梓とムギの物語はこれで終わりです。
支援していただいた方々、保守していただいた方々、ありがとうございました。
色々と不快な思いをさせてしまった方々、申し訳ありませんでした。

今回はけいおん!というアニメ、または原作における琴吹紬というキャラクターについて
自分なりに深く掘り下げてみようと試みた結果、たどりついた設定です。

ムギは一見、他のキャラよりも強固なアイデンティティを持っているようですが
(お金持ち、才色兼備、百合属性、世間知らずのお嬢様、作曲担当、お菓子やお茶の提供、眉毛etc…)
それらの要素の一つ一つは実は誰にでも取って変わることのできる、言わばストーリーを組み立てる記号にすぎません。
(もしくは萌えキャラとしての記号ともいえます)

要するに他の主要キャラに比べて、内面を彩る要素が薄いのが琴吹紬というキャラなのです。
過去の描写や心境の変化の描写が極端に少ないのもこのためで、下手をすればそれこそムギ自身には何の魅力もないとも考えられます。
(断じてそんなことはあり得ませんが。実際アニメをしっかり見てみると、ムギの内面の成長や心境の推移は長期的に描写されています)

軽音部におけるムギの立ち位置と視聴者から見るムギ像の両方から考察し、
それらに共通する琴吹紬のアイデンティティという観点から、攻殻機動隊の世界観を拝借するに至った次第です。

最も自分は、押井守の映画版とアニメSAC1期くらいしか知らないにわかなので、色々と間違っている所があるかもしれないです。


それからこのストーリーはムギの自己同一性だけにスポットを当てているわけではなく、
軽音部という舞台を通して、人間が人間たるべき根拠をどうやって証明するのか、という問いを
個人的な価値観のもとに示しているつもりです。
これはGhost in the shellのテーマをそのまま流用しました。

紬は自己の証明が記憶ではなく「意志」によって定義されると考えます。
ちなみのこの「意志」がそもそも誰かによってプログラムされたAIなんじゃないか、という疑問もありますが
ここで言う「意志」とはより高度で多様な表現のことを指しています。

しかしGhost in the shellで人形使いが「たとえ記憶が幻の同義語であったとしても、人は記憶によって生きるものだ」
と言っているように、必ずしもムギの考えが一般に共通するとは言えません。
そこは人によって様々な解釈が可能であり、当然答えのようなものも存在しないと考えます。
(なんだかんだ言ってムギも、軽音部の楽しかった記憶にすがるように最後を迎えたわけですし)


ムギが梓と融合した後、ムギが自分が自分である根拠を見つけることができたのか、それは誰にも分かりません。
ただ個人的な解釈としては、ムギは梓とゴーストの境界をあいまいにしたことによって、逆説的に自分が自分である証拠を
見つけることができたのかもしれないと思っています。

またムギと融合した梓を見ても、それが中野梓なのか、琴吹紬なのか、またはそのどちらでもない新しいゴーストなのか
解釈はいろいろあると思います。


EDテーマ的に選んだ曲ですが、分かる人は分かる通り、この物語にはエヴァの「他者と自分を隔てるもの」という
テーマも少し意識しています。
ゴーストの融合と人類補完計画って結構似ているような気がしたので…。
(攻殻の原作を読んだことがないので分かりませんが、自分はゴーストの融合が境界線を無くすことだと解釈してましたので)

ムギにも梓にも共通する点として、他者との関わりが自分にとって重要であるということが挙げられます。
ムギは梓や他の軽音部のメンバーとの関わりを何よりも大事にしているし、梓は求める他者(ムギ)を失うことにより
破滅への道を選んでしまう。

エヴァではリビドーとデストルドーがそれぞれ目に見えない心の壁や肉体的な境界を作りだしたり破壊したりしますが、
この場合はそれぞれがアイデンティティの創造と崩壊を指してるということです。


それから少し解説ですが、遊園地で義体輸出の停止と電脳開発規制提案の凍結を要求したテロは
実は裏で琴吹商社の思惑が絡んでいたりします。
オーバーテクノロジーを搭載したムギのボディと電脳システムを何かしらに利用する目的で画策していたのかもしれません。
もちろん表向きは違う意味を持たせたテロ行為だったとは思いますが、
その辺は例の公安9課が真相を暴いてくれるでしょう。

ムギがテロと琴吹商社の関係を知っていたかどうかは定かではありませんが、
自分が少なからず利用されていたことは気付いていたと思います。

それも含めてムギが自分の存在に疑問を抱いていく過程の上に、軽音部という居場所が
重要な意味を持つというのがこのSSの一つの流れです。

それから気付いた人がいるかは分かりませんが、このSSはとあるけいおんSSを非常に参考にさせていただいて書きました。
勝手にぱくっただけなんですけどねw

遊園地のくだり、キスのくだり、梓の告白のくだり等、唯「バタフライ・エフェクト」を読んだことがある人なら分かるかもしれません。


それから言い忘れましたが、冒頭でふわふわ時間を合わせたHTTについて、
このあたりの描写もいくつかの解釈が出来ると思います。

根幹にあるのは、このシーンが音楽を通して他者と自分の境界の消失を象徴しているということですが、
この時たまたまそうなったのか、はたまたムギが電脳ネットを介して意図的に作ったのか…
大体この二つだと思うんですが、まあどっちでもいいですね。



長々と講釈を垂れてしまってすいませんでした。
上で偉そうなこと言ってますが、実のところそれっぽく書いてたら上手く物語に整合性が出てきただけのSSです
それもこれもムギちゃんのおかげです。


ムギちゃんまじ天使


※紬は自己の存在を確かめる為に梓と融合したってこと?なぜ融合せずに梓と一緒に生きていくという選択がなかったんだろうか それを受け入れた梓もなぜ?と疑問に思う

ムギは自分がいずれ誰かに利用される未来が見えていたから…と勝手に自分は思ってます
まあ、ムギの梓に対する究極の愛の証とも言えなくも…ない?
そして梓もそんなムギの想いを理解して、そのうえで自分のためにも融合を受け入れたわけです。

どちらにせよ、ムギも梓も割と身勝手な理由だったりするわけでして…
つじつま合わせというか後付けっぽいですが、その身勝手も自分の「意志」を表現したいがため、と考えてもいいのかもしれません


梓をムギの求める相手として選んだ理由は

  • 来年もこの高校に残る後輩であること(融合することによって、ムギももう一年高校生活を送れると考えた)
  • 3年生を相手にした場合、卒業後の話がしずらいということ
  • 自分が単純に紬梓が好きであること

3番目の理由が主ですね。