唯「…」コソコソ

律「でさー」ワイワイ

唯「…」ジー

今まで黙ってたけど私、すごく怒ってます!

1年の時に受けたあの苦しみを忘れたことはありません

あれはまださわちゃんも猫被ってた時…

私と律ちゃん…と澪ちゃんが初めて顔を合わした時です

………

……


2年前

さわ子「がんばってね、軽音部」

澪律「…」

澪「きれいな先生だったな」

律「そうゆう問題じゃねぇ…」

唯「ん…」

澪「…」

律「あぁん?」ギロリ

唯「…」

律「…」ジー

唯(睨まれたぁぁ)ガクガク


……

………

あの時私は心底ブルってしまった

足はガクガク心臓バクバク

動揺しすぎてプリントばらまいたり机に頭ぶつけたり…恥をかいてしまった

てゆうか、初対面で睨んでくるなんてとんだヤンキーガールだよぉ

律「おかしーし」ワイワイ

唯「…」ギリリ

あの時の恨み…ここらで晴らすとしよう…

唯(まずは…やっぱりあの時の恐怖を律ちゃんにも味あわせるとしよう)

唯「…」イソイソ

律の席の前に移動

律「ん…」

唯「ふんす!」ギロリ

律「…」

唯「…」ギロリ

律「…」

唯「…」ギロロン

律「…?」

唯「…」ジー

律「…」ズイ

唯「…!」ジー

律「…」ピタ

唯「…」ジー

律「…」ジー

唯「ちょ、顔が近いよぉ///」パッ

律「ん~私の顔ずっと見るからちゅーしたいのかなっと」

唯「ち、違うよ!馬鹿!」ダッ

律「んん?」

◇ ◇ ◇



唯「はぁ…まさかりっちゃんがあんなに手強いなんて…」

唯「あんなに鋭い目付きで睨んだら、私だったら絶対泣き出すのに!」

唯「し、しかも…き、ききキスしたいのかだなんて…///」

唯「これは中々厳しいリベンジマッチになりそうだよ!」

唯「よーし!絶対にリベンジするぞー!」

律「なんのリベンジだ?」
唯「!?」

唯「り、りっちゃん!?どうしてここに!!?」

律「お前が突然教室飛び出すもんだから心配になって追いかけてきたんだよ」

唯「そ、そうなんだ…あはは」

律「そうだよ、まったく」

律「それで、『リベンジ』ってなんだよ」

唯「ギクッ!」

唯「え、えと…それは…その…」

律「あ、もしかして誰かに何かいやなことされたのか!?」

唯「え?」

律「そうなんだな!?だからそいつに何か仕返しをしたいんだろ?」

唯「え?ええ?ちが、いや違わないけど違う──」

律「くそー、私の大事な唯隊員に一体何を…」

唯「だ、だから──」(あ、今『私の大事な』って言ってくれた…///)

唯(あ、いや別に嬉しくないもん!私はりっちゃんにリベンジするんだから!!)

唯(でも…)

律「おい、唯!」

唯「え?は、はい!!」

律「教えてくれ!誰なんだ?一体誰に『リベンジ』したいんだ!?」

唯「え?ええ?んんと…ええと…」

律「唯は優しいから、たとえ酷いことをした相手でも庇おうとしてしまうのもわかる」

律「けど、唯が何か酷いことをされてるのなら、それは私も黙っちゃいられないんだよ!」

唯「り、りっちゃん…」

唯(どうしよう…何かとんでもないことになっちゃったよ)

唯(でも、ここで誰か他の人の名前を言っちゃったら、その人に迷惑かけちゃうし…)

唯(もう、言うしかないよね…)

唯「…りっちゃん、解ったよ。私に酷いことをした人が誰か、正直に言う」

律「…そうか。唯、ありがとう」

律「それで、誰なんだ?唯を困らせるその犯人は?」

唯「うんとね…それは…」

律「うんうん」

唯「…りっちゃん、だよ」

律「へ?」

唯「……」

律「ええと…唯、もう一度言ってくれないか?聞き間違えかもしれない。唯は誰に酷いことされたんだ?」

唯「りっちゃん」

律「……あ~じゃあきき方を変えよう。誰にリベンジしたいんだ?」

唯「りっちゃん」

律「ええと、じゃあまたきき方を──」

唯「りっちゃん」


唯「私は、りっちゃんにリベンジしたいの!」


律「……どういうことだ?私、唯に何かしたっけ…?」

唯「…やっぱりりっちゃんは酷いよ。腐れ外道だよ」

律「ひでえ!」

唯「…本当に覚えてないの?」

律「…うん。あ、もしかして合宿で唯の寝顔をこっそり写真に撮ったことか?」

唯「違うよ!そんな小さなことじゃなくて──ってりっちゃんそんなことしてたの!?」

律「なんだ違うの?いやぁ唯の寝顔が可愛かったものでつい…」

唯「か、可愛かったって、そんな…///」

律「いや本当に」


唯「もう、りっちゃんったら…///」テレテレ



唯(はっ!だめだめ!私ったらりっちゃんのペースに乗せられてるよ)

