明日は私が桜ヶ丘に入学して二度目のバレンタインです!。

お姉ちゃんと一緒に暮らせる時間も、いよいよ残り少なくなってきました。
お姉ちゃんと過ごせる時間。当たり前のようにこんな日々がずっと続くと思っていたけど、それは違う。

気づかせてくれたのはお姉ちゃんの歌でした。

だからこそ、今の幸せな時間は大切に過ごしたい。
寂しさは隠し切れないけど、今年はお姉ちゃんにありったけの感謝の気持ちをこめてチョコレートケーキを作りたいと思います。
これがお姉ちゃんと過ごせる最後のバレンタインだから・・・


学校!

梓「憂、おはよう」

憂「おはよう梓ちゃん」

梓「ねえ、今年も一緒にバレンタインのお菓子作らない?やっぱり一人じゃ不安で・・・」

憂「梓ちゃんなら大丈夫だと思うけど・・・二人で作る方が楽しいし、一緒に作ろっか」

梓「良かった!じゃあ部活終わったら連絡するね」

憂「うん♪」

純「ちわーっすお二人さん」

憂「純ちゃんおはよう!今日梓ちゃんとバレンタインのお菓子作るんだけど、一緒に作らない?」

純「うーん今年は買って済ませようと思ってるし私はいいや。二人のは明日食べさせてね~」

梓「もう、純ったら・・・」

純(実は自分で作るつもりなんだけど今回は自分の力だけでつくりたいし、
  なにより澪先輩の分も作るんだから梓と一緒なんて無理!ライバル同士なんだから!)


音楽室!

律「さーて今日はそろそろ帰るかー」

澪「そうだな。今日はどっか寄り道する?」

梓「あ、今日憂と買い物行くんで私先に失礼します」

唯「え~憂とお出かけ?私も行こっかな~」

梓「結構ですっ!それでは失礼します。勉強頑張って下さい!」バタッ

律「なんだー梓のやつ。なんか隠してんのかー?」

紬「・・・うふふ」


スーパー!

梓「おまたせ!」

憂「早かったね♪じゃあ材料買おっか!」

梓「うん!」

紬「あらあら梓ちゃんに憂ちゃん♪」

梓「えっムギ先輩!?」

憂「こんにちは紬さん!」

紬「ねぇ、今から二人でバレンタイン用のお菓子作るんでしょう?」

梓「な、なんでそれを・・・」

紬「うふふ、やっぱりそうなのね。もし良かったら私の家で作らない?いろんなお菓子を作れる材料があるわよ?」

憂「そんな、悪いですよ」

紬「そんなの気にしなくていいのよ。それに憂ちゃんの家で作ると唯ちゃんに見つかっちゃうでしょ?」

梓「そういえば去年唯先輩に見つかったんだった・・・じゃあお邪魔させてもらおうかな。憂もそれでいい?」

憂「うーん、お気持ちはすごく嬉しいんですけど、お姉ちゃんの晩御飯作る時間が・・・」

紬「それなら私が唯ちゃん達とお食事してくるわ。心配しないで♪」

憂「え?じゃあ紬さんのお家は・・・」

紬「梓ちゃんが場所知ってるし案内してもらって♪キッチン使ってもらうように斉藤に言っておくから自由に使っていいわよ」

梓「すいません、何から何まで・・・」

紬「いいのよ。このことは他の3人には言わないから安心して。それじゃ頑張ってね」

憂「ありがとうございます!」

梓「それじゃムギ先輩、また明日」

紬さんの提案で、私たちは紬さんの家でお菓子を作らせてもらうことになりました。
それにしてもなんで私たちがここに来るって分かったんだろう?お菓子作ることも知ってたし・・・
相変わらず紬さんはミステリアスなところがありますが、とっても優しい人なのは間違いないし今日は甘えさせてもらうことにします。


紬「うふふ、梓ちゃんを尾行した甲斐があったわ。あんな様子を見ればバレンタインだってことぐらいすぐ分かるわよ」
 「もしもし斉藤、これから私のお友達がそっちに行くから、家に入れてあげて。それとお菓子に使えそうな材料をあらかた集めてあげておいてね」

斉藤『しかしお嬢様、お友達とはいえ、当家の台所を琴吹家関係者以外の方に使わせるなど今までに無かったこと。
   どのような事情にございますか?』 

紬「その友達はね、明日のバレンタインのために全力でお菓子を作りたいみたい。余計なお節介だとは思うけど、そんな友達のために
  少しでも力を貸してあげたいの。」

斉藤『畏まりました。しかしお嬢様はどちらに?お友達と帰宅なされないのですか?』

紬「貰うものの中身を見ちゃったら貰った時の感動が薄れちゃうでしょ!」

斉藤『これはこれは私としたことが無粋なことを。では失礼致します』ガチャ

紬「あとは・・・もしもし唯ちゃん、これから一緒にお食事しない?」


琴吹家!

