッ

信長は刀を翳し、ファイティングポーズを取った。顔は怒りの表情である。

チャラ男「オラぁッ!」

ギョーン

織「遅いッ!」シュッ

チャラ男「がッ……!なんだコイツ!」

信長は俊敏にかわして、チャラ男を素早く斬った。

キュウウウウウウウウン ドロッ

男1のようにチャラ男のスーツのポイントからもゲル状の液体が出てきた。

梓「(前のトマト星人みたいに速いッ!)」

織「ぬんッ!」シュッ

梓「キャッ!」

キュウウウウウウン ドロッ

梓のスーツからもゲル状の液体が出てきた。

梓「え?」

唯「あずにゃん?」

梓「これは一体……」ドロドロ

液体に触れて見ると、スライムのように柔らかい。

チャラ男「クソッ!もう一回だ!」

チャラ男が立ち上がり銃を連射した。

ギョーン ギョーン

織「フンッ!」ズバァ

信長の刀が一瞬光ったかと思うと、チャラ男の腕が弧を描いて落下した。

チャラ男「あああああああああ、腕がぁッ!!!」

チャラ男の体からドクトクと真っ赤な血が流れ出た。チャラ男の顔が見る見る青くなっていく。

梓「あッ!」

梓はゲル状の液体が出た意味を察知した。腕に力を入れてもスーツが隆起しない。それに液体はポイントから漏れ出しているようだ。

梓「(これはスーツが機能を失ッたッてことなんじゃ……!)」

梓「唯先輩……スーツの効果が切れてしまいましたッ……」

イケメン「なんだッて…!?」

梓「多分このスーツは一定以上のダメージを受けるとただの服になる可能性が…………」

梓の体がガタガタと震え始めた。唯が優しく梓を抱擁した。

唯「じゃあ、私があずにゃんを守るよ」

唯が梓の手を取って言った。唯の瞳は真剣そのものだ。

梓「え……?」

唯「私があずにゃんを守り抜くよッ!」バッ

唯は拳を握りしめ、銃を構えた。その姿はいつもより少しだけ勇ましい。

梓「唯先輩ッ……」

チャラ男「あッ」ズバッ

チャラ男が信長の一斬りによって、首が切り落とされた。

織「フハはははっは!」

唯「」ギョーン

織「フ……」スッ

隙を突いて銃で撃ってみたが信長は紙一重で避けた。

唯「どうしようッ全然当たらない!」

唯「そうだレントゲンで………」

銃に付属したモニターに人体模型のようにレントゲン画面が表示される。

唯「見ても何もわからない……上トリガ―は……」カチッ

チュイイイイイインッ

銃が甲高い音を鳴らし始めた。モニターが織田信長に標準を合わせ、画面が固定された。

唯「えッ……なんだろう……コレ…」

唯「とりあえず撃たなきゃ……!」

唯「(止まッた時に……その隙に……!)」

織「ははははぁ!」ブンッ

男3「うわぁ!」ドカッ

唯は信長が刀を振り切った瞬間をねらって撃った。

唯「行けええッ!!」ギョーン

織「むッ!!」スッ

信長は空高く舞い上がり、唯の狙撃をかわした。

唯「ああッ!」

ガキイィンッ

唯「え?」

織「うおッ!?」

信長の刀が粉々に砕け散った。信長は驚嘆の表情を浮かべながら、刀の鍔を茫然と眺めた。

織「ワシの刀が……!よくも!家臣のみならずッこの信長の刀をッ!」

信長は刀身を失った刀を振り回しながら叫んだ。

織「許せぬッ!このうつけ者どもめがァッ!」

突如、信長の体が変形していく。

ズズズズズズズズズ

男2「な……変身……」

信長は角の生えた牛の化け物に変身を遂げた。顔には笑みが浮かんでいる。

織「ふふふふふふ………」ブンッ

男2「がッ……」ドゴォボコォ

キュウウウウウウン ドロッ

一度に複数回の打撃を受け、男2のスーツは機能を失った。

織「ぬんッ!」

男2「」グチャ

男2は巨大な足にで虫けらのように踏みつぶされてしまった。

イケメン「マズイッ……!」

ドン

イケメン「うおッ!!」ザバァン

信長の腕の一振りでイケメンは吹き飛んでしまった。

イケメン「(水に落ちて助かッたか……)」


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最終更新:2011年03月17日 02:08