唯(むぅ…りっちゃんめ…)

唯「ゴホン!とにかく、それとは違うんだよ、りっちゃん!」

律「え~じゃあなんなんだよ~」

唯「…本当にわからないの?」

律「うん、全然わからない、もう降参」

唯「もう、仕方ないね。じゃあ教えてあげる。りっちゃんが私にした酷いことっていうのは──」

律「ふむふむ…」

───
──

───
──

唯「──ということだよ」

律「……」

唯「これで解った?りっちゃんが私にどれだけ酷いことをしたのか!」

律「……唯」

唯「あ、謝ってくれるの?いやぁりっちゃんが素直で良かったよ。これからはこれに懲りてもうあんな酷いことは──」

律「それだけ?」

唯「へ?」

律「いや、そんな前のことを今になってリベンジしようと思ってたの?」

唯「え?」

律「いや、確かにあの時はさわちゃんとの話を強制的に終了させられる形になってイラっとしちゃったけど」

律「でも…」ププッ

唯「!?」

律「まさか…そんなことを今までずっと根に持ってたなんて…」ウププ

唯「……」

律「いや悪い…確かに私が悪かったよ。でも、何かおかしくってさ…」

唯「」

律「まさか、あのことを二年以上もたった今に言われるなんて、さ」プクク…

唯「」プルプル…

律「ぷぷ…あ、ごめ……あははは、でも、唯ってやっぱ」

律「お子さまだよな~」アハハハ



唯「」カチッ…


律「いや~でも私が悪かったんだよな。ごめんよ、ゆ──」

唯「…いや、もういいよ、りっちゃん」

律「へ?」

唯「りっちゃんの気持ちはよーく解ったよ」

律「そ、そうか。それは良かったよ、あはは…」(あれ?なんか唯ちょっと怖い…?)

唯「全然反省してないみたいだね」

律「え!?いや、私は十分反省して──」

唯「うるさいよ!」グイッ

律「うわっ!」バタッ

唯「あれだけ笑っておいて…挙げ句の果てに私をお子様扱いして…」ワナワナ…

唯「よくも『反省した』なんて言えるね?」

律「え、ええと…」

律「た、確かに笑ったけど、それでも私は十分、いや十二分に反省をしてて」

律(え?ちょっと待って、この唯怖い…。普段温厚な奴怒らすと怖いってこういうことなのか!?)

唯「へ~…りっちゃん反省してるんだ~」

律「そ、そうだよ!」

唯「酷いことしたって自覚あるの?」

律「うんうん!」

唯「でも、反省したかなんてすぐ解るものじゃないからな~」

律「え?でも私は本当に──」

唯「じゃあこういうのはどうかな?」

律「聞けよ!」

唯「ん?」

律「え?」

唯「りっちゃん、いま何て言ったの?」

律「え?え?」

唯「『聞いて下さい』だよね?反省してないのかな?」

律「ちょ、ちょっと待って唯!お前──」

唯「『お前』?」ピクッ

律「あっ……」

唯「聞き間違えかな?りっちゃん、いま私に『お前』って言ったの?」

律「……いや、何でもないです」

律(いやいやいやいやいやいや…唯怖い唯怖い唯怖い唯怖いいいい!)

唯「まぁ…いいや。話を戻すね」

律「はい…」

唯「悪いことしたら、それなりの『罰』が必要だと思わないかな?」

律「罰…?」

唯「そうだよ。だからね、私考えついたんだけど、やっぱり私りっちゃんに『仕返し』しようと思うんだ…」

律「え?そ、そんな!」

唯「あぁ、大丈夫だって。私は『優しい』から凄く軽い罰にしてあげる」

律「で、でもさ…」(いや、今の唯には優しさが微塵も感じられないんですけど…)

唯「ねえ、あんまり我が儘言わないでよ…」

律「…!?」ゾクッ…

唯「元はと言えばりっちゃんが悪いんだからね…?」

唯「私はただこの事を後々まで引き摺りたくないだけなんだから」

唯「今日、今この時限りで終わりにしたいだけなんだよ…」

律「わ、解ったよ。唯の言うとおりにするから!」

唯「うん、それがいいよ」

律「それで…私はどうしたら良いんだ?」

唯「ん~とりあえず眼瞑っててよ。いまから考えるから」

律「い、今から!?お、おう…」ドキドキ

唯「よしよし…」



唯(ふっふっふっ)


唯(どうですか、この演技力!?)フンスッ!

唯(いやぁ我ながら迫真の演技だよね)

唯(きっと、澪ちゃんとりっちゃんのロミジュリなんて目じゃないくらいだよね?)