梓「ここがムギ先輩の家だよ」

憂「うわあ、お姉ちゃんに聞いてたけどすごくおっきいねー」

梓「もう屋敷って感じだよね・・・とりあえず」ピンポーン

斉藤「中野様と平沢様でございますか?」

憂「あ、はい。紬さんに家使っていいって言ってもらって・・・」

斉藤「お嬢様から伺っております。どうぞお入りください」ガチャ

梓憂「し、失礼します」


梓「すごい・・・本当にいろんな材料がある」

憂「これだけあればほとんどのお菓子が作れちゃうよ・・・なんかやっぱり気が引けるね」

梓「まあでもムギ先輩は遠慮しないでって言ってたし、とりあえず作っちゃお」


憂「そうだね。梓ちゃんは今年も軽音部のみなさんにあげるの?」

梓「うん。あと純にもね。憂は?」

憂「去年はお姉ちゃんと隣のおばあちゃんにしかあげれなかったし、今年は私も軽音部のみなさんにもあげようかな。私もよくしてもらってたから」

梓「そっか。じゃああげる人は大体一緒だね!」

憂「そうだね。あとでお互いの食べ合いっこしよっか♪」

梓「うん!」

お菓子作り開始!

梓「憂、その特大ケーキって軽音部全員で分ける分?」

憂「え?これはお姉ちゃんの分だよ?」

梓「それ一人分!?どれだけ食べさせるのよ・・・」

憂「えへへ。やっぱりお姉ちゃんは私にとっては特別だから」

梓「まあそうかもね。私にとっては軽音部の4人全員が特別な存在なんだけど」

憂「そっか♪梓ちゃんって本当にお姉ちゃん達のこと大好きなんだね!」

梓「うぅ、別にそういうわけじゃ///全然練習しないのは相変わらずだし、ティータイムばっかりだし・・・でも」

憂「うんうん」

梓「みんなで紅茶飲んで、お菓子食べて、ちょっと練習して、でも学祭では大盛り上がりして・・・そんな日々ももうすぐ終わるんだよね」

憂「・・・」

梓「やっぱり・・・寂しいよ・・・今日は悲しい事考えずに感謝の気持ちだけ込めてお菓子作るって決めてたのに・・・」

だんだんと梓ちゃんの表情は悲しくなり、声のトーンも下がっていきます。
あれだけ5人の絆が強かったのだから、当然梓ちゃんは別れるのが辛いのでしょう。
もしかしたら、お姉ちゃんと別れる私以上に・・・

憂「梓ちゃん・・・」

こんな時、お姉ちゃんなら迷わずに梓ちゃんのことを抱きしめてあげるんだろうけど・・・
私はお姉ちゃんの代わりにはなれません。
私はお菓子作りを一旦中断して、梓ちゃんの近くに寄って頭を撫でてあげました。こんなことで気が紛れるとは思わないけど、私に出来るのはこれぐらいだから。

梓「ありがとう、憂・・」

梓ちゃんはそう言って立ち尽くしています。いつもなら子供扱いしないで!とか言いそうなのに。
でも梓ちゃんには元気を出して欲しい。別れるのが辛いなら、尚更今を大切にして欲しい。

憂「梓ちゃん、お姉ちゃん達が卒業するのはとっても寂しいと思う。でも、だからこそ
みんなと過ごせる時間は大切に過ごそうよ。」

梓「・・・・・・」

憂「それでも悲しまないでなんていうのは無理だろうけど・・・せめてそれ以上にお姉ちゃん達との時間を楽しんで。当たり前だと思ってた日常は当たり前のことなんかじゃなくて、
実はとっても幸せなことなんだよ。だから今は幸せな時間を大切に過ごそうよ」

梓「それ、唯先輩の・・・憂の為に歌った歌・・・」

憂「そう。私もね、お姉ちゃんと過ごす日常が当たり前だと思ってたの。でもそうじゃない。今がとても大切で、幸せな時間なんだって。それを気付かせてくれたのが、お姉ちゃんの歌だった」

梓(そっか・・・唯先輩は大学に合格したら一人暮らし・・・憂は一人になっちゃうんだ)
 (憂だって寂しいはずなのに・・・私だけこんなにいじけちゃって・・・)

梓「そうだね憂。先輩達が卒業しちゃうのは辛いけど・・・先輩と過ごせる時間を大切にするよ!だからこのお菓子も精一杯作る!」

憂「うん♪良かった、梓ちゃん元気になってくれて。私も仕上げに入ろうかな」

梓ちゃんは張り切って作業を再開しました。先輩4人のために精一杯作る姿はとても素敵です。
お姉ちゃんの分だけ特別扱いしちゃってる私がちょっと情けなくなります・・・


お菓子作り終了!

