律「さーて。梓、何かやりたいやつあるか?」

梓「え、うーん……あんまりよくわかんないです」

律「そっか。ならこのりっちゃんにお任せあれ!」

梓「はい。そうします」

律「よーし、んじゃなにからやるかなー」

梓「決めてないんですね」

律「ああ、服買うときも言ったろ。出掛けるときはたいてい行き当たりばったりなんだよ私」

梓「ふふっ。なんか律先輩らしくていいですね」

律「へへーん。そうだろそうだろ。……あ、ホッケーみっけ。梓、ホッケーやろーぜ」

梓「いいですよ。やってやるです」ふんす

律「手加減はしねーぞー?」

律「準備はいいか?」

梓「はい。いつでもどうぞ」

律「おっけ、ほんじゃま……かっ!!」

かきん

梓「それっ!!」

きん

律「ほう、私のサーブを防ぐとはやるな梓!」

梓「負けませんよ、律先輩!」

律「いい気合いじゃねーか。しかし、そう簡単には……いかせーん!」

かこん

梓「に゙ゃっ?!」

ぴりり

律「まずは先制、っと」

梓「むむむ……!」

律「へっへーん、隙だらけだぜ、梓ぁ」

梓「むっ……」

律「やー、やっぱここらで先輩の威厳とか見せとかないと」

がこん

梓「隙だらけですよ、律先輩」

律「……お?おおっ?!」

梓「にやり」

律「ほーう、いい度胸だ梓ぁ……!」

どかこかこここ

律「勝ったあああぁーっ!!」

梓「うぅ……ま、負けた……」

律「いやー、熱戦だったな。いい汗かいたぜ」

梓「た、たしかにすごい暑い……ついつい本気になっちゃいました……」

律「ふぅーっ。梓、疲れたろ。ちょっと休憩すっか」

梓「は、はい……」

律「ゲーセンといえば、これだよなー。17アイス」

梓「あぁ、唯先輩じゃないけど、私も今はアイス食べたいです」

律「運動したあとは美味いんだーこれが」ぴっ

梓「あ、この苺のやつ美味しそう」ぴっ

梓「あむっ」

律「くはー。こりゃ明日、腕筋肉痛だな」

梓「でもちゃんとドラムは叩いてくださいよ?」

律「え゙ーっ」

梓「まぁ、ちょっとくらいの筋肉痛なら、かえってリズムキープできていいかもしれませんねぇ。律先輩のドラムはホント走りますから」

律「誰が陸上部だこのやろー!」

梓「そんなことは言ってませんけどっ?!」

律「罰としてそのアイスを一口よこせ!」

梓「いや、罰って」

律「もんどうむよう!……はむっ」

梓「わっ!!」

梓(こ、これって、かんせつキス……?)

律「……」

梓「……」

律「……」

梓「……」かあーっ

律(……にしし。効果絶大みたいだな)