唯(見て見て~、りっちゃんったらこんなにおどおどしちゃって)プププ…

唯(縮こまってるりっちゃん可愛いなぁ…ナデナデしたい…)

唯(いやいや!まずはりっちゃんへの仕返しを考えなくっちゃ!!)

唯(ふふ…どうしてくれようか…)

唯(やっぱり、ちょっと可哀想だけどうんと意地悪なことしたいなぁ…)

唯(でも『うんと意地悪なこと』って何だろう…?)

唯(う~ん…う~ん…)




唯(何も思い浮かばない…だと…?)


律(うぅ…まだなのか…唯怖ぇよお…)

唯(どうしよどうしよ!全然思い浮かばないよ~。うんと意地悪なことって何~!?)

律(まだか…まだなのか!?来るなら来い!覚悟は出来てるぞ!)グッ!

唯(ああ…ああ…りっちゃんが待ってるのに。もう、私ったらもう!)

唯(でも、でも、何かしなくちゃ!!あぁ…ええと…そうだ!アレならどんな人だって嫌がるはずだよね?)

律(……まだか?眼を瞑らされてずいぶん時間経つぞ?)

律(うぅ…いま唯がどんな表情して仕返しを考えてるのかが気になる…)

律(私、唯に嫌われちゃったのかな…?そんなの嫌だな…)

律(でも、唯の言うとおり元はと言えば私が悪いんだよな…)

律(ごめん唯、どんなつらい罰でも受けるから、私を嫌いになんかならないで──)

サワッ

律(え?)

サワサワサワサワ

律(ちょっ!唯、な、何やって!?)

唯(こうなったら奥の手、くすぐり攻撃だよ~!!)

律「ちょ…唯…アハハハや、やめ…くすぐった…」ヒィヒィッ

唯「う、うるさいよりっちゃん!これは罰。そ、そう!罰なんだから!!」

律「いや…おま…アヒャヒャくすぐりって…!完全におこさm…」

唯「まだお子様なんて言うか、この!この!」ウリウリ

律「アハハごめん、唯ごめん謝るからぁ!!本当だめだって!くすぐったい~!」アヒャウヒャ

唯「止めたら罰にならないってば。まだまだ行くよ!」

律「だ、だめ…クッ…ゆぃ…本当やめてってばぁ…」

律「ぁ…んん…くぅ…ん…ああ…!」ビクッ

唯「ッ…!?」ピタッ

律「ん…はぁ…」グタァ…ビクッビクッ…

唯(な、何、今の!?りっちゃんの体がビクッて…それにあんなかすれた切ない声だして…も、もしかして…)

律「はぁ…ん…はぁ…」グッタリ

律(そんな…嘘だ…そんな事って…?)

唯(そんな…まさか…)

律(唯のくすぐりだけでイっちゃうなんて…!)

唯(心臓発作!!?)

唯「りっちゃああああああん!!」ダキッ

律「グエッ!」

唯「りっちゃん死んじゃ嫌ああああああ!!うわぁあぁああああん!」グシュグシュ

律「ちょっ!唯!?お前何言って…!!?苦し……」

唯「私が悪かったのおおおお!だからああああ死なないでよおおおおお!!りっちゃああああああん!!!」グスッグスッ

律「死なない!死なないからああ!!」

唯「本当!?」パァッ

律「で、でも、その…あの…い、いいイッたばっかりで体が凄く怠いから…体離して欲しいかな…///」

唯「やっぱりりっちゃん逝っちゃったんだああああ!うわぁああん」

律「ああもう!意味解らないっての!いいから離れろよ!!」


───
──

その後、私はりっちゃんに私のお芝居でりっちゃんをひどく脅かしてしまったことを謝りました。

りっちゃんは私の態度や言動がお芝居であったことを知って、とっても驚いていました。
木Gにしておくには勿体ない演技力だったそうです!!
凄いでしょう? フンス!
それから、りっちゃんもりっちゃんで、私にちゃんとあの日のことを謝ってくれました。
これにて私のリベンジ作戦は終了したわけです!

……でも、私には一つだけ解らないことがあります。


私がりっちゃんにくすぐり攻撃をしたあの時、私が心臓発作と勘違いしてしまったあの現象はなんだったんでしょう?
りっちゃんは苦しそうな声を上げて体を痙攣させていました。
私は、本気でりっちゃんが死んでしまうのではないかと心配してしまいました…。

あれがなんであったのか、その後りっちゃんにきいても、りっちゃんは顔を赤くするだけで何も答えてくれません。

おまけに、「唯はお子様だから解んなくて当然だ」なんて言ってきます!

だから、私は「そんな事言うとまたお仕置きするからね」と脅かしたのですが、何故かりっちゃんは心なしか嬉しそうでした。

そんなりっちゃんを見て、私はもっと『くすぐり』の技術を研こうと思うのでした。

おしまい