梓「出来たっ!今年はシフォンケーキだよ!」

憂「私はチョコケーキだよ~♪」

梓「それじゃ、一切れ分交換しよ!」

憂「うん!去年と違って今年は梓ちゃん全部自分で作ったもんね!」

梓「ムギ先輩が材料どころかレシピまで用意してくれてたから・・・」

憂「私も普段買えないような高い材料一杯使わせてもらっちゃった。ちゃんとお礼言わないとね」

梓「そうだね。それじゃ・・・」

梓憂「いただきまーす!」

憂「おいしい!すごいよ梓ちゃん!梓ちゃんきっと料理上手だよ!」

梓「憂のも相変わらずおいしいよ!これがいっぱい食べれる唯先輩がうらやましい!」

憂「えへへ、良かった」

憂「さて、食べ終えたし、台所の片付けしよっか♪」

梓「そうだね。」

紬「ただいま~」

斉藤「お帰りなさいませお嬢様」

梓「あっムギ先輩お邪魔してます!」

憂「お帰りなさい。いま片付けますから・・・」

紬「あらあらいいわよそんなの。家の人にやってもらうから気にしないで♪」

梓「そんな・・・わざわざ場所かして頂いた上に材料までいっぱい使わせてもらって・・・
 流石に悪いですよ」

紬「ううん。二人には出来るだけ良い環境で作ってもらいたかったの。梓ちゃんも憂ちゃんも、
このバレンタインには必死になってくれるだろうって思ってたから。だから悔いが残らないように、
私にも出来ることをしてあげたかったの。
それで二人が最高のお菓子を作れたのなら、私はそれでいいのよ♪」

憂「そこまで考えて頂いて・・・」

紬「さあ、外も暗くなってきたし、そろそろお帰りなさい。唯ちゃんももう家に着いてるはずよ」

梓「はい!ムギ先輩、今日は本当にありがとうございました!」

憂「ありがとうございました。明日部室に持って行きますね♪」

紬「どういたしまして。それじゃ二人とも気をつけてね♪」


帰り道!

梓「憂、さっきはありがとう」

憂「ううん。私は大したことしてないよ。」

梓「そんなことないよ。憂の言葉がなかったら、最後まで悲しい思いのままシフォンケーキを作ってたと思う。そんなのじゃおいしくなるわけないし」

憂「先輩達のために頑張ってる梓ちゃん格好良かったよ!お姉ちゃんの分だけ多くしちゃうような私なんかより全然・・・」

梓「もう、何言ってるの憂!憂は唯先輩とずっと一緒に過ごしてきたんだから特別で当たり前でしょ!それに唯先輩は憂のためにあんな良い歌作ってくれたんだから。そんな人のために作るお菓子ってすごく素敵だと思うよ!」

憂「そうかな。そうだと嬉しいな」

梓「っていうか、唯先輩以外じゃあんな量食べれないだろうしね・・・」

憂「そうだね・・・あはは・・・」

梓「んじゃ私こっちだから」

憂「うん!また明日ね!」

梓「気をつけてね!バイバイ!」


平沢家!

憂「ただいまー」

唯「ういー遅いよ~~。一緒にアイス食べようと思って我慢してたんだから!」プンプン

憂「ごめんね。それじゃアイス取ってくるから、待ってて♪」

唯「ね~~今日は二本食べさせてよ~~~~」ゴロゴロ

憂「めっ!」

唯「うぅ~~」シュン

私の帰りを待っててくれたのはとっても嬉しいけど、お姉ちゃんのお腹のことを考えると
二本は食べさせられません。シュンとしてるお姉ちゃんを見るとちょっと悲しい気持ちになるますが・・・

梓ちゃんにはああ言ったけど、やっぱりお姉ちゃんと離れるのは寂しい。
そのことを考えると、やっぱり悲しくなります。でも、お姉ちゃんに心配はかけられない。
残り少ない時間をいっぱい笑ってすごせるように、お姉ちゃんにも笑っていて欲しいから。


2月14日!

唯「ういー出発するよー」

憂「うん♪」

唯「あ~今年も楽しみだな~憂のお菓子~~~♪」

憂「晩御飯食べたら渡すから、楽しみにしておいてね!」

唯「りょうかいです!」


2