梓「……しかえしですっ!!」

がぶ

律「なにぃっ?!私のキャラメルマキアートがあっ!!」

梓「ごくん」

律「……」

梓「……」

律「……」かあーっ


ぽたぽた

律「つめてっ!……って、あ」

梓「はっ!律先輩、アイス垂れてるじゃないですか!」

ぽたぽた

律「いや梓!おまえも、おまえも垂れてる!」

梓「えっ?!あ゙、うわぁ!!」

律「……」ぽたぽた

梓「……」ぽたぽた

律「……ぷっ」

梓「……くす」

梓「服にもついちゃいましたね」

律「あー、ほんとだ。おもて歩くときちょっとはずしいぞこのシミ」

梓「あはは、確かにちょっと」

律「ん、つうことで梓、トイレ行って着替えてきな」がさ

梓「ああどうも、ありがとうござ……って、これさっき買ったやつじゃないですかっ!!」

律「そうだよ?いやぁ、思わぬところでいきなり役に立ったな」

梓「私はこれ着ておもてに出るほうが恥ずかしいんですが?!」

律「いーからいーから。服ってのはな、着るためにあるもんなんだぞ。そして着飾ってなんぼなんだ」

梓「そんなもっともらしいこと言っても騙されませんっ!!」


~~~~ごふんご!~~~~

律「よっ、と。こんな感じかな」

梓「結局、着せられてしまった……」

律「背中、編み終わったぞ」

梓「ああ、はい」

律「いやー、しかし似合うね。やっぱ」

梓「そ、そうですかぁ……?」

律「うん。真っ黒で綺麗な髪がよく映えてて、すごくいい感じだ」

梓「うぁ……あ、ありがとう、ござい、ます」ぷすぷす

律「おっと、なーんだもうこんな時間なのか……。なぁ梓、最後にプリクラ撮って帰ろうぜ」

梓「へっ、こ、この格好でですかっ?!」

律「むしろ、その格好だからこそ、だよ。いい記念じゃん」

梓「何の記念ですかっ!!」

ちゃりん

律「ささ、撮るぞ撮るぞ」

梓「で、でも律先輩はどうするんですか?シミ隠さないと……」

律「んー、こうする」

がば

梓「ふあぁっ?!」

律「こうやって後ろから梓に抱き着いてれば、私の服はほとんど見えないだろ?」

梓「そっ、そうかもしれませんが……!」あわあわ

律「このさいだから密着してやる。うりうりー」

梓「ちょ、り、律せんぱぁい……」

かしゃ

ちょきちょき

律「ほい、切れたぞ」

梓「うーん……正直この写真は欲しい気持ちと欲しくない気持ちが半々なんですが。恥ずかしいし」

律「なーに言ってんだ。写真うつり、抜群にいいじゃん梓」

梓「問題なのは服ですよぅ……。今でも周りの目線とか気になるのに」

律「梓があんまりかわいいからみんな見ちゃうんだろうなー」

梓「もぉ……律せんぱい……」

律「さぁてー、んじゃ帰るか」

梓「あ、あの律先輩」

律「ん?」

梓「流石に、この格好で家に帰るのは……なんというか、その……」

律「……確かになぁ。流石にそれは、親御さんにおかしな心配させてもアレだし」

梓「な、なのですいませんが……」

律「ん、着替えてきな。もともと私の我が儘で着せたようなもんだしな。悪かったよ、梓」

梓「む……」

律「ほれ梓、はやく行ってきな」

梓「……や!やっぱり、もうちょっと着てるです!うちの近くで着替えればいいですから!」

律「あぁ、そう……?いや、梓がそれでいいなら私は何も言えんけど」

梓「はい。じゃ、帰りましょ」

律「なぁ、梓」

梓「はい?」

律「今日は、どうだった?」

梓「どう、って……」

律「いやさー、最初はみんなもヘンに話盛るし、あんまり乗り気にも見えなかったし。今日もけっこうドタバタしちゃったし……」

梓「楽しかった、ですよ。すごく。……確かに、最初は不安もありましたけど」

律「……そっか」

梓「ねぇ、律先輩」

律「おう」

梓「また、どこか行きましょうね。……二人で」

律「……おう」

梓「じゃ、私はここで」

律「おう。今日はありがとうな」

梓「はい。こちらこそ、ありがとうございました」

くる

律「あ!梓、ちょっと待って。最後に、」

梓「はい?」

ぎゅ

梓「ふ、ぁ……ぁっ?!」

律「んー、唯が毎日のように梓に抱き着く理由、わかる気がするよ」

梓「んっ……」どきどき

律「梓さぁ、いい匂いとかするし……?」

すんすん

律「……ちょっと汗の匂いするな」

梓「に゙ゃっ?!」

ぱしーん

律「あははー、そりゃあんだけガチでホッケーやりゃ、なぁ」ひりひり

梓「もぉ、律先輩、ちょっとはデリカシーってものをですね……」

律「悪い悪い。じゃ、改めて」

ぎゅ

梓「……そういうのも、ムードぶち壊しですよ……」

律「まぁ、慣れないことやっても上手いこといかないもんなんだよ。だから普段どおりで許してくれ」

梓「律先輩がかっこよくリードしてくれたら、誰も適わないと思うんですけど……」

律「そうかぁ?」

梓「そうですよ」

律「んー、いざかっこよくやってみろって言われると難しいな」

梓(でも、こういう自然な律先輩が……一番かなあ)

律「いや、にしても落ち着くなあ、梓抱いてると」

梓「私は、そわそわして落ち着かないです……」

律「ん、でも私はこういう匂いも梓のなら好きだぞー」

梓「ま、またそういうことを……!」

ちゅ

律「……じゃ、私そろそろ行くな」

梓「」

律「んじゃ、また月曜に学校でなな。気をつけて帰れよー」

梓「」

律(……だいじょぶかあいつ。やっといてなんだけど)

梓「」

律(ま、まぁおでこくらい、いいよね……?)


梓「はっ」

梓(お、おでこに……キスされちゃった……)かあ

梓(……卑怯だなー、律先輩)

梓(今度遊びに行くときは、色んな仕返ししてやる)

梓(……とりあえず、今日は帰ろう)

てくてく

がちゃ

梓「ただいまー」

梓母「おか……」

梓母「」

梓「……?」

梓「……あっ!!」




おわり